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吸血種編集

TYPE-MOONの世界観では、血を吸う生き物全般を『吸血種』と呼び、その中の一分類として『吸血鬼』がある。聖堂教会の敵であるのはこの吸血鬼だけであり、遠野秋葉第五次聖杯戦争のライダーは、吸血種だが吸血鬼ではないので教会の討伐対象にはならない。


『吸血鬼』は大きく真祖『死徒』に二分される。

また、聖堂教会の討伐対象かは定かではないが『幻想種としての吸血鬼』も存在している。


FGO』でのロード・エルメロイⅡ世の発言によると、吸血鬼たちには混血ダンピール)は存在しないという。ただし、デミ・サーヴァントと同列に語っており、また真祖と死徒の混血も存在することから特殊なケースは存在する模様。

第2回月姫萌え吠えチャット座談会』によると、吸血鬼(真祖と死徒)と人間の子供の成功例はただ一人であるという。


死徒編集

後天的な吸血鬼。

真祖、または死徒に血を吸われる(正確には血を送り込まれる)か、魔術により肉体を改変することで人間が変じたもの。現在の吸血鬼は大多数がこちら。血を吸っていればとりあえず寿命の心配はいらない。真祖と違い、血を吸わないと生きていくことが出来ない。


真祖と違って日光などを弱点とするが、力を付ければそれなりに克服できる。

十字架が効果を発揮するのは、生前に信仰者であった場合に限られる。

生殖機能は失われているため、霊長類にはカウントされない。


なお、作中では分かりやすさを重視して『吸血鬼』と呼ばれることが多いが、現実の伝承としての吸血鬼は1900年代から語られ始めた人類史から見れば日の浅いモンスターであり、そもそも吸血鬼のモデルの一端には古くから存在する怪物である人狼の特性が加えられている。

そのため『月姫世界』では死徒を『正しくは吸血種。同種から血を吸うものの総称』として扱っているとされる。


死徒を束ねる祖たる者たちを死徒二十七祖という。『Fate世界』ではその枠組みが存在せず、該当する死徒達は『上級死徒』と呼ばれている。


血を吸われた場合はまず『食屍鬼(グール)』と呼ばれるゾンビのような存在として蘇る。ただし全員がなれるわけではなく、ここに至るのにも素質が必要となる。その後は死体を喰らって欠けた肉体を補完、幽体の脳を形成し、そこで初めて吸血鬼になれる。このため死徒になれるのはほんのごく一握り(一万人に一人とされている)。中でも優れた素質があれば死徒になるまでの時間が短くなる。弓塚さつきはまさにこの例である。


ここでいう吸血鬼化とは肉体の変容ではなく存在の変容を指し、アカシックレコードにある“人間”という記述が“死徒”にクラスチェンジしてしまったようなものである。

死徒の中には並行世界への移動が生身よりも楽だからという理由で宝石ゴーレムに魂を転移させるキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグや、人の血を吸うことでしか延命できない自分の体を嫌って無機物の錠前へと変化したコーバック・アルカトラスのような事例もあるが、どれだけ肉体が変化しようと彼らはもう存在として“吸血鬼”なのである。


なお、英霊の中には元が人間でないもの(動物物語)がいるように、人間以外の存在が死徒になることもある。

例えば植物が死徒化した『腑海林アインナッシュ』、オッド・ボルザークの使い魔である刺した人間を屍食鬼に変えてしまう『死徒蜂』、『FGO』に登場する南米異聞帯の霊長『ディノス』(原型は恐竜)が何者かによって死徒化した個体(死徒ディノス)などがいる。

また、『月姫リメイク』内においてもアルクェイドは死徒を「人間とか動物とか、とにかく“もともとは吸血種ではなかった”ものたちよ」遠野志貴に説明しており、人間以外が死徒に変貌する可能性について間接的に説明していた。


