※ 『Fate/Grand Order』第1部7章『絶対魔獣戦線 バビロニア』に関わるネタバレがあります。
―――かないで―――
―――いかないで―――
―――れないで―――
―――はなれないで―――
―――わたしから、また―――
―――また、わたしをおいていかないで―――
かえってきて―――かえって―――
もういちど、わたしのもとに―――
もういちど―――もういちど―――
いえ―――いいえ―――
もうにどと―――もうにどと―――
わたし を あいさない で
プロフィール
真名 | ティアマト |
---|---|
クラス | ビーストⅡ |
性別 | 女性 |
身長 | 160cm~7400万km² ※ |
体重 | ??kg(測定不能) |
出典 | 古代メソポタミア神話 |
地域 | メソポタミア |
属性 | 混沌・悪・獣 |
設定担当 | 奈須きのこ |
ILLUST | 山中虎鉄 |
CV | 悠木碧 |
※ 身長の最大値の単位が「面積」のそれになっているが、仕様である。
黒い泥もティアマトの身長となる。ただし泥は虚数なので重さは計量できない。反面、体積は無限となる。要は四次元ポケット。
概要
『Fate/GrandOrder』第1部7章『絶対魔獣戦線バビロニア』に登場する神にして同章の最後の敵。同時に劇中初のビーストクラスである。
真名
メソポタミア神話における創世の神のひとり、『ティアマト』。
神々は真水であるアプスー、塩水であるティアマトから生み出された。
その後、子供である神々は原父アプスーに反旗を翻し世界の支配権を獲得するが、ティアマトは子供たちの行為を穏やかに容認した。夫への愛より子供たちへの愛が勝っていた証左である。
しかし、神々は母であるティアマトにさえ剣を向けた。ティアマトは嘆き、狂い、新しい子供として十一の魔獣を産みだし、神々と対決する。
戦いの末、ティアマトと十一の魔獣は敗れた。神々は彼女の死体を二つに裂き、天と地を造り、これを人界創世の儀式としたという。
創世後に切り捨てられた母胎。追放された母なる海。
生命を生み出す土壌として使われたが、地球の環境が落ち着き、生態系が確立された後に、不要なものとして追放された。並行世界でもなければ、一枚の敷物の下にある旧世界にでさえない、世界の裏側――生命のいない虚数世界に。
……生態系が確立した以上、ランダムに生命をデザインする彼女はもう要らない。生命体がこの星に準じた知性を獲得する行程においては最早邪魔者でしかなく、特に生命の系統樹を得た霊長類にとって、次の世界を生み出しかねない彼女は危険すぎた。
以後、ティアマトは虚数世界に永遠に封じ込められたが、それでも元の地球に戻るチャンスを待ち続けた。そして、ゲーティアの聖杯により復活した彼女はラフムをはじめとする新生命体をデザインし、現存の生命体である人類を一掃した後、新生命体達の母へと返り咲こうとする。
以上の本性を以って彼女のクラスは決定された。創世の神など偽りの名。
其は人間が置き去りにした、人類史に最も拒絶された大災害。母から離れ、楽園を去った罪から生まれた最も古い悪。
それこそが冠位クラス七騎を以てしか対抗できない人理を喰らう抑止の獣、原罪のⅡ・ビーストⅡ。七つの人類悪の一つ、『回帰』の理を持つ獣である。
人物
一人称は「わたし」。
大地を象徴する大角に、星の内海を映す瞳を持つ。
本来は生きとし生けるもの全てを愛する温和で母性に満ちた女神だったが、現在はビースト化の影響で精神が崩壊してしまい、知性や理性、さらには言葉まで完全に消失してしまい、本能の赴くままに世界を蹂躙する怪物と化してしまった(今までは人格があったかどうか不明な供述がされてきたが、後述のアーケード版の実装で元々人格があったことが判明した)。
「母」という存在を極めて単調化したシステムのようなものであり、ただ子供を産み、育て、愛でる事だけを存在意義としている。しかし、これを否定された為に人類との戦いに乗り出した。それは用済みとして捨てられた恨み・憎しみ・悲しみもあるが、もう一度地球の生態系を塗り替え、すべての母に返り咲く「喜び」に耽る行為でもある。
