「キミももう手を引かれてる 死ぬ迄遊び明かそうじゃないの」
概要
尸魂界で二振りしかない、太刀の【花天】・脇差の【狂骨】からなる、二刀一対の斬魄刀【花天狂骨】。
通常は大小の二本差しだが、解放すると青竜刀のような双剣に変化する。つまり二刀流なのだが、本気を出さない時は、太刀のみで持ち手を交互に変えながら戦う手法を取る。
斬魄刀異聞篇
実体化した姿は、髪に髑髏の飾りを付けた花魁風の太刀とくノ一風の脇差からなる女性二人組。
京楽の自惚れに愛想を尽かしていた。
原作本編でもこの姿で登場し、京楽から、花天の方は「お花」、狂骨の方は「お狂」と呼ばれている。
始解
解号は、
【花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う『花天狂骨』】(はなかぜ みだれて かしんなき てんぷう みだれて てんま わらう『かてんきょうこつ』)
「8&5、7&7」と、「5、7、5、7、7」ではないがそれに近い形になっているお洒落な解号。
能力は「童の遊びを現実にする」ことで、『花天狂骨』が発する霊圧領域内にいる者(京楽を含む)を、『花天狂骨』が提示する『遊び』のルールに強制的に従わせる。それ故に、ルールによっては京楽自身もダメージを負い、不利となる危険も生じ得る。
遊び
- 「嶄鬼(たかおに)」
「高いところへいった方が勝ち」というルール。
相手より高いところにいれば攻撃力が上がる。
- 「影鬼(かげおに)」
「影を踏んだ方が勝ち」というルール。
勝者は相手の影の中に潜んだり、影から斬魄刀の刃を発生させて攻撃することが可能。
- 「艶鬼(いろおに)」
「相手と交互に色を口にし、その色の着いている場所を攻撃できる」というルール。
自分が口にした色を相手に斬られてもダメージになる。そして、自分にとってリスクが高いほどあたえる傷は大きくなる。また、指定以外の色の部分を攻撃してもダメージは入らない。
つまり、自分の色が武器であり、それと同じ色を攻撃することが出来れば敵にダメージを与えられるシステム。
例えば自身が全裸の時に「肌色」と言って攻撃すれば、掠り傷程度の一撃でも致命傷となる。
逆に同じ状態で「白」と言って白色の部分に攻撃した場合、致命傷になる一撃であっても掠り傷程度にしかならない。
「鬼が目隠ししてかけ声と共に振り返り、動いた人を捕まえる」ルール。
鬼は参加者から必ず見える場所に居なければならず、発動中は鬼の放った霊圧での攻撃が必ず見えるようになる。
参加者は鬼に見られる前に鬼に触れば勝ちとなり、鬼の放った霊圧の軌道上を最短距離で移動できるようになる。
鬼は参加者が自身に触れる前に参加者を見つけることができれば勝ちとなる。
リジェが言った「チョコラテ・イングレス」とはスペイン語圏における同様の遊び。(掛け声が『1,2,3,イギリスのチョコレート(Un, dos, tres, chocolate inglés)』となっている)
- 「影送り」
影を強く見つめて別の場所へ残像を移す遊び。
相手に自身の影を見せることで、残像を残して瞬間的に移動する。
一瞬でも影の端を目にしてしまうと術中に陥り、遊びが続いている間はすべて相手の影法師を見ることになる。
相手が強い霊圧を持っているほど残像も強く残り、より惑わしやすくなる。
- 不精独楽
刀を横に振り、風圧と霊圧を飛ばすことにより相手の目をくらますとともに動きを阻害する。
- 指斬り
「指切りげんまん」を元にした遊びで互いが嘘をつけなくなるルール。
嘘を重ねる度にその当事者にペナルティが課され、一度目の嘘で指が動かなくなり、二度目の嘘で全身の骨が砕かれたように麻痺し、三度目の嘘で臓腑が激痛に見舞われる。花天お花が京楽以外との指切りを嫌がるため滅多に使用できない。
沈黙は肯定として受け取られるため、否定する場合は必ず返事しないといけない。
ネタバレ
狂骨(小太刀)の方は初めから存在した訳ではなく、後に花天(太刀)からある理由で作られた存在であり、解号をよく読むと「花天」の方しか唱えられていない。
狂骨が生まれた理由は、伊勢七緒の一族に代々継承されている『神剣・八鏡剣』を隠すためであった。春水の兄の妻(義姉)であった七緒の母親によると、伊勢一族は代々女性しか生まれないため婿を取るのだが、彼らは皆伊勢の呪いで早世するという話があり、それを八鏡剣のせいだと思った七緒の母が、娘だけは呪いから外れてほしいと春水に八鏡剣を隠すよう頼んだ。そしてお花はお狂を生み出し、その中に八鏡剣を隠した。
なお、お花が遊女(それも高級花魁)風の格好である事を考えると「子を産む」というのは結構とんでもない事である
男視点では子を産ませるほど惚れている(更に言うなら肉体関係に行けるほど通い詰めている)なら身請けする(買い取って嫁や愛人にする)はずである。
逆に女視点で言うなら子を孕んでしまえば商売あがったりであるし、そういう花街の女、特に花魁は手を繋ぐだけですら大金とある程度の通い詰めの期間を要する、勿論肉体関係など以ての外である。
にもかかわらず「花魁が」「客(自分を身請けしない男)の」「子を孕む」と言うことは「自分の全てを捧げても良い、その果てに報われなくとも構わない、それでも男との繋がりが欲しい」という凄まじい激重感情を向けておりかつベタ惚れである事を意味する
そして斬魄刀は主人の魂の現し身である、であればこの気風の本来の持ち主は春水の方、と言うこととなる。
普段から女物の着物を纏っていたり、卍解の際春水が女を演じる事を考えると春水の抱え隠している重すぎるモノがなんとなく察せよう
二刀一対の斬魄刀について
「二刀一対」とされる斬魄刀は、山本が作中で言及した時点では花天狂骨と双魚理しか確認されていなかったが、後に二刀斬月が登場した。始解や卍解による形状変化を含めると、その他にも風死や鬼灯丸などもある。
しかし、とある理由から「二刀一対の斬魄刀は本来存在しないのではないか」という説がある。
まず、京楽が風死について「一見すると二刀だが、普通は二刀一組の斬魄刀は存在しない」と述べた後、狂骨と花天の関係を説明しただけでなく、双魚理が二刀になったのはミミハギ様の影響だと推測している。
そして、読み切りの短編「獄頤鳴鳴篇」にて、地獄の門から登場した双魚理は一本であり、浮竹十四郎からミミハギ様の力が失われたことと合致している。
また、二刀斬月の一方は鞘であり、鬼灯丸と似た原理であること、風死の本質が刃ではなく鎖だと判明していることなどから、これらも二刀一対ではないと判明している。
斬魄刀は「所有者の魂の精髄が徐々に浸透し、斬魄刀とのやり取りを経て進化する」ものなので、所有者一人の一つの心に対して二本の刀が最初から生まれるということがあり得ないのではないかという指摘もある。
他人の斬魄刀を受け継いだ場合もあるが、公式のQ&Aによると、「魂の精髄は基本的に上書きされるが混在する場合もある」とされており、既に覚醒した他人の斬魄刀を受け継ぐ場合と、他人の斬魄刀を受け継いだ後で自身の影響によって覚醒させる場合があるということになる。つまり、「一本の刀に対して二人以上の所有者の心」があっても、二刀一対になるというわけではないのである。