「起きろ、食事の時間だ」
概要
『死徒二十七祖』の第十位。黒き混沌、原初の海。
1000年を生きた古参の吸血種であり、肉体維持のために血液どころか対象の肉体そのものを喰い尽くす。このため、吸血鬼というよりは食人鬼に近い。
死徒になる前の彼は優秀な魔術師にして動物学者であり、『魔術協会』の三大部門の一つである『彷徨海』と呼ばれる組織に所属していた。本名をフォアブロ・ロワインといい、ネロ・カオス(Nrvnqsr Chaos)は『聖堂教会』が名付けた識別名・通称である。
ただ、本人はこの通名が気に入っているのか、作中では自ら名乗っている(魔術などでは名前は大事な要素であるため、他人に本名を知られないための偽名代わりに名乗っている可能性もある)。
ちなみに、ファンからは動物学者という経歴から「教授」と呼ばれる事もある。
人物
性格は魔術師と学者であった名残からか冷静で理知的。それ以外には吸血種でもあるためか、プライドが高い。その一方で多数の獣を内包している故か自身の食欲に関しても忠実であり、理性と野性の混濁した一面を持つ。ただ思慮深いとは言い難く、不確定因子による突発的な事態には弱く、自身の理が崩れると焦る傾向にもある。
また、動物学者であった事からもう一つの側面として、希少種や珍獣には目がないらしく、『MELTYBLOOD』ではネコアルクに勝利した際に、必死になって足型を取ろうとする姿を見せたり、動物学者であった若かりし頃を懐かしんだりもしている。
元から意外と人付き合いは良いので人脈は広く、他の二十七祖たちが軽蔑しているミハイル・ロア・バルダムヨォンとは盟友であった。800年前に行われた二十七祖の集会にも出席しており、この時に先代の十三位(ワラキアの夜ことズェピアへ冠位を譲る前の当時の祖)とも顔を合わせている。
ちなみに、『真祖狩り』に推薦されたのも人脈の広さの所以であり、彼は『真祖狩り』そのものに乗り気ではなかったものの、アルクェイドは盟友であるロアの仇敵であるため、彼と交わした盟約を果たすという意味合いで引き受けている。(メルブラでの勝利メッセージにて、それを示唆するものがある)
死徒であるが、その実態は何になるのか分からない混沌の因子の集合体。アルクェイドは長い時間を生きた事で欠けた肉体を補填するために獣を取り込み使い魔にしていると考えていたが、実際にはその全てがネロそのものであった。
しかし、「人の身体(カタチ)に複数の命を宿す」という手法故に、“魔術師フォアブロ・ロワイン”としての本来の人格は既にかなり薄れている。
もしそのまま生き続けていれば、数百年後には本当にただの混沌に成り果てるとされており、これに関しては当人も気付いている。現在はそうなるまでに自身の中にある混沌の行末を求めており、その命題のためだけに存在する。
二十七祖の十位で1000年以上を生きるというかなりランクの高い死徒でありながら城や領地を持たない変わり者として死徒達の間でも有名。
能力
固有結界『獣王の巣』
彼独自の「永遠」を実現するために編み出した、『獣の因子』と呼ばれる概念を「ネロ・カオス」という存在に内包する『固有結界』。
メルブラ以降の彼は大柄で筋骨隆々な如何にも格闘家然とした体格の持ち主だが、本質は学者なので戦闘センスそのものは然程高くなく、専ら取り込んだ因子を元に「数多の獣をその身から繰り出す」戦法を用いる。ただし、ロアからは「術理戦よりも殴り合いの方が強いのでは」と評価されている。
繰り出された獣は、たとえ殺されても『混沌』としてネロの中に還元され復活する。獣と言っても、哺乳類ばかりでなく鳥類や爬虫類、果ては昆虫・魚類・幻獣に至るまで、ありとあらゆるモノが飛び出してくる。
具体的にどのような動物が飛び出てくるのかはネロ本人にも分からないが、劇中の描写から用途によって在る程度は絞れる模様。因子を鎧のようにまとう事も可能であり、その際には天を衝くような巨大な二足歩行の魔獣と化す。
なお、『固有結界』の性質上、世界からの抑止力が働くペナルティがあるのだが、彼の場合は自らの体内に結界を展開しているため、抑止力によるアフターリスクを免れている。
滅するにはネロ本体とそれらに内包された因子を一気に叩くしかないのだが、その身には666もの命が存在し、一度に全てを滅ぼさねばならないために困難を極める。
噛み砕いていえば、「残機が666回分ある」のではなく「666本分のHPゲージがあり、なお且つ常時HPが満タンまで回復する」という、耐久戦や消耗戦では絶対倒せない無理ゲー仕様である。
まさに『直死の魔眼』だからこそ打倒しえた存在と言える。
ちなみに、漫画版のMELTYBLOODでは本人では無くあくまでタタリによる再現だからかシエルの『第七聖典』によっても消滅している(が即座に再度ネロの姿のタタリとして具現化された)。
