曖昧さ回避
概要
曰く「魔術世界に伝わる怪談」「『伝承科』に区別される絶対の禁忌」「終わりの星」「極限の単独種」「膨張する太陽」「侵略生命体(インヴェーダー)」「星喰らい」。
正式名称は「One Radiance Thing(ワン・ラディアンス・シング)」。直訳すれば「輝ける唯一の存在」転じて「究極の一」という事だろう。それぞれの頭文字をとってORT(オルト)である。
西暦以前に地球外から飛来し、南米に落ちてきた宇宙生命体。墜落した時にできたクレーターを巣代わりに後述の固有結界を張り、眠っている。
月姫世界において無謀にも捕獲を試みた先代の死徒二十七祖第五位を秒殺。捕食した先代五位に代わって後任の五位になった。
Fate世界においては西暦以前に南米に飛来。近づくと誰であれ一瞬で殺される宇宙生命体がいるという噂に対し、十六世紀に7人の魔術師達が調査を敢行した。
この時に挑んだ7人は冠位1名と色位六名である(例えるなら同じ冠位の蒼崎橙子と、色位のケイネスが6人いるようなもの)。これ程のメンツだったからかキャンプ場はお祭りムードだったらしい。
だが結果は1人を除き壊滅し、その1人も逃げ帰るのが精一杯だった。
唯一生還した考古学科のロード・アステアも遺言を残した直後、目の前で水晶と化したという。その遺言の内容は「まだアレに触れてはならない。今紀の地球の生命は何一つ及ばない。次の紀を待て。我々が絶滅した後、新たな進化を経た生命に望みを託す」。
その後時計塔の学院長は、件の宇宙生命体を「ORT」と呼称。「手を出してはいけない脅威」という事を知らしめるべく、本来隠蔽すべきこれら情報を敢えて開帳した。内容はゴルドルフ曰く「ORTは星の叫喚がないかぎり目覚めない。南米の地下でいい感じで冬眠してる、なので手を出さないように。アレが動き出すと、この星の人類圏が失われる」
現在では貴族クラスの魔術師の間では実在するものとして知られており、一般の魔術師の間では「悪い事をするとORTがくる」と怪談話のように伝えられている模様。
生態
『Fate』や『月姫』等よりはるか未来の物語である『鋼の大地』に登場する、各星の最強生命体アリストテレス、水星(?)のアルテミット・ワンとされている。
しかしORTは本来来るべき時よりも五千年ほど早く地球にやってきてしまったらしく、さらに地球からの招集メッセージを受け取る個体ではなかったともされており、一部のファンには呼ばれてもいないのに来た挙げ句集合時間を盛大に間違えたドジっ子として扱われることもある。
…ただし、ORTの「星喰らい」としての性質が明かされた現在では、地球からすれば呼んでもないのに友達の集合時間より早く集合場所に来て居座ってる殺人鬼と言えなくもない。
アラヤが安定したFate世界では眠りにつき、ガイアが出現する月姫世界では蠢動するとされる。
目に映るもの全てを捕食するようで、自分以外のものは星を含めて全てただの餌としか思っていないらしい。
しかし先代五位が地球で食べた中で最も味が濃いらしかったり、食い出のありそうな獲物があるなら優先的に向かったり、接敵した対象も一部は捕食せず殺害or放置したりと、ある程度の嗜好性はある模様。
また、他の生命体を捕食すればその生命体に擬態して行動を真似る(後述)ことができ、明確な目的があるものを捕食した場合、そのオーダーを引き継ぐという特性がある。
マシュがカルデアのライブラリで見た記述では「現在魔術世界で確認されている最も強靭で最も不可解な生命体。硬く、柔らかく、熱く、冷たい外皮を持ち、体内では核融合反応によるエネルギー生成を行い、触れた物質を水晶に変換するという、巨大な蜘蛛型の宇宙生物。西暦三千年までの人類の技術では解析不可能と言わざるを得ない『人類の脅威』」と記載されていた。
『Fate/strange Fake』にてキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが「対応するには百年足りん」と発言しているので、百年後には人類でもORTを打破、あるいは抑え込むことができるだけの策が存在しているのかもしれない。
