概要
アイテム番号:SCP-905-JP
オブジェクトクラス:Euclid
SCP財団日本支部が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「フレディのスペシャルフライトショー」。
ここで言う「フレディ」とは、あのイギリスのロックバンド「Queen」のボーカル兼ピアノ担当として活躍し、その歌声とパフォーマンスで世界を熱狂させた伝説的なアーティスト「フレディ・マーキュリー」その人を指す。すでに亡くなって久しいはずの彼だが、彼には生存説がちらほら上がる事があり、それに関与しているのがこのSCPであるらしい。
このSCPオブジェクトはいわゆる「現象系」のオブジェクトに分類されると思われ、旅客機が英語圏内を飛行している最中に発生する。
まず乗員や乗客が立てる足音や作業音、ドアが開閉する音などといった雑音が徐々に一定のリズムを刻むようになっていく。そのリズムはQueenの楽曲の中でも特に著名なものの一つである「We Will Rock You」を奏でるようになり、乗客もそれに気付いて自然とあの独特な手拍子やストンプを行うようになる。そして機内のテンションが高まってくると、無人であるはずの機内トイレやクルーレスト、給湯室の戸棚などから「フレディ・マーキュリー」が飛び出し、機内通路を堂々と闊歩しながら本格的に流れ出した「We Will Rock You」に合わせたパフォーマンスを披露し始めるのである。おまけにQueenのヒットナンバーを次々に歌い上げ、機内照明も7色に輝き出し、どこからともなく演出用のレーザー光まで飛び交ってくるという力の入れ具合に、否応なく機内のテンションは上がり続け、現象そのものが沈静化するまで止まらない。たまにテンションが振り切れすぎて怪我人が出る始末だが、現象に取り込まれている乗員・乗客はそんな事すら最早どうでもよくなっている。
しかも登場する「フレディ・マーキュリー」は何故か一人や二人ではなく、最大で27人もの「フレディ・マーキュリー」が確認された事例もある。無論、ここで登場する「フレディ・マーキュリー」はどれもこれもご本人ではないはずだが、目撃した人々は口を揃えてその人物を「フレディ・マーキュリーに間違いない」と証言しており、複数人分の姿を確認しているにもかかわらずその全個体に対して同一の印象を抱き、その上で全く違和感を覚えていない。
この乗客を鎮静するために、発動条件を満たした航空機に偶然乗り合わせたエージェントが奮闘した事もあったが、この現象に巻き込まれた他の乗客からは無粋な真似をする存在として思われたのか、完全に黙殺されて失敗。ならば機内から降りてくるところでこの存在、もとい実体を確保、と思いきや当該人物は着陸した時点で刻然と姿を消しており、その存在すらも確認できなかった。乗員や乗客にインタビューを行っても、実体たちがどこに消えたのかについては「不明」という答えしか返ってこないが、このSCPの影響を受けた人物はいずれも「フレディ・マーキュリーは今も生きている」という強い確信を抱くようになる事が確認されている。
財団は未だにこの実体の確保には成功しておらず、とりあえず発生する度に乗り合わせた乗員・乗客に記憶処理を施すだけで終わってしまっている。
無害と言えば無害だが多くの謎を残すこの現象、実は別のパターンが存在する可能性も浮上している。と言うのも、この現象を把握した財団が調査してみたところ、フレディ・マーキュリーに限らず没したはずの著名人の生存説がここ数年でトピックスとして急増している事が確認されたのだ。
もしこの現象や出現する実体に亜種が存在するのなら、頭抜けたパフォーマンス力を誇る「フレディ・マーキュリー」だけが異様に目立っているだけなのかもしれない。
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