ゲーム版のMELTYBLOODでの登場においても基本的にタタリによる再現であるため、ネロの持つ不滅性は再現できていない可能性がある(寧ろそうじゃないと残機無限の敵とか格闘ゲームとして成立しない)。
それ以外でも、同じ『直死の魔眼』を持つ両儀式の場合、魔眼以外でも彼女の持つ特異な性質はネロにとっては猛毒・劇物のようなもので、彼女を取り込んだ場合は『固有結界』諸共に肉体が崩壊するという。
ちなみに、メルブラに限ればこの獣たちは琥珀さんを苦手としているらしい。ネロ教授曰く「飢えた獣とて、時に温もりに屈する」らしいが……。
『創世の土』
アルクェイドを捉えるべく、ネロがロアと共同研究で作り出した技。それはネロを構成する666を誇る『獣の因子』の内、500を泥状に結束させて作り出す拘束魔術。
その強度はネロ曰く「大陸を一つ、破壊するようなもの」であり、一度捕縛されるとアルクェイドでさえも脱出は不可能。ネロの奥の手と言える魔術である。
ティアマトのケイオスタイドと類似点があるため、関連性を指摘するファンもいる。
『金の魔眼』
最上位レベルの吸血種が有する魔眼(ノウブルカラー)で、効果は魅了(暗示)。ただ、効力は稀ではあるが常人でも耐え得る程度のもので、補助的な目的で使用する。
各作品での活躍
月姫
初登場。立ち位置的には中ボス。
二十七祖・第十七位のトラフィム・オーテンロッゼが提唱した『真祖狩り』に抜擢され、真祖であるアルクェイドを抹殺すべく三咲町に襲来。最終的には、アルクェイドに味方した『直死の魔眼』の持ち主である遠野志貴によって滅ぼされた。
MELTY BLOOD
タタリの影響で一時的な復活を遂げる。作品、ストーリーによっては生前の本人が登場している。
なお近年では、彼そっくりのナマモノが散見されているが、無関係である。必殺技が似ていたり、GEORGEボイスでも無関係である。
実際に出くわしてネロ教授が開幕デモで驚愕し、さらに勝利メッセージで「何故か二分間ほど記憶が無い」と現実逃避をしようが、断じて無関係である。
ゲームでの性能
志貴の“出会いたくないもの”のひとつとして、志貴の過去の記憶をタタリが具現化したものとして登場。よって、他に再現された者たちと同じく“本人でありながらその模造物”という、少々ややこしい存在である。
戦闘スタイルは原作同様、自身から数多の獣を呼び出して攻撃させる。
設置キャラとしての色が強く、速攻or時間差で発動する獣の召喚を主体に揺さぶりを掛けるのが主な戦法。また、遠距離から近距離へと間合いを詰めて怒涛のコンボを叩きこむことも可能なオールラウンダーであり、耐久力も秋葉に並んでトップクラスに高く、その強さから最上位クラスにまで上り詰めた経歴のある上位キャラ。特に『混沌開放・獣角種』によって呼び出される鹿(エト)の利便性はかなりのもの。
ただし、大型キャラに属するため当たり判定が大きく、相手との間合いを管理することが重要となる。また、ほとんどの行動に無敵判定が存在しないため、必殺技等で仕掛ける際には隙を潰す手段を必要とする。
カーニバル・ファンタズム
OPムービーにて、各作品の主要キャラ達が一同に会し楽しげに踊るシーンをよく見てみよう。男性陣の列にてこいつもなんかノリノリで踊ってるから。しかも、月姫勢に限れば遠野志貴の次に重要な人物として扱われている(Fate勢の場合、衛宮士郎の次にアーチャーが来ている)。
本編中での出番はあまり無いが、幕間劇にて飲食店で某魔女の夫と相席して向こうが目を離した隙に体内からなんか色々と出たり、夜の公園で偶然遭遇した某傍迷惑なあーぱーに犯されたりしている。
\オマエのケモノ寄こしやがれー!!/ \いやっ、ちょ、なに~!?/
番外編に当たるEX版では、居酒屋で某ラスボス(笑)から更にネタキャラにされた泣き上戸の盟友を慰めたり、会計時の領収書の記入の際は自分の名前(通名)の綴りが分からず悩んだ挙句にローマ字表記にしたりと、全体的に出番の少ない割にインパクトは無駄に強い。
「ネロはこんなに優しいのに……誰も分かってくれないんだぁぁぁ!!」
「飲み過ぎだ、ロア……」
月姫 -A piece of blue glass moon-
ロアの回想に彼と思わしき人物が台詞のみ登場(ボイスはなし)。
中ボスとしての役割は新キャラクターのヴローヴ・アルハンゲリが担っている。
Fate/Grand Order
こちらの世界では死徒になっていない様で、本名のまま古巣に残り続けている模様。
詳しくはフォアブロ・ロワインを参照。
関連人物
盟友。
ネロ・カオスに似ている謎のナマモノ。
死徒としての名前の由来となった人物。