がこの内容は二部七章前のもので、その後の上記のマシュのセリフによって百年では対応出来ないと思われる(ただし、ゼルレッチは第二魔法による並行世界の運営が可能な為「百年後までに観測できる並行世界全ての技術を結集すれば対応する手段がある」という意味なのかもしれない)。
さもなくば対応とはあくまで人類滅亡を避けられる程度の意味合いで、星を捨てて逃げるとかそんなところかもしれない。
水星(?)のアルテミット・ワンと水星の読みに疑問符が付いていること、鋼の大地に登場する地球から呼ばれた最強種ではないという設定から名前の由来はオールトの雲(読み方を変えるとORTの蜘蛛となる)という説がある。
これが正しければこの生命体は水星のアルテミット・ワンではなく、彗星のアルテミット・ワンという可能性がある。
ちなみに「オールトの雲」とは太陽系の外側を取り巻くと考えられる理論上の太陽系外縁天体群の事。彗星もこのオールトの雲に属すると考えられている。
そして『Fate/Grand Order』2部5章でラスプーチンによりオールトの雲から飛来した存在であることが追及された。
しかしとある人物はORTの出自について「銀河系の果て」とも口にしているので彗星のアルテミットワンかどうかも怪しくなっている。結局正体不明である。
容姿
汎人類史の正統ORTと異聞帯のORT亜種が存在するようで、細かな形状や設定が異なる。
旧デザイン方が正統ORTで、新デザインの方がORT亜種であるようだ。
正統ORT
蜘蛛の容姿で背中に円盤の付いている、キャラクターマテリアル掲載時のORTである。
ORT亜種
眠っている時は円盤を背負った40メートルほどの蜘蛛のような姿をしているが、再起動すると100メートルにも巨大化した姿のビーストモードに変化する。空想樹を取り込んでいる影響か花びらのようなものが付着している。
後述のUFOモードになると、飛行が可能となる。
UFO状態の容姿は大型の金色の円盤(UFO)で、その下部に3つの円盤が付いている。正面には凹みがあり、そこに顔とおぼしきものがある。下部中央にある穴はある存在により心臓を抜かれた名残であり、本来は塞がっている模様。
宇宙航行時は八個ある小さな穴から蜘蛛足のような触手を出して移動するらしい。
デザイン担当はPFALZ氏。
PFALZ氏はFGO版のORT亜種だけでなく、過去に出版されたTYPE-MOONのマテリアル本でも汎人類史の正統ORTのデザインを担当した経歴がある。
なお、TYPE-MOONエースによると、当時氏が初めてデザインした際には、TYPE-MOONからは「蜘蛛型宇宙生命体」以外の指定は無かったらしい。
能力
『Fate/Grand Order』の第2部7章のネタバレ注意
地球上のルールが全て通用せず、死という概念もない。外殻はこの世の何より硬く、柔らかく、鋭く、冷たく、温かい。そのトンデモな体によりマントルの熱(5500℃)にも無傷で耐え、最低でもクレーターを起こすほどの墜落をしても問題ない程の耐久性がある。
攻性生命体として次元違いの強さを持ち、地球上において弱点は存在しないとされる。その力は地球そのものを破壊するだけの衝撃がなければ壊せない「カルデアス」を破壊できるほどであり、カルデアスを破壊する時に発生する衝撃の余波で地球そのものも4割は砕かれてしまうという。
また、他の固有結界とは一線を画す固有結界に類似した能力「侵食固有結界・水晶渓谷」を使う。これはORTがそこにいるだけで世界が彼(?)のいた環境に変わっていくという物理法則の改竄、異界秩序のだだ漏れである。
結界の展開速度はマイナス3.6秒速で時空そのものに干渉している上、侵食速度も極めて速く、FGOの2部7章では空想樹を取り込んだ影響で水晶にはならなかったが、ミクトラン全域の植物が一瞬で空想樹に置き換わる地獄に変貌した。
そのまま放置すれば星が水晶渓谷に覆われ崩壊する、故に「星喰らい」と呼ばれる。
さらに周囲には宇宙空間を飛び交う放射線である、有害な宇宙線(コズミック・レイ)を放射している。