ただし、人類への憎しみ、母になる事への喜びの底には、一世代目の子供である人類への愛があり、深層意識では“仕方のない事”と受け入れている。その為、通常の状態では『自己封印』により自らを縛っている。
ビーストとなった時の行動原理は『人類を殺さないと自分が殺される』というもので、本能に従って人類を掃討する。
故に対話で理解し合うことは決してできず、死を以って鎮めるより他にない。
形態
ファム・ファタール
通常の霊基状態。ティアマトの頭脳体ともされ、この状態では自らの手足が封印されている為主動で動くことはできないが、水爆に匹敵する魔力を行使できる。
ゲーム上の戦闘では様々なデバフ効果をもたらす歌を謳う。声を上げた際にマシュが体を痺れさせているが、これが歌の効果なのかは不明。
ただ歌という手段を用いる関係上、この効果は取り巻きのラフム達にも及ぶという地味な欠陥があり、お互いに有効打を欠くことは避けられない。
霊基一覧ではこの状態が登録される。
手足の封印、主人公の夢を介した「もう二度と私を愛さないで」と言う台詞から察するに僅かに残った地母神としての理性で自身の獣性に抗っているのかもしれない。
恰好がかなり際どい。
下半身は最低限隠せる程度のものしか身につけておらず、上半身に至っては危ない箇所を腕で辛うじて隠しているだけである。
巨神状態
封印が解除された段階で、更に魔力量が跳ね上がり星間すら航行可能としている。自身の巨体を支えるほど足は発達しておらず『ケイオスタイド』と呼ばれる聖杯の泥と同質の黒泥を生み出しその上を移動することしかできない、と当初は思われていたが角から魔力によって翼を形成し飛ぶという芸当でこれを克服した。
巨竜状態
冥界に落とされ追い詰められたティアマトが自身の霊基をジュラ紀にまで回帰させた真の姿。
全長60m以上の非常に巨大な体躯となり、上記形態の面影を残した顔を持つ人面竜。その姿は恐ろしくも美しくもある。
冥界の刑罰を受けてもなお、逆に『ケイオスタイド』で冥界そのものを浸食し地上に脱出しようとするなど底無しとも思える力を持つが、これでもまだ一番弱い状態とされる。
冥界ではエレシュキガルの許可がなければ神性がマイナスに働き、弱いものはそのままだが、強いものは弱くなるという、神々を無力化するシステムにより大幅に弱体化している為と思われる。地上に戻るのを許せば1日もせずにウルクどころか地球すべてが黒泥に覆われ破滅することとなる。
ティアマト十一の子供
ティアマトが自らの権能で作り出した眷属達。
- 双貌の獣 ラフム
ティアマトの子供の代表的な存在で、みんなのトラウマ。
詳細はラフムを参照。
- 知恵者 ギルタブリル
魔獣達の司令官。容姿は不明。
本編前に巴御前と相打ちになって死亡している。
- 竜獣 バシュム
ヒュドラ以上の毒を持つ前脚を持った大毒蛇。
本作に先んじて『Apocrypha』ではセミラミスによって空中庭園内部に召喚された。
敵として戦う方はドラゴンの色違いの個体として登場し、体色は青で裏側は黄色。
- 7つの頭の蛇たち ムシュマッヘ
棘だらけのヒトデのような姿をした魔獣。
バトルでは海魔の色違いの個体として登場する。
- 水蛇 ウシュムガル
バトルではソウルイーターの色違いの個体として登場する。
体色は赤で、前脚に炎を纏っているという、水蛇とは全くかけ離れている姿。
- バビロンの竜 ムシュフシュ
伝承ではティアマト討伐後にマルドゥクの随獣になったとされるが、『FGO』では全編を通して人間の敵である。外観は頭部と一体化した剣のような巨大な角に、蠍の尾を持つ。
容姿は後にイベントに登場するバジリスク、ロシア異聞帯に生息するクリチャーチ、太平洋異聞体に生息するピュートーンに流用された。
体色はバジリスクが暗い赤色で、ピュートーンは黒。クリチャーチは白色だが、雪上迷彩を思わせる模様が入っているのが特徴。
