「俺ガ 護ル」
概要
一種の暴走状態であり、虚化と違い一護の自我は薄くなっている。
二本の角のついた仮面を被り、全身が白くなり、仮面紋もつき、髪も長くなる。
攻撃力や速度が大幅に上がるが自力で変身したり解除したりすることは出来ない。
作中では破面篇のウルキオラ・シファー戦で発現。手も足も出ず胸に穴を空けられ意識不明の重体になった一護を助ける形で発動した。
井上織姫を護る意志が反映されているためか「俺ガ助ケル」という独り言を発しなながら行動する。
響転や虚閃といった虚の力で戦うが、人外じみた苛烈な凶暴性を見せ、敵への攻撃を邪魔した者も敵対者とみなす。
その為、作中ではウルキオラだけでなく、一護を制止した石田雨竜にまで攻撃している。
作中では、それまで手も足も出なかったウルキオラを逆に完膚なきまでに圧倒。
虚閃で大打撃を与え、卍解・天鎖斬月でトドメを刺そうとするが、それを過剰な攻撃と考えた石田に阻止される。
ところがウルオキラへのトドメを邪魔した石田に天鎖斬月を投げつけるという衝撃的な行動をとる。更に「俺ガ助ケル」と独り言を呟きながら虚閃で倒そうとするが、そのターゲットが変わった隙をウルキオラに突かれ左角を折られたことで解除される。
解除される直前に、ウルオキラによって胸に開けられていた一護の胸の穴を超速再生で完治させ、理性と意識を取り戻し元の一護に戻った。
それ以来、破面篇でこの形態になることは二度となかった。
戦闘力
非常に高いが、詳細が解説されることはなかったので、かなり謎に包まれている。
作中で使った能力として、遠くにあった天鎖斬月を念力のような形で手繰り寄せているが、戦闘に応用されているわけではないので、これが戦闘能力に分類されるかどうかは不明。
攻撃手段としては虚閃、移動手段としては瞬歩ではなく虚の移動手段である響転を使用しており、巨大な膂力と霊圧をぶつける単純な戦闘能力の高さでごり押していた。そして完全虚化解除時に損傷部位を回復させる超速再生も使用した。
この形態の恐るべきところは、作中では卍解状態の一護の残りの霊圧のステータス表示ともなっている死覇装が右腕部分しか残っていない状態で発動していること。
これはつまり、本来の半分以下の戦闘力しか出せていないということである。
その状態の戦闘力で、完全虚化前まで全く手も足も出なかったウルキオラを逆に手も足も出ない状態に追い詰めており、万全なら少なくともウルキオラ戦の2倍の強さになっていたと思われる。
このため、もし彼が万全の状態で完全虚化していた場合、間違いなくウルキオラは瞬殺されていたであろう(尤も作中でも実質的には瞬殺されているが)。
小説でも第0十刃のヤミー・リヤルゴより上と言われており、どのくらい強いかがよく分かる。
ウルキオラに開けられた胸の穴から仮面紋が生えているほか、白い肌をしているという特徴がある。仮面のデザインはメイン画像通り。
余談
白一護もこの形態に変身することが可能。
最後の月牙天衝の修行時に登場した。
ただし一護とは違い、理性を保っている。
なお、一護は白一護のこの形態を見た上で、天鎖斬月から「おまえはこの姿でウルキオラ・シファーを倒したのだ」という説明を受け、それにより完全虚化の存在を知った。
その正体
一護の母・黒崎真咲に宿っていた『ホワイト』という虚の要素が一護に反映されたもの。
このホワイトは死神の魂を集めて作った虚であり、戦い方も死神と酷似している。
完全虚化一護の戦い方が死神に近かったのも恐らくホワイトの戦い方が反映されているからであろう。
後にこれが一護の斬魄刀になり、サポートするようになった。
この経緯から一護の虚化は仮面の軍勢のそれとは違い、斬月の奥義であった可能性が高い。
仮面の軍勢が暴走する時は斬魄刀を手放し虚らしく素手で戦うことも多かったが、一護が暴走する時はいつだって必ず斬月を手に持っていたという大きな違いもある。(斬魄刀が破壊されたVs猿柿ひよ里戦は除く)
一部では一時期、完全虚化の正体は帰刃なのではという説があがっていたが、完全虚化一護の姿がホワイトと酷似していることを考えると、あながち間違いではないのかもしれない(変身時に負傷が完治しているのも帰刃の特徴である)。