『Fake』にて英霊には空気の薄さも宇宙からの放射線も関係ないと言われていたが、ORTが放つ宇宙線はサーヴァントや肉体としてはほぼ完成されているディノスでさえ死は免れない代物。
攻撃方法は巨大な爪や植物の根の様な金属質の糸をメインとする。ORTの体や糸に触れた対象は即座に侵食され、やがて捕食される。糸は硬く膨張・炸裂もする上に、この糸にも致死量の宇宙線を帯びている。
更に上部の円盤の発光と共に稲妻状の宇宙線を雨の如く降り注ぐ『コズミックレイ・バースト』と呼ばれる範囲攻撃も可能。
ちなみに上記の攻撃は再起動前の起動準備中の第1形態でも可能である(例えるなら寝ぼけながら攻撃しているようなものである)。
そして再起動後の第2形態になれば、
※自爆特攻等を行ってもHPが回復される。
- 「ダークマター・プランクトン」暗黒物質を泳ぐ未知の微生命体を使うことで相手のバフを奪う。
- 「エーテル・ドランカー」広域空間干渉スキルで空間内の魔力を奪う
- 「エルンスト・ユニオン」金属触手に宇宙線以外にも様々な状態異常を付与
以上に加えて、「アナライズ/デコード/ディセーブル」という凶悪なスキルを使う。これはある程度交戦した対象を解析して全ての強化状態の解除、封印を行って丸裸した上で、特攻を付与して確実に仕留めるという能力で、対粛清防御すら例外ではなく問答無用で剥がされる。
対粛清防御といえばTYPE-MOON史上最高クラスの守り(きのこ談)であるのだが、この能力にかかれば全くの無意味である。
※ただし、これはゲーム上の戦闘での話なので、設定上もそうであるかは不明。例えば、宝具に防御強化解除効果を持つケイローンも、ゲーム上では同様に対粛清防御だろうと剥がしてダメージを与えられる。
ならば強化解除耐性を付ければ安心かと思いきや、このスキルによる強化解除はそれすら貫通してしまう。
捕食した対象の性質を獲得する能力もあるらしく、月姫世界では原理血戒、Fate(FGO)の異聞帯の世界では空想樹の能力まで獲得している。
この能力獲得は捕食した対象の機能・記録・権能を一から十までラーニングする習性のようなもののようで、その力を学習するばかりか最適化してから再出力する一代進化まで達成してしまう。
上記の空想樹を取り込んだ結果、ミクトラン全域が水晶ではなく空想樹に置き換わっているのがその証左である。
ただし水晶にする能力自体は失われておらず、エリアマップ中のORTが歩いた場所とその周辺は全て水晶に置き換わっているのがわかる。
サーヴァントを捕食した場合、ORTの銀糸が高次元にまで伸びて英霊の座にある本体情報ごと持っていかれるため捕食されたサーヴァントは退去出来ず2度と召喚出来ない。
ORTにとっては人類史そのものですら捕食対象となるのだ。
※とはいえ、情報は消化できない為捕食されたサーヴァントは体内に「貴重な情報資源」として備蓄されるだけに留まる。なのでORTを討伐さえできれば、捕食された英霊達のデータは開放され、英霊の座も元の状態に戻る。
また、ORTはティアマトとは違う意味で死の概念を持たない存在である。
本来「生命体」は怪我や病気で臓器が機能不全を起こしても自身で修復したり他者から移植することで生きながらえることが出来るが、主要臓器である脳や心臓は機能不全に陥ると「死」となり、死した後に移植しても二度と動くことは無い。
だが「機械」は代替部品を取り替えれば、それが主要機器であっても再び動かせる。そしてORTは生物でありながらこの点は機械に近いのでどの臓器が破壊されても修復すれば再起動する。
いわば、爪が割れたのと心臓を砕かれたのがORTにとっては同レベルの「修復できるパーツの損傷に過ぎない」ということ。
これは全ての細胞が全ての機能を有しているためで、故に心臓や脳が無くても他のパーツ(手足等)がその代わりを補え、たとえ分断された場合でもそれらが独立して動けるのである。
そしてORTは、その修復を完全かつ自力で可能である。
たとえ死の概念を付与され再生能力を無効化されたとしても、失った細胞を「再生」ではなく「新造」、つまり新しく造り替えることよって更に強力なパーツへと生まれ変わらせることもできる。
