概要
1.について
世界の安全保障上の脅威となる異常な物品を人類から隔離し、Secure(確保)、Contain(収容)、Protect(保護)する事を活動理念とする架空の団体「財団」を舞台とするシェアワールド創作サイト「SCP Foundation」。英語圏発祥のそのコンテンツの日本語版となるのがSCP財団日本支部である。
『SCP Foundation』は英語圏発祥である為、全ての記事は英語によって書かれていたのだが、有志がFC2wikiの「非公式日本語訳wiki」にて本部記事の翻訳を行い、誰もが読める状態にしていた。翻訳記事を読んだ人間が翻訳作業に参加し、更に多くの記事を翻訳する――という事を繰り返す内に日本内での『SCP Foundation』の知名度は上がっていったが、当時は日本語で創作=記事の執筆を行えるサイトは存在せず、英語力の無い者は翻訳作業にも本家wikiの創作にも参加できないという状態が続いていた。
そこに目を付けたDr Devan氏(旧名Devanos氏)が日本独自の創作を行う場所として「SCP財団日本支部」を設立し、脳内にネタを溜め込んでいた多くの人がそこに集まり、今の「SCP財団公式日本支部」となった(なお、Devan氏は韓国支部の設立にも貢献し、本部を含めた各国の財団支部でも精力的に活動している人物である)。
2017年、翻訳wiki側は「『日本におけるSCP Foundationの知名度向上』という自分たちの目的は既に果たされた」として日本支部への翻訳機能の移管=日本支部への統合を提案、日本支部側はこれを受け入れることを決定した。同年7月1日をもって両サイトは正式に統合し、旧非公式日本語訳wikiはサイトを閉鎖。本家からの翻訳記事は全面的に日本支部に移設され、これ以降新たな本家記事の翻訳・掲載も日本支部で行われることになった。
日本支部 | 非公式翻訳wiki | 本家SCP財団 | |
---|---|---|---|
システム | アカウント制 | 匿名 | アカウント制 |
翻訳 | 非公式から随時転載 | メイン | 創作と同時進行 |
創作 | メイン | 無し | メイン |
本家との関係 | 支部サイト | 非公式翻訳サイト |
日本支部の特色としては、アイテム番号の後ろに-JPが付き(SCP-XXX-JP)、収容サイトの識別番号は81から始まる四桁の数字(サイト-81XX)となっている。これらは活動初期のサイトメンバーが「本家の世界観を損なわないように」と話し合った結果である。
pixivにおいては日本支部で創作されたSCPのイラストにこのタグがつけられている。SCPの世界観に登場するSCP財団日本支部、およびそこに所属する職員についてはSCP財団日本支部職員を参照。
2.について
異常な性質を持つ事物「オブジェクト」を確保・収容・保護し、人類の破滅を阻止することを至上命題に掲げ、世界規模で活動する超政治的組織「財団」。その日本における支部組織である。地域ブロックに割り当てられた番号から「81地域ブロック」とも呼ばれ、日本に存在するサイトやエリアを示す番号も「81~」から始まる。本部のO5評議会とは別に7人の理事で構成される日本支部理事会が存在し、彼らが管理に当たっている。
財団が日本に本格的に進出するにあたり、後述の蒐集院の組織及び蒐集物の大部分を財団が吸収する形で成立したらしい。
基本的には本部からある程度自立して運営されているようだが、その実態は不明。作品によっては本部に対して面従腹背、あるいは逆に支部自体が本部の捨て駒として作られたものとして描かれる場合もある。
また、「財団のような国際性を有する組織が、独立性の高い支部を設置する意義がない」と考えるサイトメンバーもおり、あくまでも本部の管轄下にある81地域ブロックにおける財団の活動拠点である、とする解釈も支持される。「日本支部」という独立性の高い組織の存在感が強いのは、執筆者の中に「日本支部」のヘッドカノン(脳内設定)を採用する者の多さゆえであり、ある種のローカライズと捉えることもできるだろう。
オブジェクトの傾向
突飛であったり、かなり捻られたものが多い。また、過激なスプラッタではなく、じわじわと忍び寄るような日本の怪談話やJホラー特有の恐怖が好まれているようである。
当然のことながら、本家のオブジェクトが英語圏での伝説や作品を元ネタとしていることがあるように、SCP-JPでは日本における伝承や小説などが発想の元となっているものも見られる。