- 獅子 ウガル
外観はウリディンムに似ているが、体躯が一回り大きく、鬣が生えている。
容姿は後にイベントに登場するマンティコア、北欧異聞帯に生息するイースガルムに流用された。
イースガルムは「氷の魔獣」と呼ばれており、体色は水色で、氷のような質感の身体になっているのが特徴。後述するイースウルヴルも同様。
- 獅子犬 ウリディンム
赤褐色のライオンのような姿をした魔獣。
グラフィックは後に北欧異聞帯に生息するイースウルヴルに流用された。
- 悪霊 ウム・ダブルチュ、魚人 クルール、人牛 クサリク
名称だけ言及された魔獣であり、現時点ではいずれも詳細不明。
能力
創世神(大地母神)らしく、物理的にも神話的にも欠点のない完璧なる存在。
あまりの隙の無さから、Dr.ロマンの分析結果に対してあの英雄王が「ええい貴様ティアマトの太鼓持ちか!」と思わず八つ当たり気味に怒鳴ってしまうレベルである。
その絶大な力はサーヴァント達はおろか後世の神々すら霞むほどで、封印状態のファム・ファタール時でも保有する魔力量は七つ分の聖杯を上回る超々々級魔力炉心と比較することさえままならない。この時点で水爆に匹敵する魔力の行使を可能とし、ペルシア湾に居ながらにしてウルクを吹き飛ばすことが出来ると言われている。
体内には膨大な生命原種が貯蔵されており、あらゆる生命をほぼ無尽蔵に生み出すことができる。作中では眠りから覚めた途端、黒泥・ケイオスタイドから1億を超えるラフムを生み出しており、中でも強力なのがティアマト直属の11体のベル・ラフムで、魔神柱すら上回る魔力を持っている。
自己改造、個体増殖、生体融合と様々な権能を持つが、何より強力なのが「塩基契約(アミノギアス)」。ティアマトの発生させる黒泥に触れた生命体を侵食し、細胞クラスでの意思束縛が結ばれ、強制的に自身の眷属としてしまう。牛若丸が眷属にされてしまった時は、個体増殖によって髪の一筋でもあればそこから新しい牛若丸が無数に増殖するようになっていた。仮に一瞬で霊基を蒸発させたとしても、ティアマトの生命の海そのものに牛若丸の霊基反応が混ざっているため、完全に消滅させることは出来ない。この海を焼き消せる宝具があるとしたら、この時代の魔力すべてを集めた宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの』のみが、ティアマトの海と拮抗するとされている。
また、黒泥は生命体でなくとも侵食すること自体は可能であり、冥界そのものを侵食して乗っ取ることで、冥界全体の出力を低下させていくといったこともしている。
そして拘束が解かれた時、保有魔力量は星間航行すら可能にするケタ違いのものにまで上昇し、まさに移動する生体工場とも呼ぶべき正体を顕す。生命を生み出す原初の海そのものにして、惑星規模で既存の生態系を駆逐し新たなものに書き換えるという一種の生体テラフォーミングシステム、人類があと数百年かかって到達する神の箱舟、それがティアマト神の実体である。
指向性をともなってペルシア湾からウルクにまで到達する程のケイオスタイドの大波を起こし、防ぐために展開されたナピュシテムの牙を一撃で半壊させたほか、遠距離から相手側の急所を魔力投射でピンポイントに狙撃しており、小技も備えている。
ケツァル・コアトルの『太陽暦石』による太陽風で一時的に地上にある周囲の黒泥を蒸発させることは出来てもティアマト自身は傷付かない上に、『炎、神をも灼き尽くせ』を受けても僅かに後退しただけで何の損傷もなく(アニメ版では角に亀裂を入れた)、ゴルゴーンの『強制封印・万魔神殿』でやっと右角が崩壊するという規格外の強度を持つが、竜体になればランクA++の攻撃すら無効化する。
しかし、あらゆる生命を生み出すことができると言っても、ティアマトの行動原理は「生命を生み、育て、愛でること」自体にあり、生み出される生命のデザインはあくまでもランダム。