ここまで・ここを失ったら死ぬ、ある程度のダメージを与えたら再生しない、何回殺せたら蘇らない、という境界線が存在しない為、ORTを滅ぼすには細胞1片残らず消滅させるだけの高威力、広範囲の攻撃以外に方法はない。
また、一見本体のように見える蜘蛛型部分は実は老廃物、角質から形成したある意味爪に近いものであり、たとえ破壊しても本体には一切のダメージを与えられない。
では本体はどこかと言うと、異聞帯に到達した亜種の場合は頭上の大型円盤である。
普段は角質層に覆われているこの円盤が露出すると上記の能力に加え、攻撃方法が触れた相手を侵食する金属触手(推定射程20km)へと変化し、更に以下の能力を解禁する。
- 「パラドックス・キャンセラー」デバフを付与されても高い自浄作用によってそれをバフに変換出来る。
- 「パラダイム・インフレーション」相手が攻撃強化系のバフを使用した際、解析し自身にも同じ効果を付与する。
以上のスキルに加え、更に
- より強力な宇宙線
- 超重力場
- 1万〜100万℃、またはそれ以上へとインフレし続ける内部温度(中心地点における最大温度は後述)
これらを常時周囲に放出しながら移動する。
その様はダ・ヴィンチちゃんが宇宙嵐(ギャラクティカスーパーセル)と呼ぶほどの規模を誇る。これにより最低でも2kmの距離を開けなければ、生命体は一瞬で蒸発するため近づくことすら出来ない。
作中ではこれに直撃した神霊エレシュキガルが一瞬で蒸発してしまった。
さらにこの宇宙嵐は防御にも転用でき、ストーム・ボーダーの人理定理・未来証明(ヒュームバレル・レイプルーフ)によるビーム攻撃を出力を上げた宇宙嵐により空間を歪めて回避した
さらにこの状態限定の宝具(に相当するチャージ攻撃)として本体下部に蜘蛛型形態にも似た触手を形成し、本体と触手の各部位からビームを掃射する、『ロスト・スーパーノヴァ』を使用する。ストーリー上では使用、言及されることはなく詳細不明だったが、設定資料において、ORTの内部中心温度をそのままビームとして放出していることが判明した。
言ってしまえば、この状態のORTは恒星そのもの。
現にORTの使用するスキルにPPチェイン・セブンエーテルというのがあるが、このPPチェインは恒星が行っている核融合反応である。
だが設定資料にてこの内部温度の最大値は何と1兆℃という恒星が霞む程の温度であることが判明(1兆度はブラックホールに落下するプラズマガスの発する温度とされている……『宇宙ギネスシリーズ【2】宇宙最大のエネルギー現象、福江純(大阪教育大学)』より)。
ORTはエネルギーの外側を1万度の薄い炎触手でコーティングすることにより当たった範囲にのみその熱を与えられるらしい。
上記の通り、過剰なまでの攻撃能力、生存能力を持つORTだが、恐るべきなのはこれだけ多彩かつ強力な能力のほぼ全てを心臓(メインエンジン)が無い状態で使っているということである。
そして霊基規模は上記の弱体状態ですら恒星級とビーストVI/Sの一等惑星級を遥かに超えている。(もっともU-オルガマリーも同章第15節「花の戦争」では三等惑星級の霊基から恒星級の霊基に出力が上昇している)
ストーリー上では今までの特異点、異聞帯の様々な脅威、様々な人物達と出会ってきた主人公をして正真正銘の怪物と言わしめた。
そんな生命体離れしたORTだが、これでも一応生命体なのか生存本能もまた引くほど高い。
曰く「ORTは生き残る方法があれば必ずそれを使う。選択肢があるうちは選び続ける機械のようなものらしい。」
ゴルドルフ「ええい! 既にこれだけメチャクチャやっておいて今さら生物ぶりおって!」
以上がFate/Grandorder2部7章で登場したORT亜種における大体のスペック(作中では一部能力が違っている)なのだが、シオン曰く異聞帯のORT亜種は汎人類史の個体よりも出力と破壊本能が劣っているとのこと。その亜種でさえ様々な弱体化を受けた上であの暴れ様なので依然底が見えない。