翻訳の都合上、表現が固くなりがちであったり、あちら特有の情報や表現が使われていたりする本家記事に比べて、報告という体裁は保ちながらも砕けた表現や分かりやすい書き方がされてることも多く、この点では人によって好みが分かれるだろう。
Pixiv百科事典に記事の存在するSCP-JP
要注意団体
日本支部にて確認されている、SCPにまつわる団体ないし集団。これら以外にも登録条件を満たしていると思われるものもある。また、本家の要注意団体が登場、あるいは関与が示唆されることもある。
- 日本生類創研 ( - しょうるいそうけん)
生物や生命体を研究し、意図的に異常な性質を持った生物を誕生させている団体。名称から研究者集団のようだが、実態は不明。略称は日生研、ニッソなど。
研究対象を破棄する際の処理がいい加減であったり、対象が逃走した場合にもあまり熱心に回収しようとせず、場合によっては明らかに放置したりと管理が杜撰な傾向がある。人間を害する存在を生み出すばかりか、人間までも実験や材料に用いることがあり、人命に関する倫理観も推して知るべし、という狂科学者の集団と見なされている。
SCP-444-JPは彼らの作……というかむしろ「邪神に呼ばれて封印を解いてしまった」とでも言うべきことをしでかしたらしい。
- 東弊重工 (とうへい - )
現代科学を超えた技術力で異常な性質を持つ様々な製品を作り、販売している団体。一応営利団体であるため、使用者に無暗に被害をもたらさない便利なものを開発することもある。
複数の工場があるようで、複数回にわたる財団の調査(ガサ入れとも言う)を受けているのだが、やたらフットワークの軽い彼らはたいてい襲撃の直前には拠点を放棄、逃亡しており、捕捉には至っていない。
なお、SCP-373-JP「モノづくり集団」は日本生類創研との合作と見られる。
- 蒐集院 (しゅうしゅういん)
日本に古くから存在し、異常な物品を蒐集・管理していた組織。異常な物品に対する方針が財団と似通っていたこともあり、財団が日本での勢力を拡大する中で主立った人員・施設が財団に吸収され、他の人員も各種団体に流れたことで組織としては消滅した。一部の作品では、蒐集院の幹部格がそのまま横滑りで初代日本支部理事となったと描写されることもある。
組織の解体に伴って過激な一派が幾つかの物品を持ち逃げしており、未だにその残党が活動を続けており、財団からマークされている。
オブジェクトの蒐集や管理には、卜占や呪術、神道や修験道に由来する宗教的・非科学的・非論理的な手法を用いていた。収容対象によっては現在の財団においても有用な手段が存在するため、収容計画の参考にされている。
- 闇寿司 (やみずし)
「爆転ニギリ スシブレード」(SCP-1134-JP)で登場する邪悪な寿司職人の集団。スシブレーダーでありながらハンバーグやラーメンも「寿司」と見なして戦いに用いる、邪道に堕ちた者たち。
「親方」の寿司職人“闇”を筆頭に「スシの暗黒卿」や、10人以上いる「四包丁」などの階級があり、スシブレードによる世界征服のため、それを阻止しようとする光のスシブレーダーたちとの激闘を繰り広げている。
寿司(または寿司として扱う他の食品)による破壊行為に及ぶ、寿司という概念や認識への干渉を行う、他の要注意団体と接点を持つなど、財団にとっては冗談抜きの監視対象。彼らの戦いを財団が淡々と記録・収容する世界線や、光のスシブレーダーを支援し積極的に闇寿司へ立ち向かう世界線、スシブレードが世界的競技になっている世界線といった複数のストーリーラインが形成されている。
Pixiv百科事典には今のところ、暗黒卿の一人・御蓮寺恋治の記事が存在している。
- 石榴倶楽部 (せきりゅう - )
京都を拠点とする人肉嗜食者の会員制倶楽部。「石榴」はザクロを意味しており、俱楽部において人肉を指す隠語。定員は10名で、それぞれ「橋詰・椎名・六角・早瀬・宇宿・東条・舟越・秋津・手塚・浮田」を名乗り、逝去・脱退・除名などで欠員が出ると新たな人物を招待して空いた名跡を襲名させる。このため、同じ名前の人物に関する記述があっても必ずしも同一人物というわけではない。日本生類創研などほかの要注意団体と連携して人肉を用意している。
- 恋昏崎新聞社 (こいがれさき - )
静岡県から入ることのできる隔離次元「恋昏崎」にある新聞社。財団に対して偏向報道や捏造記事を書いている。デスクは広末孝行(ひろすえたかゆき)。明大政治経済学部卒、東弊重工本社総務部で10年勤続後退社し、恋昏崎新聞社へ入社。
- 犀賀派 (さいがは)
時空物理学者を称する「犀賀六巳」氏と、その信奉者から成る集団。複数の平行世界を往来できるようで、オブジェクトを使って各世界の「救済」を行っているらしい。その過程で財団を含む各種要注意団体に関する知識を得ているらしく、行動の秘匿に長ける。一部作品ではオブジェクトを財団から持ち出したことすらある。
