「…よく頑張ったね」
「怖かったろう もう大丈夫だ」
「後は我々に任せて休んでいるといい」
巻頭ポエム
我々が岩壁の花を美しく思うのは
我々が岩壁に足を止めてしまうからだ
悚れ無き その花のように
空へと踏み出せずにいるからだ(12巻)
プロフィール
概要
柔和な風貌をしており、常に笑みを絶やさない穏やかな性格、誰にでも分け隔てなく接する人柄から隊外問わず皆に慕われている。
羽裏色は白緑(びゃくろく)。羽織は袖のあるタイプ。
趣味は読書で特技は書道。
休日は読書や霊術院の特別講師をしている。霊術院の書道特別講師で、書道の腕は一流。
授業はいつも満員御礼で、選択科目にかかわらず、廊下で講義を受ける生徒が出る程の人気である。五番隊で月1回書道教室を開いている。
朽木ルキアの処刑を巡る一連の騒動の最中、ルキアの幼馴染の阿散井恋次に対し処刑への疑義の念を打ち明け、その後何者かによって磔にされて殺害されるという悲惨な最期を遂げた。
斬魄刀
鏡花水月
流水系の斬魄刀。霧と水流の乱反射により敵を撹乱・同士討ちさせる能力を持つ。
ドラマCD「騒乱前夜」ではこの流水系の能力が味方までも巻き添えを喰らう危険性があるという理由から、副隊長を集めて説明会を開いている。
関連イラスト
関連タグ
ペ・ヨンジュン:見た目がそっくりなため「ヨン様」とネタにされている。
正体
以下、ネタバレ注意
「君の知る藍染惣右介など最初から何処にも居はしない」
「私が天に立つ」
「本当に恐ろしいのは 目に見えぬ裏切りですよ、平子隊長」
本作第一部のラスボス。
その正体はルキア処刑騒動の黒幕であり、これまでの一連の出来事における全ての元凶。
殺害されたと思われていたのは、自身の斬魄刀「鏡花水月」の真の能力によって偽装されたものである。
虚の上位種である破面の支配者にして、その中でも特に優れた成体破面10体により構成される組織・十刃の首領。
主人公・黒崎一護達の前に最凶最悪の敵として立ちはだかる。
巻頭ポエム(真)
人は皆、猿のまがいもの
神は皆、人のまがいもの(48巻)
無力を知らぬものどもよ
打ち砕かれて空を見よ
王の眠りを妨げるまで
立ち入るものの無かった空を(アニメ版千年血戦篇 30話)
本性
今までの心優しい常識人とは打って変わり、その本性は冷酷・残忍な危険人物である。
自分の部下は疎か、全ての存在は自分の目的を果たす為の捨て駒としか見ておらず、用済みと判断したらいとも簡単に斬り捨て、手に掛けるなど非情な行動を犯すその姿は、正に悪魔。
恋次・雛森桃・吉良イヅルは初めて会った時に「使える」と確信を持ち五番隊に入隊させ、役に立ちそうな雛森と吉良は自分と腹心の市丸ギンの部下に、厄介そうな恋次は他の隊に早々に異動させた。
尸魂界篇では雛森を始めとして、ルキア、恋次と言ったかつての部下を平気で斬り殺そうとしており、実際に雛森は彼に刺されて瀕死の重傷を負わされた。
その本性を曝した後も、一見柔和な言動を保ちながらも教唆や詐術・韜晦・人心掌握など策士じみており、端からは本意がつかみ難い。
後述する過去の項にもある通り、基本的に誰も信用せず目上の者に対しても傲岸不遜であり、慇懃無礼に接する。また、元は講師だったせいか、相手の間違いや欠点を指摘しつつ説教をするような口調で話す事も多い。
110年前(過去篇)は五番隊副隊長であり、当時五番隊隊長だった平子真子の部下であったがとある事件(後述)で彼を現世へと追いやり、五番隊隊長に昇格している。
ゲーム『The 3rd Phantom』の過去編では朱司波征源の下で五番隊副隊長を務めていた。
その一方で、小説版では漫画・アニメでは語られなかった側面が多分に描かれている。
