SCP-094-JP
かいようにんげん
アイテム番号:SCP-094-JP
オブジェクトクラス:Euclid
SCP-094-JP『海洋人間』とは、セクター27にある8×10mの人型SCP収容エリアに勾留されているSCPオブジェクトである。
SCP-094-JPの人物像
SCP-094-JPは2█歳の平均的な日本人男性である。彼は元サラリーマンであり、財団に保護されるまで普通の一般企業に勤めていた。
財団に保護された直後は心身ともに衰弱し、逃げ出すことも考えていたようだが、現在の所は財団の収容に対して協力的な姿勢を見せているようだ。
Tale『ヒュミルの歌』(のちに説明する)では、彼が所謂オタク気質であったこと、異性との交流も無いまま20数年を過ごしたこと、体系は中肉中背であることが明らかになっている。つまり、ごく普通の男性ということである。
SCP-094-JPの特異性
しかし、なぜ彼が巨大なセクターに勾留され、常に心身の健康状態や彼の生命を脅かす要素について監視されているのだろうか。
その理由は、彼が勤めていた企業の健康診断で確認されたある異常にあった。
彼の血液内に、0.2~10マイクロメートルというマイクロサイズの様々な種類の魚類が確認されたのである。
おおよそ地球上で確認されているほとんどの種類の魚類が彼の血中より確認されている。現時点で判明しているだけで6000種が見つかっており、本物の魚類のような生態系を持ち、食物連鎖が存在している。
それらがどのように生育し、人体の健康を保っているのかは不明。
要するに、彼の身体に海が流れているのと同じである。
そのため、彼の健康状態と海の置かれた状況がリンクし、彼が体調を崩すだけで海では魚の大量死が起きる。
彼の死は海の死であり、それは人類滅亡に等しい。
それを考えれば、彼のオブジェクトクラスがEuclid(かなりヤバい)であることも、彼の健康状態に最大限の警戒態勢が取られているのも頷ける。
こうして彼は研究者からその特異性から『海洋人間』と名付けられ、彼の心身の健康・危険を及ぼす要素などについて、最大限の配慮がなされているのだ。
実験記録094-jp
先述した通り、彼の身体と海はリンクしている。彼が急性胃炎を患えば湾岸に深海生物が大量に打ち上げられる事例が発生し、原油流出事故が発生すれば彼も海洋環境の影響を受け体調を崩す、といったことも起こる。
以下は彼の身体各部位の血液サンプルを得る調査手術の実験によって得られた結果である。
対象 | SCP-094-JP |
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手順 | 頭部皮下の血液サンプルを採取・調査 |
結果 | 北極・南極圏に生息する魚類を確認 |
分析 | ・実際の体温や血液温度にかかわらず、確認されたツノガレイなどの魚類は不凍タンパク質を持っていた・また、SCP-094-JPの頭頂部には収容前から著しい脱毛が見られ、オゾンホールとの関係が示唆されている |
対象 | SCP-094-JP |
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手順 | 鏡視下手術にて両肺部の血液サンプルを採取・検査 |
結果 | 右肺には大西洋、左肺には太平洋に生息する魚類を確認 |
分析 | 左肺の方が心臓に近いのでこういった分布であると考えられている |
対象 | SCP-094-JP |
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手順 | 肝臓、脾臓、膵臓などの各臓器の血液サンプルを採取・検査 |
結果 | 各臓器には深海性の魚類の姿を確認。海洋学者の解説では胃付近はインド洋、肝臓はメキシコ沖と思われる |
分析 | 臓器の配置と海洋の位置関係についての関係は現在は不明である |
SCP-094-JPが主人公として描かれるTale『ヒュミルの歌』についてご紹介しよう。
Taleでは、彼が財団の運営に関わる仕事(ダミーであるが)を与えられていること、彼の友人でありメンターでありボディーガードでもある財団職員の青年(通称:坂本)が彼に付き添っていること、そしてやはり彼は坂本やその他の財団職員から名前で呼ばれていることなどが明らかになっている。すべては彼が心身ともに健康な状態で延命するためである。
また、彼は坂本から「外出許可申請を出したから正月には親御さんに会える」といった旨の話をされた際、「ほんとに!?やった、ありがとう坂本さん!」と純真無垢な子どものように喜びを表現していた。なんとも微笑ましい。
しかしTaleの後半では、ごく普通で平和な日常が描かれている前半とは異なり、収容不能になるほど巨大なSCPオブジェクトが事態を急変させる。
それが彼の元へ来ようとしている。そう考えた彼の取った行動とは…。
ぜひともJP-Tale『ヒュミルの歌』を読んで、彼の勇姿を目撃してほしい。