概要
オブジェクトクラス:Euclid→Keter
SCP-488-JPとは、シェアード・ワールドSCP_Foundationに登場するオブジェクト。日本支部が抱えているオブジェクトの中でも恐ろしく面倒な部類に入り、オブジェクトクラスはEuclidからのKeterである。
コイツはタイリクオオカミの一種が突然変異して人型になった生物である。報告書に記載された情報によると、強力な現実改変能力を持ち、自らの情報について書かれた文章の作成者を自らの能力を用いて(おそらく現実改変して)無残に殺害するらしい。
コイツの現実改変に引っかかる情報媒体は、文書、肉声、音声、画像、動画などが当てはまる。さらにコイツの現実改変能力を使用された人間の情報は明文化することすら憚られ、コイツが客観的な視点から見ても倫理観に欠けた、凶暴で残酷な人狼であることを示すようになる。
この現実改変能力は対象に対して全体的でなく、身体の一部の改変、機能不明な部位の追加という醜悪な形式を取る。改変された対象は大抵(データ削除)される。犠牲者の復旧の手段は財団でも見つけられず、講じた試みは全て更なる改変という結果となった。
このオブジェクトの発見の経緯としては、ある山の周りで人狼の噂が広まっていたのを聞いた財団が機動部隊を派遣。にもかかわらず誰一人として帰ってくることなく次々と犠牲者や被害者が発見され、追加の部隊も同じく帰ってこなかったことから財団が注目し、調査によって現実改変能力を持つことが明らかとなり、多くの犠牲を出しながらも収容に至った。
さらにこのSCiP、他のタイリクオオカミと比べて圧倒的に運動能力が高く、シャチやクマですらコイツの前では劣る。そのため改変能力を使用するまでもなく周囲の動物を支配して生存してきたと思われる。
そんなヤバすぎるSCPのため、収容方法も普通のものであるわけがなく、厚さ20cmの外壁に囲まれた5mの立方体の部屋に収容されている。
さらにコイツの食事は1日に2回適切なものとして人間の子供を与えるという司令が出ている。それほどヤバいのだ。
しかもコイツは繁殖能力が半端なく高く、もし適切な処置が行われなかった暁には周囲の民家などに被害が及ぶ確率も低くはない。そのため確保、収容、保護をモットーとする財団内でも大変問題視されており、現在では機動部隊だけでなく研究員ですらSCP-488-JPの繁殖活動を見かけた際は妨害することを補助するように指示されている。
…ほんとヤベェなコイツ。
財団の明日はどっちだ。
この文章は情報管理チーム「赤ずきん」が作成しました。文章を読む際は赤い文字だけでなく全体を読むようにしてください。
種明かし
さて、ここまで長々と語ってきたが、この報告書の大部分は嘘である。正確には報告書の赤い文字で書かれた以外の部分である。
赤い文字で書かれた部分を読めばわかるがSCP-488-JPの正体は微妙な改変能力を持つタイリクオオカミである。
彼らは他の生物に比べて身体能力が劣っており、情報改変能力を用いて自らを恐ろしい生物だと人間に認識させることで生存を図ってきたのである。
SCP-488-JPの特性は、自身に関する文書と音声による情報を、SCP-488-JPに対する恐怖をあおるものへと改変する能力である。
この能力はあくまでも不随意に発動しているものであり、SCP-488-JP自身が日本語を解して編集を行っているわけではない。
そのため抜本的な文書改変が可能というわけではなく、あくまでも元の報告書を原型とした改変にとどまるため、全く情報伝達が不可能になるというわけではないし、復旧も可能である。
だが異常存在との飽くなき編集合戦はあまりに非生産的であるため、改変後の文書を部分的に赤で着色し、赤色の部分のみを読むことで正しい情報が読みとれるようにされた。イヌ科の生物は赤色を区別できないので着色編集には対応ができず、この対策は概ね成功している。
しかしながら対策が講じられたうえでも完璧な報告書作成ができているとは言い難い。めちゃめちゃにされた文書を継ぎはぎして作られた報告書であるため、不足してしまう情報もあり、読み手が察するしかない部分も多くなってしまっている。
余談
このような情報改変能力を使う彼らだが、おそらくこれは彼らの天敵である人間を遠ざけるために習得したものなのであろう。人間の手を借りなければ数を増やせなかったり、収容場所が日本だということを考えると、彼らは日本に住むオオカミの最後の生き残りと言えるかもしれない。