隊長位に就任後は勤務体制の見直し、基本給の増額など隊士の為になる改革をいくつも手掛けた。藍染にとっては人心掌握の一環でしかなかったが、隊士の境遇が改善されたのも確かだった。効率の良い鬼道の鍛錬方法を編み出し藍染の反乱後も教科書に掲載されており、藍染が齎したものは負の遺産だけではないとされている。
人心掌握に長け、特に部下からの人望が厚く、五番隊には雛森の他にも呪縛から逃れずにいる者も多く平子は憤りを感じていた。この為、一部の隊員達からは彼の死神復帰を望む声も多い。
邪悪な研究によって死神や流魂街の住民の多くの命が失われ、平子は藍染のドス黒い本性に気づいていた自分が殺しておくべきだったと悔恨が消えないが「長いこと一緒に居って、いっぺんもおもろいと思うたこと無かったか、って言うたら嘘になる。確かに、楽しかった事もあったな」と憎しみだけではない様子も垣間見せている。
ただし「この怒りが薄らぐ事は無いけれど」と直後に釘を刺しており、許せるかといえばそれは別問題と思われる。
自身を慕う部下に対する情が決して絶無だった訳ではない様子も見られる。
最後は殺そうとするが、一度は恋次にルキアを置いて退がるように忠告、聞かないので腕を斬ろうとするも、命までは奪ろうとはしていなかった。
恋次に、元上官として死なせるのは忍びないなら何で雛森は殺した、と問われて「僕無しでは生きられない」「殺していくのは情けだと思わないか」と。曰く、雛森を手にかけたくなかったのも事実、だから吉良や日番谷冬獅郎と殺し合わせようとしたが上手くいかず「仕方無く僕が殺したんだ」というのが彼の言い分だった。
だが、この趣旨の発言は微笑みながらな上、破面篇で雛森をあんな目に遭わせているためどこまでが本心なのかは疑わしい。
戦いに敗れた東仙要を殺した(後述)のは本人に頼まれていたから。
「もしも自分が復讐を止める様であれば、藍染の手によって粛清されたい」「藍染の野望が大成したらその世界に復讐者は要らないから復讐者である私は自害する」と生前に頼まれた際には、
「どちらにせよ、私は腹心を一人失う事になる訳か」と悲しそうな反応でそれを了承していた。
また、部下を切り捨てるのも本当に自分の役には立たない(捨て駒にすらなり得ないうえ自分に従順ですらない"有害な駒")、あるいは自分を裏切ったと判断してからであり、それまでは部下が自分の意思や命令外の勝手な行動をするのも、余程の事でない限りあえて容認する事が多い。
戦いも当初は敢えて十刃達にほぼ全て任せて自分は様子見に徹しており、グリムジョーが部下と共に独断専行した挙句自分以外の手駒を全て失うという戦力の損耗でしかない結果を待ち帰ってきた時も「有り余る忠誠心故」とその場にいるものが誰も信じない理由をこじつけて放免しようとした(しかし東仙は許容できなかったため私的に片腕の切断、及び数字の剥奪という罰を与えた)。
後述する一護や自分に翻意を抱いてたギンの事もそうだが、基本的に自分が関心を持った相手の事は、敵味方関係無くその成長や力を最後まで見定めようとするスタンスのようである(これも講師という職業だった故なのかもしれない)。
自分は誰よりも圧倒的に格上というスタンスだからか、向上心のある者(自分のいる次元を目指そうとする者)に対しては敵味方問わず好感度が高い。逆に現状に甘んじている者や、上を目指すことを止めた者(格上である自分のいる方向から目を背けている者)に対しては非常に辛辣な言動を取る。そういう意味だと(本心はどうあれ)講師という立場はある意味、藍染の天職ではあったのかもしれない(基本的に生徒は 向上心がある=自分のいる方向をまっすぐ見ているため)。
なお、立場や性格上、原作ではコミカルなシーンは皆無に等しいが、アニメの次回予告での漫才にも参加してボケをかましていたり、死神図鑑ゴールデンでもギャグシーンを見せている。
案外ノリの良い一面もあったりするのかもしれない。
護廷十三隊時代は眼鏡をかけていたが、本性を現してからは、伊達だった眼鏡を外し、髪をオールバックにして、一人称も「僕」から「私」になっている他、目つきも鋭くなった。
