概要
チャールズ・モールトン(Charles Moulton)によって創造された世界初の女性スーパーヒーロー(=スーパーヒロイン)。コミックの初登場は1941年の『All Star Comics #8』。
DCコミックスではスーパーマンやバットマンと並ぶビッグ3の1人。2016年には漫画のキャラクターでありながら正式に国連名誉大使に任命された。
プロフィール
本名:ダイアナ・プリンス(Diana Prince)
頭髪:黒髪
目:碧眼
身長:183センチ(6'0")
体重:75キロ(165lbs.)
人間界から隔絶されたパラダイス島(セミシッラ、セミスキラとも)に暮らすアマゾン族の女王ヒッポリタの手によって造られた泥人形にギリシャの神々の祝福を受けて命を宿し、アマゾン族の王女として誕生する(後に設定が変更され、ゼウスとヒッポリタの娘、アレスの姪となっている)。
ジャスティスリーグの創立メンバー(Original Seven)の1人。その中核メンバーであり、性格に難のあるキャラが多く居る中の数少ない良識派として、メンバー同士の諍いを治める役回りが多い。
特に「正義」の考え方が正反対なスーパーマンとバットマンの衝突に割ってはいることが多く、この3人の間では世間での通り名ではなく、それぞれの本名で呼び合う程に親しい。また、この3人は「DC TRINITY」と呼ばれ、3人をメインに据えたコミックも出版されている。
能力・技能
超怪力とそれに伴う超耐久力、人間を遥かに凌駕する頭脳の処理能力、驚異の身体能力を持ち、超音速で飛行する事が出来る(漫画版では大気圏内マッハ10 / 宇宙空間では光速に近しい速度での惑星間移動により星虹現象が生じるほど)。
- 【Wonder Woman 1984 / Diana Flying Scene】
自身の受けた傷の回復と毒素の分解、動物との意思疎通などの能力も持つ。
素手は勿論、剣、弓、槍の高い技術を持つ熟練の戦士であり、まったく目が見えない状態でも通常と変わらない戦闘を行える。非常に幅広い知識を有し、10以上の言語を解する。また、陸上競技、水泳のエキスパートでもある。
同じくDCコミックのチート級スーパーヒーローであるスーパーマンと「もし戦わば」となった場合、基礎能力はスーパーマンが有利、戦闘スキルと属性相性(ワンダーウーマンの武器は魔法系のものが多いのに対し、スーパーマンはコミックでは魔法への耐性は常人並)ではワンダーウーマンが有利と言える。
コスチューム
セクシーと力強さを兼ね備えたデザインで、基本的にはビスチェ、ショーツ、ベルト、ブーツの組み合わせ。これにブレスレットとティアラと投げ縄を装備し、アクセサリーに耳飾をつける。基本は赤と青、そして星。これはもちろん星条旗を模している。コスチュームは年代等で微妙に違いが見られショーツの代わりにスカートやロングパンツ、ちょうちんブルマ、ハイレグブルマだったことも。
最も新しいコミックや実写版映画においては、初期の原作に近いデザインになっているものの、カラーリングはそこまで派手ではなく、神話に登場する剣闘士をモチーフとしたビスチェ型の鎧、ミニスカート型のレザーベルトを着用している。
装備
真実の投げ縄(Lasso of Truth)
黄金に光り輝く神秘の投げ縄。通常は捕縛と尋問に使われる。
捕縛された者は質問に対して嘘をつく事が出来ずに真実を告げさせられる。
近年ではムチのように実戦でより武器として使われている。
銀の腕輪(Bracelets of Submission)
拳銃の弾丸から外宇宙の光学兵器までをも弾き返すイージスの盾から造られた破壊不可能のブレスレット。
前腕の半分程度の大きさだが、規模の大きい攻撃を跳ね返す事が出来る。また、ゼウスの雷を放つこともできる。
ティアラ
基本的にはブーメランとして使い打撃によるダメージを与えるが、斬りつける武器としても使用できる。魔法由来の道具であるため、その切断力は凄まじく、クリプトン人の皮膚すらも容易く切り裂く。
- 【スーパーマンよりパワー・体格共に強靭な『ドゥームズデイ』と戦うワンダーウーマン】
その他
神性を帯びた数々の道具、武具をクローゼットの裏の隠された武器庫に保管し、ウェインインダストリー製の不可視航空機インビジブル・ジェットも所有している。
登場キャラ
ファミリー
ヒッポリタ女王
セミッシラを治める女王であり、ワンダーウーマンとドナ・トロイの母親。
アンティオペ
ヒッポリタ女王の妹であり、アマゾン族の将軍。
