CV:杉田智和
演:村田充
概要
人理保障機関カルデアの顧問を務める魔術師。近未来観測レンズ「シバ」の開発者であり、天才的な技術力を持っている。
物腰柔らかな紳士然とした人物で、モスグリーンのタキシードとシルクハットを着用し、いつもにこやかに微笑んでいる。ぼさぼさの赤みがかった長髪で鼻が高い。
その性格と才能から、所長であるオルガマリー・アニムスフィアから依存に近いレベルで信頼されており、何かにつけて頼られている。
医療担当のロマニ・アーキマンとはかつての学友だった。
カルデアの爆発事故の際に行方知れずとなり、死亡したかに思われたが・・・。
活躍(※本編のネタバレ注意!)
「どいつもこいつも統制のとれないクズばかりで 吐き気がとまらないな」
カルデア爆破事件の犯人であり、2016年以降の人類史を焼却した張本人。
第一部の特異点F-《AD.2004年炎上都市 冬木》において主人公らの前に現れ、その本性を曝け出した。
悪意と嗜虐性に満ちた外道にして悪党であり、TYPE-MOON史上でも稀に見る極悪人。
この時の目を大きく見開いた大変素晴らしい笑顔は中々にインパクトがある。
オルガマリーにべったりとされていたことをとても疎ましく感じていたという。そのため、カルデアスを爆破する際にわざわざオルガマリーの足元に爆弾を設置しており、彼女が肉体を失いながらも精神体で生き残っていたことを確認すると、今度は罵詈雑言を浴びせた挙句、カルデアスのエネルギー体に放り込んで精神と魂を抹消することで徹底的に嬲り殺した。
どうやら人間ではないらしく、人間という存在を徹底して卑下して「ゴミクズ」呼ばわりし、人類史の焼却によってカルデアの外界にいた人類すべてが抹殺されても歯牙にもかけていない。
サーヴァントも単なる道具としか見ておらず、彼らのことも完全に見下していた。
自分の手を汚さずに他者が自滅する様を楽しむ卑劣漢で、"英霊"という存在も嫌悪している為、召喚したサーヴァントに対してもわざとその強みや矜持を潰すような運用をする事が多い。
しかしそのように人心を酌むことをせず他者を侮り過ぎる点から、手駒の行動を制御しきれず結果として詰めの甘い部分が目立つ。
また、マシュ・キリエライトに対してはまがりなりにも親身になって魔術指導をしていたらしく、彼女はレフのことを憎み切れずにいる模様。
以降の活動
「第一特異点《AD.1431邪竜百年戦争 オルレアン》」及び、「第二特異点《AD.40永続狂気帝国 セプテム》」でも黒幕として暗躍。
呼び出したサーヴァントに聖杯を与え、その人物に人類史を破壊に向かわせるよう仕向けていた。
オルレアンでは聖女の死により狂ったサーヴァントを呼び出し、そのサーヴァントの手によって憎悪の化身としての聖女を生み出すことに成功している。
一方、セプテムにおいては、召喚したサーヴァントが世界(ローマ)を心から愛する存在だったため、主導権を掌握することができず、やむを得ず自ら「宮廷魔術師」として連合帝国軍の参謀役を担っていた。
聖杯のバックアップを利用して無尽蔵にサーヴァントを召喚していたが、サーヴァントを道具扱いしていたことが災いしてか、多数の離反者と野良サーヴァントを生み出し、結果的に主人公側の戦力に利する形となってしまった。
その正体
真名「レフ・ライノール・フラウロス」。
ソロモン72柱の魔神・序列64番の魔界の大侯爵。つまり本物の悪魔。
主人公たちとの直接対決の際には目玉が無数に付いた巨大な肉塊の柱・「魔神柱」に変化し、圧倒的な力を発揮する。
その視線から放つ魔力で主人公側のサーヴァントを一度に全員攻撃でき、特殊攻撃では火柱攻撃「覚醒」を使用する。
HPもご丁寧に“66666”と獣の数字をモチーフにしており、プレイヤーをその制圧力で徹底的にいたぶってくる強敵。
そして……
主人公たちが勝利すると、自身の敗北を認めようとせず、その理由を「長らく神殿を離れていたことで力が劣化していた」と屁理屈をこね、醜態を晒した。
そして、なおも聖杯の力に頼り、ローマ帝国を滅ぼそうとアルテラを召喚し、その全てを蹂躙するよう命を下す。
…が、自らが召喚したサーヴァントに、「黙れ」の一言と共に真っ二つに切り裂かれて絶命。
多くの謎と遺恨を残したまま、物語からあっけなく退場してしまった。
と、思われていたが終章にて、時間神殿に乗り込んできたカルデアの面々の前に再び姿を現した。
今度は何度倒されても再誕しカルデアを窮地に追い込むが、今までの特異点で出会った英霊が敵味方問わず現れた事で形勢が変わり、逆に追い詰められることになった。