要するに自分から生まれた生命ならばどんな存在でも構わないわけで、それが地球環境に適合して種として定着・存続できるか否かは、彼女にとっては重要ではない(今の地球上に生息する生物は、かつてティアマトが適当にデザインして産んだ数多の生命の内、たまたま地球に適合して進化してきたものと言える)。
いかなる姿形・性質を持った子供が生まれようと、彼らが自分の傍にいる限り、ティアマトは彼らを等しく自分なりに愛でようとするだろう。
「子を生み、愛する」という母親にとって当たり前のことを(世界を滅ぼしてでも)取り戻したいという切なる願いこそが、ティアマトをビーストⅡたらしめる獣性であり、この無頓着なまでの大いなる母性愛もまた、その獣性の一側面である。
ティアマトの特性において最も特筆すべきは、ティアマトは存在全てが生命の源そのものであるため、『死』という概念を持たないことである。
何よりもティアマトが全生命の母である以上、「地球上に生きている生命体がいる」という事実自体が逆説的に彼女の存在を証明してしまう。
そのため通常の手段では撃破できたとしても、逆説的復元により滅びる事がない。
つまり、単なる力押しで彼女を「殺す」には、それこそ人類を含めた地球上のあらゆる生物を死滅させなければならず、人類のみの力で倒すことは事実上不可能と言っていい。
もしもティアマトを滅ぼす手段があるとするならば、生命が全く存在しない世界に送り込んでから殺しにかかるか、死の概念を持たぬものすら殺せる存在を連れてくる他無い。
モーション中では、口から瘴気を吐き出したり、ケイオスタイドの大波を起こしたり、全方位からビームで集中砲火したり、目を光らせて頭上から光線を落としたりする。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
なし | A+ | EX | C | A++ | EX | − |
保有スキル
獣の権能(A) | 『対人類』とも呼ばれるスキル。英霊、神霊、なんであろうと“母体”から生まれたものに対して特効性能を発揮する。これはビーストII本体だけでなく、彼女から生まれた魔獣すべてに付与される。 |
---|---|
単独顕現(B) | 単体で現世に現れるスキル。一度顕現してしまえば七日に渡りインド洋を塗り替える。顕現してからは休む事なく魔獣たちを生み出し、人類を食い尽くす。反面、ビーストⅡ本体は海そのものなので陸地にあがる事はできない。人類掃討は子供である魔獣たちの仕事となる。また、このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。 |
生命の海(EX) | ビーストⅡは生命を生み出す海そのものである。地球創世記の真エーテルを循環させている為、この海の中では魔力は無限に供給される。黒泥に囚われ、海中に沈んだ者は自己改造、生態変化、生態融合、個体増殖といったスキルがランダムに付加される。海から地上に出る際にはビーストⅡと細胞クラスでのギアス……塩基契約(アミノギアス)しなければならず、自動的に人類の敵になってしまう。 |
怪力(A++) | 超怪力とも。魔物としての能力。自身の筋力を向上させる。ほぼ最上級のもの。黒泥を体とし、竜体として現れたティアマトの筋力は巨人のそれである。※1 |
自己封印(C+++) | ビーストⅡを縛る自傷の縄。人類の集合無意識から「もういらない」と追放されたことを嘆き、憎む彼女だが、深層意識では「それも仕方のないこと」と受け入れている。その根源が『母』である彼女は最後の最後で人類の庇護に回りたい、という欲望を持っている。このスキルはそれがカタチとなったもので、彼女は常に自身を封印している。その痛みは全体HPの半分を毎ターン受けているに等しい。稀に取り乱して海から出ようとすると、封印は瞬間ダメージを90%まで高めてこれを戒める。+++が付いているのはその為だ。 |
