概要
1985年1月20日生まれ。AB型。身長162㎝。東京都武蔵野市出身。
所属事務所はボイス&ハート(2004年~2007年12月31日)※事務所が事業撤退したため。
⇒シグマ・セブン(2008年1月1日~2021年12月31日)
⇒青二プロダクション(2022年1月1日~)
学習院初等科⇒学習院女子中等科・高等科⇒学習院大学法学部政治学科卒業。
この学歴から「実はお金持ちのお嬢様なのでは…?」と思われがちだが、本人が公式で否定している。なお、法学部を選んだ理由は「卒業論文を書かなくて済むから」と述べている。
家族構成は父・母・兄(名:としき)と猫(名:ちくたん)。父親は現役時代に学校の教師をしており、社会科を教えていた。母親は書道を嗜んでおり、幼少期の井上に指南している。兄は2歳年上で井上と誕生日が同じため、井上のファンから一緒に祝われるのが毎年恒例となっている。猫は両親と実家で暮らしており、名前の由来は最初に食べた物が竹輪だったことから兄に命名された。
ちなみに名前の「麻里奈」は本名だが、苗字の「井上」は芸名である。
声優になるまでの道のり
男の子役に憧れて
幼少の頃から芝居が好きで、小学校時代の演劇部では主役を演じることもあった。女子中学時代には有志で行っている芝居に籍を置き、身長もあったため男の子役に割り振られることが多くなる。そこで自分とはまったく違うものになれる楽しさを知り、女子高時代にはいつも男の子役をするようになる。しかし、大学では共学となったため男の子役は自然と男性が演じる環境になり、それでもやりたくて考え抜いた結果、「性別や年齢を問わず何にでもなれる」という魅力を感じて声優を志す。
大学に通いながら声優になる方法を色々調べ、当初の予定では「大学1、2年次でバイトをして学費を貯めて、3、4年次で大学に行きながら声優の養成所か専門学校に通おう」と考えていた。しかし一方で、まずは自分の力でどこまで行けるのか試してみたいという思いもあり、
2003年秋、大学1年生の時にソニー・ミュージックSDグループ声優オーディションに応募する。
オーディション荒らし
運命の悪戯か、この初めて受けた一般公募のオーディションで、応募者2000人という超高倍率の中から見事グランプリを獲得し、
2004年1月に新房昭之監督によるOVA『コゼットの肖像』でいきなりのヒロイン役に抜擢され、コゼット・ドーヴェルニュ役で声優デビューを果たした。
同時に、梶浦由記プロデュースによる主題歌と挿入歌も担当した。初見でヒロインの声と歌唱の声のギャップに驚く人も多いが、紛れもない同一人物である。
実はこのオーディションで、彼女は知る人ぞ知る数々の伝説と逸話を残している。
- 数回にわたる審査だったが、最終審査を受ける前にすでにグランプリに選ばれるという、いわばぶっちぎりの合格であった。
- とんだ規格外のオーディション荒らしだったのか、2003年12月に発売された「声優グランプリ1月号」では、「声優未経験でオーディションを突破したシンデレラガール」と評された。
- しかし本人は元々実力試しで受けており、声優になる覚悟がまだしっかりとできていなかったため、もし、運よくある程度の段階まで進むことができたら辞退を考えていた。…が、上述の通り、最終審査を受ける前にグランプリに選ばれたため、非常に嬉しく感謝の思いがあった同時に、当然ながら予想外の事態に戸惑う気持ちもあり、「逃げられない…!」と思ったと後年のインタビューで語っている1。もし最終審査が行われていれば、おそらく受けずに辞退していた可能性が高い。また、後述の彼女の多大なる実績や一線級の活躍ぶりを考えると、オーディション主催者側は唯一無二の逸材を危うく逃すところであった。審査員たちマジGJ。
- 上記の理由から、声優になる夢とオーディションを受けることは両親にも友人らにも事前に一切明かしていなかった。ゆえに、合格してから打ち明けられた彼らは、さぞや腰を抜かしたであろう。
以上のように、声優の道を志してから夢を叶えるまでの期間がほんのわずか数か月であり、実は史上最速最短で声優になったと言っても過言ではない非常に稀有な存在でもある。
まるで漫画からそのまま出てきたような人物だが、実在の人物でありノンフィクションである。
