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概要
CV:野島健児
先代のアニムスフィア家当主。オルガマリー・アニムスフィアの父親。
『Fate/Grand Order』物語開始時点で故人。人理継続保障機関フィニス・カルデアの創設者かつ初代所長であり時計塔の『天体科(アニムスフィア)』を束ねていた君主(ロード)。
長らくその容姿は不明のままであったが2019年8月、4周年記念イベントで公開された『絶対魔獣戦線 バビロニア』0話でついに明かされた。
実の父親だけあり、髪や瞳の色など、オルガマリーと共通する外見的要素を多く持つ男性(ただし髪型は間桐家と同じワカメ)。少なくとも遠坂時臣位かそれ以上の年齢ではある事は間違いないが、実年齢に反し20代にも見える意外と若い風貌。娘と並ぶと親子というより兄妹に見える程である。
かつては人類史観測システム・カルデアスの完成を目指していたが、その為に必要な国家予算並みの資金とリソースにはまるで手が届かず行き詰まっていた。
2004年の時点で、自らの活動時間(命数)が残り10年に迫っていたことを自覚していた彼は、現実的な手段ではとても間に合わない事を悟り、ショートカットの為2004年の冬木で行われた聖杯戦争への参加を決意(並行世界でも当初は参加するつもりだったが、冬木の大聖杯がとっくに使い物にならないと調査で気づいた事で手を引いたらしい)。
ある英霊に関わる聖遺物を発掘し、召喚し契約したキャスターと共にその勝者となり、手に入れた聖杯で研究に必要な巨万の富を願ってそれを叶え、カルデアスを完成させる事に成功した。
しかし、他のロードが介入する事を厭ったマリスビリーはその事実を隠蔽、自身が聖杯戦争に参加した事も含め「聖杯戦争の勝者はセイバー」という偽情報を流した。
それと同時に英霊を「人間に扱える兵器」にするデミ・サーヴァント実験の為に、幾人ものデザインベビーを創り出した張本人であり、実際に唯一の成功例である少女の肉体にカルデア召喚例第2号となった英霊を融合させるが、当の英霊が依り代である少女を気遣って覚醒を拒んだ事で失敗。その直後に所長室で不審な死を遂げている。
活動限界のことを知っていた主治医が不審死と口にしていることから、この死は活動限界とは異なる理由の模様、娘であるオルガマリーもその死が事故死か病死なのかも分からない様子であった。
彼と契約していたキャスターの主観であるが、マリスビリーは(TYPE-MOON世界での)普通の魔術師らしく人間としての倫理が欠けているが、自らの研究を他人の手を借りず自らの力で完成させようという信念と人類愛は確かなものであったようだ。
冗談を滅多に口にしなかったようで、彼の人生においてキャスターに言った冗談が最初で最後だったらしい。(マリスビリー本人は意識して無かったらしいが)
フットワークもかなり軽い人物だったらしく、世界中を旅してそこで目についた人材を魔術師、科学者の区別なくカルデアにスカウトしている。フリーの魔術師であるスカンジナビア・ペペロンチーノや芥ヒナコにベリル・ガット、一般の技術者であるダストン等がその例である。
交渉の末にアトラス院が発行した契約書も所有しており、本来不可能なカルデアへの技術提供も彼が取り付けたものようだ。
トリスメギストス貸与の際に逆にレイシフト理論という自らの「奥義」を提唱したとされ、(これは他の時計塔の君主に知られればお家断絶も有り得たほどの禁忌であったが)情報の秘匿により他の君主たちには過程を知られることなく、結果的には事後承諾を罷り通らせた。
現段階では彼がカルデアを始め、『FGO』の物語に及ぼしている影響が議論されている。
カルデアの疑惑に関する項にも有る様に、聖杯戦争以前からデミ・サーヴァント実験を指導していた事実や自分の命数を寿命ではなく、活動限界時間と評した事も疑惑の理由であり、第2部『Cosmos in the Lostbelt』の敵と見られているレイシフトAチーム達を人理焼却事件以前から「クリプター」と呼んでいた事、更に後述のある人物の正体を知っていた事が黒幕としての疑惑を深めている。
