「お前達には速やかに 死んで貰い〼」
巻頭ポエム
軍勢ゆきゆきて喇叭を吹く
耳鳴り止まず星屑のごとく
軍靴の轟き雷鳴のごとく
(56巻)
概要
見えざる帝国の星十字騎士団の一人。狩猟部隊(ヤークトアルメー)の統括狩猟隊長を務めている。占領した虚圏にて、破面の回収と部隊の指揮を執っていた。
右半分が長めの非対称なおかっぱ頭とサングラスをかけた男性。両目は普通だが、聖文字を使うとシャッター(ロボットの目)のような目に変わる。
普段こそふざけたような口調だが、性格は冷酷。自分に従わない者は部下であっても平然と斬り捨てる。また言葉の「ます」と言う語尾が〼と表記されるのが特徴的。
一方で観察眼と判断力は優れており、ユーハバッハからは「特記戦力である黒崎一護もキルゲと戦っているならしばらくは動けない」と彼の実力を買っており、戦闘では一護の卍解は火力以上に攻撃速度の方が厄介と冷静に分析していた。
能力
- The Jail
【監獄】の名を持つ、聖文字"J"の能力。
特殊な矢を放ち、その矢を媒体に相手を閉じ込める檻を形成する。
霊圧を完全に遮断するらしく、一護の霊圧が尸魂界から感知出来なくなるばかりか伝令神機による連絡も取れずにいた。
卍解状態の一護が頑張ってもびくともしない程の強度を持ち、更に術者の死後も継続するためその捕獲能力は高い。ただしキルゲの監獄は敵を封殺する為の物であるため同族である滅却師を捕らえる事は不可能。その為、滅却師の血が流れていた一護には最終的に脱出された。
聖文字能力は彼が初出だったため、原作では唐突に能力が披露された印象だったが、アニメでは初登場時からカットインで『J』の文字と一緒に紹介されたことで聖文字の存在が分かりやすくなった。
詳細はリンク先を参照。
技
- 聖隷(スクラヴェライ)
天使の光輪に見立てた頭部の光輪から周囲の霊子を隷属・吸収する【霊子の絶対隷属】能力。
滅却師の基本的な能力である「霊子の集束」を極限まで高めた絶対隷属であり、
あらゆる霊子構成体を見境なく吸収し、際限なく取り込んだ対象の霊圧に比例して自身を強化していき、姿も変わる。
この能力によって大量に霊子を吸収すると、取り込んだ対象によって自身の身体や翼も変貌してしまうため、滅却師の天敵である虚(アヨン)に対しては使いたがらなかった。
吸収する基点となっている頭部の光輪が弱点であり、この部分を破壊されると聖隷の発動はできなくなる。
- 霊子兵装
滅却師の基本技術。キルゲの場合はサーベル型となっており、そこから鍔の部分に神聖弓を展開。無数の神聖滅矢をボウガンのように射出する。
- 血装(ブルート)
『星十字騎士団』全員が持つ戦闘術の一つで、自らの血管に霊子を流し込むことで攻防双方の能力を飛躍的に上昇させる身体能力強化術。詳しくはこちらを参照。
当然、攻撃用の動血装(ブルート・アルテリエ)と防御用の静血装(ブルート・ヴェーネ)をそれぞれ扱える。
作中では卍解状態の一護の超速戦闘に翻弄され、静血装に集中せざるを得なかった。
- 星章化(メダライズ)
死神の卍解を奪い取る『星十字騎士団』の共通能力。特殊な斬魄刀である斬月を持つ一護には通じなかった。
- 乱装天傀(らんそうてんがい)
糸状に形成した無数の霊子の束を自分の身体の動かない箇所に接続し、傀儡人形のように動かす超高等技術。
マユリ戦で発動させた石田の霊子の形状は片翼だったが、キルゲは背後の板状の霊子から体に多数の糸が接続されている形態なので、より操り人形っぽくなっている。
劇中の動向
狩猟部隊の総指揮を任され、虚圏で破面の残党狩りおよび使えそうな人材のスカウトを行っていた。
スカウト活動は苛烈極まるもので、戦いで生き残ったある程度の実力を持つ破面の捕虜の殆どを"試験"と称して槍で惨殺してしまう程。(部下曰く「破面を回収する気などなく、虚圏にも興味がない」)
隠し持っていた斬魄刀で反撃してきたロリとメノリを一瞬で倒し、救援に来たハリベルの従属官であるミラ・ローズ、アパッチ、スンスンの三人も一蹴。その後にネルとペッシェに助けを求められてやってきた一護と刃を交える。
しばしはお互いに小手調べのような攻防を続けるが、キルゲにユーハバッハ直々の勅令下ったことで本格的に戦闘を開始。完聖体を発動し一護を追い詰めたが、途中で割って入ってきたアヨンの横槍を食らい、何度も地面に叩きつけられて首の骨を折る重症を負ってしまう。が、折れた首を腕で平然と戻して「聖隷」の力でアヨンを霊子に分解して吸収。
「出来れば使いたくなど無かった。聖ナル翼が邪ナルモノで穢れて仕舞〼カラ」
虚を想起させるような醜悪な姿になるもパワーアップを遂げる。
負傷したロリとメノリを連れて砂の中に隠れていた井上織姫やチャド諸共、その場の全員を聖隷で皆殺しにしようとしたが、その隙に一護に卍解の発動を許してしまい、頭部の「光輪(ハイリゲンシャイン)」を破壊されてしまう。
