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——欲しいものを、貰うだけさ。


血染めの冠、おひとつどうだい?

 

プロフィール編集

身長185cm
体重75kg
出身地グレートブリテン
特技ウィッチクラフト服飾ガーデニング
好きなものかわいそうなヤツ、おもしろいヤツ
嫌いなものたのしそうなヤツ、つまらないヤツ
一人称オレ
二人称アンタ、おまえ、おまえさん、テメェ
イラスト佐々木少年
CV石谷春貴

概要編集

Fate/Grand Order』第二部「Cosmos in the Lostbelt」に登場する特選Aチーム「クリプター」のメンバーの一人。

第二部第五章「星間都市山脈 オリュンポス」より本格的に登場し、第二部第六章「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ星の生まれる刻』」にて重要人物として直接敵対する。


若いギャングの様な服装に、ポンパドール部分を切り落としたようなリーゼントヘアーと薄い顎鬚が特徴の一見軽薄そうな男だが、OPで城砦を背景に口元を血で濡らしていたり、耳が心なしか尖って見える等、不気味な記号がチラつき、令呪のデザインも狼の横顔を象った禍々しいものとなっている。


イングランド出身であり魔術師としての家系は、高名ではないが古くから続くものであるため、魔術師としてのスペックは高い。

カルデアに雇われたのは、特異点修復ミッションにおいて緊急事態が発生した時に備えての人員を揃えるためであり、脱走兵を殺す「始末屋」が本来の仕事であった。

また、カルデアの裏事情にも通じており、さらにはクリプターそれぞれに与えられる「大令呪(シリウスライト)」の内容やその強制発動方法まで知っている。キリシュタリア曰く、それは特異点修復における人理保障の決定打になるものだと言う。


最初に名前が判明したのは2部序章だったが、この時点ではクリプターの中で容姿以外何もわかっていない謎の存在で、ダ・ヴィンチちゃんマシュも彼については主人公に何も話さず意図的にスルーし、フォウも沈黙という形で反応を示していた。

召喚したサーヴァントのクラスはルーラーだが、そもそもサーヴァントである以前に複雑な事情を抱えている。ただ、彼がマスターであることに間違いはない。


人物像編集

異聞帯運用における苦労人としての側面編集

彼の担当する異聞帯は特殊な事情があり、キリシュタリアの計画においては潰さねばならない場所であった。


ブリテン異聞帯はクリプターにとって(異星の神にとっても)厄介な場所であり、その性質が星を道連れにして滅ぶ呪いであったために、キリシュタリアから異聞帯を自滅させるよう水面下で指示されていた。

キリシュタリアからは「自分を騙すのが上手く、だからこそイヤな仕事ほど真摯にやり遂げる」と評価されており、計画遂行の適性を見出されていた。自分の担当異聞帯を自滅させる行為は、クリプターとしての競争をリタイアすることに他ならず、確かにクリプターとしては「イヤな仕事」であると言える。

そして「自分を騙すの得意」という言い回しは、必然的に他人を騙すことにも長けていることを意味しており、ブリテンの空想樹を処分する手段としてベリルが行ったのは、現地の住民を騙して、住民自身の手で伐採させるというプランだと報告していた。



キリシュタリアの見立ては、少なくともこの段階においては確かに正しかった。

安全確保も抜かり無く、伐採を確認した後は異聞帯の消滅に巻き込まれないようカイニスの助力を得て大西洋(ギリシャ)異聞帯へと高飛びしていたという。


その道のりは彼をしてかなり苦労したようであり、地獄のような状況の中で住民たちを宥めて空想樹の伐採へ誘導させる道のりは相当に険しかったと語っており、自分の異聞帯にいた「グラビティなお姫様」に目をつけられて王族全体がトラウマになっている様子。

五章導入の定例会議で持ち上がったこの話題を見たマスターからはベリルが苦労人ポジションであるという意外な側面が話題になり、二部六章の展開についても「空想樹を切って高飛びしたぐらいで果たしてこのお姫様から逃げられるのか」などの憶測を呼んでいた。



また、この異聞帯の事情と関連があるのか、特殊な事情を抱えた存在の扱いに慣れているようであり、「汎人類史に属さない怪物」「白紙化さえ跳ね除けた異界常識」「星の内海に続く虚ろの道」「今も生き続ける『アルビオンの竜』」と言った、何やら物騒な代物を手中に収めているという。


ちなみに何故ベリルがブリテン異聞帯を任されたかと言うと、キリシュタリアの独断で指名されたからである。指名の理由も「ベリルの故郷だから」というものであり、そのベリルからも「流石にマリスビリーでもここまで一方的じゃなかった」とボヤいていた。

それに、地球の王になる権利を破棄させるだけでなく、「もし従わなければ死んでもらう」と脅しをかけられたために、従うしかなかったのも事実である。


また、異聞帯の王との付き合いも、初対面直後にクリプターとしての活動を根本から覆すレベルの事態に巻き込まれており、このように他人に振り回される場面が少なからず見られている。


気のいい兄貴分としての側面編集

2部1章ではクリプター同士の定例会議に出席。

長らく不明だった彼の人物像の中で最初に明かされた一面は「飄々とした兄貴肌」と言ったところで、やっかみ癖のあるカドックを気に掛けているような言動を見せた。


また、誰に対してもヘラヘラした態度を貫き、そうした姿勢をオフェリアに咎められてもどこ吹く風であり(キリシュタリアはベリルの言い分もあながち間違いではない、とフォローを入れていた)、彼女からは遊び半分でやっているのではとも疑われたが、本人としては死の淵から蘇ったこの状況下でそれができるはずもなく、人生においてかつてないほど真剣であるつもりらしい。

実際、後述の理由で担当異聞帯が予断を許さない状況であることから、2部3章冒頭では他の異聞帯が二つも陥落した事実を最も重く見ており、この時点で唯一カルデア潰しを本気で考えていた。座標を特定できない彷徨海のカルデア陣営への即時攻撃を諦めなかったのも彼のみである。


クリプターという、大まかな目標を共有しつつもそれぞれが競争相手という自分たちの特殊な間柄については、結構ドライに割り切っている様子で、競争力を失ったメンバーに対してもおとなしくしている限り手出しはしないと発言している。しかし、芥ヒナコが定例会議で要件だけ済ませて退席した際はチームワークが崩壊している現状を憂うような発言をしており、多少の仲間意識は彼なりに持っていた様子。