死徒は自分を死徒にした親の命令には逆らえない。そこで自身も血を吸い配下を増やし力を蓄え、親元からの独立を目指す。この親のルートを辿っていくと行き着くのが二十七祖である。死徒の成り立ちの元々は真祖の非常食として用意された人間たちであったという。


魔術によって死徒になる場合、親がいないので支配を受けなくて済む。さらに魔術師上がりの死徒は、人間を死徒化させるのに必ずしも吸血行為を介する必要がなく、あれこれ面倒ではあるが代わりに適性が薄い人間でも死徒化できる利点があるとのこと。


魔術との関係編集

魔術師と死徒の関係を示唆する描写、設定資料も少なからず存在する。

『Character material』では『極論ではあるが、魔術師と死徒は同類。神秘への在り方が同じであるなら、純度の高い彼らの優位は揺るがない』と記され、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 material』内収録の「時計塔の年表」では西暦20~100年頃から魔術世界に死徒が頻繁に現れ、魔術師を敵とみなして襲うようになったことが記載されている。

さらに『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』においては上級死徒が『神秘において魔術師と同質、次元において上回る、お伽話のような存在』と表現された。


衛宮矩賢のように、研究継続等のために寿命を延ばしたい魔術師には、死徒化は魅力的な手段である。しかしその実践は簡単に行くものではなく、失敗すればアリマゴ島のような悲劇を生むこととなる。


フラット・エスカルドスによると、魔術師上がりで死徒になる場合は魔術が極まった結果として死徒になるか、魔術を極めるために死徒になるかの順番が大事になってくるという。

前者であれば問題はあまりないが、後者の魔術を極めるために死徒になるのは効率が良くないとされる。


この「効率が良くない」発言は『Fate/strange Fake』が初出であり、具体的な意味は長らく不明であったが、『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』では魔術が極まり、存在基盤が変わった結果として死徒になった者の一人であるヴァン=フェムが、数百年長生きする程度ならば問題ないが、自分くらいになってしまうと「完全に魂のラベルからして違ってしまって、人間の神秘とは相性が悪くなる」と発言しており、現在では魔術が苦手になっていることを告白している。


この現象は彷徨海の魔術師からすれば堕落そのものとされており、先述のフラットの発言も、この辺りの事情が関係していると思われる。


また、『strange Fake』ではジェスター・カルトゥーレが警察署に仕込まれた魔術式から生み出された使い魔達を、手を仰ぐだけで押し潰すというシーンがある。

この時、『何らかの攻撃系魔術を行使した様子はない。まるで、男の放つ捩れた圧力が、使い魔達の存在そのものを否定したかのようだ』と地の文に記されている。

更に、後述する強力な死徒に対抗できるものの一つに『純粋に高レベルの魔術師』が挙げられていたことから、神秘はより強い神秘の前に敗れる、または後述の人類史(人類の文明、人理)を否定する者としての特性によるものであるか理屈は不明であるが、強力な死徒は並の魔術を無効化してしまうと思われる。


英霊・人類史との関係編集

英霊が人類史を肯定するモノ、人間世界の秩序(ルール)を護るものである人類史の影法師であるのに対し、死徒は人類史を否定するモノ、人間世界のルールを汚すために存在してきた地球そのものの影法師である。


それゆえに、死徒は『人が作りし宝具』、『神が人の為に用意した宝具』の加護を否定することができ、人間が宝具を使っても有効なダメージを与えられない。

ただし、その宝具を用いるのが『座』の使者たる英霊であるならば話は違ってくる。また、『神が神の為に作った宝具』ならば人間が使っても死徒に有効であるかもしれないことが示唆されている。


この一方で、人理が脈動し、英霊召喚を可能とする世界では死徒は力を持てないとされ、『月姫世界』と『Fate世界』では死徒の戦闘力に差が発生することがわかっている。


英霊と人理、そして死徒には密接な関係があるようだが、その全貌は未だに明かされていない。

例外として、『Fate/strange Fake』は二つの間にある特殊領域とし、英霊召喚が可能で死徒二十七祖の枠組みも存在するどっちもアリの世界とされている。また、『Fate/Grand Order』はどっちとも言えない世界とされている(各世界の詳細についてはこちらを参照)。