さらに卍解を奪うことが出来ず、一護の圧倒的な速度と破壊力から、静血装から動血装の切り替えすらできない大苦戦を強いられる。
そして一護からの「卍解が怖いのか?」という問いかけに激昂した隙をつかれて、浦原喜助の不意打ちで胴体に風穴を空けられ倒れる。
が、隙を見て「乱装天傀」を発動し強引に復活。井上・チャド・浦原を神聖滅矢で戦闘不能にし、尸魂界に向かう一護を聖文字能力で黒腔内に封じ込めることに成功する。ユーハバッハからの「命を賭してでも黒崎一護を足止めする」という指令を完遂したことを確信し、勝ち誇ったように哄笑。
浦原達に止めを刺そうとしたが、何者かの刃で背後から体を真っ二つにされて今度こそ死亡した。
最終的に一護に監獄を破壊されたが、ユーハバッハらはキルゲが一護と交戦した事に乗じて瀞霊廷へ侵攻し、死神側に甚大な被害を与えることに成功した。
石田雨竜が星十字騎士団入りした際に、ほとんどの団員が直前まで存在すら知らされていなかったため、石田がユーハバッハの後継者となることに納得しなかったが、キルゲは一護との戦いで石田の実力が自分より上であると確信しているような言動を見せている。
主なセリフ
「ハイハ――イ!静粛に――!!これより、’’生きるか!?死ぬか!?虚・破面混合大センバツ大会’’を開催いたしまぁす!!」
「今の説明で分からない人はこんな風にぃ!こんな風に…こんな風に…死んでもらいまあす!!」
「おっと、多弁は銀、沈黙は金。少々喋り過ぎました…ご容赦を」
「この戦いを終えた後は陛下への御報告が増えそうだ」
「不気味だと言いましたね。私のこの姿を。正しい反応です。貴男方死神の如き悪虐の輩の瞳には、聖なる執行者たる我々の姿は不気味でおぞましきものと映って然るべし!!!」
「良い判断です。 だが、“力の差”が計算から抜け落ちてい〼」
「こうして藻掻く姿を目にする度、私は認識を新たにします。弱者の死する様とは斯くも無様な物なのか…と。見るに堪えぬ…死になさい」
「卍解させてはならないという情報は来ていた、奴の卍解は星章化できぬからと。だがそれだけ、それだけだった筈だ。
なのに何故、何故奴は完聖体となりあの化物までも吸収したこの私を… こうも易々と凌駕してくる…。」
「貴方の敗けだ黒崎一護。貴方はその闇(くら)い檻の中で尸魂界の滅亡を只為す術も無く待つのだ」
「…さて…では吸収したあの化物の力が消える前に…貴方たちも消しておきますかねえ…」
「がはっ…」
余談
劇中の言動やイロモノな外見によらず、聖文字に依存した戦い方をする他の騎士団員とは違い、神聖滅矢・乱装天傀・霊子の集束など滅却師らしい戦い方をすることや、
劇中初登場の騎士団メンバーだけあって神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)、滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)、血装(ブルート)と多数のオサレワードを新たに出してくれたおかげで一部の読者から高い人気を誇っている。
後に浦原も一護と同様に特記戦力の1人だった事が判明し、彼に深手を負わせて「まっ… 待て…」と言わしめるほどに焦らせた数少ない人物ということもあって有能扱いされている。
しかしながら、他の騎士団員の多くはわざわざ卍解を奪わずとも、聖文字や滅却師完聖体で卍解した隊長達と互角以上に交戦出来ていたのに対し、彼は卍解を発動した一護に終始劣勢だったため、騎士団のメンバーの中では戦闘力がそこまで上位とは言えない方だった可能性がある。
また彼だけ聖文字や滅却師完聖体に頼らない戦い方をする理由は、彼の聖文字は同族には通用しないため基礎能力を鍛えておかないと、襲われた時に対処できないからではないかという説がある(星十字騎士団は仲間割れや同士討ちが頻発する組織であるため、賢明な判断かもしれない)。
ちなみに久保帯人氏への質問コーナーで明らかになった事実だが、彼は騎士団の戦闘術指南役という教官ポジションに就いており、生徒だった者が現騎士団に所属しているとの設定があるらしい。
戦闘力では上位陣に劣っているが、神赦親衛隊でもないのに石田に関する情報(ダーテン)を受け取っていたことや、虚圏の征伐という危険な任務の隊長を任されていたことから、ユーハバッハからの信頼は厚かったと思われる。
流石に見えざる帝国の不利益になるような情報は一護の問いかけにも応じず渡さなかったが、慢心から自分が不利になりかねない情報を一護に対してベラベラ喋ってしまったため、自らの苦戦を招く遠因となってしまった(一護は滅却師ということでキルゲが石田家の関係者なのかと疑って戦うことに躊躇があったが、キルゲが完聖体の説明の際に自分の所属が石田家とは別の勢力と公言し、なおかつ石田家を「時代遅れ」などと見下すような発言をしてしまったため、一護が心置き無く全力を出せるきっかけを作ってしまう)。