そして、異聞帯を落とされたカドックが自分を負け犬と称した時は意味深な反応を示しており、似たような経緯で競争を降りたぺぺが負けを認めていない状況には「負け犬と例えるのはペペにとってはまだ早い」と語っている。


下劣な殺人鬼としての側面編集

定例会議当初から、担当異聞帯で殺されにやってくる者が多い事を好ましいと語るなど、フランクな態度とは正反対の凶暴性と狂気をチラつかせていた。

曰く「殺すのも奪うのも生きていてこその喜び」。つかみどころの無いチャラついた態度こそ崩さないものの、時折見せる笑顔は口の端を耳まで裂けんばかりに吊り上げた非常に不気味なものである。


加えて会議内では、カルデアの生き残りのうち“ある特定の人物”に興味を見せており、人理修復前にその人物がいた治療室に押し入った旨を述べている。

その時はドクターに見つかって追い出され、未遂に終わったようだが、詳細は不明ながらもこれらの表現自体が凶悪な犯罪を匂わせる記述であることから、一部のプレイヤーからは嫌悪感を抱かれ、かなりの危険人物として警戒されていた。


実際その素性は、時計塔でも「狼男」として蔑まれた殺し屋にして殺人鬼であり、オフェリアには「快楽目的の殺人者」「人間として恥ずべき犯罪者と嫌悪されている。

二部五章後編で主人公と対峙した際も、/彼女から敵意を見せられれば、それを宣戦布告と看做して準備をするのではなく、警戒心を緩める言葉を巧みにかけつつ即刻殺害に走る点で他のクリプターと一線を画す。


実際のちに判明する各種活動から、クリプターのメンバーで最もヘイトを向けられている一方、(苦労人の面のみならず)各種リアクション自体は普通の人間と大差ない場面が幾つかあるため、道徳や倫理観が真っ当な人間のそれではないながらも、それ以外の部分で人間みを感じさせるという意味ではとの共通点が見られる。


一方、キリシュタリアからはそうした面も買われており、そして前述のような一見不利益しかない計画に乗ったようである。また、自身がクリプターの中でチームワークを崩壊させる要因となりうることを自覚しており、蘇生直後の白紙化地球では臆せずにキリシュタリアにそれを話している。


殺しの場数の多さからか、客観的な実力判断をする場面が多く見られたクリプターでもある。後述するように、途中までは甘く見ていた主人公に対する認識も必要な場面に追い込まれれば正確に見ており、担当の異聞帯の王に対しては並外れた能力に感心しつつも、他の異聞帯についての話題ではオリュンポスの神々は手ごわい」と忠告するなどしている。

また、詳細は不明だが妖精たちを裏切った身であり、彼らにいつでも狙われているらしく、ちょっと居場所を示せばすぐに天罰が下るような状況下であるとのこと。


担当異聞帯では彼のこの性格を裏付けるかのように、普段は「国立殺戮劇場」なる施設が置かれたニュー・ダーリントンに身を置いている様子。


関連人物編集

ベリルは、キリシュタリアの環境に関して恵まれ過ぎていることを全員の中で最も多く発言している。その際、自分の担当地域がロクでもない状況にある事を引き合いに出して比べることも多い。しかし、そんな自分の窮状もキリシュタリアの計画で行っていた。

二部五章冒頭ではキリシュタリアを「ボス」と呼び、ついでにこの計画の苦労話をしていたが、この定例会議では機能している空想樹が大西洋ギリシャ異聞帯だけになったことを彼から聞くと、1人意味深な笑みを浮かべていた。


一応年長者であるため、カドックの兄貴分として振る舞っている。会議での発言が真実なら、カドックを本心から気に掛けているようである。

後に異聞帯を落とされつつも無傷で生還したことに対して、カルデアに寝返ろうとしているのではと疑うが、本人の口から疑いを晴らされると掌を返すように元の態度に戻るという、掴みどころの無さを見せた。


2部1章冒頭では、蘇生以降、彼女のキリシュタリアへの態度が変わった事に誰よりも早く気付いていた。

2部2章での彼女の結末をコヤンスカヤから聞かされたときは、コヤンスカヤから「彼女は最終的にクリプターであることを放棄した」と報告されたことで、“キリシュタリアへの心酔が心変わりしたもんだから女はどこまでも信用できない”と言葉では茶化しているものの、カドックともども異聞帯を落とされたことに関して「身内が2人もやられた」とも発言しているため、少なくともクリプターとしての価値を認めた発言で、会議ではうまくやっていた。


同じくカドックの保護者ポジションを買って出ていたクリプター。本人同士の仲は不明。2部4章でペペがカルデア陣営と手を組んだことについては、五章導入で「これによってカルデア陣営はペペに情が移り、(ペペを殺しづらくなったという意味で)有効な搦め手である」という「殺し合いを制するテクニック」として上々の評価を下している。

なお、ベリルから見たペペに対する評価は「真剣にさせたらヤバい手合い」「世界の終わりくらいのピンチでもなければこいつの地は拝めない」と評している。

なお、定例会議におけるカドックに対しての態度に関して、幾度もペペから意味深な反応をされている。


「原始的な地区」かつ「あれのどこがありえたかもしれない人類史なんだ」という異聞帯を担当している者同士。


カドックとオフェリアの異聞帯が陥落したことでカルデア潰しを本格的に考え、嫌がらせ半分のつもりで彼女に依頼をする。奥の手とはいえ、白紙化を逃れた彷徨海にまで飛べることに驚きつつも、戦力として使えそうと判断し、殺しの趣味も合うことから彼女の機嫌取りを考えるようになる。

のちにコヤンスカヤから本質を看破されたうえに商売相手にならない評価を下されてなお、巧みな交渉で自分のペースに持ち込むことに成功し、大口の取引や転移の契約を取り付けた。


シールダーとして主人公を護っている状況に何か思うところがある様子。2部4章にて、ペペはマシュが感情を豊かに表現できるまでに成長したことを喜んでいたが、会話の流れからして、「ベリルがこれを知ったら自分とは違い良からぬ反応をするのではないか」と懸念している様子だった。2部6章終盤にて、ついに彼のマシュへの歪んだ気持ちが明らかとなる。その気持ちこそ、異星の神の提案を受け入れて蘇生した理由である。