また、声優養成所や専門学校を経てではなく、いきなり一般公募のオーディションを受けて合格しそのまま鮮烈のデビューを果たしたため、声優としては珍しく同期と呼べる同期はいない。
ただし、同じオーディションを受けて同じく本作でデビューした仲間には葉山いくみ(旧:藤原郁美)がおり、同期ポジションに近い唯一の存在である。
—ここまでを読むと、一見すれば順風満帆なように思えるが、その実あらゆる苦労や失敗も経験している。
オーディションは実力試しの気軽な気持ちで受けており、自分が合格ましてやグランプリを獲得できるとは露にも思っていなかったため、受験後は友人と諸々の行事を計画していたという。しかし、グランプリ獲得の連絡を受け、これから始まる声優としてのレッスンや打ち合わせといった多忙な仕事のスケジュールの都合で、先約をすべてキャンセルせざるを得ない事態になった。浅慮により友人との大切な約束を破る自分自身が許せず、友人には非常に申し訳ないことをしてしまったとのこと。しかしながら、思い切って打ち明けたところ、友人は井上の夢を快く応援してくれ、これを機に一生プロの声優としての道を歩む決心ができたと語っている2。
なお、現在でもその友人らとは変わらず良好な付き合いが続いており、中には初等科時代からの旧知の仲もいる。彼女らは、井上が声優になる前からの気心知れた仲間たちであり、ときに悩みを打ち明けたり、ときに相談に乗ったりと日々支え、励まし合う良き理解者である。
井上曰く、「良い面も悪い面も全てを受け入れてきているので包み隠さず本音で話せる」、「心安らぐ場所」と評している。
デビューから20年、井上が絶えず第一線で活躍する理由は、彼女らの存在なしでは語れない。
グランプリ獲得後、両親にも打ち明けたところ、反対こそされなかったが、当然ながらとても心配されたという(というのも、一般公開オーディションの中には詐欺まがいのものも決して少なくないため…)。しかし、主催が大手企業であり、過去に数々のヒット作品を生み出してきた信頼できるところであることを伝えたところ、両親も安心し、納得してくれたとのこと。
破天荒かつ大事な娘の夢に理解を示して後押しし、娘の出演作品を視聴して感動するなど、今もなお応援し続けてくれる素晴らしいご両親である。
一般公募のオーディションを経て声優デビューしたため、養成所や専門学校のような自分と同じ境遇で励まし合える同期がいなかった。ましてや専門用語すら知らない声優ド素人が、いきなり作品の看板であるヒロイン役で、声優ファンなら誰もが知ってるであろうプロの声優たちと同じブースに立ってアフレコせざるを得なかったため、そのプレッシャーは尋常ではなかった。しかしながら、出来ないことを恥と思わず、分からないことは先輩に積極的に聞いたり、先輩らがすることを見て覚えたりすることで、声優としての知識や技術を吸収できたとのこと。
幸運なことに、井上が新人かつ声優未経験であることを前提でアフレコ現場は動いていたため、監督スタッフはじめとした皆が井上を気にかけてくれたという。また、先輩声優らは皆優しく丁寧に教えてくれたため、井上は「沢山の方に支えられて素晴らしい環境で初めてのお仕事をさせて頂けた私は、本当に運がよく、恵まれていた」と感謝の意を表している。
以上から、人並外れた運と才能を持つ彼女も、様々なことで悩んだり失敗したりする人の子であることがわかる。
しかしながら、こうした彼女の人柄・努力・魅力がたくさんのご縁と強運を引き寄せる所以であることは間違いない。
声質・演技
「役柄に合わせて様々な表情を見せつつも、まっすぐに、クリアに、人々の心に刺さる声」と評される。その評価に違わず役幅が非常に広く、幼女から中年の女性、はては少年やマスコットまで演じ分ける実力派。特にキャラクターの細やかな心情に寄り添った演技に定評がある。
『進撃の巨人』の大ファンである関俊彦は、アルミン役の井上の演技に感銘を受けており、「誰からも愛される、すごくピュアな言葉を発する声優さん」と絶賛している3。
デビューから新房昭之作品に多く出演しており、シャフトの常連でもある。特に新房作品では屈折した役柄やダークな役柄といったクセのある役を演じることが多く、他作品では拝めない彼女の怪演を楽しむことができる。