ネガ・ジェネシス(A) | ビーストⅥが持つ『ネガ・メサイヤ』と同類のスキル。現在の進化論、地球創世の予測をことごとく覆す概念結界。これをおびたビーストⅡは、正しい人類史から生まれたサーヴァントたちの宝具を無効化してしまう。具体的に言うと「人」と「星」のカテゴリサーヴァントの宝具に対してバリアがつく。※2 |
自己改造(EX) | 黒い生命の海を用いて自分の霊基を作り替える。通常の霊基状態(ファム・ファタール)から、全長60メートルを超す竜体に成長する。竜体になったティアマトはランクA++以下の攻撃を無効化する。 |
仔よ、創世の理に従え | 『Grand Order』本編でゲージMAX時に放つスキル。マテリアル本にも記載が無く、詳細は不明。効果は「敵全体に攻撃&敵全体に強化無効状態を付与」 |
※1『Material Ⅷ』のキングプロテアの解説では「現時点で『怪力:EX』を持つサーヴァントはティアマトとキングプロテアの二騎のみ」となっている。
※2 アニメ版ではこの概念結界を更に周囲に展開することによって、「旧来の生命を否定し、新たな命を生み出そうとする空間」である為、サーヴァントでは入った瞬間に消滅し、入れるのは生者のみという特性が加えられていた。
宝具
人類悪としてサーヴァントの域に収まらない存在となったティアマトは宝具を持たない。あえて言うならば、中心にある頭脳体が宝具と言えない事もない。
ゲーム上では『仔よ、創世の理に従え』と名がつくチャージ攻撃を放ってくるが、これが別の状態でなら得うる宝具の真名なのかは不明。
本編でゲージMAX時に放つチャージ攻撃。マテリアル本にも記載が無く、詳細は不明。
モーションは敵を噛み潰し、口内で赤い光を炸裂させる。
効果は「敵全体に攻撃&敵全体に強化無効状態を付与」。
ルビは不明だが、サーヴァント化した際の宝具と同じく『ナンム・ドゥルアンキ』だと思しい。
活躍
Fate/Grand Order
※ ここから先は『Fate/Grand Order』第1部7章に関わる重大なネタバレがあります。
魔術王ソロモンにより虚数世界から地球に引き戻される。
聖杯をエルキドゥの遺体に埋めキングゥとして再生し、自身を触媒にケツァル・コアトル、ジャガーマン、ゴルゴーンを召喚したが、自身の本体はペルシア湾でマーリンによって眠らされる。
眠ったまま、キングゥが捕獲し生命の海に放り込んだ牛若丸を取り込んで先兵に改造している内に、自らの代理として感覚を共有していた複合神性ゴルゴーンが倒された事で、その死を利用してついに目覚める。
夢の中に居るサーヴァント・マーリンの本体を抹殺すると、海を浸蝕して黒泥・ケイオスタイドに変え、そこから大量のラフムを放出。彼らに「旧人類の行動を学習しろ」「旧人類を殺害しろ」と命じ、キングゥから回収された聖杯を使って完全復活を成し遂げ、ウルクへ侵攻を開始する。
途中のケツァル・コアトルや復活したゴルゴーンの足止めによって角翼を折られて飛翔を封じられても物ともせず、ウルクを黒泥で埋めつくすも、自分の意思で行動したキングゥの『人よ、神を繋ぎとめよう』によって一時的に拘束され、そこをイシュタルによってウルクごと撃ち抜かれ冥界に落とされる。
創世神としての権能で冥界の刑罰を恐れず、冥界を浸食しながら飛び出そうとするが、アヴァロンから再び現れたマーリンによりケイオスタイドの権能を阻害される。
続いて、人知れず特異点にやってきていた初代・山の翁により角翼を切断されると同時に死の概念まで付加され、そのまま神の霊格も強制的に一般サーヴァントの霊基に降格。
さらに"一切の慢心を捨て、クラスをキャスターからアーチャーに戻した"全盛期のギルガメッシュも加勢し、彼らの猛攻を受けたことでついに力尽き冥界の底へと落下して大爆散。人類悪となった原初の女神はついに討滅され完全に消滅した。
ティアマトによって引き起こされた災厄は、それまでの特異点はおろか『TYPE-MOON』シリーズ全体から見ても屈指の深刻さであった。彼女が生み出す黒泥とラフムによってメソポタミア世界の人口は瞬く間に減少し、文字通り人類滅亡の危機に瀕した。