他にもある人物を取り込んだ影響で目的がカルデアスの破壊という命令に置き換わり、明確な殺意は向けてはおらず、恐らく目的地+心臓の回収ながら道端にいる餌をただ拾って食べているようなものだったと思われる。はらぺこあおむしかオメーは。
さらに後編のORTにはデバフが効いていたが前編で戦った「未来の前借り」におけるORTはデバフが一切効かない状態だった。
つまり完全体ORT亜種は分かる範囲だけでも上記の能力と体構造、デバフ無効を備える正にどうしようもない絶望と言えるだろう。
各作品での活躍
コハエースXP
概要に書かれている通りORTは設定のみの存在でメディア展開はなかった……だが『TYPE-MOON』10周年記念漫画にして公式が病気の塊、コハエースXPにおいて開かれた型月一武道会に登場してしまった。それも同じく『TYPE-MOON』最強と名高いキアラとタッグを組んで。
事実上、ORTが公式作品に登場するのはこれが初めてとなる。
それでいいのか『TYPE-MOON』。
きのこ真祖「知るか、こっちは「ダクソ2」のDLコンテンツで忙しいのよ!!」
当主「きのこ仕事しろ!!(伝統芸能)」
この他、忘年会に参加したり、Vita本体とホロウをカプさばをプレイするために買ったり、彼女に曖昧なノリでチートな方々と一緒に倒されてしまった。
なお今作ではプラカードを使って会話をしている。欄外だと丸括弧を付けてVitaが「(初期型じゃなかった)」と言っていたが、念話か心の声、あるいは普通に喋れるのかどうかは不明。
タイガーころしあむアッパー
藤村大河ルートでの某元祖ナマモノが言及している。アルテミット・ワンの力を得るためにORTに接触を試みるものの失敗、美しいクリスタルの彫像にされ掛け逃げ帰った事を語っている(真偽は不明)。
Fate/strange Fake
マスターの一人であるジェスター・カルトゥーレが聖杯を使いORTを起こそうとしている。
また、宝石翁が起きる可能性を示唆しており対応するには100年早いと述べている。
逆を言えば、後100年あれば対応可能(応戦可能とは言っていない)なのだろうか。
ただし、FGO二部7章のおよそ半年後、2023年7月に放送されたアニメ版において当該のセリフ(対応するには100年足りん)が省かれてしまった為、本当に100年後対応可能なのか現在ではやや怪しい。
Fate/Grand Order
第2部7章『黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン』の舞台はこいつが眠る南米であることから登場が有力視されていたが、異星の神は南米にて眠り続ける極限の単独種(アルテミット・ワン)たるこの生物の肉体を自分の体にしようと狙いを定めたことで登場することが確定した。
第2部後半OPムービーではORTと思われる巨体の影が南米の樹海を覆うように姿を現している。
シオン曰く「我々のレベルが50として、異星の神のレベルは1000なのに更にORTを吸収してレベル10000になりたいとかどれだけ心配性なんだ(意訳)」と、異星の神以上の存在であることが示唆されている。
そして『Fate/Grand Order』にて、2022年12月25日にリリースされた第2部7章前編でついに参戦。
前編の終盤にてテスカトリポカの力によって『起こるかもしれない未来の前借り』という形で一時的に顕現。
なんとその場で戦闘する事になる。
いざORTと対面した際真っ先に気になるのは見たことがない真っ白なHPゲージと言うほど高くない100万のHP、そして本来縦向きの正方形である余剰ゲージがフォーリナーのクラスマークの様な歪な形になった一つだけという点
嫌な予感を覚えつつ100万を削り切ると…
歪な星が九つの光球と成り爆ぜ、HPゲージの直下に装填され、体力は1000万に増加、素の体力と現体力、そして装填された九つ併せてHPゲージ11本持ち、というイかれた実態であった。
全ゲージの合計は総HP35億9225万というふざけた数値となっており、全滅or2ゲージ削ると強制終了する。