マーリンによると、(おそらく死徒を指す狭義的な意味での)吸血種は『千里眼』ではぼやけて見えるらしく、『strange Fake』でも『千里眼』を持つギルガメッシュが死徒について「よくわからん」と話すシーンがある。

成田良悟氏によれば、その理由は『strange Fake』では扱いきれないネタとのこと。


本来は相容れない存在であるが、死徒が英霊になり得るか、英霊が死徒になり得るかは不明。

吸血種(吸血鬼)の英霊も複数確認されているが、いずれも死徒ではない。『strange Fake』では、生前から死徒を知るリチャードが死徒が座に行くかどうかはわからないと発言している。

余談であるが、『FGO』1.5部第3章『屍山血河舞台 下総国』に登場する『英霊剣豪』は死徒との共通点が多い。


MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』のマシュのセリフによると、死徒と呼ばれる吸血鬼とは「ヒトでありながら、人類の脅威」「魔術、科学による力でもなく、星の神秘による力でもない……ただそこにいるだけで世界を侵す毒」であるという。

また、「わたしたちの世界にも吸血種は存在するが、これほど独自性を持った種は記録されていない」(要約)と発言していることから、『Fate世界』と同様、『FGO世界』でも死徒は強力な存在ではない模様。

ロア曰く、「英霊も死徒もつまるところゴールは同じ。『この星の最終解答』だ」とのことだが…


能力編集

死徒は、『復元呪詛』と呼ばれる時間の逆行による再生能力と、『超抜能力』という固有の能力を備えていることが程度の差はあれ共通する。


復元呪詛編集

復元呪詛における「時間の逆行」とは比喩であり、普通の生物のように快復後により丈夫になることがないことを指しての表現。復元呪詛内に記録された情報に基づいて元通りに復元するため、極端な話として髪を切っても元通りに再生される。正確には過去への逆行と呼ぶべきものとなる。


死徒を死徒たらしめているのは「魂」であり、肉体を砕かれたとしても魂が無事で、かつ再生するためのエネルギーがあれば復元呪詛により再生できる。

逆に肉体は単体ではすぐに薄れて消えてしまう魂を繋ぎとめるための部品であり、肉体がどこまで破損しても魂を維持できるかが死徒にとっての「生命力」である。


吸血種を滅ぼすためには復元速度を上回るほどの規模の外的要因か、復元速度そのものを無効にする外的要因が必要となる。

概念武装が死徒に対して有効なのは、概念武装が復元呪詛を無効にする神秘の類であるため。また、魂を人間の頃のそれに戻す『浄化』を行うことでも、肉体を塵に還すことができる。


なお、復元呪詛と一括りにされてはいるものの、そのメカニズムは個体によって異なる。また真祖も復元呪詛を持つが、彼らの場合は魂が世界と同化しているため、無限に活力を汲み上げて肉体を再構成することが可能であり、まさしく不死身といえるものになっている。


超抜能力編集

全体的に超抜能力と呼ばれる人間を超越した能力を持つが、それは長大な寿命を活かして能力を磨き上げた結果である。彼らの力は「人間の延長線上」にあり、人間の寿命が数千年単位以上であったならば誰でも同等の能力が得られることになる。


その一方で、『月姫リメイク』では死徒の頂点であるⅨ階梯の祖が持つ能力は人間がどれほど長生きしようと獲得できないことをアルクェイドは否定せず、その解答として後述する原理血戒の説明を行うなど、同人版とは異なる扱いを受けた設定となっている。


ちなみに、超抜能力とは正確には死徒固有の能力のみを指す名称ではなく、その名の通り抜きん出た特殊能力を指す言葉として使用されている。例としてはクー・フーリン宝具刺し穿つ死棘の槍』、メリュジーヌスキル『レイ・ホライゾン』(水着版では『ブルー・ホライゾン』)等が該当する。