彼女が登場してからのストーリー展開の絶望感は筆舌に尽くし難いものと言え、討ち滅ぼされて人理定礎が復元された後も、ウルク第一王朝とそこに住まう命の衰亡という運命そのものはついに変わらなかった事もあり、多くのプレイヤーの心はガンガンへし折られていった。
アニメ版
最終決戦の展開に大幅な改変が加えられており、ギルガメッシュの参戦後、ティアマトは概念結界であるネガ・ジェネシスを展開し、まさかの篭城戦を選択。
「旧来の生命を否定し、新たな命を生み出そうとする空間」であるが故に、サーヴァントであれば入った瞬間に強制消滅、入れるのは生者のみという特性が加えられ、さらに凶悪な力となっている。なお、生者でもあり新人類でもあるラフムが巻き込まれた際に消滅した理由は明らかにされていない。
それに対し、エレシュキガルが『霊峰踏抱く冥府の鞴』でティアマトを一時的に封印し時間を稼ぎ、その間に「この場でネガ・ジェネシス内に入れる藤丸が止めを刺す」という作戦を立てる。
マシュが『今は遥か理想の城』でネガ・ジェネシスの拡大を食い止め、マーリンが『永久に閉ざされた理想郷』でティアマトまでの道を作り、ネガ・ジェネシス内で生まれたラフムたちを戦闘続行スキルで無理矢理内部まで入ってきた山の翁が殲滅。
フォウの転移能力もフル活用し、藤丸はティアマトの額にギルガメッシュから下賜された短剣を突き立てることに成功する。
そのダメージによってネガ・ジェネシスが解除された隙にギルガメッシュが正真正銘、全身全霊の『天地乖離す開闢の星』を放ち、遂にティアマトは跡形もなく消滅した。
なお、藤丸が短剣を突き立てた直後、ティアマトの本体であるファム・ファタールと藤丸が心象風景を思わせる白い空間で会話している。自らの愛は間違っているのかと問いかけるティアマトに対し、藤丸は刃を捨て、「分からない。けど、貴女の子は皆貴女を愛している」と返答。ティアマトは一筋の涙を溢し、「私を置いて……いかないで……」、「もう二度と……私を愛さないで……」という言葉を呟いた。藤丸は彼女に別れを告げて現実世界に戻った。
Fate/Grand Order Arcade
力と資格を失った後、敵であるカルデアに意趣返しで加担するビーストが次々と現れるようになったが、最初の彼女だけは元が強大すぎた為か、長らく伏線の片鱗すら挙がる事はなかった。
しかしアプリ版と明確に分岐したこちらにて、まさかの幼体化したアルターエゴとして遂に実装を果たした。
詳細はラーヴァ/ティアマトを参照。
そして、2023年。
新たなカルデアが七つの異聞帯を切除し、最後の地への試練に挑む最中、ついにアプリ版においてのArcadeコラボイベントとしてラーヴァ/ティアマトの実装が決定した。
関連人物
生前
甘い水(淡水)の名を冠する、ティアマトの伴侶である神。
ティアマトが天命の書板と軍勢を与えた第二の夫。
後述するキングゥはこの名が元となっている。
ティアマトを死に追いやった英雄。
『Grand Order』では「マルドゥークの斧」というキーアイテム名として登場。
彼女の子供にあたる神々。"神"としてのティアマト神についてはアヌ神から聞き及んでいたが、地の女神でありながら飛翔するなど、"獣"のティアマトが繰り出す能力を前に驚きを隠せなかった。これが生前持ちえなかったのか、『自己改造』で自ら生み出した能力なのかは詳細不明。
Fate/Grand Order
カルデアのマスター・人理の救済者として、神々すら絶望する存在と対峙する事になった一般人。
彼/彼女も抹殺すべき70億の一人にすぎないが、第1部7章プロローグでは夢を通じて干渉し、上記の台詞を残している。
アニメ版ではネガ・ジェネシスを破るために疾走し、その果てにたどり着いた頭脳体が鎮座する心象風景にて「私の愛は間違っているのでしょうか?」と問いかけている。その真意は……?