順当にいけば後輩となるはずだった人物。個人としては何の関心もなかったが、凡人かつマシュの隣にいる存在である事を知って、終始個人的な敵意を匂わせ、散々馬鹿にしこき下ろしたコメントを下していた。

しかしその後次々と異聞帯を攻略していく事実を受けて、「相応の器・脅威」であるとは素直に認め始める。


クリプターに与えられる大令呪の詳細についての秘密を共有する者同士。ただ、ベリルはマリスビリーとのみで共有していたつもりでいたが、マリスビリーはベリルの知らないところでキリシュタリアにもこれを教えている。


同郷の殺人鬼。「フロムロストベルト」にて、彼女の性質をまるで直接見知ったような口調で詳細に分析していた。


何もなかった異聞帯の大地に「どうせなら世界を壊せる者がいい」という理由で召喚したサーヴァント。その意味では確かにマスターなのだが、マスターとサーヴァントの関係にあるかどうかを問われれば単純にはうなずけない事情がある。

初対面でベリルを「魔女の末裔」と呼んでおり、それがベリルのバックボーンを的確に言い当てたものだったため、第一印象は最悪だったが、ベリルはその性格からさっぱりと流している。また、担当異聞帯では魔術を使うこと自体が珍しい存在であったため、現地住民からは「魔術を使わないと神秘を発現できない存在」と言われていた中で、ベリルは「神秘も魔術も扱える反則級の怪物」という正当な実力評価をしていた数少ない一人である。


異聞帯の王の「娘」にして三騎の妖精騎士の1人。

ベリルにとって上述の「グラビティなお姫様」(※)。

ベリルから汎人類史の話を聞かされたことで懐き行動を共にする。互いに「レッドベリル」「レディ・スピネル」とも呼び合う。

ベリルもある部分でシンパシーを抱く友達とは本気で思っていたが、残念ながらベリルの"友達"の定義は、常人とは大きくズレたものであった。


(※)この「グラビティなお姫様」という言葉が初めて出たのは上述の通り第2部5章冒頭の定例会議であり、ベリルからは「理屈抜きに手に負えない存在」「『地獄の果てまで一緒にいましょう!』と言われてウンザリした」等と報告されていた。

だが、いざ6章が終わってみればベリルが述べていたような特徴や言動と完全に合致した者はおらず、ユーザー(マスター)達の間では長らく「妖精という生き物全体の印象を統合してでっち上げた架空の人物」「部分部分なら合致していた者達の印象をかき集めてでっちあげたキャラクター」等と考察されていた。

そして2022年4月12日に発売されたTYPE-MOONエースVOL.14の別冊付録内のインタビューにて、シナリオ担当の奈須きのこ氏直々に「(グラビティなお姫様は)バーヴァン・シーのことで間違いありません」と明言された。

該当インタビューでの奈須氏のコメントを簡潔にまとめると、

  • クリプター会議でのベリルの発言は嘘まみれ。真実と嘘を織り交ぜて話しており、大切な事は隠すようにしている
  • ベリルは始末屋、つまり状況次第では他のクリプターを殺すのが仕事なので、素直に真実を伝えるようなことはしない
  • バーヴァン・シーに付き纏われていたのは本当だが、あえて聞いた相手が誤解するような言い回しをした

とのこと。

つまり「『グラビティなお姫様』は間違いなく妖精騎士トリスタン(バーヴァン・シー)を指しているが、クリプター会議で話題に上げる際には嘘の情報を織り交ぜていた」というのが真実であるとのこと。


余談編集

声を担当した石谷氏は「Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ」にてモードレッドの声も担当している。


名前の由来編集

  • 緑柱石を意味する“ベリル”と腸を意味する“ガット”からと思われる。後者は人殺しのイメージとしては相応しいネーミングである。
    • ベリルの一種として「モルガナイト」があったり、英語の表記こそ違うが、イタリア語で「ガット」「猫」を意味するなどの理由から、彼の管理する異聞帯にモルガンが登場する可能性は当初からユーザーに予測されていた。

プロフィールについて編集

  • マテリアルⅧにて明らかにされたクリプター達のプロフィール。全体的に見ても謎が多いが、その内ベリルの特技に関しては判明前のイメージと180度くらい印象の変わる記述になっている。
  • 彼に関する意味深なこれらのプロフィールの謎が明かされたのは2部6章の終盤になってからである。

原作者からの評価編集

  • 週刊ファミ通2020年8月13日号の『FGO』一問一答では、「いちばん気が合いそうなクリプターは?」という質問に対して、奈須氏はベリルの名前を挙げ、「何をやればプラスになるのかマイナスになるのかまったくわからないので、ある意味気が楽。コツは密室でふたりきりにならないこと」と語っている。

人理修復の適性編集

人理修復に関しては早期に脱落するメンバーの1人としてあげられている。理由は間違い無く前後に記述された猟奇的で悪辣な性格であろう。


関連イラスト編集

サプライズなんだ、内緒で頼むぜベリルさん

ベ[FGO]ベリル・ガット


これは別人

ベリル五条

関連タグ編集

Fate/GrandOrder Cosmos in the Lostbelt 人理継続保障機関フィニス・カルデア

殺人鬼 狼男 外道 小物界の大物


妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻



























この先、2部6章「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」に関するネタバレが含まれます。






































嘘つき狼の真実と愛編集


彼の母親は、人里を離れて消費文明を憎み、第一魔法にも関わった「魔女」に属する者であり(魔術世界における魔女は「女性の魔術師」という意味ではなく、人間と全く違う生き物であり超自然的な存在である)、魔術協会にとっての廃棄物と言える存在であった。「魔女」は転身を行う存在で、時代とともにおのおの姿や在り方を変えていき、やがて誰も魔術協会に属さなくなっていったのである。

ベリルの母はというと、巨大なヒキガエルのような容貌にして、妖精を自称していた。「とある魔法使い」の所為で人間の男に騙されて彼を産み落としこの様な醜い容姿になった為、母からは「産まなければよかった!」と八つ当たりの如く罵ったかと思えば、一転して「大切な可愛い子」「自分の生き甲斐」と称して溺愛する等、愛憎混じりの情を向けられていた。