虚圏潜伏後は黒い死覇装に白いコート姿、後に破面のような白い死覇装を纏う。
また、本性を現してからは、敵の事はフルネームで呼ぶようになった。
戦闘能力
後述する鏡花水月の真の能力に加え、疲労と負傷から万全ではないとはいえ一護の卍解【天鎖斬月】を指1本で受け止め、同じ隊長格の死神や上級十刃(ハリベル)を容易く倒すなど他の隊長格の死神達を超越した戦闘能力を有し、その実力たるや計り知れない。
霊圧は並みの隊長格の2倍はあるらしく、霊圧を発するだけでグリムジョーを圧倒し、井上織姫も目が合っただけで、体中の力が吸い出されるような感覚に陥り、浦原喜助でさえも戦慄を覚えるほど。
さらには詠唱破棄の鬼道によって屈強な狛村左陣を黒棺の一撃で戦闘不能にし、2回攻撃すれば必ず死に至らせる砕蜂の斬魄刀【雀蜂】の能力ですら自身の霊圧で抑え込み無効化できるらしい(尤も、これは幻覚の中でのやりとりなので事実かどうかは不明だが)。
斬拳走鬼の全てが最強格であり、特に九十九番の破道【五龍転滅】さえ詠唱破棄で放つことから、破道に関しては鬼道衆さえも凌駕していると思われる。
戦闘能力だけでなく話術にも長けており、教唆や挑発によって相手の精神に揺さぶりをかけることも多い。市丸は藍染の脅威は鏡花水月ではなく、あらゆる意味で出鱈目な十刃達すらをも従わせる程の総合的な強さだと評しており、隊長達が鏡花水月の能力を警戒する事を『それだけでは不十分』と否定的に見ている。
また、他者を惹きこんでしまうカリスマ性を持ち、藍染自身に殺されかけた元部下の雛森は(長期間に亘って仕込まれたので仕方ないが)「藍染隊長を……助けてあげて…!」「そうよ…!きっと藍染隊長は市丸隊長か誰かにムリヤリ…」と日番谷に言ってしまう程だった。
それは本来立場上敵であった筈の虚すら惹きつける程で、アイスリンガーからは「藍染様は我等にとって太陽の様な存在」と讃えられていた。
【鏡花水月】真の能力
「一体いつから────鏡花水月を遣っていないと錯覚していた?」
解号は【砕けろ『鏡花水月』】。
能力解放に伴う形状の変化は無い(あると発動の前兆を気取られる為"無いほうが厄介"である)が、解放の瞬間を一度でも見た相手の五感・霊感等を支配し、以降解放の度に何度でも相手を支配していくことが出来る能力【完全催眠】を持つ恐ろしい斬魄刀である。
劇中にもあるが、一度解放を見せれば、それ以降解放の瞬間をあたかも『そもそも解放をしていない』ように錯覚させることも勿論可能。さらに卍解を習得しているために解号を唱えず始解ができるため、斬魄刀を見せるだけで催眠の発動条件を満たすことができる。
この能力により、護廷十三隊の隊長格を含むかなりの隊員を自らの催眠下に置くことができ、暗躍に大いに貢献した。上述の項目にある、「流水系の斬魄刀で、霧と水流の乱反射により敵を撹乱させ同士討ちにさせる能力を持つ」というのはもちろん嘘であり、周囲には完全催眠によりその能力を偽っていた。
ドラマCD「騒乱前夜」で「説明会」と称して副隊長を集めたのも、副隊長達に催眠を懸けるための方便である。
この能力で自らの死を偽装し、特に雛森の精神を錯乱させた。
偽装に関して卯ノ花烈は検査のため藍染の偽装遺体に最も長く触れていたこともあって違和感を覚えることが出来たが、催眠を解くまで誰にも完全に解明する事はできなかった(鏡花水月はこの時、仮の遺体に見えるように暗示が掛けられていた)。
完全催眠から逃れる為には能力の発動前から刀に触れている必要があるが、この事実を見抜いていたのはギンだけである。