吸血編集

死徒のような後天的に吸血鬼になったモノは、もともとが人間だったため、不老不死の肉体というのは無理がある。

彼らの肉体を構成する遺伝子は、長生きすればするほど、力を付ければ付けるほど原子の増大に耐えられなくなる。力を増やし続けないと崩壊してしまうが、力をつけすぎると自己のカタチ、"秩序"を保てない。

それを補うために他から、自分のような異常な秩序ではない、正常な秩序を取り込んで、失われていく秩序を補完する。

人間が食事に有機化合物を好むのと同じで、吸血鬼は血液から、その正常な遺伝情報や熱量(カロリー)、言い換えるならば魂の熱量を採集する。


処女の血を吸う、というのは、まだ他の人間と体液の交換をしていない血液が、死徒の遺伝子を補うのに適しているため。通常の血液より栄養がある程度の違い。


霧化編集

二種類に分類される。

一つは高等な霧化である本当に粒子化するもの。自己を拡散させて現象になるという離れ業で、これを広範囲、かつ長期間できる死徒は数えるほどしかいないという。

もう一つは下等な霧化である分身を作りそれに意識を載せて活動するもの。用が済んだら分身を操る魔力をカットし、その際分身が塵になって霧散することから"霧になって消えた"ように見えるだけとのこと。


獣化編集

他の動物に変わるというのは、正確には破損した肉体を使い魔で補っている副産物である。

長い年月を生きた吸血鬼ほど、崩壊する肉体の保管は通常の生命では間に合わず、故に力のある獣を取り込みそれを肉体として使う。

必要な時はその獣を元に戻して使役するため、"狼になった"あるいは"狼を出した"ように見える。

死徒達は命のリペアとして旧い獣を一匹ぐらいは体に取り込んでいるが、あまり多く取り込むと吸血鬼の自我が獣と混濁してしまうという。

死徒の中でも複数の獣を使い魔にしている者は一人のみ


血液の物質化編集

MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』の死徒ノエルのセリフによると、吸血鬼(真祖も含まれるかは不明)の血はエーテルで出来ており、好きに物質化できるが、魂のカタチに縛られるという。


真祖との共通点編集

人間が変じた存在である死徒と受肉した精霊である真祖はその生態が大きく異なるが、死徒は真祖から派生した種であるためか、同じ吸血鬼として括られているように共通点も存在する。


以下の設定は、主にリメイク版の月姫において提示・描写されたものである。


魔眼編集

吸血種は魔眼を持つことが多いとされており、故に吸血鬼と相対する際には目線を合わせてはならず、顔を見るのではなく全体を俯瞰するのが基本であるとされる。これは吸血鬼たちにとっての魔眼は人間にとっての剣術のようなものであり、誰でも使えるような技法みたいなものであるためである。もっとも、その威力は(鍛えたとしても)術者の個体差・才能に左右されるらしい。


吸血鬼が持つのは魅惑の魔眼であり、これが基本にして最も強力である(吸血鬼という在り方において、それ以外の魔眼はあまり意味がない)とされる。基本的な用途は『ここで見たコトは忘れろ』といった洗脳・催眠術だが、稀に相手の脳に意志を叩きつけて、その思考を完全掌握する強力な魔眼を持つ個体もいる。

魅惑の魔眼は見た相手を魅惑するのではなく、吸血鬼の目を見てしまった相手を魅惑する。前述したように吸血鬼と目線を合わせてはならないとされるのは、このためである。


生体波長編集

吸血鬼達には生体波長と呼ばれるものがあるらしく、隠していなければ互いの居場所が筒抜けであるという。リメイク版の月姫においてアルクェイドは普段は隠している生体波長を解放することで自分が公園にいることを誇示し、ヴローヴ・アルハンゲリをおびき出すべく挑発した。一方のヴローヴは最初から波動を隠していなかったが、これはその気がないのか、単に出来ないのかは不明であるとされる。


