「お前の全てを秤にかけろ 引き返せぬ道を指し続ける お前の折れた秤にな!」
「お前は……………友を助けに行くべきだ……………」
この記事はBLEACH最終章のネタバレを含みます。原作未読やアニメ勢の方は注意してください。 |
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ポエム
痛みは無い
その天秤から
眼を逸らせぬ事以外に(70巻、アニメ版千年血戦篇 38話)
笑え
希望に満たされていろ
この世界は天秤だ
何ものかが希望に満たされれば
他の何ものかが絶望する
だから
決して絶望するな
これ以上無い程の希望に包まれていろ
我々以外の全てを
絶望に沈める為に※(アニメ版千年血戦篇 PV第4弾)
※ユーハバッハと共に朗読。
概要
見えざる帝国の精鋭部隊「星十字騎士団」の一人であり、その団長及び、最高位(グランドマスター)の地位に君臨する実力者。
事実上国家のNo.2として皇帝であるユーハバッハの側近を務めている。
同じ騎士団のメンバーであるバズビーとは幼馴染であるが、後述する過去から彼とは大きな因縁がある。
人物
ユーハバッハから授かった聖文字は「B」で、騎士団の仲間達からは「次期皇帝」と称されている。
作中ではユーハバッハをはじめ多くから名字で呼ばれることが多く、下の名前であるユーグラム(正確には渾名の「ユーゴー」)と呼ぶのは、親友だったバズビーのみであり、ハッシュヴァルトも彼の事を「バズ」と呼んでいた。
外見は長い睫毛に腰ほどまである金髪が特徴の美青年で、髪型やシルエットがユーハバッハに酷似している。マントの下には騎士団員の例に漏れず白いダブルのロングコートを着用し、襟元には緑色のファーが付いている。左腰には鍔の辺りに天秤の意匠のあるロングソードを携えており、これを用いて黒崎一護の卍解・天鎖斬月を破壊した。
このロングソードはアニメ38話でバズビーの一族が所有する剣であることが明かされている。ハッシュヴァルトは過去にバズビーと共に彼の家の遺品を漁っていたところ、この剣を手に入れて使い続けている。
非常に冷静沈着な性格の持ち主で、ユーハバッハの命令を絶対視するほどに忠実。仲間内にはドライな態度で振る舞う姿が印象的(特に問題児であるバズビー、バンビエッタには厳格)。
能力
聖文字 "B"【世界調和】-The Balance-
世界に起こる不運を幸運な者に分け与える事で、世界の調和を保つ能力。
彼を中心に一定範囲内で起こる「不運」を、「幸運」な者に分け与えることができる。
例えばハッシュヴァルトが人物Aと戦っていると仮定し、Aがハッシュヴァルトにダメージを与えたとする。その場合、Aがハッシュヴァルトにダメージを与えたことを「幸運」とすれば、その「幸運(与えたダメージ)」とバランスをとるために同量の「不運」がAに対し降りかかる。この場合、Aがハッシュヴァルトに与えたダメージと同等量のダメージがAに対して返ってくる。
逆にAがハッシュヴァルトの攻撃を防御した場合、その「幸運」とバランスをとるために同量の「不運」に見舞われる。この場合、ハッシュヴァルトは次の攻撃時に、Aの物理的な強度や防御・回避行動などを無視し、必ずダメージを与えることができる。
身代わりの盾(フロイントシルト)
ハッシュヴァルトが持つ逆五芒星の意匠がある盾。自身に起こる不運を盾に移し、他者に跳ね返すことが出来る。また、この盾は聖文字に付随しているものなのかは意見が分かれている。
上記の例を持ってくるなら、この盾を持っているハッシュヴァルトにAがどれだけダメージを与えたとしても、ハッシュヴァルトは不運(与えられたダメージ)を盾に移すことで即座に全快し、さらにダメージを与えた時点で降りかかった不運と合わせて、「身代わりの盾」に刻まれた分の「不運」を追加でAに与えることができる。
作中この方法のみ描かれたが、攻撃に対しても同じことができると思われる。例えばハッシュヴァルトが攻撃をAに防御・回避された場合、その不運は盾に移し取られ、防御・回避行動を取られなかったら与えられたであろうダメージがAに通ると考えられる。
即ち、ハッシュヴァルトににとっての「不運」は全て他者へ「分け与えられる」ことになり、本人は常に「幸運」に守られた状態でいられる。