ゲーム面でも、何度でも挑戦できるレイドイベントであったため、今度は数多のプレイヤーらによる素材入手の為に大量に狩られる羽目になった。
そして第1部のコミカライズ作品の一つ「turas realta」にてこちらはシナリオ構成の関係上、第2章セプテムでは現れなかったという展開になり、第3章オケアノスでの決戦において登場、ヘラクレスを倒し、アルゴー船を追う藤丸たちを乗せた黄金の鹿号を両陣営ともに転移させる。
一度は魔神柱フォルネウスや海域を漂う死者の怨念を駆使し、黄金の鹿号を沈没間際まで追い詰め、原作同様に英霊やカルデア陣営を嘲笑うも、聖杯の使い方を理解したドレイクによって船は復活、死霊たちも「嵐の王(ワイルドハント)」の逸話によって彼女の制御下になり、その事実に動揺するのを見ていたダ・ヴィンチに「英霊を知らなすぎる」と呆れられる。
メディア・リリィの死、フォルネウスの崩壊からこの場での不利を察し、特異点維持を諦め神殿へ帰還しようとするも、信奉者であるアタランテに悲しい顔をさせた事、ギリシャの英雄を踏みにじった事がアルテミスの怒りを買い(曰く「ギリシャの神々的にアウト」)、まず片足を音もなく射抜かれ、それに気を取られた隙に悲鳴を上げる間もなく蜂の巣にされ、魔神柱になることもなく原形もとどめないほど体を破壊されるという、原作以上に悲惨な末路を迎える。
哀れなり、レフ。
最期
真のソロモンが発動した第一宝具『訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの』によって時間神殿が崩壊し始める中、尚も抵抗を続ける英霊たちに対し、自分たちにとっては痛みに満ちた歴史を重ねる人理を何故守ろうとするのかと叫ぶ。そこに現れた英雄王から「ソロモンの魔神たちは人類の悲しみしか見ていなかった」と指摘され、さらに「何故この様な結末になったのか答えを得たければ、自分たちを追い詰めたカルデアのマスターに訊け」と言われる。
この言葉に従い、最後に残った魔神・ダンタリオン、アンドロマリウスと共に、主人公になぜ戦い抜けたのかという問いをぶつける。そうすると、「生きる為だ」と言う答えを主人公から叩き付けられ、人理補正式ゲーティアで最後に停止した魔神柱となった。
魔神柱の中で最も人類を蔑み、否定していたレフであったが、それは言い方を変えれば最も感情的に人類を意識していたと言うこともできる。事実、ゲーティアが語っていた「唯一マシュを気にかけ、迷いを見せていた魔神柱」はレフであったことが竹箒日記で示唆されている。
尚、人類を見下していたレフだが、ロマニに友情を感じていたのは確かだったらしく、ダ・ヴィンチちゃんの「ロマニは自分が召喚されるまで他人を一切信じていなかった」という言葉には僅かに動揺を見せた。
2017年大晦日のスペシャルアニメ『MOONLIGHT/LOSTROOM』にて、レフは「1999年にシバを開発した事で自分の運命は決まった」、自分の人生は魔神柱となる前もなった後も「この星をより良いものにする」事だとオルガマリーに語っている。
このアニメがほとんど抽象的、視聴者に想像が委ねられる部分が多いため、どの程度が事実なのかは不明だが、彼が世界の未来を案じていたのは確かだったようだ。
なお、彼の特徴的というか独特なファッションについてはアニムスフィアへの礼儀らしく、近代施設であるがアニムスフィア家の工房でもあるカルデアで自分だけでも魔術師然とする為の物であったらしい。
謎
ソロモン72柱の一員として行動し、人理焼却を行ったレフであったが彼の行動には一つ、ある疑問が存在した。それはプレイヤー間でも考察され、冠位時間神殿においてロマニから口に出された『カルデアスの観測に必要な近未来観測レンズ「シバ」の開発をしたのはなぜか』というものである。ロマニの口から語られた通り、グランドオーダーの遂行には地球のレプリカと言うべきカルデアスだけでは不可能であり、その表面を観測するシバなしには特異点の調査と特定は出来ないからである。暴論かもしれないが、ファーストオーダー時にシバを破壊していれば、グランドオーダーは発令できずカルデアは死を待つだけの状態に出来た筈だったのである。
2015年に魔神柱として覚醒するまでは心の底から善人だった説、カルデアに入り込むためのブラフ説等が存在したが、亜種特異点Ⅳにおいて黒幕の口からある程度の答えが提示された。
それは「シバには魔神柱群がゲーティアにとって不慮の行動を取った際に、それを監視・抑止する機能が備わっていた」という物である。つまり、レフがシバを作りカルデアにそのままにしていたのは怠慢ではなく、元々シバは魔神柱達が人理焼却のため以外の行動を取らないようにするためのセーフティだったのである。