空間支配編集

吸血鬼の中には“そう考えた”時点で因果を結び、感知する者もいるとされる。

『月姫リメイク』においてはロアがこの域に達しているかは定かではないが、アルクェイドであればその程度の空間支配は行うだろうとされ、故にシエルは奇襲を成立させる為に物音を立てないどころか自らの気配、匂い、体温、鼓動といった生体反応すら外界に漏らさず、さらに思考を封殺した上で自らに課した『命令』のみで動く自動人形となることで潜入を行った。


月齢による力の増加編集

吸血鬼はその能力限度を月齢によって変化させ、満月に近いほど力を増すとされる。例として満月の夜のロアは限りなく不死身に近い状態であり、第七聖典のないシエルでは殺しきる事すらできないかもしれない程に強力となる。


死徒への対抗手段編集

人間が死徒を倒すには、神秘による攻撃方法の中でも、聖堂教会が持つ対死徒の武装である『黒鍵』や『第七聖典』といった『概念武装』が特に有効であるとされる(理由は上記の『復元呪詛』の項を参照)。

例を挙げると、とある英霊は生前にとある死徒と戦い、『第八秘蹟会』に関するらしい『14の遺物』による炎の力で死徒を撃破した。


『strange Fake』では、ジェスター・カルトゥーレと『二十八人の怪物(クラン・カラティン)』の戦いを見ていたハンザ・セルバンテス「このレベルの死徒には聖別された専用の武器、魔眼や獣化の『特異点』持ち、あるいは純粋に高レベルの魔術師でも無い限り対処できない」と発言している。


人間が使う宝具についても、贋作宝具の製造者であるデュマによると「今の装備では『人の力』を押し上げるのに特化したカスタマイズであるため勝ち目がない」(要約)と発言しているため、対死徒・対吸血鬼の能力を持つ宝具であれば、死徒に有効なのではないかと推測されている。

余談になるが、同人版『月姫』では、シエルが死徒に有効なモノの一つとして退魔の宝具」というものを挙げていた。


また、個人差はあると思われるが、吸血鬼には個人携帯用の銃器では効果が薄いとされ、銃弾を見てから避けることが可能と言われている。そのため通常は面の攻撃でなければ掠りもしないが、シエルは点の攻撃であるハンドガンでも死徒のこめかみを撃ち抜くことが出来るとされ、本人の技量によっては当てる事も不可能ではないようだ。



屍食鬼(グール)編集

吸血鬼に血を吸われて死亡した人間が変転して生まれる、一種のゾンビ。

知性が失われ動きも緩慢だが、常人を上回る膂力と通常の武器では容易に倒れない生命力を有し、血肉を求めて普通の人間に襲い掛かり、襲われた者も死後復活してグールと化す。

