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曖昧さ回避

  1. バイオハザード7」のDLC『END_OF_ZOE』に登場するボスクリーチャーの名称。
  2. 哲学における「同一性」をテーマにした思考実験の一種。本稿で解説
  3. SCP財団日本支部のオブジェクトの一つ。2を元ネタとしており、性質もほぼ同じ→SCP-916-JP
  4. もしかして→沼男


概要

アメリカの哲学者であるドナルド・デイヴィッドソン教授が、1987年に発表した論文「Knowing One's Own Mind」にて記載されていたたとえ話、それが『スワンプマン』である。

内容

ある男が沼地に訪れた際に、運悪く落雷が直撃し男は死亡してしまう。しかし、ほぼ同時にすぐ近くに雷がもう一つ沼に向かって落ち、雷の高圧電流と沼の汚泥が化学反応を起こし、落雷で死んだ男と同じ姿形・遺伝子・能力・人格・死亡する直前までの記憶、着用していた衣服や所持していた私物すらも全てが寸分違わぬ同一の生命体「沼男(スワンプマン)」が誕生した。

スワンプマンはその後何事もなかったかの如く、死んだ男の家に帰宅し、死んだ男と同じ日常生活を送っていった――。

補足事項

上記の内容は主に世間に広まっている大まかなものであるが、デイヴィッドソン教授の論文内では、落雷は男ではなくすぐ傍の沼に沈んでいた枯れ木へ直撃。男はそれに巻き込まれて死亡し、そして雷に打たれた枯れ木がスワンプマンに変化したものとなっている。

死んだ男とスワンプマンは同一存在であるかについての考察

さて、前述通りスワンプマンは精神も肉体も死んだ男と同じものを持っているが、果たして彼らが「本当に同一存在であるか否か」がこのテーマの重要ポイントとなっている。

男とスワンプマンのみで比較した場合、確かに肉体面では同一であっても、死んだ男は「落雷で自分が死んだという認識、それが適わない即死などの場合は打たれる直前までの記憶」を持っているが、一方でスワンプマンは雷に打たれるまでの記憶を持っているだけでなく「落雷を運良く避けられた、または受けてしまったが奇跡的に無傷だった」と言った具合に、死んだ男とは異なる「その後の認識」を有しているため、精神面と時間の概念上においては彼らは同一ではないという見解が可能となる。

また、それ以外でも

  • 死んだ男の遺体が発見された場合
  • 男が実は一命を取り留めており、奇跡的に五体満足で生還した場合
  • 逆に生還を果たしたものの、過去の記憶の一切を失う、または身体に重篤な後遺症が残ってしまった場合
  • そもそも、スワンプマンが男の分離体である以上は同一存在とは言えない

などといった状況の場合、男の友人や家族、スワンプマン本人はどのように捉えるか……といった、複数のシチュエーションや仮説を交えた議論がこの思考実験の面白味となっている。

関連イラスト

『沼男-SwampMan-』



関連タグ

哲学 ドッペルゲンガー 同一存在 アイデンティティ

テセウスの船……こちらはギリシャ神話の英雄テセウスのエピソードを由来にした思考実験の一種。

景の海のアペイリア……スワンプマンを扱ったエピソードあり。

スワンプシング……DCコミックの作品の一つで、“スワンプマン”という設定や概念としてはこちらが先出。該当者は主人公のアレック・ホランドであるが、肉体の構成物も同一であるスワンプマンとは異なり、こちらは人の形をしているものの体を構成しているのは植物そのもの。

女王ヒル……始祖ウイルスの実験で誕生した、ヒルをベースにしたB.O.W.の頭角個体。生みの親であるジェームス・マーカス博士の遺体を、彼の精神とDNAを諸共に取り込み変異した、言わば上記のアレックのヒルバージョンと言える存在。

ジャック・ベイカー……曖昧さ回避の項目に記載したクリーチャーのオリジナルとされる人物。青アンブレラ社の推察において、「特異菌との高い適合によって異常な再生力を持ったジャックの肉体の一部が、オリジナルに似た形状と行動原理を有しつつ変化・成長を遂げた分離体」とされ、更にスワンプマンという呼称は出現した場所が沼地であった事を加味したダブルネーミングとなっている。

蒼崎橙子……スワンプマンのような「自身と完全に同一の複製」を自ら作り出せる魔術師(人形師)。なお、前述した同一性の問題は「全く同じ性能ならばそれも自分だろう」と割り切っており、その点でも異質と見られている。

ベリル・ガット……自身が召喚したサーヴァント・モルガンが、異聞帯の過去の歴史を改竄し、妖精國ブリテンを建国する際に、パラドクスの要因を孕んだ自身を彼女によって抹消され、改竄が完了した現代において彼女の魔術によって完全なコピー人間として復元された。つまり「魔術版スワンプマン」と言えるのだが、ベリル本人はその事実も同一性の問題すらも一切を意に介していない、橙子とは違った形で異質な人物。

デイビット・ゼム・ヴォイド……10歳の頃、伝承科の有する「ある条件下で発動し、周辺にいる生命体をその宇宙から他者の記憶や記録を含め存在そのものを消去する」効果を持つ『天使の遺物』に父親と巻き込まれてしまったが、彼だけは奇跡的に自身のそれまでの記憶や肉体を維持(正確には瞬時に消滅からの再構築)して存在が残った。しかし、外宇宙と接触してしまった影響でその力の一端を行使出来るようになったが、一日の内5分間分しか記憶を保持出来ず、更には思想・視点、在り方すら地球人類とはかけ離れてしまった。
上述の橙子とベリルとは、精神性や能力が以前とは異なる点、デイビット自身は同一性の問題に関して以前の自分とは変質している点も含め自覚が及んでいる事が決定的な違いとなっている。

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