また、第2部の大事件においては仮にAチームがこれに立ち向かってもクリプターである時点で勝てないという意味深な言及が奈須きのこ氏よりされてるため、大きな要素も隠されている。
クリプターが所有する大令呪は、通常の令呪を遥かに凌駕する強力な効果と引き換えに使用すれば確実に命を落とすが、2部5章後編にてこれがマリスビリーによって与えられたものだと発覚し、さらに2部6章では他者の大令呪を強制発動させる方法があることがベリルとキリシュタリアの会話により判明。元々人理修復の手段としての運用を想定していたようだが、この事実により黒幕疑惑はより深まることとなった。
コヤンスカヤからは「魔術師としての善と人間としての善は違うもの。彼は正義の人ではあったが、魔術師としての善、いや最善を行う、という事を両立していた人物」と評している。
1部6章のホームズがアトラス院のトライヘルメスに調査させた情報では「資料から読み取れる彼の性質は”良識”であり、人並みの欲があり、人並みの妬みを持ち、人並みの幸福を愛する人物」とのこと。しかし同時に「第三者に利用されたか、あるいは本人が気づかないまま、破滅の地雷を踏んでいた」とも。この第三者はレフ・ライノールであると推測されている。
天体科
アニムスフィア。第八科。ロード・アニムスフィアが学科長を務める。
アニムスフィアも十二家のひとつであるためロンドン近郊に領地である学術都市を有しており、事件簿世界では魔眼蒐集列車の一件でオルガマリーと協力体制を結んだライネスが打ち合わせのために何度か彼らの都市を訪れてこそいるものの、その名称は不明。
権謀術数からは距離を置いて山に引きこもり、滅多に下りてくることはないことで知られる一族であり、その引きこもりっぷりは時計塔における最高決定機関である冠位決議(グランドロール)においても君主であるマリスビリー本人が出席することはなく、代役として娘のオルガマリーが投票に赴くほどである。
(一応、冠位決議は出席しなければならない決まりはなく、不参加もまた意思表示の一形態として扱われる。例として貴族主義のトップであるバルトメロイはここぞという時以外は動かず、下々の者達が勝手に争っているだけ、という姿勢をとる)
天体科が管轄する内容は文字通り『天体』であるが、これは占星術、天体運営、神学などに枝分かれしており、ここに属する魔術師達の間でも自分とまったく同じ修得過程の魔術師と出会うことは稀である、とされる。
また、『個体基礎科』『降霊科』『考古学科』と同じく、『人類の築いてきた共通の法則、学問』として各国の神話を扱う学科でもある他、魔術世界において人理という用語は、天体科の資料に時々書かれているものであるという。
時計塔からのカルデアの評価・心象は非常に悪く「信用に値しない魔術理論」「出来の悪い詐欺集団」「12の君主(ロード)の面汚し」という風に話題にする事さえ憚られる鬼子扱いをされている。
人間関係
実の娘であり、自らが死した後の二代目カルデア所長。
彼女からは「自分を愛してなかったわけではないが、それ以上に研究中心の人」と見られていた。
自らの召喚に応じ、共に冬木の聖杯戦争を勝ち抜いたサーヴァント。
彼を「友」と呼んでおり、キャスターが願いを叶え現世に留まる事になった後も関係は続いていた。上記の通り彼からの評価は「魔術師特有の危うさを持つ男で一言でいえば道徳が欠けているが、その胸に燻る熱意と煮えたぎるような人類愛は、揺るぎのないもの」しかし同時にマリスビリーは彼に対し「アインツベルンが提唱した奇蹟……魂の物質化、人類の成長なんて夢物語には、はじめから付き合う気はなかった」とも語っている。
「一番弟子」である時計塔の至宝と呼ばれた魔術師。クリプター/レイシフトAチームのリーダー。
人理再編と同時に、マリスビリーがやろうとしていたと思われる「机上の空論」と評される何かを成し遂げようとしている。