ただし、ギンの「(発動前に触れていれば催眠には掛からないという事実に対し)その一言を聞き出すのに何十年かかった事か」というセリフから、情報収集の結果見抜いたのではないため、藍染がギンを信頼していたため口を滑らせた、というよりはむしろ敢えてそれを教えておく事で裏切る前兆を察知する為の撒き餌と考えるのが正しい(事実刺された直後藍染は「君の狙いは知った上で連れていた。どうやって私を殺そうとするか興味があったからだ」と述べている)。
一見すると初見殺しにも程があるチート能力だが、この斬魄刀にできることは「特定の対象を別の物体に見せかける」事であり、
平子に対してはわざわざ代役の部下を自分に見えるよう催眠をかけていたことから「何も無い所に幻を作り、本物と誤認させる」ことはおそらく出来ない(或いは代役となる人物にわざわざ自分の所作を真似る様に仕込んでいた事から、出来たとしても違和感が大きすぎて催眠がバレやすい)。
唯一例外と言えるのは狛村を黒棺で攻撃する際、東仙の隣に自分が立っているかのように見せかけた時だが、これもほんの僅かな時間のことである。
そもそも催眠と銘打たれているが、相手の意思や精神を直接操作することは出来ないため、能力の詳細がバレてしまえば例え催眠下にあっても(一対一、あるいは同士討ちを考慮しないと条件はつくが)無差別広範囲攻撃等の対応策はある為、
鏡花水月があそこまでの脅威となったのは隊長格でさえ一撃で戦闘不能に追い込む藍染の圧倒的戦闘力と、最適なタイミングで絶妙な誤認を発生させる判断力と技量があってこそであり、(一定以上の霊圧差があればどんな能力をも無効化出来る設定を考慮しないとしても)弱者が手に入れて暴威を振るう類の斬魄刀ではない。
実際にとある人物が鏡花水月を模倣して使用した際には、常に完全催眠の維持に気を配り大部分の霊圧を集中させる必要があった。
そこから更に同時に攻撃するのは困難を極め、多数を相手取っていたとはいえ遠距離からチクチクと削る戦法を取るしかなかった。
現状を維持する弱者を惑わし、理想の有様を求める強者にしか扱えないという、まさしく藍染惣右介の心情を反映させた斬魄刀である。
なお、卍解の詳細は劇中未使用のため、その名称や能力は不明。
一応他の卍解の例と照らし合わせる形で幾つかの予想がされており
- 幻覚を現実にする(炎で焼かれる幻覚を見せると、焼かれた部位が火傷する)
- 鏡花水月では出来なかった「無い物を在る様に見せる」事ができるようになる
- 五感だけではなく物事の認識(敵味方や寒暖、軽重や天地等)も弄れるようになる
- 作中でユーハバッハに使用した、時間の感覚を狂わせる能力こそが実は卍解の能力
等、ファンの間では色々な憶測が存在する。
余談
千年血戦篇のアニメ版のカットインで長年ヴェールに包まれていた鏡花水月の能力が遂に解説された。
なんと『相手を催眠術をかける能力』ではなく、『発動している間は対象を別のものに誤認されるようにする能力』だったようである。(つまり能力の対象は、相手ではなく物。藍染本人は「鏡花水月なら蝿を竜に見せることも可能」と言っていたが、実はそのままの意味だった。)
対象もどうやら1つだけらしいので、能力のギミック自体はファンの想定よりも始解らしいシンプルなものだったようだ。
人間関係
主人公である一護を始めとして、様々な人間と関りのあるキャラクターだが、特に重要な人間関係においては、上下関係か敵対関係しか築いていない。
その一方で、下記に並べられたキャラクターは全て、藍染がどういう真意であれ言葉の上では認めた人間ばかりである。
作中において、確実に誰よりも信頼していた人物。
彼が幼少期の頃から目をかけており、尸魂界篇終盤では「彼以外を副隊長だと思った事は無い」と発言し、鏡花水月の弱点である完全催眠の逃れ方も、唯一直々に教えられていたことからも、その信頼の深さが窺える。
一方で、彼に対しての信頼もどこまでが本気のものだったのか不明で、尸魂界侵攻の折には市丸が裏切ることを予期していた発言をした上で、容赦なく彼を斬り殺している。しかし、彼に裏切られた際には、藍染には珍しく感情を昂らせており、斬り殺す際にも皮肉とは言えまがりなりにも礼を述べて、彼が手に掛けた人物の中では珍しく敬意を払っている。