クラスはフォーリナー。
最初の100万HPゲージをブレイク後に常時弱体無効、攻撃力上昇、毎ターンゲージMAX(2ターンに1度チャージ攻撃)と攻撃面も過激になっていく。
さらに毎ターン全体攻撃を3回撃ってくる上、そこまでの頻度で出してこないがクリティカルはまともに食らえば等倍ですら約1万ダメージという既に宝具クラスの火力が飛んでくる。
そしてチャージ攻撃(技名は『コズミックレイ・バースト』)の威力は無敵や対粛正等のダメージ自体を無効化する等の対策を前もってしなければ耐える事は不可能な程高く、仮に凌いだとしても強化解除をされる上に高倍率のNP獲得量ダウンが付与され、こちらの防御をズタボロにしてくる。
また削り切られ戦闘不能になったサーヴァントが、通常の消滅演出ではなく緑色の結晶となり砕けた挙句ORTに吸収されるという意味深かつ不穏な演出も発生する。
宝具での未来の前借りによる先行上映会でしかない以上効果時間が切れ、元の時間軸に戻れば起きた出来事、受けた被害は全てが無かった事になるため、この時点ではその演出は文字通りただの演出である。
本格的な戦闘は未だ行われていない前編時点ではケルヌンノスやデメテルの様な『ギミック等の搦手への対策』に苦戦するタイプの強敵では無く『単純な火力と体力の多さ』に苦戦するタイプの強敵である。
物理最強の名は伊達ではない。
よく見るとORTのレベルはLv1となっている。これですら全力からは程遠いということか、それとも完成された生命体であるがゆえに成長する必要が無いということか。
何れにせよ、配信直前に公式でアナウンスされた「インフレの極致」をまざまざと見せ付けられることとなった。
………見せ付けられたのだが。
なんと実装から1年342日(707日)後の2024年12月1日、とある1人のマスターが全ゲージ完全破壊という偉業を達成するという前代未聞の事が起きた………。
クエスト開始日は2024年5月19日で終了日は2024年9月4日という約3ヶ月16日(108日)と長くそしてかかったターン数にしてなんと42963ターンという凄まじさである。
これには他のマスター達からも称賛の声が上がった。
ここにリアル勇者王が誕生した瞬間である。
この件を受けてか、同月9日にて公式から『一部エネミーを撃破、消滅させることが可能になっていた不具合を修正』がアナウンスされた。ORTを撃破すること自体が剪定事象になり、今後彼のように撃破することはできなくなった。
この勇敢な勇者王の活躍は永劫忘れられることはないだろう。
余談
『TYPE-MOONエースvol.15』内に収録されたORT設定資料集によると、『Character material』に掲載されているデザインの方こそが汎人類史にいる「正統のORT」であり、異聞帯に到達したORT亜種とは細部の形状や設定が異なるとされる。
そして汎人類史にいるORTの本体は背後に背負っている円盤ですらなく、なんと内部にある緑色の炎部分である。
これはデザインを担当したPFALZ氏曰く、キャラマテ時代にORTのデザインを依頼された時には「蜘蛛型宇宙生命体」という指定しかなく、他のアルテミット・ワンと並べて違和感のないデザインにしようと思っていたことが原因である。
他のアルテミット・ワンは「十字架」「天使」「黒いアリストテレス」と宗教的なモチーフが多かったため、ORTは最終的に内部の緑色の炎があふれ出て、地球半分ぐらいの蜘蛛の巣状の吸血円盤である「光輪」のアリストテレスになるということにし、銀ボディはそれにくっついているだけ、といった感覚でデザインしていたという。
『Fate/Grand Order』2部7章の後編は、2023年1月31日に配信予定となっているが、実はその翌日2023年2月1日、太陽系の端にある彗星の巣「オールトの雲」から5万年ぶりに「緑色の彗星」が最接近する事になっている。
第2部7章ミクトラン後編の配信直後という、まるで奇跡のような巡りあわせであり、まさに運命的な出来事となっている。