ベリルがかつて植物科に属していたのも、「魔女」が植物科の創設に関わっていたためである。

この「母」から魔術を教わっていたが、その内容は命を材料にする黒魔術の類であった。

これの影響かは定かではないが、暗殺や拷問の類を好んで学んだ結果、殺し専門の魔術師として食べていくようになり、やがて裏社会でも生き辛くなるほどの殺しを重ねていく事になった。


次の居場所を探して放浪していた折、運良くマリスビリーにスカウトを受け、カルデアに所属することになる。「母」と違って消費文明にも抵抗が無かった彼は、魔術以外の戦いにも長けていたため、科学と魔術の融合を目指すカルデアは、能力の相性という意味では絶好の居場所だったと言える。

(ただし、マリスビリーにスカウトされた時、彼はマリスビリーに対して人生稀に見る寒気を感じたとのこと。)

デイビットとカドックは、マリスビリーがベリルを引き入れた理由は、特異点修復時にクリプターの誰かが叛逆や逃走を企てた際に大令呪を発動させて特異点ごと吹き飛ばすという身内を始末する役割をさせるつもりだったのではないかと考察している。


そして医務室で見たのは、彼曰く 目を疑うほどの、不細工な生き物 (本人の独白から造形や美醜の話ではない)…当時はまだ未熟児のような生き方、在り方のマシュ・キリエライトだった。


マシュに対する第一印象は最低だったが、同時に多くの人を見てきたベリルは、今はどんなに未熟でもマシュが将来誰よりも綺麗になると確信した。

彼にとって、それは紛れもないであり、一目惚れだった。

特技にガーデニングとある通り、「母」の影響で花を育てることが得意だった彼は、マシュという花を育てることに興味をおぼえ、退屈だった毎日にそれなりの楽しさを見出すようになる。


色彩

しかし彼は、花は育てられても芸術には疎く、たとえば世間一般で名画と呼ばれるものを見ても、完成度の高さを客観的に理解できても感銘を受ける事はできず(違う国に行けば必ず最初に美術館に足を運ぶ程度には好んでいる)、「美しい」という事がどのようなものか理解できていなかった。

ところが、マシュに構ううちに、自分が美しいものを傷つけた時だけ、それを美しいと感じられるという破綻した価値観の持ち主だった事に気付いてしまい、寝たきりで動けない彼女に指の骨を折ったりする等してわざと大怪我を負わせ、訳も分からず痛みに泣き叫び苦しむ様を心から真剣に労り慰める形で愛情を示していた。

(職業である殺しについても、かわいそうなヤツを殺すことが自分なりの愛であると語っており、会話からするにプロフィールにある「好きなもの:かわいそうなヤツ、おもしろいヤツ」というのが、殺しの興味を持つ対象であると思われる)


こうして彼は、その歪んだ愛でマシュを壊しながら彼女を護ることを決めた。Aチーム共通のはずの大令呪(シリウスライト)がマシュに刻まれていなかったのは、始末屋になるのと引き換えにマシュへの刻印を免除させたからであった。

医務室に押し入ったのも、マシュを傷つけて苦しむ姿を愛でるのが目的であり、それをDr.ロマンに見つかって力ずくで追い出され、以後立入禁止処分が下されるに至った。

彼女を大事に思っているロマニとダ・ヴィンチにしてみれば、DV同然なその行動は到底理解できるものではなく、紛うことなき危険人物でしかなかったのだ。


マシュという “生きる理由” ができたベリルは、その後、人理が漂白されてカルデアと敵対する立場に置かれてからも、マシュに執心するようになっていた。


かくしてキリシュタリアからブリテン異聞帯を任された彼だったが、異聞帯に到着すると広がっていた光景はまるで更地のような島。空想樹の力で剪定事象から蘇ってもなお、ブリテン異聞帯は「厄災」という特有の現象にたびたび見舞われる土地であり、1万2000年目の「大厄災」が原因ですでに滅亡していた。


それでもマスターとして律儀にサーヴァントを召喚するのだが、召喚されたのが(汎人類史側の『座』に登録されている方の)モルガンだったことで運命は動き出す。


異聞帯滅亡の引き金になったのは、この世界のモルガンが妖精郷で誰からも受け入れられずに迫害されて殺された』からであった。この結末をサーヴァントの彼女は頑として受け入れられなかった上に、「此処には憎きウーサー(父)やアルトリア(妹)、円卓の騎士といった邪魔者達もいないのだから、より容易く『自分の理想のブリテン(国)』を創ることが出来る」と考え、自分が召喚された術式を即座に解析するとわずか数時間で解き明かした結果コフィンなしでのレイシフトを会得。そしてレイシフトで過去の自分(より正確にはアルトリアの先代にあたる「楽園の妖精」ヴィヴィアンだった頃のモルガン宛に滅亡の未来と汎人類史における『モルガンとブリテンに関する情報』を伝えることで殺される結末を回避させ、2017年には自身の城キャメロットを中心とした妖精國を作り上げていた。

したがって、この段階でモルガンは「サーヴァントとして召喚されたがすでにサーヴァントではない」状態になっており、ベリルがマスターであることに間違いはないのだが、マスターとサーヴァントの間柄ではなかったと言える。そして力関係で逆転されたベリルは、体裁上モルガンの夫という形で側に置かれることになったのである。

あまりにも奇異な体験であり、定例会議で報告することは不可能だと感じたため、それっぽい嘘を並べてその場を凌いでいた様子。実際、それまでの定例会議の報告内容とブリテン異聞世界の出来事に一致していない部分が多すぎるため、終始嘘の報告を重ねていたことになる。定例会議に限らず、ベリルは他のクリプターに対してブリテン関連についてはほぼ真実を話していない。(上述の通りベリルは始末屋のため他のクリプターに馬鹿正直に真実を話す必要はない)



モルガンは妖精郷を蘇らせるべく、空想樹の魔力を吸い取って数多の妖精たちの蘇生に充てた結果、空想樹は枯れたものの世界を維持できる力を手にしていたことで異聞帯はすでに消滅しない状態に。