また、時間をかけた策謀によるものとはいえ、唯一素の実力で殺されかけた人物でもある。
実際のところ、どこまで信頼していたかは不明だが、表面的な仲でいえば確実に最も長く深い付き合いのあった人物。
本編では彼が狛村左陣、檜佐木修兵と和解した直後に殺害している。
しかし、小説版で明かされた過去によると、実はこれは東仙自身の望みであり、最も忠誠心の高かった部下への慈悲だった。最大の忠臣としてついてきてくれた礼をしよう、望みは無いかと問われて「もしも自分が、死神達の世界を受け入れる様な事があれば、この世界が私に安寧を与えるならば、この世から欠片も残さず消し去って頂きたい」と言う彼の願いを聞き入れた事によるものである。
東仙は藍染が天に立ったら、復讐に囚われた者の居場所はないと自殺するつもりだった。小説版を見る限りは藍染なりに東仙の事は最後まで信頼していた模様。東仙自身も藍染に真に忠誠を誓っており、物事に絶対があるならそれは藍染様だけと語っている(つまり、自分の忠誠心すら絶対ではなく、復讐心も場合によっては氷解してしまうかもしれない事を自覚していた)。
基本的に他者を信用していない藍染が、その別離を惜しんでいた唯一といっていい人物。
- 十刃を初めとした破面達
回想から分かる通り、破面に対しては崩玉不使用の破面化、破面・大虚の自勢力へのスカウトも自分自身から直接赴いて積極的に行っており、その時の印象を未だに引きずっている者が多い。
その中でも十刃からの忠誠心はまちまちであり、スターク、ハリベル、ウルキオラ、ゾマリは比較的高い忠誠心を持っていた(それ以外も合わせるならロリ、メノリ、ルドボーンも該当)が、それ以外の面々に関しては、完全に力尽くでの服従であり、バラガンに至っては復讐の対象として藍染の命を狙っていた。
しかし藍染としては、そんな十刃達の事を「死神としての自分をも超える存在になる」と期待していたらしく、基本的に戦いや敵への対応などは全て彼等に任せて自分は傍観に徹していたのだが、彼等が次々と隊長達に敗れる姿を見て、最終的には「死神としての自分一人の力にすら及んでいない」として、自分の道行きには付いてこられないと判断し、最後まで生き残ったハリベルを自ら切り捨てた。
対山本元柳斎重國用に改造したワンダーワイスが敗れた際には、「虚となった魂に価値など無い」とまで言い捨てており、捨て駒同然の役割を与えていた。
彼が隊長に就任した時から内心では注目しており、一種のライバル視をしていた。
浦原の事は「尸魂界に於いて自分の頭脳を超えた唯一の存在」と認めており、だからこそ敗北して浦原の鬼道で封印された際には、そんな浦原に対して何故霊王に従うのかと激昂した様子を見せていた。
ちなみに、藍染が曲りなりにも感情を剥きだして相手にしたのは一護と彼のみであり、一護が予想外の成長を超えた結果として感情をむき出しにしていたのに対して、言動的に浦原に対しては今までの溜まりに溜まった感情が爆発したような科白となっている。
穿った見方をすれば、藍染にとって唯一対等な存在と認めていた人物のようにも見る。
千年血戦篇までは直接的な絡みはなかったが、京楽自身は平子同様に藍染が副隊長時代から危険だと認識していたようで、魂魄消失事件に平子達が調査に行った際には藍染の事を監視していた。
千年血戦篇では、想像を超えた滅却師の力に対抗するために無間から一時的に出獄するよう誘いをかけられ、彼との問答の末にそれを了承する。
その際に京楽の事を「やりにくい男だ」と評しており、戦闘力や霊圧と言った武力方面はともかくとして、策略や詐術と言った頭脳方面ではある程度認めているようである。