大令呪を使い死が確定した今際の時に「敬意は払っていたんだが、何枚も上手だった」「研究だけに生きた、学術肌の人物だったけど、やはり時計塔の十二君主(ロード)は、おっかなかったな」と心の底から敗北を認めている。(ただし悔いのない笑いと共に)
クリプター/レイシフトAチームの一人。
レイシフトが理論上では正しくとも人の身に耐えられるか不安を抱いていた彼は保険として人ならざる者である彼女をスカウトしその不安要素を無くそうとしていた。(実際には多くの適正者が見つかったばかりかレイシフト先での英霊召喚の成功率をあげる、デミ・サーヴァント計画まで達成できた為、彼女を特別扱いする必要がなくなりAチームの立ち位置に収まった)
コヤンスカヤ曰く「あの人間大嫌いな芥ちゃんを説得するなんて、よっぽど真摯に、丁寧に口説き落とした」「間違っても『君にミンクのコートを贈ろう』なんて決め台詞はなかっただろう」
クリプター/レイシフトAチームの一人。
脱走兵の始末屋としてスカウトし、カルデアで雇った魔術師。
大令呪の本来の用途および強制発動の方法(上記)を、2人のみで共有していた。
しかしマリスビリーは裏でキリシュタリアにもこれらの情報を教えていた。
なおベリルとしては2部6章の独白で自身をスカウトしてきたマリスビリーに対し、稀に見る寒気を覚えたとのこと。
クリプター/レイシフトAチームの一人。
彼の能力を高く評価しており、自らの計画である「人理保障」の具体的な詳細を明かした(ほかのチームメイトには内緒にするよう頼んでいる)。
その結果、宇宙的視点を持つ彼から『敵』と判断され魔術世界絶対の禁忌であるORTを使ってでも計画を阻止されようとしたのは皮肉な話だが。
彼からの評価は「有能過ぎる」「無能な者にカルデアは運営できない」と恐れとも敬いとも言える評価である。
クリプター/レイシフトAチームの一人。
彼からは「破滅主義でも悲観主義でもない。人類の繁栄を喜び、知識の発展を望む純粋な魔術師」という認識だったが後に明らかになった真相から「時計塔の君主(ロード)であり。『繁栄』の物差しも、自分たちが想像するものとは大きく違っているだろう」という認識を持った。
現代魔術科の元学科長。事件簿世界において、かつて学科長を務めていた当時の彼にマリスビリーは冬木の聖杯戦争の調査を依頼し、冬木の大聖杯が使い物にならないことを確認した。
「壮大な野望を抱いている」、「髪型はワカメ」、「外道」、「メインヒロインに対し日常的に非人道的な行為を繰り返している」、「作品の黒幕であり元凶の一人」、「身内には常に重圧をかける」等々、共通点を挙げればキリがないくらいによく似た者同士。
ただしマリスビリーは「寿命を迎える前に死んだが、自らの死後も目的達成可能なように根回しをしていた」、臓硯は「延命術による人の寿命を越えた延命をし続けた結果、劣化により一番最初の目的であった“己の理想”を忘れてしまった」という皮肉な違いがある。
余談
演じる野島氏はアニメ版『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』でブラム・ヌァザレ・ソフィアリを演じる野島裕史氏の実弟にあたる。(何の因果かマリスビリーの娘のオルガマリーが『事件簿』に出演していたり、最初にオルガマリーを演じた豊口めぐみ女史がブラムの妹を演じていたりする。)
前述の通りFateシリーズ全体で見ても珍しい「聖杯戦争に優勝し、願いを(自らが望む形で)叶えたマスター」でもある。
自らの寿命を「活動時間」と評していたことからマシュ同様デザインベビーではないか?という予想も。
合理性も高く、このイベントで強力な聖杯なら願望者本人の意識を改竄して願いを叶えた事にできるという発言に対し、認識の改竄ではどうにもできない『巨万の富』を願ったことがその高さを証明していると言える。
関連タグ
Fate/GrandOrder 人理継続保障機関フィニス・カルデア
遠野志貴:リメイク前の中の人が同じ。更に真月譚での中の人はロマニだったりする。
ネタバレ注意!