上述した通り、デビュー当時に先輩たちから声優としての知識や技術を優しく教授された経験から、「作品は皆で作り上げるもの」という思いが強い。そのため仕事にあたっては常にチームワークを重視しており、主役級で出演した作品ではリーダーとして率先してまとめ役・盛り上げ役に徹している。
共演者や制作スタッフからの信頼も厚く、原作者や監督からのオファーも多い。一例を挙げるならば、高橋留美子(『境界のRINNE』:真宮桜)、新房昭之(『物語シリーズ』:老倉育)、羽海野チカ(『3月のライオン』:幸田香子)らは彼女の演技や声質に魅せられ、自身の作品にキャスティングしており、現場での気配り等も高く評価している。
近年では、聞き取りやすく落ち着いた声質からナレーションや吹き替えも多くこなしており、2021年より報道番組『news zero』で、木曜日・金曜日のナレーションを担当している。
また、卓越したトーク技術を買われ、コミックシーモア主催によるインターネット番組『声優バラエティわちゃわちゃんねる』(2020年~24年)では、メインMCも担当している。
人物・交友関係
気さくかつ礼儀正しい人柄と評され、先輩後輩問わず慕われており、石川由依、三上枝織、堀江由衣など彼女に憧れ、尊敬する者も多い。基本的に誰とでもすぐに打ち解けているが、長年共演し、苦楽を共にした梶裕貴と石川由依は特別な存在であり、共に「戦友」と認めるほど仲が良い4。
朴璐美のことを師匠として慕い、朴もまた自身の主催する朗読劇や公演に度々誘うなど井上の実力を認め可愛がっており、良好な師弟関係を築いている5。また、斎賀みつきはデビュー当時の素人だった井上を教え育ててくれた恩師であり、今でも誕生日を祝ってくれたり、SNSでたわいもないやりとりをしたりするなど親しい間柄である。
業界関係では、女優の菅井友香(元・欅坂および櫻坂46の初代キャプテン)と交友がある。菅井は母校の後輩であり、好きなキャラクターであるアルミンを演じている井上に憧れている。2023年11月末に菅井のラジオにゲストで出演したことを皮切りに、菅井からの願いで連絡先を交換し合うなど仲を深め、井上は2024年1月に開催した『進撃の巨人』の10周年記念イベントに菅井を特別に招待した。
趣味はドライブ・写真・旅行など多岐にわたり、リフレッシュ方法は自然に触れること。非常にアクティブなイメージがある一方、なんと特技は裁縫である。意外に思うかもしれないが、これは学生時代に芝居に携わった関係で、衣装作り等もしていた経験による。
また、絵を描くのも好きで、人物や風景や自身の演じたキャラクター等をデッサンしている。
その腕前は、紙とペンさえあればわずか数分で下書き一切なしのハイクオリティな絵を仕上げてくれたり、オファーがあればクリスタを駆使して他者に超美麗な絵を提供してくれたりする程である。
主な出演作
アニメ
イラスト未確認
藤堂@ひだまりスケッチ
小村楓(幼少期)@好きな子がめがねを忘れた
邪神アーロン@転生貴族の異世界冒険録
神楽千登世@ハイスピードエトワール
劇場版
OVA
ドラマCD
ゲーム
※1東方二次創作ゲーム。元々は『東方地霊殿』のキャラクター。
※2東方二次創作ゲーム。元々は『東方紅魔郷』のキャラクター。
イラスト無し
レンジー@家庭教師ヒットマンREBORN! 絆のタッグバトル
以下@miHoYoのゲーム
以下@アズールレーン
以下@Echocalypse
以下@御城プロジェクト
躑躅ヶ崎館 | 浜松城 | 曳馬城 |
吉野ヶ里 | ノイシュヴァンシュタイン城 | |
[pixivimage::s] |
以下@陰陽師(ゲーム)
特撮
エージェントのメタルA@天装戦隊ゴセイジャー | [[]]@[[]] | [[]]@[[]] |
[pixivimage::s] | [pixivimage::s] |
吹き替え
その他
ときお@天才てれびくんYOU
ナレーション
『進撃の巨人』では、主要キャラクターの一人・アルミン・アルレルトを担当し、本作のナレーションと次回予告も兼任している。
2013年12月31日の第64回NHK紅白歌合戦では、アニメ『進撃の巨人』のOP主題歌を担当したLinkedHorizonの曲披露前に冒頭のナレーションを務めた。
ナレーション@進撃の巨人 | 木曜・金曜ナレーター@news zero |