定義
古典的な意味では、夜空に輝く星のうち、天球上において特殊な動き方をする「惑星」に対し、常に天球上の同じ位置に留まって見える天体。
今日の定義では、軽水素による核融合によって自ら光と熱を発生し、それによって自らの重力による収縮と釣り合って自らの形を保っているガス体の天体。太陽もこの恒星の1つということになる。
以下のようなものは恒星には含まない。
恒星のタイプと進化
銀河系内の恒星は約2000億個あるが、数で言えば直径が太陽の半分未満、質量で100分の1に満たないような小さな恒星(赤色矮星)が大半を占める。一方で大きなものになると太陽の直径の1000倍、質量で100倍を超えるものもある。
- 原始星
- 核融合が開始する前のガス天体(まだ恒星ではない)。可視光線で輝いておらず、収縮するエネルギーで赤外線などを放っている。中心部の温度と圧力が高まりおおよそ1000万ケルビンを超えると核融合の火がついて収縮が止まり、星の重さによって次の4つのタイプのどれかに進化する。
- 青色巨星
- 主系列星
- 赤色矮星
- 太陽の半分以下の質量の原始星がこの星に進化する。表面温度が低く、赤く輝く。銀河系では最も多いタイプの恒星であり、太陽に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリもこのタイプだが、光量が太陽の1万8000分の1しかないので地球上から肉眼で見えない。寿命が非常に長く、計算上は数兆年以上も光を発し続けることができるので、現在の宇宙では寿命の尽きた赤色矮星は存在しないと考えられている。赤色矮星は放出エネルギーが少ないので非常に近い位置にある惑星でないと十分なエネルギーを受け取れないが、時折爆発的なフレアを起こす性質があるので、このタイプの惑星系での生命の発生可能性は低いとみられている。
- 褐色矮星
- 赤色巨星
- 主系列星が中心部の水素を使い果たし、外層で核融合が始まるとこの星に進化する。星の外層が膨張し星の表面温度が下がるため赤く見えるようになる。太陽の8倍程度より軽い星の場合は漸近巨星分枝星となり、重力の束縛の弱い外層部から徐々にガスが流出し、後に白色矮星が残る。太陽の8倍程度より重い星の場合は赤色超巨星となり、中心部でヘリウムから炭素や酸素などの重元素に次々と変換される核融合が起こり、最終的に中心で鉄の原子核が作られると核融合は停止し、中心部が収縮(重力崩壊)。反動で超新星爆発を起こして後に中性子星やブラックホールを残す。ベテルギウスがこの赤色超巨星で、(天文学的スケールで)近いうちに超新星爆発を起こすとみられている。赤色超巨星よりも更に大きい赤色極超巨星という恒星も存在するが、赤色超巨星よりも非常に数が少ない。