つまり、身代わりの盾を持つハッシュヴァルトは、事実上常に必中攻撃を行え、更に譬えダメージを与えられたとしても不運を盾に移すことで無効化・回復し、与えられたダメージの2倍の威力の必中攻撃を行うことができる。
因みにFreund Schild(フロイント・シルト)とはドイツ語で直訳すると「友達の盾」という意味になる。親友であるバズビーと訣別したハッシュヴァルトの過去を鑑みるとあまりにも皮肉の効いた名前と言わざるをえない。
アニメ版ではユーハバッハが命の檻を抜け出した際、「零番隊がユーハバッハと戦わずに済んだ事」を幸運と定義して、「命の檻の破壊」が不運の現象として発生している。この事からハッシュヴァルトの認識に大きく影響を受ける性質が見受けられ、不運の先も零番隊に直接危害を加えるものではなく命の檻に向かうなど、かなり汎用性に富んだ事象が反映されるようだ。
聖文字 "A"【全知全能】-The Almighty-
本来はユーハバッハが持つ能力。
ユーハバッハが眠りにつくと能力の入れ替わりが起こり、この能力が使えるようになる。
ただし、ハッシュヴァルトが使えるのは「限定的な未来視」までに止まっており、「未来改変」は使えない。しかし、未来視自体も石田雨竜とのやり取りから視える未来は十分長い上に、精度も極めて高いのでやはり強力(これが原作終了後の展開に繋がっている)。
ハッシュヴァルトはユーハバッハと違い視える分岐に限りがあり、それ故却ってユーハバッハ自身が把握しきれなかったかもしれない未来、それ即ち自分が死にユーハバッハまでもが敗死する未来が視えてしまっていた。
過去
約1000年前、現世にてユーハバッハが君臨する「光の帝国(リヒトライヒ)」の管轄下であった村に生まれる。両親はおらず、同居する叔父のオイカル・ハッシュヴァルト(CV:川津泰彦)に怯えながら2人で暮らしていた。狩りをしていたある日、弓でウサギを仕留めようとするも失敗。そこに現れたバズビーがそのウサギを仕留めるという形で彼と出会う。後ろ向きな性格で腕に青アザがある(叔父による虐待と推測される)ハッシュヴァルトを案じたバズビーに子分にさせられる形で友人となり、彼から必要とされたことで喜びを見出だす。
その後、光の帝国全域を制圧せんとするユーハバッハに村を焼かれて叔父を喪い、同じく住処と一族を喪い怒るバズビーからユーハバッハへの復讐を薦められる。叔父から解放されたからか消極的な態度を示すが、それでも友でいてくれるバズビーに応え、復讐に手を貸す事を決意。「右腕」としてユーハバッハに近付き、殺害することを目標に鍛練を続ける。
しかし、親友のバズビーは着実に滅却師としての実力を身につけているのに対し、ハッシュヴァルトはいつまで経っても滅却師としての能力は開花せず、霊子を集めることは疎か弓の一つも作れなかった。
そして5年後、部隊を率いてやって来たユーハバッハに右腕として抜擢され、そこで初めて自分が「分け与える能力を持つ滅却師」であることを知る。当初の目的であるユーハバッハ殺害に大きく近付けたと思う中、右腕に選ばれなかったバズビーから鋭く睨まれ、祝福されないことに困惑する。その直後にユーハバッハから「お前が必要だ」とバズビーと出会った時のように自身の存在を受け入れてもらったことを嬉しく思い、彼に仕えることを決める。
その選択は実質友であるバズビーを裏切ることになるが、彼にとってはユーハバッハに選ばれた自分をバズビーが受け入れなかった事こそが裏切りであり、激昂するバズビーが放った神聖滅矢からユーハバッハを護ると共に訣別の道を選び、星十字騎士団に入団した。
星十字騎士団結成から3年後、ハッシュヴァルトは騎士団の団長となる(3年の間に昇格したか最初から団長だったのかは不明)。バズビーが入団した頃には現在の性格になっており、バズビーに対しても一定の距離以上踏み込ませないような雰囲気を醸し出していた。しかし気性の荒いバズビーを粛清しようとした副団長のヒューベルトを規則に則った形ながらも制していたことから、今でもバズビーへの情は失ってはいない様子だった。
本編の活躍
第一次侵攻
侵攻時に対峙した可城丸秀朝を真っ二つに斬り伏せて殺害し、ユーハバッハと共に侵攻の戦局を見ていた。
侵攻の終盤にキルゲ・オピーの監獄の能力を突破した一護の天鎖斬月の刀を破壊するも、時間制限が来た事をユーハバッハに伝えて退却。