人間にしてはそこそこの霊能力を持っているというだけのただの人間だが、「見ず知らずの人間を」「圧倒的実力差を分かっていたうえで」「心の底では怯えているにもかかわらず」「自暴自棄ではなく守るため」に自身の前に出て対峙した事から極めて高評価。
小説版では「時折あのような者が現れるからこそこの世は面白い。価値があると言ってもいい」と上機嫌に語っており、痣城剣八の語った特徴から、彼の野望を砕いた人間が彼だと見抜いた。
なので、作中彼が観音寺を止めようとする台詞があったが、本心からの台詞である(とはいえ一護を誘い出す為にやっている事なので理由をつけて攻撃を中断する事も出来なかった為、惜しいが死んだら死んだで仕方無い覚悟の上だろうとも思っていたようだが)。
- 女性関係
作中では女性との絡みが意外な程に多く、尸魂界篇では雛森から片思いにも似た慕われ方をしており、破面篇での側近であるロリやメノリは、藍染に対する執着心にも似た忠誠心を見せている。
織姫に対しては、その能力に興味を示して、隊長格に対する囮とする為に仲間を人質に取る形で仲間に引き入れた。しかし、その割には女性として目をかけている描写もあったのだが、本心は不明。
目的
劇中、彼の最終目標が具体的に明らかになる事が無かったが、恐らくは「尸魂界の王」になる事だと思われる。
ただし、これが支配欲から来るものであるかは不明である。理由は後述。
尸魂界篇での目的は、100年以上前に浦原喜助が発明した「崩玉」を手に入れる事。
詳しい活動開始時期は不明だが、110年前は平子の部下として副隊長を務めていたが、この頃から既に暗躍を始めており、崩玉を製作する研究も行っていた。表向きは人徳の有る副隊長として振舞いつつも、その裏では、死神の限界を超えた力を求めて「死神の虚化」(仮面の軍勢がこれに該当)並びに「虚の死神化」(破面)を狙って、当時死神になったばかりの少年だったギンと、九番隊隊長であった六車拳西の配下として活動していた東仙に指示を与え暗躍していた。
101年前に虚化の実験のために流魂街で魂魄消失事件を引き起こし、結果として平子たち当時の隊長格8人を仮面の軍勢にするきっかけを作り、その罪を浦原になすりつけ彼を追放に追いやった。さらに、市丸を部下にする以前に自らも崩玉を生み出しており、何百の死神と何百の死神の資質を持つ流魂街の住民の魂を与えていたが、それでも満足できずに、浦原が作った崩玉を自分の崩玉に与えることを想い付いた。彼の作った崩玉を狙っていたのもその為である。
浦原の崩玉を手に入れる前は、自らが作り出した虚を実験目的で、仲間である筈の死神の下へ送り込んでいた。志波海燕を死に至らしめルキアの心に闇を持たせるに至ったメタスタシア(アニメ版では、テンタクルス)や、檜佐木修兵の右目に傷を付け最終的に自らギンと始末した巨大虚(ヒュージ・ホロウ)の大群も、実は彼が作り出した失敗作であった。
劇中の活躍
本編開始から20年ほど前、『ホワイト』を生み出す事に成功した藍染及び側近の二名は、空座町にホワイトを派遣して実験を行うが、その際にホワイトは滅却師であった黒崎真咲を襲撃し、彼女を虚化させようとして死の淵に追いやる。
しかし、志波一心(後の黒崎一心)が死神の力を捨てたことで、真咲は一命をとりとめて失敗(これによって一心が物語開始時点で力を失っていた元凶は藍染であったということが明かされた)。
これにより一心と真咲が結ばれることとなって一護が誕生し、婚約が解消した石田竜弦と片桐叶絵が結ばれ、雨竜が誕生することとなった。
つまり藍染がいなければ、一護と雨竜がこの世に誕生することはなかったのである。
その後も黒崎家の監視は引き続き行っており、諸々の経緯から一護が、虚・死神・滅却師の三つの種族の能力を使える存在になるだろうと確信した事で、ルキアと一護を意図的に遭遇させ、以降は研究対象として自分の監視下に置く。