そしてモルガンは、この段階で早くもオリュンポスへの攻撃を企てており、キリシュタリアのブリテン自滅計画は裏で早々に破綻していた。



一方、ベリルからすれば、召喚したその日にとりあえず荒野の真ん中で熟睡して、翌朝目を覚ましてみればいきなり文明に囲まれた宮殿で目を覚ますという状況だった。ベリルは到着時に空想樹の存在を確認していたため、このままだと「空想樹健在=滅亡したブリテン」という定義が残ってしまう。

そのためモルガンの手によって一度存在を抹消されており、宮殿で目を覚ましたベリルはモルガンの手で寸分の狂いも無く再現されたそっくりさん、いわば記憶・精神・そして能力さえも完璧に複製されたクローンのようなものである。しかし、モルガンに確認を取る前に彼は独自に自身の身に起こった事や彼女の所業の大方の推察や結論を出しており実際に概ね正解だったとは言え、その事実を正面から突きつけられてもまるで意に介していなかった。


それもそのはず、彼にとって自分の命など大事なものではなく、生きることを面倒がりつつもそれを上回る面白さがあれば張り切る生粋の刹那主義者であり、異星の神の誘いに乗ったのもこの世界にマシュという未練があったため。

趣味と実益を兼ねて人殺しをやっていることもあって、人類の未来にも関心がなく、キリシュタリアが目指す高次の存在になりたいとも思っていないため、彼女とは別の意味でクリプター同士の争いに興味はない。


そのうえ、異聞帯運営に関する一切合切がモルガンに一任されていることから、第1章introの定例会議でもそれを裏付けるように「自分がやったのは異聞帯の王のご機嫌取りだけ」と語っていた。その様子はオフェリアからは前述のとおり遊び半分と指摘されていたが、実際本人としては真剣なのはマシュに対する執心のみであり、クリプターとしては実質的に出る幕がない状態であるため、遊び半分でも問題なかったのである。同Introではカドックがカルデア陣営の来襲に備えて緊張していたところを「もしSOSがあったら知らせてくれ」と語っているなど、他のクリプターの面々が担当異聞帯の掌握に必死である中、他の異聞帯に関わる余裕があることが見て取れる。



他人からすれば、オフェリアの言う通り快楽殺人鬼という認識でまず間違いないだろう。

キリシュタリアからは非情な殺人者としての面も含めて買われていた彼だが、「殺すのも奪うのも生きていてこその喜び」という言葉がどの程度のものであるのか、それはキリシュタリアの理解の範疇には無かった。


ラスプーチンからはその生き様を「生粋の猟犬」と例えられ、クリプター陣営の獅子身中の虫であることを理解していたリンボからも危険度の大きさを知ると「まさかここまでの毒虫とは」と驚かれた。コヤンスカヤが商売さえ成り立たない相手だという評価を一度は下した原因もここにある。

極めて危険な担当異聞帯の状況も、キリシュタリアからその話を聞かされるとますます乗り気になっており、また、これらの様子はカルデアにいた時分にもそのまま当てはまっていたようで、マシュからはその在り方を全く理解されていなかった。



そして、異星の神に対して独自の策にもなっているオリュンポス攻撃計画を、他の誰にも知られないよう水面下で進めていた。


炎


具体的には、当初は異聞帯の王の魔術「ロンゴミニアドの槍」を使い、オリュンポスの空想樹を破壊して異星の神を降ろす器を消滅させるつもりであった。

定例会議でブリテン異聞帯自滅計画が明かされると、まずは指令どおりに空想樹を伐採した体でキリシュタリアの予定通りオリュンポスへ転がり込む。

キリシュタリアから「空想樹の観測に樹同士のネットワーク形成を活用している」という報告を聞くと意味深な反応を見せていたが、彼は既にこれをオリュンポス破壊の手段として利用できると踏んでおり、予め枯れていたブリテンの空想樹を燃やし、この炎を万全のタイミングで天幕のネットワークを介してギリシャ側へ延焼させることで、オリュンポスの破壊を達成する。



当初の計画を完了させた彼は、ここで本来ならブリテン異聞帯へ退散する予定だったのだが、キリシュタリアがカルデア陣営に語った目的を偶然知ると、急遽更なる行動に移る。


キリシュタリアの目標は、キリシュタリア以外の皆(全人類)を「神」へと昇華させ、人類としての弱さを克服する事であった。クリプターも異星の神の束縛から解放されるため、キリシュタリアからすればベリルが裏切る理由など無いように思えていた。ベリルとしても、当初はキリシュタリアは本来殺しの対象としてはリスクとリターンが合わないことを理由に興味を持っていなかった。

しかし、地球人類が全員神になってしまえば、誰もかれも普通の人間ではなくなってしまう。生きることを面倒に感じ、殺すことを生きがいにしてきたベリルにとって、そのような世界は、誰に対しても絶対の生存が保障されているために殺しを楽しむ事ができない最低最悪の世界である。

もともとブリテン異聞帯潰しの見返りとして、キリシュタリアの望みが実現した世界にて贅沢をさせてもらうことを条件にしていたのだが、このような世界では彼にとっての贅沢はどうあがいても成り立たない。事実上、約束を反故にされたに等しい状況である。

もし彼にとって殺人は目的のための手段に過ぎなかったなら、たとえそれ頻繁に行うような人物であっても別個の目的がある限りキリシュタリアの見立ても正解になりえ、異聞帯潰しの交渉条件にも支障はないと思われたが、殺しそのものが生きがいであったことをキリシュタリアは見抜けていなかった。


殺人を共通の趣味とするコヤンスカヤからはその本性を鋭く見破られており、「敵も味方もなく殺せる相手を探す飢えた野犬」にして、「つまらないヤツや殺していい理由のあるヤツ、殺したら可哀相なヤツなら躊躇なく殺す生粋の殺人狂」と言わしめた。

キリシュタリアに対してもオレはクズのままでいたいんだ。偉大な自分になんて、なりたいとも思わないと告げたことからも自分が血に塗れた殺人鬼である事実に自負を持っている様子が窺える。


自分と相容れない目標があったことを知ったベリルは、これを完全に破綻させるべく、キリシュタリアの暗殺を謀る。


サーヴァントも連れずに単独行動していたベリルはこの時、背後からの暗殺を回避して対峙したキリシュタリアに加えてカルデア陣営からも睨まれている状態であり、総攻撃に遭えば勝ち目は無いと思われていたが、前述の「妖精を裏切って狙われている身」であることを逆手に取り、ブリテン異聞帯の王によるロンゴミニアドの槍を "再現した魔術" を自分をビーコンにしてわざとオリュンポスへ落とさせる。