第二次侵攻
新たに着任したばかりの一番隊隊長兼総隊長・京楽春水と対峙するも、伊勢七緒が張っていた結界に阻まれ、戦況を覆す為に力を解放しようとした時にユーハバッハからの帰還命令を受け退却。
ユーハバッハの勅令によって、敗けたBG9、蒼都の処刑を行い、処刑後はユーハバッハの傍で戦況を見守るが、味方諸共殲滅せんとするグレミィ・トゥミューの隕石落としには流石に焦りをみせて「陛下を守れ」と聖兵達に指示をだす。
そして新たに騎士団入りした雨竜と共にユーハバッハの霊王宮侵攻に同行。
霊王宮での零番隊との戦いでは自身は参戦せず、雨竜と一緒に神赦親衛隊とユーハバッハの戦闘を見届けた。
アニメ版では麒麟寺天示郎との戦闘が追加された。麒麟寺の超速度の猛攻を前に防戦一方を強いられ、金毘迦で身代わりの盾(フロイントシルト)を弾き飛ばされてBの能力を発動することも出来ずに斬り伏せられて敗北した。
その後はユーハバッハの聖別(アウスヴェーレン)によって親衛隊と共に復活する。だが追い込まれた零番隊が自刃して卍解を解禁した事により、修多羅千手丸の術中に嵌って炎の中に呑み込まれ封印されてしまった。
真世界城
1度目の「聖別」で満身創痍になりつつも霊王宮に突入してきたバズビーに対して心配するような言動はしていたものの、行動は一貫してユーハバッハに仇なす敵として対峙し、感情を捨てたような態度で殺害し、そこでユーハバッハと同じ目(目に瞳が3つある状態)を開眼した。
その後は、予め裏切ることを予想していた雨竜との一騎打ちに入り、Bの能力で雨竜を圧倒していたものの、ユーハバッハが(もはや自分以外何も必要ないと判断したため)行った2度目の「聖別」により戦闘不能になった。
ユーハバッハに見限られたことには憤りを感じておらず、寧ろ最後まで彼の力になれたことに感謝していたが、やはりバズビーを裏切ってしまったことに彼なりの後悔や葛藤はあったらしく、自分と同じ「命か友か」の選択をしなければならなくなった雨竜に「秤にかける事もできず、迷いに追われて決めたことは、すべて後悔になる」と告げ、死亡した。また、バズビーに対する敬意か、彼の持つ剣の柄には、かつての友情の証である『B』のイニシャルが入ったバッジが埋め込まれていた……。
バズとユーゴーは結局、最後迄和解することが出来ず、お互いに殺し合い、ユーゴーの手によってそのまま死別し、自身もそれを後悔しながら後を追うという悲哀な最期を迎えた。
何かが少しでも違えば、こんな悲しい結末にはならなかったのかもしれない…。
後日談
小説『Can't_Fear_Your_Own_World』では直接の出番はなかったものの、雨竜と最終決戦を行う前に、生き残った星十字騎士団を助けるよう側近の女滅却師(恐らく原作544話に登場していた女性キャラ)に遺言を遺していたことが判明。それによりユーハバッハに謀反を起こしたバンビーズ(リルトット、ジジ、ゾンビ化したバンビエッタの3人)が生還した。なお、3人とも目を覚ましたのは自分達が殺そうとしていたユーハバッハが一護達に斃された後であった。
仲間を次々と粛清してきた彼だが、陛下と違い、何だかんだで仲間思いの一面もあったようだ。
作中では側近の証言しか描かれていないためハッシュヴァルト本人が何を考えていたのかは不明だが、未来視をした上で「未来を見通す事は酷な力だ」などと独り言を呟いていた模様(原作で酷似した台詞がバズビー、リルトット、ジジの敗戦後に出てきていること、側近に命じた命令内容のタイミングから、恐らくその3人の謀反が失敗した頃だと思われる)。
この時、何が視えていたのかは不明だが、「何があろうと、滅却師の未来を繋げ」とだけ側近に語っていた。
余談
ハッシュヴァルトのハッシュは、ハッシュタグのようなイントネーションで言うのではなく、ハットのようなイントネーションで言う。
親友のバズビーの誕生日は一護と1日違い、自身の誕生日は雨竜と1日違いであり、彼は雨竜のアンチテーゼキャラであったと言える。
また、このバズビーとハッシュヴァルトの関係は、銀城空吾と月島秀九郎の関係のアンチテーゼとも考察する視聴者もいる。
なお、ハッシュヴァルトの聖文字はB、バズビーの聖文字はHと、互いの名前の頭文字と対になっている。また、何の因果かBLEACHの最初と最後の文字もまたBとHである。