そして結果論になるが、それは最後のレムナントオーダーで内部を観測、現代へのレイシフトを可能にした事でその機能を果たしている。
ただし、上記の通り世界の未来を案じていたのも確かであり、「多彩で変化に富むがそれ故に不安定な人間の未来から、道端に転がる小石をどけるかの如く、事前に危険を排除できるようになれればいい」という考えで作り上げたようである。
短編『2015年の時計塔』においては、レフ・ウヴァル、ライノール・グシオン、フラウロスという三つの人格を持つ魔術師が登場し、彼は「冠位指定(グランドオーダー)」というものに縛られていた。「冠位指定」のために簡単に自殺できないでいたところ、現在を司る人格であるフラウロスが過去と未来しか見ようとしないレフとライノールを危険視して自らの人格の消滅を選び、人格同士の仲介人を失ったことで互いに相容れないレフとライノールはお互いを殺すための罠を仕掛けた結果、この魔術師という存在は死亡した。
そして、その迂遠な自殺の結果、この世界(『2015年の時計塔』は『月姫』、『魔法使いの夜』よりの世界)では『Grand Order』本編は起こらず、結果的にこの自殺が過去と現在と未来を守ることになったと菌糸類は述べている。またこのレフの自殺は『MOONLIGHT/LOSTROOM material』にて『stay night』の世界でも起きる出来事と明かされた。つまりは、この三重人格のフラウロスが自殺を選ばなかった世界が『Grand Order』の世界ということ。
(この「月姫世界」と「Fate世界」で共通するレフの自殺が起きなかったことが、「FGO世界」が「Fate世界」とも「月姫世界」とも異なるどっちとも言えない世界とされる所以の一つなのではないかと推測される)
本来のフラウロスは、他の二つの人格を危うんだりマシュを気遣ったりと善人であり、この三重人格のフラウロスと『Grand Order』本編のレフ・ライノールは同一人物である。
フラウロスの自殺というたった一つの要素が加わるだけでゲーティアによる人類史焼却が破綻する、と聞くとかなりガバガバな計画の感があるが、「一つでも"世界の外側"への時間神殿構築にたどり着ける可能性があれば問題ない」ということなのだろう。
『路地裏ナイトメア』ではフラウロスの自殺の場面が出ている。そこによると、人格の一つは「それは獣の夢だ」「起こしてはならない事業だ」と自らの死の中で告げている。第七特異点で現れたティアマトを考慮すれば、人理焼却というものの裏にはティアマトだけではないさらなる獣がいることと受け取れるが。
フラウロスという存在は最終的には終局特異点の戦いの中で停止したが、彼は第一部では一貫して一人称を「私」、及び魔神柱全員の総意としての「我々」としか口にせず、本来同居していたはずの「ボク」のレフ・ウヴァルと「オレ」のライノール・グシオンといった他二つの人格の挙動は一切見せていない。
余談
フラウロスは嘘を吐く悪魔として広く知られているが、レフ自身はこれには当てはまらずむしろ「人理焼却」という残酷な真実を告げることで主人公たちを絶望させようとしてきたが、
この人実は馬鹿なんじゃないか?と思われても仕方ない行動が目立つ。
- 第二特異点でのサーヴァントの意図的な運用ミス
- 誰も聞いていないのに、黒幕たる“王”との関係をボロボロ喋る。
- 上述の爆弾テロによってレフ自身が「神を気取っている」と吐き捨てていたカルデア幹部達、魔術協会その他のプライドが高いマスター候補30人などのカルデア内の不穏分子まで一掃して結果的にカルデアを浄化してしまう(一方のビーストⅢRは海洋油田基地セラフィックスにおいて、そういった獅子身中の虫を有効に活用し、見事にセラフィックスを内部崩壊させている)。
結果、プレイヤーからだけでなくゲーティアからロマニの正体を見抜けなかった事と上述での数々のミスなどから「節穴」呼ばわりされている。
しかし2部が始まると彼が爆破事故で再起不能にしたAチームがとんでもないバケモノ揃いであったことが発覚。
そこまでの無能扱いが一変、有能として扱われるようになりクリプターたちが大物であると描写されるたびに株が上がる、という状態になっている。
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情報室フラウロス(Fate):魔神柱として本気を出したレフ