自らを虚数空間から引き揚げた黒幕。
グランドサーヴァントの一人だが、これは本来なら彼女を退治する側の存在であるはずだった。
また、『ファム・ファタール』は彼が贈った名であり、彼女の核を見抜いている。
冥界に安置されていたエルキドゥの遺体に魔術王が聖杯を心臓として組み込んで設置したことで、そこに新たな命が宿り生み出された仔。マシュ曰く合成魔獣。
自身のために精一杯働いていたが、その実は自身の復活のための駒に過ぎず、復活のためにラフムを使って心臓となっていた聖杯を奪い取った。
だが最終的にはその行いと、ラフムという「人類の悪性だけが凝縮され形を成したようなバケモノ」の存在に絶望し、そしてさらに賢王ギルガメッシュから贈られた激励とウルクの大杯により先代と同様に「天の鎖」としての矜持を見出した彼によって、一時間という短くも痛恨の足止めをさせられ、自身の敗北が急速に早まった。
ゲーム本編では夢の中以外では歌声しか発さない彼女が唯一喋った言葉はキングゥの名前のみ。
キングプロテアは地母神のハイサーヴァントであり、当然その中にはティアマトも含まれている。
また、後にプロテアが『CCC』復刻コラボイベントで参戦した際には「再臨を重ねていくとティアマトの角とよく似た角が生える」というティアマトとの強い関連性を感じる変化を起こす。
一説では「キングプロテアはティアマトの代理も兼ねているのではないか?」ともいわれている。
余談だが、PU召喚はストーリー進行度に関わりなく挑戦可能なので、バビロニアクリア前であれば「対ティアマト戦でキングプロテアをぶつける」という事実上の「ティアマト対決」も可能。
『ちびちゅき!』では、巨女属性のポール・バニヤンや巨神アルテラらと共演し、特にキングプロテアとは親子の様に仲が良い関係を築いている。
余談
企画段階では彼女がレイドイベントのボスとして登場する予定だったらしく、海の擬人化で、混沌の海に溶ける絶世の美女として描かれ、強力な魔獣を生み続けるジェネレーターとしての役割だったらしい。
また、山中虎鉄氏も「最終形態は元々はマップに存在する構築物としてデザインしていた」らしく、実際に行われたレイドイベントの様子から考えるに、何かが違っていれば、12時間程で200万回以上ぶん殴られ、ひたすら素材を剥ぎ取られ続けるという超カオスな状況が起こっていたのかもしれない……
また、作中におけるビーストの初お目見えということもあり、企画当初から「怪獣もの」としての登場が想定されていたのだが彼女がここまで巨大になったのは奈須きのこがシナリオ執筆中に観たシン・ゴジラの影響が大きい。
後にモンスターバースシリーズでは、ティアマトの名を冠する怪獣が登場し、ゴジラと死闘を繰り広げている。
なお、彼女の子供達である怪物は舞台版では人形ではなく、複数人の役者が獅子舞を思わせる方法で演じており、原作の人間を怪物に転生させていた描写を見事に再現している。尤もこの方法で子供たちを生成していたのはゴルゴーンの方であるが。
創世の神とは言っても、おそらくは原典の神話とは異なり、地球の誕生以後に生まれた神だと推測される。
つまり、彼女の体から大地を作り出したと言う下りは恐らく「地表にテクスチャを貼った」という表現に同じだと思われる。
同じく創世に関係した乖離剣エアの出自などから推測するに、時期的にはギルガメッシュの時代はおろか、超古代ギリシャ文明が存在するよりも遥か昔の話だと推測される(超古代ギリシャ時点ではメソポタミア神話の神々は既に存在しており、巨神に命乞いをして生き残り、ギルガメッシュ叙事詩の時代へと続いていく)。
