SCP-081-JP
えいきゅうひんやりみずぎ
アイテム番号:SCP-081-JP
オブジェクトクラス:Safe
SCP財団日本支部が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「永久ひんやり水着」。
特殊な異常性を持つ紺色のワンピース型女性用水着、いわゆる「競泳型スク水」である。某県の市立小学校の凍ったプールの中から発見されたが、何故そんな場所にこのオブジェクトがあったのか、そもそもこのオブジェクトの起源はどういったものなのかについては不明。余談だが、教師に扮した財団職員に回収された際に、カバーストーリーとして「学校の七不思議」扱いされることになった。
早速その異常性の紹介に入るが、このスク水、表面温度が常に摂氏-2℃に保たれており、どんな環境下に放置しても、たとえ火の中に投げ込んでも決してその温度が変化しない。また、着ないで放置しておくとこのスク水を中心に直方体状の氷の塊が生成されていき、最終的にはこのスク水を包み込むような形のの0.5m x 0.3m x 1.0mの氷柱となる。この氷はスク水の異常性が影響する範囲内に存在する限り、どのような手段でも溶かすことができない。しかし、切り分けたり砕き割ったりすることは可能であり、そのようにして破壊された氷の破片は溶けない性質を失う。
財団ではスク水本体をSCP-081-JP-1、スク水の異常性によって作られる氷をSCP-081-JP-2と指定している。
しかし特別な危険性などは確認されておらず、生成手段が異常なだけで、組成自体は非異常性かつ極めて高品質な氷であるため、普段はサイト-8181の食堂にて保管されると共に、電源要らずの冷蔵装置及び飲料用製氷機として利用されている。ついでにこの氷で作ったかき氷は「頭がキーンってならない」「非常にまろやか」らしく、かき氷製造機としても好評の模様。ただ氷柱が大きすぎてそのまま削って作ることはできず、逐一部分的に砕く手間が要るのが玉に瑕。
……それにしても食堂に足を運んだら氷漬けのスク水が安置されているって、初めてサイト-8181を訪れた人はどんな気分になるのだろう?
ところで、自ら氷漬けになってしまうSCP-081-JP-1は、本来のスク水としての機能は果たせないのだろうか?
結論から言えば、そんな事は無い。包み込むように形成された氷さえ取り除いてやれば普通に着用できる。むしろ異常な伸縮性を持つ未知の素材でできているため、どんな体型の人物でも着用することが可能。さらにSCP-081-JP-2を発生させる性質も一時的にストップするので、着用した人物がそのまま氷漬けになるようなこともない。強いて言えば着用者の全身が汗のような出所不明の液体で常にしっとり濡れた状態になるという新たな異常性が確認されたが、これが着用者や周囲に何らかの悪影響を与えるわけでもない様子。
しかし、そうは言っても表面温度が常時-2℃のスク水である。そのまま地肌に触れさせてしまえば「冷たい」なんてレベルではない。ましてやそれを着るなど凍傷どころでは済まないのではないか。
そんな心配も、実は一切無用。確かに完全に着用するまでは非常に冷たく感じるが、着用を完了すると僅かにひんやりする程度の感覚に落ち着き、そのまま特に問題なく行動できる。しかもこのスク水、着用者に外界の温度に対する驚異的な耐性を付与する効果があり、財団の実験によって着ているだけで接触している部分どころか素肌さえも、300℃の高温から-50℃の低温に晒されても全く平気になることが確認されている。
なお、財団はこのスク水の着用者(Dクラス職員)をスク水ごと火炎放射器で直接火炙りにするといういくらなんでも正気の沙汰とは思えない実験も実施したが、着用者は一瞬火だるまになるものの炎が即座に消火され、スク水のみならず素肌に付着した燃料も消失し、当然のように生還した
それによる一切の負傷も負っておらず、苦痛も一切訴えず、さらにはこのスク水も一切損傷していなかった。
この実験結果に対して責任者である博士は「耐火性能もあり、燃えた薬品などが付着しても洗い流せるようです。」と、実に冷静な分析を述べた。
そんなこんなで粗方の検証実験を終えた博士は、報告書の最後に以下のようなコメントを残した。
「しかし、実験対象が成人男性なのが残念です。面白い写真が取れましたが。」
なお、女性や子供を対象にした実験の許可は現在検討中。