「恨みはない だが 平和の為には滅すも已むなし」
「私の歩む道こそが 正義だ」
巻頭ポエム
人は皆すべからく悪であり
自らを正義であると錯覚する為には
己以外の何者かを 己以上の悪であると
錯覚するより 他にないのだ
確信した正義とは、悪である
正義が正義たり得る為には
常に自らの正義を疑い続けなければならない(44巻)
概要
※黒崎一心と兼ね役。
流魂街出身。生来の盲目であり、コーンロウと褐色の肌が特徴の平和主義者。
盲目なのに相手の身体のサイズなどが分かるようで、狛村左陣に初めて会った時の第一声は「デカいな」であった。
※これは後に死神代行消失篇において銀城空吾が完現術を完成させた黒崎一護に対して「霊圧を持つと、盲目になっても、相手の姿が霊圧に照らされて見えるようになる」と語っているため、恐らくそれで見えたのであろう。
正義の根底には、慕っていた女性が死神を志しながらも死神同士のトラブルで殺害された過去がある。亡き彼女の正義を貫こうとする想いが自身にとって大きな行動原理になり、「絶対の正義」にこだわっている。
尸魂界篇当初は戦いを好まない温和な隊長という印象を与え、実際に相手を痛めつけることなく石田雨竜を倒した。
平和を乱す者に対しては激しい敵意を剥き出しにし、攻撃も厭わないが、親しい者に対しては深い情を持ち、面倒見も良い。
隊長として優れた人物で、副隊長の檜佐木修兵を弟子として育て、戦士としての師匠として敬愛されている。檜佐木に戦いが怖いと訴えられた際には、恐怖は戦士に必要なものだと説き、「自分の握る剣に怯えぬ者に剣を握る資格は無い」と教えた。
休日は瀞霊廷通信の編集長として活動。“ 正義とは何か ”について持論を書いた「正義の道」という連載を持っているが、編集長なので打ち切りの心配はない。最近趣向を凝らして「正義のレシピ」と題した料理レシピも掲載したら、女性死神読者から受けが良く人気は上昇傾向だった。
七番隊隊長である狛村とは死神になる前に出会い、心を通わせた友である。
行動をよく共にしており、藍染惣右介の死体確認や更木剣八の制止にも共に向かっている。
正体
しかし彼の真の顔は、藍染に絶対の忠誠を誓う尸魂界への反逆者であった。
藍染や市丸ギンと共に虚圏へ去る際、狛村から「貴公の正義は何処へ消え失せた」と訴えかけられるが、自身の眼に映るのは最も血に染まぬ道であり「私の歩む道こそが正義だ」と返している。
その後は虚圏統括官として破面たちを管理しており、統率を乱すグリムジョーの腕を切り落とし鬼道で焼き尽くすなど、残虐な一面も見せた。
ワンダーワイスにはよく懐かれており、本人も世話を焼いていた(純粋なものは互いに引かれ合う、とのこと)。
アニメの死神図鑑ゴールデンでは、統括官として破面の統率の他メノスの管理・育成を行い、一体一体に名前までつけてかなり手をかけているという愉快な一面も描かれた。
空座町での決戦にて狛村・檜佐木と対峙。その際、自身が尸魂界から離反した理由は「復讐」であると明かす。
愛する友を殺した者を許すことは「善」ではあっても、「正義」などではないと訴えかける。
亡き者の無念も晴らさず安寧の内に生き永らえることは
悪だ!!