平行世界“全体”の救済を目的としており、必要とあらば特定の世界線を切り捨てても多数を守ろうとするため、それぞれの世界線で活動する財団とは折り合わず、財団は犀賀派の行動を監視している。
- "博士"
本家の要注意団体の一つである「ワンダーテインメント博士」と似た特徴を持つ人物或いは団体。
ワンダーテインメント博士が一応は娯楽目的で物品を制作し、注意書き通りに使用すればそれほど深刻な被害は出ず楽しく遊べることが多い――のに対し、「博士」製のオブジェクトは確実に何らかの被害が出るよう作られているものが多く、悪意のある愉快犯であると推測されている。
更に本家は「楽しんでね!」と楽しめる使い方をすることをお願いしているが、こちらは「楽しもうね!」とどんな被害が出ようがそれを楽しむことを強制してくる。
時には他の団体を名乗ることもあり、悪質な模倣犯の側面も持つ。構成員と思わしき人物との接触例が少ないため、詳細は不明。財団の存在を把握している。
様々な狼藉を働いているせいか、一部の投稿では他の要注意団体(特に、露骨にパクられた本家のワンダーテイメント博士)と衝突しているらしい形跡も見られる。
- 大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称 "負号部隊")
1937年に陸軍と蒐集院の協力のもとで設立された、オカルトとテクノロジーを研究する旧帝国陸軍に属する部隊。通称として「負号部隊」という渾名が付けられていた。部隊内には「ツチグモ」「ジョフク」「タタラ」という3部隊が存在し、それぞれが専門の分野を受け持って研究を行っていた。
不死の兵士を作り出す「トキジク計画」を始めとした、呪術と科学を融合させた兵器の研究と作成を目的としていたようだが、不死の兵士の創製に関しては成功しなかった模様。1945年の終戦時に組織は解体され、殆どの技術が財団によって回収された。
- 販売員ミヨコ
異常な美容品やサービスの販売及び提供を行っているスーツ姿の女性。主にピンク色のパッケージをした女性向けの商品を扱っているが、男性向けの商品も存在する。使えば確かな効果はあるものの、外見に対し恒久的な被害を受けることになる。
複数人で「販売員ミヨコ」を名乗っている可能性があり、実際にアノマリーによって使用者を「販売員ミヨコ」の人格へと変えてしまっている。
「イワナガ美容組合」なる組織に所属しているらしいが組織内での具体的な立場は不明。
- 酩酊街
平行世界あるいは異空間に存在する、忘れられたものが行き着くとされる場所。常夜に包まれ雪が降り続ける街には、どこからともなく酒の香りが漂ってくるという。
酩酊街が起源のオブジェクトは挙動が比較的穏やかであったり、暴露者にセラピーじみた影響を及ぼすといった傾向にあり、大抵 「 酩酊街より 愛を込めて 」 と締めくくられる親しみのこもった文章とともに発見される。
酩酊街に繋がるいくつかの「道」が発見されており、その大半に「案内人」を名乗る人物(あるいは人の姿をしたもの)が存在している。案内人の発言や関連する文書によれば、酩酊街の存在理念は「酩酊・忘却・停滞」であるようだが、案内人や一部のオブジェクトはこれを良いものとは思っていない様子で、酩酊街への来訪者をそれとなく現実に留まらせようとする。
財団を始めとした他の団体との接触は無いに等しいが、要注意団体の「如月工務店」は酩酊街の理念に賛同できずに決別した団体であるらしい。
- 如月工務店
異常な建築物やエリアを構築することが多い建築団体。しばしば「有限会社」と付記される。
「鬼」の血を引く者達で構成されているとも示唆され、一時は酩酊街に身を寄せていたようだが、迫害されていた恨みを忘れて生きようとする酩酊街の主流派からやむなく決別し、人類に害意を向ける。
一般的な工務店を装い、表向きは受けた依頼を安価かつ迅速にこなす優良企業という印象を与えるが、依頼の内容を曲解・拡大解釈して施工の裏に異常性を仕込むため、財団が認知するまでに相当の被害が出ている事も多い。保有する技術ないしは手段によって恒久的な時空間の歪曲すら実現しており、材料と称して生贄を用いたと思しきケースも珍しくない。
生贄とされた人間がどうなるかは彼らの仕事内容によって異なるが、「永遠に1999年12月31日23:50分に閉じ込められる」「バグマップの様に裏世界に落ちたり、セリフプリセットがバグったような前後のつながらない文脈で話し続けさせられる」「世界中のありとあらゆる存在から忘れ去られ、同じ境遇に陥ったものか、暴露前に自分を知らなかったものにしか認識されなくなる」など、大抵は死んだ方がマシな目に遭っている。