容姿と共に謎に包まれた彼の死がどういった物だったのかも明かされている。
マリスビリーの死の真相。それは自殺である。
正しく言うのならば、所長室に入ることができた何者かがカルデアスの存在を危険視し、カルデアスを止めろという脅迫と共に銃を突きつけた。つまりカルデアスの停止か自分の死を選べ、ということである。
その選択を突きつけられたマリスビリーは机に隠した銃で自殺を遂げた。
だが、アニムスフィア家が継承する冠位指定(グランドオーダー)というものが存在する。そもそも魔術師という人種は絶望程度では自殺などできはしない。なのに自殺ができたのはなぜか、それは別種からグランドオーダーを与えられたレフが別の世界線では迂遠な方法をもってしないと自殺ができなかったという事実がある。
そのことから推定すると、アニムスフィア家の冠位指定(グランドオーダー)である「人理の保証」か「己の命」どちらを取るのか選べと選択を迫られたのならば、グランドオーダーを実行する、いや、しなければならないという結論に達したために自殺を選んだということがうかがえる。
なお、マリスビリーに銃を向けた人物は5分でも遅刻することが珍しい彼の知り合いと死ぬ前の本人の口から語られており、その人物はコートを羽織った影にコンバットブーツらしき物を履いている姿であることが分かっている。どうやらその特徴に当てはまる人物が一人いるらしいが……。
また一部終章の独白で「私は何を犠牲にしても、カルデアスを真に起動させる。人理を維持するためには、どうしてもアレが必要だからだ」「なぜ神代は途絶えたのか、なぜ西暦になってからの人理定礎は安定しないのか」「レイシフトさえ出来るようになれば、その謎が、原因が、我々の手で究明できる」とキャスターに語っているが……。
*この先さらなるネタバレ注意!
2部7章『黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン』の終盤、および最終盤のミクトランパにて最後のクリプターであるデイビット・ゼム・ヴォイドの口から彼の企みの一部が語られた。
・・・・
「カルデアス……いや、マリスビリーは『人類の敵』ではない。ヤツは『宇宙の敵』だ。」
「それを感知できたのがオレだけなら───」
「この惑星を破壊する事で、人類が負うであろう汚名を無くそう」
地球白紙化による異聞帯の発生。そしてカルデアが7つの異聞帯を踏破し7つの空想樹を切除すること。これら全てはマリスビリーの計画の一部であった。主人公たちのこれまでの行動はマリスビリーの用意した試験の上では、全問正解だったとデイビットは語っており、全てマリスビリーの手のひらの上で踊らされていたということになる。
デイビットは「奴の計画が成就すれば、地球人類は138億光年に渡って、汚名を被ることになる“この宇宙に生まれた、最低の知的生命体と”」とも語っており、これを察知していたデイビットはマリスビリーに計画を止めるように脅迫していた。つまり、マリスビリーが自殺した日、彼に銃を突き付けた人物の正体はやはりデイビットであった。しかし、彼は迷わず自身の死を選び(この結果デイビットは外敵になるという選択肢を奪われた)カルデアスを起動、人理保障天球として完成させた。
真相を知ったその後のノウム・カルデアの行動はオーディール・コールを参照。
関連人物(ネタバレあり)
上述の通り、彼/彼女のこれまでの行動はマリスビリーにとっては「全問正解」言える程に理想的なものである模様。
2023年のクリスマスイベントにて全ての始まりの時から彼/彼女が人類最後のマスターになるように根回ししていたのでは?との考察も。
余談2
目的・真意・正確な人物像など余りにも謎が多すぎる事から「実は死を偽装しておりまだ生きているのでは?」との考察も。
・死の偽装は虫が本体で他者の肉体に入り込んでいた間桐臓硯などの例から可能である。
・カルデアスはクリプターの蘇生を行っている(TYPE-MOON世界の設定での死者蘇生の難易度から本当の意味での蘇生かは疑わしいが)ために同様の手段で蘇生している。
・2部6章でモルガンは異聞帯(カルデアスが関わり作りだしている世界)で仕組みを理解して「その世界の過去の自分に情報を送った」+「カルデアス地球に人がいた」などが有る為に本人は死んでいるが記憶を継承した存在がいる。
など肉体の死はともかく存在や記憶の死は否定できる要素がありマリスビリーは根源への到達も目指してカルデアスを起動させていたなど本当に死んだのか疑わしい部分が多い。
上記の「138億光年に亘る汚名」と言うセリフ、後に実装されたククルカンがキアラを「地球の恥」と評していたことからユーザーからは「宇宙の恥」と呼ばれるようになり何をやらかすのか戦々恐々されている。(実際に言ったのは「恥」ではなく「敵」だが)
また、「そもそもFGO世界線がマリスビリーに都合が良すぎる世界である為、シュミレートされた世界なのでは?」という考察も。
9周年フェスで2025年に2部終章が開幕することが発表されたため、彼の真実が明かされる日もそう遠くはないだろう。