また、親元の吸血鬼の指示に従う習性を持ち、彼らの手駒としても利用される。

死徒による被害が単体でも甚大なものとなりやすい主たる要因であり、周辺地域の住民が尽くグールと化して、魔術協会や聖堂教会による焦土作戦に至ることも少なくない。

ただし剣や銃程度ではなかなか死なないが、炎や退魔の力には非常に脆弱である。

リメイク版では第Ⅱ階梯『屍鬼』に位置付けられている。


階梯編集

吸血鬼として新生し、呪われていく時の深度を表わしたもの。

以下の9つに分類される。

階梯名称   備考
二十七祖。主の束縛から抜け出し、まったく違うものとして独立を勝ち取った古い死徒達。月から落ちた真紅の染み。決して他と相容れない世界を持った猛毒。Ⅵ階梯の死徒を生み出し、人間を"寿命”として摂取する長命者。死徒達の王にして頂点であり、現在に至る吸血鬼社会の構造を創ったとされる。存在規模は個体差があり、西暦以前から活動する者が『古参』、以後から活動を始めた者は『新参』と分類される。
後継者祖が自分の後継に認めた、真祖すらも寄せ付けない力ある吸血鬼。1人の祖に最低でも2人いる。祖の中には吸血鬼ではないものを見初めて、いきなりこの階梯まで引き上げてしまうものもいる。
死徒(上級)Ⅵ階梯のものが祖に認められ、更なる異能を与えられたもの。呼び名こそ同じだがその規模はⅥ階梯とは別物であり、この階梯になると居るだけで地域を汚染する毒となる。英霊召喚が可能な世界における二十七祖に該当する死徒の呼ばれ方(上級死徒)と名称が似通っているため、こちらの世界では最高位がここまでで頭打ちとなっているのだと推察される。
死徒(下級)完全に“吸血種”として自立。吸血・侵食によって子を作ることもできるが、成り上がり者の限界か、Ⅵ階梯以上の子は作れない。あえて言うのなら城塞。総耶に巣くう死徒もこの階梯とされる。
夜魔上級騎士。親基、あるいは個人に起因する異能あり。代行者が束になっても勝てない程の強さを誇る。
夜属下級騎士。日光を浴びると貧血になる程度。魔術世界において“ヒト”と呼べるのはここまで。なれるのは千人中一人の割合。この段階で既に代行者を圧倒するほどのレベルとなる。
不死生前ほどの思考能力はないものの、人間の生活を偽装できる。脳の再構成。上級兵士。
屍鬼グール。意思はあるものの、明確な思考はできない。兵士。
死者自立できず、親の命令通りに動く。下級兵士。ただ血を吸われただけのもの。

広義には、Ⅲ階梯目までは『活ける死体』、Ⅳ~Ⅴ階梯目が夜を生きる『夜属』、Ⅵ階梯目でひとつのコミュニティを形成できる『吸血鬼』とされる。

Ⅵ階梯の下級死徒までは親基である祖に絶対服従であり、いわば奴隷だが、上級死徒は祖に逆らえる自らの意思を獲得し、機会さえあれば祖を倒し、その呪いを受け継ぐことができる。ただし祖の生きた年月は膨大であり、存在規模が違いすぎるため実際に祖を倒すことはほぼ不可能である。


そのため、基本的に祖の後継を担うのはⅧ階梯『後継者』となる。

祖にとっての王子・王女にあたり最低でも50人以上、中にはアルクェイド・ブリュンスタッドと似た特性を持つように造られた者さえもいるかもしれないとされる彼らは、基本的な「蓄え」だけで言えばその全員がⅥ階梯からの成り上がりである二十七祖のひとり、ヴローヴ・アルハンゲリを上回っているとされる。


祖になるには“何年生きたか”は関係なく、祖を祖足らしめているのは血液の質である。魂に刻まれてしまった大本の戒め。それぞれ戴いた真理、渇きの根底となる世界観。その血を巡らせるだけで惑星の物理法則を塗り替える特異点は、原理血戒(イデアブラッド)』と呼ばれている。

この血を受け継いだ死徒はどんな階梯であろうと祖に成り上がるが、『原理血戒』を動かすには千年クラスの土台が必要であり、数百年活動した程度の死徒が継承したとしても、その呪いで潰されることとなる。

英霊召喚を可能とする世界では二十七祖が無い事から、逆説的に『原理血戒』が存在できないのではないかと考察されている。

またこの『原理血戒』の紹介文が、『冠位指定(グランドオーダー)』と対の関係になっているという考察もあるが、真偽は不明。


親である死徒は日中に動けないため、Ⅲ階梯より上の下僕が人間に擬態し、少しずつ他の人間を捕食する。捕食した人間の血肉は下僕たちの活動源にもなるが、その大半は主人である死徒に送られ、棺で眠ったまま力を蓄えて最終的にはそのコミュニティごと自分の血肉へと変える。