その後も護廷十三隊に在籍しながら裏では実験を継続して進めており、上司であった平子を始めとした隊長格たちを虚化させることに成功するも、浦原に見つかってしまいその化けの皮が剥がれることとなってしまう。
だが鏡花水月の能力を使ってアリバイを作り、自身の悪行を全てその場にいた浦原に擦り付けるという鬼畜の所業を行い、これによって浦原は冤罪で現世に永久追放。
実験台にした平子達も虚として処理され、尸魂界から足を洗うこととなったのだった。
破面篇では、尸魂界の王である霊王を殺すと言う野望を掲げ、虚圏を完全に支配して活動の拠点を移し、ギンと東仙、二人の側近と十刃を筆頭とする大量の破面軍団を率いて死神たちに猛威を振るうこととなる。
手初めに敵情視察として十刃のウルキオラとヤミーを現世に送り込む。
一護達と交戦した彼らが持ち帰った情報から織姫の治癒能力を利用しようと画策し、再びウルキオラを現世に送り、彼女を虚園に拉致させる。
その後は織姫を奪還しに一護達が虚園に潜入したことを察知すると十刃全メンバーを緊急招集。
会議を開いて、侵入者の情報を伝えた後に彼らを一護達の排除に向かわせる。
だが一護やルキア、新たに乗り込んできた朽木白哉・更木剣八・涅マユリらの活躍でNo.5~No.9の十刃は全滅。No.4のウルキオラも完全虚化した一護との激闘の末撃破された。
しかしそれに焦ることもなく、ギンと東仙、二人の側近とNo.1~No.3の十刃三名を連れて、現世及び尸魂界への大侵攻を開始。
だが現世でスタンバイしていた護廷十三隊の隊長達によって足止めされ、総隊長の山本の能力で炎の中に監禁され、部下と隊長達の戦闘を観戦する。
だが長々と続く戦闘に痺れを切らし、ワンダーワイスを使って拘束を解く。
それでも長らく行動を見せなかったが、No.1とNo.2のスタークとバラガンが撃破されたため、彼らに失望。
ギンに戦闘を中止させて十刃は用済みと判断し、残っていたNo.3のハリベルを粛清。
ついに自ら刀を抜いて動き出す。
「さあ始めようか護廷十三隊 そして不出来な破面擬き達」
隊長達と仮面の軍勢の連合軍を相手に圧倒的な戦闘能力を見せ、それに加えて崩玉を使って進化を重ねながら一心、浦原、夜一をも退ける。
その桁違いな強さの前にあの一護もついに戦意を喪失し、隊長格達を全滅させ、絶体絶命の状況に追いやる。
戦いに敗れた東仙をも処刑したことで、ギンと共に遂に空座町に降り立ち、一般人の有沢竜貴達に猛威を振るうが、元々自身の首を取るために部下となっていたギンが遂に反乱を起こす。
不意打ちによって死の直前まで追い詰められるが、死への恐怖から崩玉でさらに覚醒したことで彼の神殺槍を耐えてギンを殺害。
その直後に戦いの覚悟を決め、戦士として大きく成長した一護が参戦。遂に彼との最終決戦へ突入する。
三つの種族の能力を秘め、霊王に近い存在であろう一護(実際後に『千年血戦篇』で次の霊王候補筆頭であることが判明する)を自分がより強い存在になる為食らうつもりだった様だが、一護は藍染の想定を遥かに超える成長を遂げており、手も足も出ずに彼に圧倒される。
「思い上がるなよ人間が!!!!」
しかし、それでも崩玉によって不死の存在となっていた為に、しぶとく生き延びていたが…
「終わりだ!!黒崎一護!!」
一護「終わりだと?そんなもんかよ?」
「見せてやるよ」
一護「最後の月牙天衝だ」
「 ────何だ その姿は────…」
直後に一護の最後の月牙天衝によって完全敗北。
崩玉によって見限られてしまい、斬魄刀と超越者としての力が消滅していった。
さらに浦原によって打ち込まれていた鬼道が発動し、封印される形で拘束。
地下監獄最下層の”無間”に投獄されることとなった。
謎