そしてキリシュタリアがオリュンポスを守ろうと術式を展開したスキを見逃さず、今度こそ致命傷を負わせる事に成功した。


ちなみにカドックに対しても、言葉通り負け犬であるなら自分の手で殺すつもりであったと語っており、当初の「敗北したクリプターだろうと大人しくしていれば手は出さない」という発言とは真逆のもので、オリュンポス破壊のタイミングを計っている間カドックを執拗に探し回っていた。それでも「弟分」という言い回しはしていた上に、カドックはベリルにとって「かわいそうなヤツ」と殺しの標的としての興味対象でもあり、その「」が彼にとって興味対象の殺害の愛情表現である事から、カドックの兄貴分という当初の言葉は間違いではなかったと思われる。

したがって「気のいい兄貴分としての側面」「下劣な殺人鬼としての側面」の2つが、ある程度の表裏一体を成しているのが彼の特徴になっている。

一方で同じく異聞帯を落とされたペペを相手にこうした行動を一切起こそうとしていなかったため、同じカルデア陣営に敗北したクリプター同士でもベリルにとってはまったく異なる認識だったようだ。また、報告会議で「身内」扱いしていたオフェリアに対しては「つまらないヤツ」とそもそも興味対象外であったようだ。


そして、空想樹を焼却したことで異星の神が降りる条件を失ったと判断したベリルは、この場に割って入ったラスプーチンに対し、今この地球上で最強の存在は自身の異聞帯の王であることを主張。

しかし、ラスプーチンがベリルを明確な敵対者とみなしたことで、身の危険をすぐさま感じ取り、予め取り付けていたコヤンスカヤの転移契約を使用し、ブリテンへと逃げのびた。


更に、キリシュタリアを手に掛けたため、それを知ったペペロンチーノに仇討ちを決心させたことで、すなわち奇しくもベリルが評した「真剣にさせたらヤバイ」という状態にさせてしまった。


かくしてクリプター陣営が実質瓦解したこの時、結果的に周りに敵を作りながらの状況下で、カルデア陣営との激突を迎える。


ブリテンにおいてはニュー・ダーリントンで数えきれないほどの殺戮ショーを開きつつ、汎人類史のことを教えた結果懐かれた妖精騎士トリスタンと行動を共にしている。また、予言の子抹殺のためシェフィールド攻防戦に顔を出したり、主人公の身柄を狙ってロンディニウム攻防戦に関与を計るなど、いくつかの戦いで前線に赴いていた。


その一方で過去に定例会議で報告していた「お姫様」の口調がモルガンとも妖精騎士トリスタンとも一致しないこと(実際は上記の通りベリル自身の適当な嘘である)や、同行していた頃の妖精騎士トリスタンが感知していなかった「風」によるなんらかのメッセージを受け取っているなど、水面下でモルガン陣営以外の妖精とのつながっている事を示唆するシーンも見られている。というのも所詮ベリルにとって妖精國とモルガンは、マシュと主人公達をおびき出す舞台装置かつ自身が暇を潰すための道具でしかなく、役目を終えた途端マシュ以外は文字通り『要らないし邪魔だから壊して捨てる事にした』からだ。


ロンディニウム攻略に失敗して敗走したウッドワスを発見すると、妖精騎士トリスタンに攻撃させる形で追い討ちをかける。だがこれは敗残者の始末ではなく、ウッドワスの霊基をコピーし、自身に取り込むのが目的であった。この時発動させた魔術は彼の祖母が開発したものだったが、自分で使わなかった理由は使用者の魂が腐ってしまうためであり、リスクをトリスタンに負わせつつ自身は霊基を吸収した結果、それまでは「自分も妖精騎士トリスタンもマシュには敵わない」彼自身も認めていた戦闘能力を、ギャラハッドの霊基を得ているマシュのシールドアタックを片手で跳ねのけるレベルにまで引き上げた。

この時、霊基のコピーを取り込む「近道」として、トリスタンに抽出させたウッドワスの心臓を(好みではないが)直接呑み込んでおり、2部開始時点のPVで口元が血に塗れていた演出がここで合致している。


その後も妖精騎士トリスタンとの共同戦線は続き、グロスターでのアルトリアとの決闘では、異聞帯おなじみのマスター同士の戦いとなったが、本来サーヴァント契約していない妖精騎士トリスタンをサポートする形で参加するうえ、マスター戦なのに一切令呪を使わず終了するという異例の事態になった。

ただ、他人に対して「おもしろそうか、つまらなさそうか」で判断していたベリルがトリスタンに抱いた印象は、これらに当てはまらない「すでに終わっている存在」 (詳しくは真名の項に譲るが、この時点で彼女は先代よりも前から『妖精の悪意に使い潰された』事で心身を壊し、文字通り『後がない』状態であった) と云うもので、後にトリスタンはウッドワスを攻撃した魔術の反動で、魂も肉体も腐敗が進んだうえに失意の庭を使用したことで体がまったく動かせない状態まで容体が悪化することになるが、このタイミングでベリルは彼女を見捨てて去っている。


そしてニュー・ダーリントンにて、ようやく本格的にカルデア陣営と衝突する。

妖精騎士トリスタンが引き起こした事件により、アルトリアと主人公がここの地下に閉じ込められたところを救出され、脱出寸前に出くわしている。

この地下では、半年にもわたってモース毒を人間にも感染するよう改良する悍ましい実験が行なっており、その成果であるモース人間を主人公やマシュに殺させることで精神的に追い詰めようとする等、殺しの場数の多さを物語るかのような、お人好しの弱点を知り尽くした陰湿極まりない作戦を張り巡らせていた。


しかし、カルデアに同行していたペペが一連の企みをいち早く察知していたため、彼の密かな立ち回りによりこれらを切り抜けて表情が曇っていなかった二人を見て「なんだその顔、見損なったぜ!それでも人理を守る正義のマスターかよ!?」と更に揺さぶりをかけてくる。(当然だがこの時点で二人は何もしてないし、気づいてもいなかったので完全に無意味であった)