犠牲者が増えれば増えるほど親基の死徒は力を増していき、脅威になるという。


このような手段をとるのは、死徒がどれほどの超抜能力や存在規模を持とうと弱点が多く、単純に「弱い」ため。そのため彼らは表舞台に長居せず、脆弱だが弱点の少ない人間を使い魔とすることで、安全圏から血を集めるリスク回避を行っている。

基本的には聖堂教会などを恐れて一旦身を隠すが、力を蓄えた死徒は隠れる必要がなくなり、暴虐のかぎりを尽くす。こうなると代行者が派遣されようと後の祭りであるため人間が吸血鬼を排除したい場合は『事件が起きる前』に気づくしかなく、「吸血鬼事件」と呼ばれるものが起きた時点で大抵は手遅れである。


リメイク版『月姫』において初登場した用語だが、リメイク前でもアルクェイドが自身のについて説明する際、「今回は『第五階級』ぐらいにはなってる」という発言があり、名称は異なるが、リメイク前から存在していた要素であると思われる。

また、『Fate/Prototype』ではマスター『マスター階梯』が設定されている。

『FGO』ではレオナルド・ダ・ヴィンチが魂を示す霊的フォーマットである『魂の階梯』について度々語っている。


死徒一覧編集

死徒の祖たる死徒二十七祖については当該記事を参照。


月姫 リメイク・弓塚さつき

遠野志貴のクラスメイト。吸血鬼の襲撃を受けて死徒となる。通常、死者から死徒へ変化するには数ヶ月から数年かかるところを、僅か三日足らずで死徒になった。魔術師及び精霊に致命的な効果をもたらす固有結界枯渇庭園」を使用する。

MBACではネロを倒し、MBAAでは親元であるロアを打倒して代替わりに成功しているので、二十七祖候補の筆頭と言えなくもない。


Code ―barrel replica―

アトラス院次期院長候補の錬金術師。MELTY BLOOD本編の3年前、タタリ討伐に失敗したときに吸血される。タタリの特性から吸血衝動は薄く、変異してはいないが、その可能性は否定しきれない

『FGO世界』の彼女は吸血種ではあるが、吸血鬼・死徒ではない。


白レン3点セット

タタリの残滓がレンの使われていなかった部分を元に形を為したもの。慇懃無礼で饒舌、おまけにツンデレ。


無題

タタリの後継。


カリー・ド・マルシェ

「空柩のキルシュタイン」「カリー・ド・マルシェ

かつてシエルの身体を使っていた頃のロアの配下。ロアが滅んだ後シエルによって討伐されかかったが、諸々の事情で見逃される。シエルがカレー好きとなった原因。


  • ルヴァレ

湖の死徒。ノルウェイの霧に潜む、齢五百を超える吸血鬼。祖に準じる歴史を持つ古い死徒。親と娘と息子の三人。


夏莉の突然変異

衛宮切嗣の初恋の少女。アリマゴ島の住民。師である衛宮矩賢に追いつこうと死徒化の薬物を使用した結果、死徒になった。


偽りの聖杯戦争に参加したアサシンのマスター。多様な「顔」を持ち、死徒の他にも魔術師や子供、人狼の顔も持つ。自らが召喚したアサシンに、異様な執着をみせている。


闇の間

Fateシリーズにおける、人類の滅びに発狂せず、タタリと成り果てなかったズェピア。

『Fate世界』における最高位の上級死徒として、およそ500年アトラス院院長の座に立ち続けている。人類存続を模索しており、こちらでは第三魔法を追い求めている。


聖堂教会の代行者ノエルが死徒になった姿。阿良句博士の怪しげな注射によって死徒と化した。

自身の全盛期であったころの姿に若返っている。


  • ロズィーアン卿

死徒二十七祖十五位リタ・ロズィーアンの父。愛すべき娘達と共に死徒になったと言われている死徒。基本的に『親子』とは吸血鬼にした者とされた者を指す死徒社会において珍しい、血のつながりのある子を持つ人物。