親友であった女性(CV:早水リサ)を死神によって殺された過去は、彼の中で深い憎しみとして燻っていたのである。
虚化の力を手に入れたことで檜佐木を瞬殺、さらには帰刃をすることで狛村の卍解・黒縄天譴明王をも圧倒する。
帰刃の影響により視力が回復するが、狛村の容姿を見て「醜い」と嘲笑うなど、かつての善性の面影は見られなかった。
しかし皮肉なことに、視力が回復したことで心の隙が生まれ、檜佐木の「風死」による攻撃で背後から喉を貫かれる。
その後は狛村から「己を捨てた復讐などするな」と諭されることで、和解しかける。しかしその瞬間、藍染の施した細工によって体を内部から破壊されるという壮絶な最期を遂げた。
アニメのエンドロールでは、狛村や檜佐木、かつての上司だった六車拳西が彼の墓参りに訪れるシーンが描かれている。
小説版
千年血戦篇後を描いた小説『Can't_Fear_Your_Own_World』では重要人物として登場。故人のため本編には登場しなかったが、定期的に挟まれる回想シーンのみに登場した。同作において、東仙の親友を殺した仇が綱彌代時灘という死神であることが判明する。東仙が何故死神をあれほどまでに憎み、藍染に対して絶対の忠誠を誓うようになったのか、その詳細が描かれている。
また親友の名は歌匡といい、悪逆に愉悦を見出す時灘の心を、その清純さによって掻き乱す女性であったことが語られている。
藍染が東仙を始末した理由は「慈悲」であり、東仙が自らの戒めとして藍染に事前に頼んでいたことも明かされている。
「もしも、私が死神たちの世界を受け入れることがあるとするならば、それは自らの大義の否定となります。その時は私の行ってきたことは正義ではなく、ただの殺戮となるでしょう」
親友の正義を汚すこと、また生きていたならばきっとそれを許すであろう彼女の善性の中に自分が堕落する前に、この世から消え去る、私の魂魄を全て撃ち砕く「慈悲」を頂きたいと藍染に嘆願している。
その直後、藍染は東仙がどう答えるか分かった上で、敢えて「もし私が天に立ち新たな世界を作ることに成功したら東仙はどうするのか」と(恐らく自分の予想が当たっているかの確認目的で)質問したところ、その世界には自分も含め復讐者がいてはならないので世界の浄化を完全なものにするため自害するつもりでいると答えた。
この答えを受けて藍染は、「どちらにせよ、わたしは腹心を一人失うことになるわけか」と哀しそうな返答をしつつ、その状況になったら約束通り東仙を慈悲で始末するということを宣言した。
つまり、狛村と檜佐木の説得で改心しようが、藍染の野望が大成しようが、どちらにせよ東仙は死ぬ運命だったらしい。
斬魄刀
- 始解【清虫】(すずむし)
解号は【鳴け】。
鍔に輪がついたタイプの斬魄刀。輪の辺りから超音波を出して、相手を気絶させる。元々東仙のものではなく、彼の亡き友人から受け継いだものである。
- 卍解【清虫終式・閻魔蟋蟀】(すずむしついしき・えんまこおろぎ)
詳細はリンク先を参照。
技
- 清虫二式・紅飛蝗(すずむしにしき・べにひこう)
大量の刃の雨を降らす技。飛蝗はバッタを意味するため、大量の刃がバッタのように襲いかかり、敵の血で赤く染まる様を「紅飛蝗」として表していると思われる。
虚化
死神でありながら藍染の手によって虚化も会得。盲目故か目はない。口もなかったが、感情が昂ると同時に割れて出現した。
ウルキオラの様に超速再生を使えたり、下記のように帰刃を会得していたりなど仮面の軍勢以上に虚っぽさが顕著に出ている。
この仮面のデザインはよく見ると、コオロギやホタルなどの昆虫の背中(羽)を意識しているようにも見えなくもない。
帰刃:狂枷蟋蟀(グリジャル・グリージョ)
解号は【清蟲百式】(すずむしひゃくしき)。
作中では虚化した状態で使用。虚化した状態でないと使えないかは不明。解号から清虫の能力のひとつのようにも見えるが、関係しているかは不明。清虫が虚の力を持った斬魄刀だとしたら…。
斬魄刀が消滅した後、四枚の巨大な羽、黒い毛に覆われた巨体、六本の細い脚、土偶のようなデカい目を持つ巨大な昆虫の姿になる。漢字表記はコオロギだが、どう見てもコオロギですらない。
破面は悪魔が元ネタであり帰刃時のサブタイトルがBells Are Blue(ベルズ・アー・ブルー)であることから、モチーフは蝿の王・ベルゼブルと推測される。
Bells Are Blueを和訳すると「鈴の音は哀しく」になり、清虫を持っている東仙が哀しき悪役であることを強調したようなサブタイトルとなっている。
グリージョ(Grigio)は動詞で「気が狂う」、複数形で「足枷」、単数形で「蟋蟀」という意味があり、こちらも東仙が哀しき悪役であることを強調したような帰刃名となっている。
虚閃を放てたり超速再生能力が強化されるなど、虚のような特性を得る。
この状態になった東仙は視力を取り戻しており、狂喜していた。
その際、狛村に放った一言「思っていたより… 醜いな」は皮肉の一言に尽きる。
技
- 九相輪殺(ロス・ヌウェベ・アスペクトス)
鈴の音色のような音波を発生させ、敵を攻撃する。
狛村の卍解「黒縄天譴明王」の鎧を粉砕し一撃で倒すほどの威力を誇る。
- ラ・ミラーダ
目から二つの虚閃を出し、一つに集約して放つ。色は緑色。
ミラーダ(mirada)とはスペイン語で『視線』の意。