アニプレックスプラスにより人類悪権現Tシャツなるものが作られたが、それをティアマトに着せた絵もある。
オリジナルサーヴァントとして描かれる場合は魔術師のクラスであることが多い。
関連イラスト
ファム・ファタール
巨神形態
巨竜形態
関連タグ
Fate/GrandOrder サーヴァント ビースト(Fate)
間桐桜(黒桜):ティアマトのデザインコンセプトは「桜系ヒロインの究極形」である(桜の派生キャラの1人であるBBは地母神を取り込んだと言われておりティアマトに桜系ヒロインの設定が逆輸入されたと思われる)。
ネロ・カオス:彼女のケイオスタイドにネロ・カオスの「創生の土」との類似点を指摘するものがいる。
アルティメットまどか:声を演じた悠木と同じく神化した存在。また、同時期にアニメ化されたアプリゲームでは出番がない(本来の姿は出たが、後ろ姿のみ)ため一種の皮肉要員と思われている。
以下『FGO』第2部ネタバレ
Aチームとの相性
第2部開始以降マスターの間で「もしレフの工作が無く、当初の予定通りAチームが人理修復の旅に出ていたら人理修復は出来ていたのだろうか?」という話題が度々あがるのだが、その中で最大の障害とされるのが彼女である。
第2部のシナリオが進みAチームのメンバーはバケモノ揃いであることが徐々に明かされてきたこともあってキャメロットまでは定礎復元が十分に可能だろうと推測されているのだが彼女を打倒可能かどうかという点では答えが出ない、というのが実情である。
実際には、ティアマトを力押しでねじ伏せられる可能性がある候補はいるにはいるのだが、「ただ打倒すれば良い」という訳ではなく、「打倒しつつ、なおかつ人理に損傷を与えない方法」でなければならない。単純なゴリ押しではたとえ打倒できてもその過程で人理が完全破綻しかねないというリスクが伴うため、現段階では打倒可能なのか、仮に打倒できるとしても人理破綻を起こさずに成し遂げられるかと言えば未だに情報が不足しているために答えが出せないでいた。
が、主人公と同条件で人理修復を成し遂げる可能性があるのはキリシュタリア・ヴォーダイムとデイビット・ゼム・ヴォイドの2名のみであることが菌糸類より語られている。
更に余談だが、同氏によればキリシュタリアとデイビットは人理修復を成し遂げる器の持ち主ではあるものの、デイビットは人理修復後に詰む状況に陥り第2部の脅威に耐えられずに終わり、キリシュタリアならばその脅威にも何とか耐えられるかもしれないが、そもそも彼はクリプターなのでその時点で勝てないことが決まっているので、半分のクリアが限界とのことであった(半分の定義にもよるが後年の同氏の発言通り大西洋異聞帯までが前半だとすれば、彼女との関係性において境遇の違いから問題が発生する可能性がある)。
カドック・ゼムルプスについては、「ワンチャンあるかな……いやないわ」とのことであり、彼に人理修復は荷が勝ちすぎているという(仮に異聞帯のアナスタシアがパートナーになって彼女が頑張ればなんとかなるかもしれないが、クリプターになる前のカドックが彼女を呼べる可能性はないようであり、仮に良いところまで行けても運命力が少し足りないらしい)。
残る4人(オフェリア・ファムルソローネ、スカンジナビア・ペペロンチーノ、芥ヒナコ、ベリル・ガット)はそれぞれ問題点があるので早急な脱落が関の山とのこと。実際、第2部5章の描写では第五特異点までが限界で、キャメロットにすらたどり着けないと思わせる様子であった。尤もこれは最強のリーダーもいるという条件下付き(この条件だとカドックも早々に脱落してしまう)であるので、窮鼠に陥った1人だけの状況ならば彼女との決戦までたどり着けるメンバーもいるかもしれない。