フランス事変に娘たちとともに参加したステッキを持った紳士が彼なのではないかと当初は予想されていたが、後の作品での描写や開示された設定から、この人物がロズィーアン卿ではなく別の人物である可能性が浮上した。


  • ネモカタリナ

MELTY BLOOD: TYPE LUMINA Piece in Paradise』にて名前のみ登場した死徒。

ネコアルク曰く『超~~~~~ラクしてゲーム作りができて』しまう能力を持つらしく、自身の能力の一部をサンプリングした魔術をネコアルクに与えた。

名前の由来はメルブラの開発元である『フランスパン』代表のなりたのぶや氏とディレクターの芹沢鴨音氏の名字と名前を繋げて逆さ読みしたものと思われる。


余談編集

様々な作品において人類悪との関係を匂わせる描写が散見される。


Fate/strange Fake』においてギルガメッシュ真アーチャーの持つ、ネメアの獅子の毛皮から作られた裘を「恐らく元はウガルルムに似た何か」と並行世界でビーストⅡにナンバリングされたティアマトの子のひとつに例えて評し、「人の文明そのものを拒絶する特異点、時折そのような生物が現れる」と語っている。


そして当の持ち主である真アーチャーは自身の放った矢を防いだジェスター・カルトゥーレを『──恐らくは、星の産み落とした獣か何か……人型をした、ネメアの獅子か。』と毛皮の持ち主を意識しながら警戒し、その直後に贋作宝具による攻撃を毛皮に防がれた警官が「お前も死徒とか言う奴かこの野郎……!」と悪態をつく描写が存在する。


「星の産み落とした獣」や「ヒトに対して優位性を持つ」点は並行世界においてビーストⅣにナンバリングされた死徒二十七祖旧1位プライミッツ・マーダーにも共通するものがあるが、深読みすると彼も「人の文明そのものを拒絶する特異点」である可能性がある。

プライミッツ・マーダーは厳密には死徒ではないものの、人類の敵対者という点では死徒と共通しているあたり、近しい存在ではあるのかもしれない。


その他、リメイク版の月姫において死徒に分類される吸血鬼は、この星で『唯一、苦しめる為に命を消費できる生き物だから』という理由から人間、正確には人間的なものが大好きであるという、愛玩の獣と類似した嗜好を有していることがアルクェイド・ブリュンスタッドによって語られている。


さらに、愛玩の獣は自分の体内に固有結界を展開することで抑止力の修正から逃れていたが、これは規模こそ違えど死徒二十七祖の第10位であるネロ・カオス固有結界『獣王の巣』の展開方法と全く同じである。

同シナリオのエピローグでは彷徨海を出奔していない彼が登場したことから、この辺りは意図的な演出であると思われる。


上記にある『千里眼』では吸血種はぼやけて見える・よく分からないという設定も、オベロンが、本来は『クラス・ビースト』が持つ「人類が生み出すもの、人類に有利に働く法則、その全てに『待った』をかける力」であるスキル『対人理』により、その偽装能力のほぼ全てを対マーリンに振り分けたことでマーリンはオベロンを認識できず、『千里眼』でも見る事が出来ないという類似した描写がある。


また、4Gamerのインタビューにおいて、本来は『月姫リメイク』と『FGO』、そしてテレビアニメ版『Unlimited Blade Works』はシンクロするようにシナリオが書かれており、上手くいけば『Unlimited Blade Works』の劇中でギルガメッシュが「人類悪」というワードを口にした頃に『FGO』でのクライマックス、『月姫リメイク』におけるある言及が同時に進行する予定であったことが原作者の奈須きのこから明かされていた。


関連タグ編集

TYPE-MOON 月姫シリーズ Fateシリーズ

吸血種(TYPE-MOON) 吸血鬼


喰種鬼(鬼滅の刃)…似たような存在。

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