後に一護や仮面の軍勢が理論上は東仙要と同様に帰刃が可能、という裏設定が明かされたことで、この説がさらに有力になっている。
克服後
「大丈夫だ井上 "俺"のままだ」
虚化ではなく斬魄刀の能力として使っているからか、通常の虚化のように自分の意思で発動したほか、こちらは理性もしっかりある。
ただしまだ力に慣れていないため、自由自在に変身したり解除したりすることは相変わらず出来ない模様。
そのため、作中ではわざとユーハバッハの怒涛の攻撃を受け続け、そのユーハバッハの霊圧による刺激を利用して変身した。
発動時には作品名回収と言わんばかりに長刀が白く染まり、直後、帰刃のように爆発する。
容姿としては虚化の上位種、死神の帰刃っぽかった破面篇の完全虚化とは打って変わって、一転して破面の帰刃らしくなっており、完全虚化と同じデザインの仮面紋が一護の顔に直接ついているほか、胸部に虚の穴を思わせる仮面紋がつき、その仮面紋から更にウルキオラ戦のときと同じデザインの胸の仮面紋が生えているという特徴がある。
また仮面がなくなった代わりに髪の毛が短くなり、角が頭から直接生えている。ただし左角しかない。
また、最強の虚閃である王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)も使用可能であったり、それを月牙天衝と合体させて放つことが出来たりなど破面篇のものよりも強くなっている。
ただし左角(読者から見ると右角)を折られると解除されるのは変わらず、作中ではユーハバッハに折られ解除してしまった。
なお、一見右角はないように見えるが実は一護が右手に持っている斬月(長刀)が右角にあたるようであり、虚閃を放つ際はこれを右角の代わりとして使い攻撃する模様。
※肌の色について
少年ジャンプ+アプリのカラー版では白色、カラー単行本やゲーム『Brave Souls(ブレソル)』では下のイラストのような肌色になっており、アニメ版でどうなるかは現時点では不明。
多数決だと肌色が多いが、虚の力であることを踏まえると白の方が自然と言える。
ちなみにブレソルの「完全虚化を御することで手に入れた」というオリジナル形態では白色。
作中では完全虚化した後に卍解しているほか、火力も完全虚化の王虚の閃光より卍解の月牙天衝のほうが上だった。
これは破面篇の完全虚化とは真逆の結果である。
破面篇でも実は同様で、完全虚化そのものは実は大したことはなく、あの時にウルキオラを圧倒できたのは併用していた卍解の火力が大幅強化されていたからなのかもしれない。
思えば完全虚化後の卍解一護は死覇装が半分の状態であっても、ウルキオラより間違いなく硬いであろう鋼皮硬度ランニング2位のヤミーに黒い月牙で普通に傷をつけられたり、ヤミーの攻撃が殆ど効いてないどころか軽々と虚弾を弾いていたりと、万全の状態でないにもかかわらず、ただの卍解なのにウルキオラ戦の虚化よりも明らかに遥かに強くなっていた。
ウルキオラが単純に衰弱して鋼皮が弱っていただけの可能性もあるが、実は真逆で一護の攻撃の威力が上がっていたとも、どちらの解釈もすることができる(どちらにせよ、少なくとも一護が斬れる状況になっていなければ、ウルキオラも一護に「殺せ」などと頼むことは出来ない)。
もしかすると一護の虚化は斬月の奥義に過ぎず、千年血戦篇の完全虚化こそが斬月としての正しい使い方だったのかもしれない。
思えば破面篇でも一護以外の隊長格は卍解した状態で更に奥義を使用し、十刃を倒していた。
つまり一護にとって虚化は仮面の軍勢のそれではなく、実は卍解の奥義のようなものだったのかもしれない。
そしてそれは破面篇の頃からそうだったのかもしれない。
チャドが卍解した恋次との修行やガンテンバインとの戦いを通して巨人の右腕と悪魔の左腕を覚醒させたことから、完全虚化もウルキオラの刀剣解放第二階層の霊圧の影響で覚醒したものなのではないかという説がある。後に一護が滅却師の力を持っていると明かされたことで、更に有力となった。