概要
様々な呼び名があり「腑海林」「思考林」「動き襲い捕食する森」、ドイツに出現した際には「シュバルツバルトの魔物」と呼ばれた。
略歴
直径50㎢に及ぶ吸血植物の森。数十年に一度、数日に渡って移動しながら無差別かつ大規模な吸血行為を行う。
暗い森の中心には大樹があり、そのアインナッシュの玉座には1つの真紅の実が成っている。これは活動休止前に作られる、何百、何千、何万というあらゆる動物の血を凝固させて作られたもので、仮初めの不老不死をもたらすと言われている。また、この実には真祖の吸血衝動を大きく抑える効果もあるとされる。この眉唾物の噂を聞きつけ森に侵入するものが後を絶たないが、たった50㎢程度とはいえ、中心点は常に移動し続けるため、3日や4日で突き止められるものではない。
その他、最古参の死徒である(とされる)アインナッシュを捕獲、もしくは交渉しようとする勢力は後を絶たず、結果として無差別に吸血され生きて帰るものはいない。
聖堂教会においてはある種の固有結界ではないかと考えられているが、人間の魔術師では数分、二十七祖に名を連ねる死徒でも数時間が限界の固有結界をどのように維持しているのか長らく不明だった。
その正体は、初代アインナッシュの血を吸って変化した吸血植物。初代アインナッシュは魔術師あがりの死徒であり、対象に『アインナッシュなどという死徒はいない』と意識させることで記憶を書き換える催眠術の使い手であったとされる。ほとんど記憶の改竄に近いものであり一度はアルクェイドすら追い返すほどだったが、2回目は『事柄を無意識にすることで思い出せなくする』魔術師の助けを借りられたことで無効化され、討伐された。
そしてそのあと、アルクェイドが死体を処理することを怠り放置したことで、倒された初代アインナッシュの血を偶然吸った植物(ガジュマルやジュボッコ、サクラのような木)が自ら動いて人を襲う幻想種に変化し、同種である他の植物も動く吸血植物に変化させて取り込んでいった結果形成された、新種の遊牧民のようなモノが現在の「2代目」アインナッシュである。
つまるところ、固有結界でもなんでもない。
リメイク版においては『実り』の原理を持つ祖とされ、本編開始時点でシエルによって討伐済み。
能力
森の全ての植物、枝の一本一本に至るまでが意志を持って獲物に襲い掛かる。
それら一つひとつは些細な攻撃であっても昼夜を問わず休む間もなく襲い掛かり物量を排除することは非常に困難。
大規模魔術等で広範囲を一気に殲滅するという手段をとろうにも森の中は大気すらアインナッシュの支配下にあり大気中のマナを用いた魔術は使用不可能となる。空気までもが毒に姿を変えて敵となるこの森では、頼れるのは己の体力のみであり、直径50キロの死徒化した植物の群れという物量に立ち向かわねばならない。
2つの村が壊滅した後に派遣された、シエルとともに踏み入った40人の猛者からなる部隊は一夜を越すことなく全滅。生き残っていたのはシエル、メレム・ソロモン、魔術協会屈指の風使いであるフォルテ、殺人貴のみ。
幻想に生きる存在であり、通常の概念では打倒不可能で根本的にどうすることもできないため聖堂教会も放置している。
休眠時に作られた実が地面に落ちると、新たに「アインナッシュの仔」が生まれる。
仔は独自の進化を辿り、一定期間活動した後は消滅する。普通は仔が親よりも長く生きるものだが、アインナッシュにおいては逆である。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』にてグレイ達が遭遇した仔は雪原の森という形状であった。 上空からヘリで接近しても容易に感知されて撃墜されるなど、上級死徒の仔に相応しい戦闘力を持つ。
親ほど強力では無いが仔の圏内に入れば魔術の使用に制限がかかってしまう。