さらにこの2月1日は実はミクトランに登場したカマソッソの中の人繫がりの作品である勇者王ガオガイガーの第一話の放送日であり、これまた運命的と言える。
『Character material』2006年、70-71ページにて語られたキャラクターコンセプトはどうしようもない絶望。マテリアルによると『RPGで言うならラスボスより強い隠しボス』。
創造主曰く「つーかこんなのアルクでも勝てないよ! だ、誰かウルトラ〇ン連れてきてー!」
要は等身大ヒーローの超能力バトル作品にウルトラマンのような存在が出張る必要がある、という事。
『コハエースXP』では「ゾフィー兄さんなら何とかできるらしい」とも。
そもそもあちらは惑星や太陽系、宇宙そのものまでいとも容易く破壊してしまうスケールで「命の固形化」や「次元移動(マルチバース概念、並行同位体の出現)」といった型月世界における第2〜第3魔法が当たり前に行われる世界なのでそもそも比較にならない、というのが一般的であり設定のみの頃はネタ発言と思われていた。(そもそもゼットンの火球はORTの最大出力と同等の一兆度であり、ゼットンにとってはこれすら大した攻撃ではない)
だが上記の能力を見ればネタ発言ではなく本当にウルトラマン案件レベルである。なお、あちらの世界基準で考えるならば、近年の描写からウルトラマンやゾフィーなどといった我々に名の知られているウルトラ戦士でなくとも、宇宙警備隊隊員や防衛隊でも対応出来るのではないかと言われている。(上記のゼットンをロケット一発で粉砕しているため)
なお、この発言を意識してか2部7章に登場したキャラクター達はウルトラマンをオマージュしたらしき点が見受けられる。
ここから本編で見せた余りの宇宙怪獣ぶりに「ウルトラマンが欲しい」「たすけてウルトラマン」と叫んだ一部マスターもいるとかいないとか。
関連イラスト
汎人類史
亜種
関連タグ
TYPE-MOON 死徒二十七祖 プライミッツ・マーダー 月姫 FGO 鋼の大地
宇宙怪獣 究極生命体 不死身 コピー UFO どうあがいても絶望
関連キャラクター
殺生院キアラ:型月設定ぶっとびすぎ勢の1人で、コハエースXPでチームを組んだ相手。きのこ先生いわく、物理最強はORT、知性体相手ならキアラで終了とのこと。
セファール:同じく型月世界の宇宙生命体にして侵略者。ただしセファールは地表の文明を対象とした収穫活動であるのに対し、ORTは惑星そのものを捕食対象とする点が異なる。ドゥムジによれば、心臓を持たないORT亜種ですらセファール以上の脅威である(意訳)とのこと。
ゼットン:ウルトラマンシリーズに登場する怪獣であり、共に一兆度の火球(熱)を扱うことからも、おそらくオマージュ元だと思われる。
完全生命体イフ:ウルトラシリーズ最強と謳われる怪獣。ORTの見せた異常な適応力やしぶとさからコイツを連想した特撮ファンも多い。
なおこちらはORTと違い攻撃しなければ完全に無害なのでまだ有情である。
ラヴォス:RPG「クロノトリガー」「クロノクロス」のラスボスにして元凶と言える存在。宇宙から惑星に飛来して眠りに付き、眠りから覚めた後に地上に現れ惑星を死滅させるという生態を持ちORTとの共通点が何かと多い。ただしラヴォスは眠っている間に成長し、最後に子を産み落とす巨大寄生虫といった存在であり、単体で自己完結したORTとは結果的にもたらす被害はおよそ同じだが過程が異なる。
魔人ブウ:「ドラゴンボール」原作におけるラストボス。圧倒的な戦闘力で幾つもの惑星を滅ぼし、細胞が一片でも残っていれば完全再生が可能であり、焼却したところでその煙が寄せ集まって復活するため、無尽蔵である。強力な存在を吸収すればその力や異能を手に入れて更なる進化が見込める等、性能と生態で言えば非常に似通っている。しかも登場当初は封印状態であったところも同様であった。
ゴジラ:「ゴジラシリーズ」皆がよく知る、怪獣王ゴジラである。平成ゴジラからG細胞が登場しており、ORT同様、体内に核融合炉を持ち、前述の通り、G細胞により自己再生、自己増殖、自己進化を持つ。という共通点がある。
(リンク先、重大なネタバレにつき注意)