彼が何故霊王を斃し、自分がその代わりになろうとしたのか。その本当の理由は漫画・小説版共に語られる事は無かった(本人曰く「私は常に私を支配しようとするものを打ち砕く為にのみ動く」「勝者とは常に世界がどういうものかでは無く、どう在るべきかについて語らなければならない」との事だが真意は不明)為、その真意や真実は永遠の謎である。しかし、ある程度の予想は可能である。
尸魂界を治めているとされる霊王であるが、実際のところ霊王と言うのは、四肢が捥げて水晶の様な物に封印された状態の、そもそも生きているかどうかも定かではない何かとしか表現できない存在であった。浦原はそんな霊王の事を「世界の楔」と表現しており、小説版『Can't_Fear_Your_Own_World』で明かされた設定によると、彼は世界の原型を生み出した、いわば神の様な存在であるが、かつて死神により両腕両脚を捥がれ、内臓すらも抜き取られて封印された事が明かされた。直接言及されてはいないが、その設定を仄めかす描写は本編にもあり、この事実はある程度隠されてはいても、この事実を知る事自体はそこまで難しい事では無い様である。
つまり霊王とは、王とは名ばかりの生贄に過ぎず、その生贄を王と崇め奉る事に反感や疑問を覚えるのは、当然の反応とも言える(前述の『CFYOW』において、ハリベルが現在の霊王を見てドン引きした上で、「藍染の気持ちが解った」と発言していることから、藍染が謀反を起こした動機は霊王を見てドン引きしたからである可能性が高い)。
また、同小説にて五大貴族の霊王に対する許しがたい罪によって成り立つ世界を良く思っていないことが描写されており、「世界をこのまま死神に委ねている事こそ、永劫に続く犠牲の連鎖から目を背く悪徳であり、自分の歩みこそが正義」だと語っている。
また、「世界の在り方を原初に戻す事を私は良しとしない。それは人が人で在る事の意義を失うからだ。だからこそ私は世の理の礎であり、死神達の罪の象徴であり、最大の贄でもある霊王を天から堕とす」、「他者の欲望に踊らされた贄では無く自らの意志を以て天に立つ」とも語っている。
藍染のやろうとしたことは死神達によって贄にされた霊王を救い、自らの意志で次の霊王になろうとした、ある意味では藍染は霊王の一番の忠臣とも言えるのである。
しかし、逆に言えば霊王が自ら犠牲になってまで保ってきた世界があると知りながら世界の均衡を崩し、霊王が守りたかった数多の命を殺し残虐な行いをしてきて、霊王の意思を理解している節がある零番隊に反逆することが霊王への裏切り以外の何物でもないとも言える。
また、一護は藍染の剣には孤独しか存在しておらず、藍染の本当の目的は崩玉により死神の力を失う事だったのでは?と推測している。つまり崩玉で力を失ったのは崩玉に見限られたからではなく、藍染自身が心の何処かで望んでいた結果だったのかもしれない。
実際に、藍染自身は「支配者とは孤独なものである」と言う価値観を持っており、それを作中でも明言していた。さらに崩玉による進化の第2段階以降は、霊力の弱い者は藍染に近づかれただけで体が崩壊するようになったのだが、藍染本人はこの能力を好んでいないらしく、作中では自分に近づく弱い相手には例外なく事前に警告をしており、実際に一般人が爆死した際には、いつもの余裕を漂わせた微笑が消えて完全な無表情でそれを見ていた。
これらの事から、それが彼の本当の望みであるかどうかはさておき、表面上の立ち振る舞いとは裏腹に、誰にも心を開けず、孤独であり続けた人物だった事は事実な様である。
もしかすると「支配者とは孤独なものである(=自分が孤独なのは支配者となるために生まれた人間だから)」というロジックを使って、自身の孤独な境遇を正当化しようとしていたのかも知れない。
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超越者藍染:崩玉と融合した彼についてはこちらを参照。ちなみに融合過程の形態であるハンペン隊長はその容姿からネタにされている。