- 日本超常組織平和友好条約機構(JAGPATO)
独自の動きを強める日本政府諸機関への監視の為、財団、GOC、日本政府が同条約を結び設立された要注意団体。各機関からの出向によって組織が維持され、加盟組織間の紛争調停にも関わる。
登場記事は多くがポリティカルフィクションな味付けだが、大怪獣や五行結社が起こした大事件に対処する為に連合軍を組んだりと、ロマン溢れる作品も見られる。カノン-JP『オフィサー、ドクター、ソルジャー、スパイ』に多く登場する。
財団から加盟組織への情報漏洩の原因となるなど懸念もあるが、逆もまた然り、GOCと共に機構を「必要悪」とみなしており、今日も今日とて政治的工作が激化しているようだ。
二次創作者への注意
SCP Foundationに関連した二次創作は、「クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0」という規約の下にある。この規約を要約したライセンスガイド(日本語版)によると
>当サイトのコンテンツを二次利用する際は、 |
> 著作権者の表示 |
> 利用する記事の名前を表示 |
> (可能であれば)元記事へのリンク |
> 作成したコンテンツのライセンスにクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0と同じものを採用する |
以上が二次創作の条件である。このうち、著作権者に関しては
>この場合の著作権者とは、元記事を初めに執筆したユーザーのアカウント名を指します。 |
となっている。著作権者(執筆者)の情報は、英語版Wikiの記事やユーザーページで確認出来る。
なお、上記の条件を満たす限りは商用利用可であり、他のサイトの作品と混ぜる(クロスオーバーする)ことも可能とされている。
但し、SCP-173に関しては例外であり、営利目的の利用は一切認められないことに注意すべし。
これはSCP-173の元ネタ『無題2004』の作者である加藤泉氏に対し、財団から利用の許可を求めた際、非営利に限り利用を認めると条件を提示されたためである。
他にもSCP-111、SCP-1926にも同様の規定と制限があるので注意。
これに違反した場合は法的措置も検討していることから、SCP-173及びSCP-111、SCP-1926を創作に組み込む場合、金銭授受は一切行わないのが無難である。
補足
web小説サイトの中には「二次創作は(原則として)ホワイトリスト化されている許諾済タイトルのみ」(ノベルアップ+やカクヨムなど)というサイトも存在し、こうしたサイトにSCPの二次創作を投稿すれば許諾外二次創作として通報されるのは明らかである。特にアフィリエイトシステムを実装していたりする場所の場合、SCPの二次創作で収益を受け取れてしまうケース(たいていが裏技に該当するのだが)もあるため、小説サイト側の規約を確認することも必要だろう。
(通報後に即削除となるかは内容によるが、一次創作しか投稿不能なアルファポリスのようなサイトにSCPの二次創作を投稿すれば、削除されるのは確実なので真似をしないように)
投稿するのであれば二次創作の投稿が容易であるpixiv小説やハーメルンなどが望ましいだろう。
ちなみに
財団日本支部における記事の投稿速度は他国支部に比して頭ひとつ抜けており、翻訳と創作を行う場が分離されていたこと、トラブルが少なかったことなどもあってか、開設から3年目で目録の内の1000件近くが埋まるという驚異的なスピードで発展している。
既に大台の「1000-JP」以降も開放されており、これは本家以外の支部では初の快挙でもある。その凄まじい成長は本家から「日本にはSCPを生み出すSCPがいる」というコメントが寄せられたという噂もできるほど。現在は「3000-JP」以降も解放されている。
10周年について
詳しくはSCP財団日本支部10周年を参照。
外部リンク
また、The SCP Foundation自体とは直接の関係はないものの、アニヲタwiki(仮)において、有志がSCPの項目作成を行っている。
各SCPの報告書(記事)の内容のみでは「果たしてそれが具体的にどのような性質を持ち、何を引き起こす、一体どのようなオブジェクトなのか?」を読み取るのが困難な、難解なSCPに対する一つの解釈として、理解の助けにはなるだろう。
→ アニヲタwikiにおける「SCP Foundation」の項目