そしてペペの奇襲を見抜き返り討ちにしたつもりが逆に彼の奇策にハマり、人間たちに感染させた全てのモース毒を自身が被り、地獄のような苦しみに苛まれることとなった。


サーヴァントなどは引き連れていなかったが、ウッドワスの霊基の写しによりブラックウルフとして自ら戦闘参加しており、彼自身の家系とも一致する姿であることを明かしていた。

ベリル落書き


逃亡したベリルだったが、その後モース毒は強化した肉体をも容赦なく蝕んでいった。

そしてブリテンが大厄災に見舞われカルデア陣営がこれに対処していたその時、「獣の厄災」との戦いを終えて一息ついたマシュを狙って姿を現し一撃を放つも、ペペの言葉を思い出した主人公が直感で駆けつけて庇った事で阻まれる。

その肉体は毒が回りきり、ひどい腐臭に覆われ、崩れては再生を繰り返す目も当てられない状態に陥っていた。


ここでベリルとの最後の戦いになるが、その立ち回りはまごうことなきマシュへの執心そのものであり、他のサーヴァントの動きを止めた上で執拗にマシュを攻め立てる。

最期はウッドワスの霊基さえ保てず力尽きるが、それでもカルデア在籍時代と変わらないマシュへの姿勢を一貫し続け、マシュからのきっぱりとした拒絶を受けると、満足そうに笑いながら事切れた


主人公の事も主軸としては、マスターとしての評価以前に「自分からマシュを奪った間男/間女」という私怨による偏見でしか見ておらず、同様にマシュをシェフィールドの領主ボガードに売った三人組の一人ウィンキーから、一連の情報を聞き出した後抹殺したのも、妖精騎士トリスタンをけしかける形でボガードを必要以上にいたぶり殺したのも、「マシュは自分だけのものだ。邪魔をするな」精神に基づく嫉妬と逆恨みによるものであり、『Fate/Grand Order フロム ロストベルト』でもキリシュタリアを謀殺した際、内心では「神様になればマシュを愛(壊)せなくなる」という (あくまでも本作における一解釈ではあるが、恐らくは限りなく本音に近い) 愚痴をこぼしてる為、何処までもマシュという愛する存在を中心でしか見ていなかったのだった。これがベリルが見せた唯一無二の人間味なのはなんとも皮肉である。


ちなみにクリプターとしての枠を根本的に逸脱した例外を除けば、大令呪(シリウスライト)を使おうともせず退場したクリプターは彼が初めてである。

(これはマシュを手に入れる為の『切り札』として最後まで取っておいたと考えるのが得策だろうが、今思えば彼の実態を視野に入れると、令呪そのものがモルガンと繋がるだけのパスとしてしか意味を成さない状態であったため、大令呪(シリウスライト)自体が使えなくなっていた可能性も大いにあり得る)


さらに程なくして妖精國は大地もろとも跡形もなく崩壊する結末を辿るのだが、ここまで大きな崩壊および汎人類史への「崩落」の波及は、結果論だけで言えばモルガンの活動が引き金になっており、モルガンが呼び出されていなければブリテン滅亡の形も更地のままだったことを考えると、ベリルが「世界を壊せるもの」というリクエストをしてモルガンが召喚されたことには必然性があったと言える。


そしてそれはキリシュタリアがこの異聞帯を滅ぼそうとした懸念事項そのものである。二部五章でキリシュタリアに言った「アンタの敗因は忙しすぎたコト」「一度でもブリテン異聞帯を訪れていたらここをオレに任せるなんて甘い対策はしなかった」とはまさにこのことであり、皮肉にもキリシュタリアがベリルをブリテンに送り込んだことで、結果的に懸念が現実へと発展したのだった。


また、マシュが記憶喪失であった頃に予言の子と期待されていたのを見て、「人(妖精)助けするほど良心の呵責に苛まれた挙句、予言の子として振舞うほど最後に絶望するようにこの世界はできている」21節ロストウィルで「ブリテンに屍人はもうひとりしかいない」と語っていたが、妖精國においては住民たる妖精の変質によって、善性や理性のある者ほど酷い目に遭って破滅する事実、そしてこの世界が剪定事象になった原因を見抜いていたことから、かなり早い段階でブリテン異聞世界の本質を把握していたようだ。

もっとも計画性の有無という違いだけで、ベリルもまた性格と価値観的な面で見れば奴らと似たもの同士であり、一種の同族嫌悪故の理解と捉えることも出来る。

さらにそれでいてマシュの良心を崩壊させる為に利用したのだから、尚更彼の方がタチが悪い。



能力編集

ネタバレの通り「半魔女」であり「混血」。さらに魔術師としての歴史も古いらしい。(年齢も数百歳の可能性がある)

黒魔術師であり、獲物の追跡、自身の姿の隠匿、死に至る毒、業の腫瘍化、苦痛の増加、不運の前借りなどの魔術を有する。強力なものではデメリットに自身の魂を腐らせるようなものもあるが、そういった魔術は他人に副作用について黙った上で使わせることでデメリットを踏み倒している。だが本人曰く面倒なのでピストル一丁を使う方が好ましいらしい。


とくに強力なのは「他の生き物に化ける」術式。儀式に時間がかかり、なりたい生き物の要素を材料として集める必要があるが、「サーヴァントをも蹂躙する大妖精」であるウッドワスにすら化けられる強力な術式。


竹箒日記での奈須氏の語りによると、本編で結局使われなかった令呪は某麻婆神父のようにサーヴァントへの命令ではなく自己強化として用いる予定で、固有結界(下記)まで張り、『スラックスナーク』というかつてマインスターの魔女が使役した使い魔とよく似た名前の魔術を使う予定があったことが語られている。


特にその詳細は不明だが『猟奇固有結界・レッドフード』なる固有結界を隠しており、それは「人間」としては衛宮士郎に次ぐ術者である魔術の秘奥である。魔術師としての到達点であり、キリシュタリア・ヴォーダイムですら有さない特別な能力。(もっとも、通常の外部展開する結界ではなく、ネロ・カオスや衛宮切嗣のように体内で完結する固有結界の可能性もあり、純粋な人間ではなく、人以外のものと交わった人間の末裔である混血であるため、のような「怪物としての固有能力」である可能性もある。)