アルテミス・バナ゠マイダル
セミッシラに存在するバナ゠マイダル族の女戦士。レッドフードやビザロと共に「アウトローズ」を結成する。
ドナ・トロイ
初代ワンダーガール。若手ヒーローチームティーンタイタンズの創立メンバー。現在は創立メンバーが再結成した「タイタンズ」に参加している。
キャシー・サンズマーク
二代目ワンダーガール。ダイアナが勤めていた博物館の考古学者ヘレナ・サンズマークの娘。ヤングジャスティスやティーンタイタンズに参加した。
協力者
ワンダーウーマンが初めて出会った人間の男性。故郷の島から外の世界へ出る切っ掛けを作った。
エッタ・キャンディ
スティーブ・トレバーの秘書。ワンダーウーマンの友人となる。
敵・ヴィラン
アメコミキャラとしては非常に歴史が古く、当時の時代背景から最初はナチスと戦っていた。1986年にDCコミックス全体で行われた大規模な設定変更以降はギリシア神話やローマ神話に関連するキャラクターと戦うようになる。
チーター、アレス、サーシ、ジャイガンタ、ジェノサイド、ドクター・サイコ、モーガナ、シルバースワン、メドゥーサなど。
映画
DC Extended Universe
『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)
DCエクステンディッド・ユニバースの作品で、2017年に公開が決定した単独映画(後述)に先駆け登場。
イスラエル出身の女優ガル・ガドットが演じる(吹き替えは甲斐田裕子が担当)。
出版から75年もの期間を経てようやく劇場スクリーンに登場し、ファン歓喜の華々しい活躍を見せ、その容姿と存在感とテーマ曲とで劇中一番目立っていたとも評された。
しかも3人のヒーローが並んだシーンでは真ん中である。
【Batman v Superman: Dawn of Justice - Official Trailer 2 [HD]】
※Warner Bros. Pictures 公式YouTubeチャンネルより転載
『ワンダーウーマン』(2017年夏)
初の単独映画。時系列はバットマンVSスーパーマンより前に遡り、ワンダーウーマンの誕生と過去を描く(一応、BvsSでもこの映画の伏線と思われる描写はあった)。
監督はパティ・ジェンキンス。女性監督によるヒーローの実写映画化は今回が2例目である。
全米ではバットマンVSスーパーマンを上回る大ヒットとなり、批評家の間でもDC映画としては『ダークナイト以来の傑作』とかなりの高評価を獲た。ジェンキンス監督は女性監督作品の史上最高記録を樹立。続編の制作も決定した。制作費1億ドル以上の映画を女性に任せたことがなかったハリウッド映画としては一つの転換期と言える作品と言えるだろう。
日本版予告編では声優の三石琴乃がナレーションを担当するという、なかなかニクい演出がとられている。また、日本のアンバサダーには乃木坂46が就任。レスリング女子・吉田沙保里、吉本新喜劇座長・酒井藍がプロモーションに参加した。
【WONDER WOMAN – Rise of the Warrior [Official Final Trailer]】
※Warner Bros. Pictures 公式YouTubeチャンネルより転載
『ジャスティス・リーグ』(2017年冬)
DCのヒーローチーム「ジャスティスリーグ」の活躍を描き、ワンダーウーマンもその中心メンバーとなり、新人のヒーローたちを勧誘し、世界の危機を救うために奔走することになる。
フラッシュ・サイボーグ・アクアマンといった一癖も二癖もあるコミカルなキャラクターが増えたことで、DCファンの間では問題児を抱えるお母さん的なポジションを確立しつつある。その一方で、劇中では不遜な態度を崩そうとしないアクアマンに対してラッソ・オブ・トゥルースを使用し、彼に弱音を吐かせるという一種のイタズラもしており、割と茶目っ気ある一面も見せている。
『ワンダーウーマン1984』(2020年冬)
単独作品の続編。詳細はリンク先参照。
- 【Wonder Woman 1984 | Retro Remix】
※1970年代テレビドラマ版『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』オープニング映像をリスペクトした公式ショート・ショート・ムービー(Warner Bros. Pictures 公式YouTubeチャンネルより転載).