文句なしの大魔術であり、家系の古さや他の異能との混血も裏付けになっている通りAチームに抜擢されるに相応しい凄腕の魔術師であったことが窺える。


しかし、ボイスまで収録済みだったこれらは、仕様の関係上泣く泣くボツになってしまったという。


なお純粋な実力ではクリプター中四位でペペロンチーノの下位互換であるらしい。本人は他のクリプターを舐めており、何時でも殺せると思ってるらしいがそれを知ったペペからは、「そう思うならそれでいいんじゃない?」と大人の余裕で受け流されているらしい。



以下、ネタバレありの余談編集

最近の章の例にもれず、2部6章前編配信時でもAP回復アイテムである黄金の果実が配布されたのだが、この時のバナーはよりにもよって彼。キリシュタリアは林檎農家とネタにされたが、彼の場合は上記の行いもあって「毒盛ってそう」だの「顔面に投げ返してやりたい」だのとさんざんな言われようだった。


……が、2部6章前編配信から後編のつなぎとして開催されたイベントがよりにもよってネロ祭復刻(おまけに復刻の際によくあったBOX上限の設定は無し)。見ようによっては敵に塩を送るどころか無双体制を整えさせるというギャグみたいな状況が出来上がってしまった。

前編時点で大事な後輩と離れ離れになって鬱憤の溜まっているマスター達はここぞとばかりに殺気を高めていった(なお、その件に彼自身は全く関わっていないので、とんだとばっちりである)。

また一方で、大事な後輩が大変な目に遭っているかもしれない時に全力でお祭りに興じるカルデアのマスターの姿にドン引きするベリルの二次創作なども見られた。


2021年7月27日の6周年記念オンラインイベントにおける朗読劇では、ネタバレ防止のためかベリルがキリシュタリアを刺すシーンが飛ばされ、「ベリル・カット」というネタまで生み出してしまった。

そして、2022年7周年記念イベント1日目ラストの朗読劇では、他の登壇キャストが演じたキャラはその結末が描写されたが、登壇キャストのキャラの一人に数えられていたベリルの結末は去年の朗読劇に引き続きカットされたことで、ベリル・カット再びとなった。

クリプターの中でも際立つ悪性故に多くのプレイヤーからヘイトを買っていたが、いざ2部6章が終わってみれば彼以上に酷い悪性が渦巻く展開だった上、予想されていたほどストーリーに絡まず(マシュに執着してストーカーと化すのではないか?と予想したプレイヤーも少なくない)死んだ為、相対的に「良くも悪くも等身大の人間」「行き当たりばったりの生き方しかできない破滅型純愛青年」「本当に運良く殺されなかっただけの奴」という印象で終わる結果となり、多くのプレイヤーが拍子抜けすることになった。


たとえ話の一つとして、「ベリルがサイコスリラーの犯人だとしたら、妖精達はモンスターパニック映画やホラー映画の怪物」「激しい内戦と1人の殺人鬼の被害を比べるようなモノ」と形容されたことも。


また、彼が手にかけた主要人物の何人もが、実際は彼が手にかけるまでもなく死ぬことが確定していたという、読み手の視点ではヘイトの買い損とも取れる間の悪さがあった。

キリシュタリアは空想樹を燃やされた段階で異星の神に命を取られる運命から逃れられず、ペペは手にかけた際に既に満身創痍だったことを気づかされているため、殺しのリターンを受け取っていなかった形である。


一方、彼のマシュに対する歪みすぎている気持ちに関しては、それが愛であるという事実を正しく理解できたのはマシュ本人のみであり、そうであっても「愛の在り方」としては理解不能であることをマシュ本人から直接断言されるという結末でケリがついており、悪役として2部6章におけるひとつの愛の物語をしっかり完結させている。(2部7章にてデイビットからその最期をクリプター内で唯一の勝ち組だったと評されている)


また、CVをつとめた石谷氏はサービス開始初期から『FGO』をプレイしているが、マシュを一切育てないプレイスタイルを当時から貫いており、ベリルがマシュに抱く感情との共通性を見出したことで「ベリル役としてこれ以上ない適任だったのでは」という感想を持つマスターも少なくなかった。


関連項目その2編集

2部における恋愛下手同士としてよく比較される。マスターの為を思って行動しようにも世界を焼き尽くすことしかできないスルトと、身代わりとして危険な大令呪を引き受ける代わりに苦しむ姿が見たいベリルとで、どちらがマシなのかは意見の分かれるところである。


同章における「愛するものを傷つけずにはいられない者」つながり。こちらもベリルと比較されることがあるが、そもそもバーゲストは身に受けた呪いを非常に嫌悪しており、克服しようと努力を重ねているため、ベリルと同類扱いすることは彼女に失礼だろう。ちなみにベリルはモルガンとの問答において、そんなバーゲストの在り方を「最高に面白い」と評している。バチ当たりもいいところである。


愛するものを殺さずにいられないならガッツで受け止めればいいじゃない」を地で行く究極のバカップル。ベリルが見れば間違いなく例のドン引き顔を晒しているだろう。


終編における彼女が吹聴した内容と、統治しているソールズベリーとベリルが拠点にしているニュー・ダーリントンとの関係性から、裏でモルガンに関する情報を流していたと思われる相手。オーロラは自己愛のために不特定多数の犠牲はおろか、自分の生命さえ何とも思っていないので、目的は違っても完全な類友といえる。

同時にある人物への恋心と執着心が、自身の破滅への引き金になったという皮肉な共通点も併せ持っている。


自分が偽物であると自覚しながらも全く意に介さない者繋がり。彼女の同期曰く、「偽物は自分を偽物と認識出来る知性を持つが故に、自身を偽物と知れば自我に押し潰され崩壊する」と述べており、ベリルは彼女と同様に、自己という物に徹底的に無頓着である事が示されている。

事実、とある英霊が造り出した自分自身の偽物は、自身が偽物であると知ると自己統一性を保てずに崩壊していた。


型月作品において、異常な恋愛感情を向けながらもその相手に振られた者繋がり。ベリルという人物はどちらかと言えばFateシリーズの人物というよりも、彼のような『空の境界』に出る面々のようなメンタリティに近い。


規模は違えど、愛に狂った末に世界を破滅させたという点が共通しているマスター。(こっちは未遂)

彼女とサーヴァントの関係性と結末で見れば、オーロラとメリュジーヌの関係に近い。


実はスワンプマンという点では共通点がある。

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