『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021年配信)
「ジャスティスリーグ」の再編集版。
ダークサイドに敗北した未来では彼女の葬儀が行われていた。
『シャザム! ~神々の怒り~』
登場が公式ネタバレされた。
『ザ・フラッシュ』
冒頭のシーンに登場。フラッシュのスーツが変わったことに言及する。
ドラマ
- 【WONDER WOMAN Television Series Intro Lynda Carter (1976-1977) Season 1】
ワンダーウーマンを主役にしたテレビドラマ。合計3シーズンが放送された。主演は元ミス・ワールドアメリカ代表のリンダ・カーター。
日本放送時のタイトルは、第1シーズンが『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』、第2・第3シーズンが『紅い旋風ワンダーウーマン』。
なお、リンダ・カーターは「ワンダーウーマン1984」でも「ワンダーウーマンが着装するゴールドアーマーの本来の持ち主」(言うなれば「ワンダーウーマンの前任者」)を演じている。
アマンダ・ウォラーの招集に応じて出動。
俳優は代役。
Paradise Lost(DC Universe)
ワンダーウーマンの故郷が舞台。
アニメ
DCアニメイテッド・ユニバース(2001年-2006年)
『ジャスティス・リーグ』『ジャスティス・リーグ・アンリミテッド』にレギュラー出演。
声はオリジナルがスーザン・アイゼンバーグ、日本語版は安達まり。
【Justice League Action 第20話『男子禁制』(日本語)】(スーパーガールとスパーリングの練習をするワンダーウーマン)
※DC Entertainment 公式YouTubeチャンネル『DC Kids International』より転載
『ワンダーウーマン』(2009年)
1987年の「Gods and Mortals」を原作とするOVA。声はケリー・ラッセル。
『DCスーパーヒーローガールズ』(2015年-現在)
YouTubeで配信されている女児向けアニメ。声はグレイ・デリスル、日本語版は井上麻里奈。
【真実の投げ縄の真実(パート1 - 4)| DC Super Hero Girls】(日本語)
※DCコミックス 公式YouTubeチャンネル『DC Super Hero Girls』より転載
ゲーム
DCコミックスのキャラクターで戦う対戦型格闘ゲーム。声はアニメ『ジャスティスリーグ』でワンダーウーマンを演じたスーザン・アイゼンバーグが担当している。
75周年記念動画(2016年7月15日公開)
【75 Years, 75 Wonder Women】
備考
- 原作者のチャールズ・モールトンの本名は「ウィリアム・モールトン・マーストン」といい、本業は精神科医で嘘発見器の発明者らしい。
- ワンダーウーマンのモデルは原作者の妻・エリザベスと恋人のオリーブ・バーンとされている。エリザベスはブリタニカ百科事典の編集者であり、オリーヴを含めてポリアモリーな関係を築いていた。
- コミックではアークヴィランのマックスウェル・ロードの首を圧し折ったシーンが何度も回想に登場したことが変な意味でも有名になっている。スーパーマンを暴走させる程の洗脳を解くには、マックスウェル・ロードを殺す以外に方法が無かったのでやむを得ない手段であった。
- アマゾンの王女としての品格、戦闘民族としての教育を受け育ったため、上記のように敵に対して躊躇しない。それゆえに、それぞれ不殺を心掛けているスーパーマンやバットマンに比べ、戦闘シーンが過激に描かれることが多い。
【Wonder Woman 1984 | Young Diana Takes on The Amazon Games | Warner Bros. Entertainment】
※Warner Bros. Pictures 公式YouTubeチャンネルより転載
- ワンダーウーマンは女性コミックヒーローの中でも特に歴史を持つキャラクターであり、また女だけのセミッシラ(パラダイス島とも)出身で異性愛規範や性役割から解放された思想の持ち主であるため、近年はバイセクシャルないしクィアと捉えられLGBTのアイコンと見なされている。
- スーパーマンや悟空と同じく、日米キャラクターの比較ではセーラームーンとネタにされることがある。
- ブレスレットで銃弾等を弾く描写はこのキャラクターを象徴する演出として多くの作品で使用されており、サガシリーズのワンダーバングル(射撃を無効化する腕輪)もコレが元ネタと思われる。
- 海外実写アクション作品では(危険なシーン以外は)女優さん自らが演じているため撮影前の入念な稽古期間を設けており『容姿端麗プラス基礎的身体能力』の高いスキルが求められる(もちろんワンダーウーマン役の主演女優ガル・ガドットには『更に高い課題と目標』が契約義務として要求されている)。
【スーパーヒロイン映画『ワンダーウーマン』(2017年公開)におけるアクション女優たちの稽古風景】
- 「既婚夫婦の共働き」が数十年前から常態化している米国では『男性中心の社会構造の中でも活躍できる女性』が社会的に求められているため、『女の子でもワンダーウーマンのようにたくましく育って欲しい』と願う保護者が数多く存在する(1941年に誕生したワンダーウーマンというキャラクターが現在でも人気の理由でもある)。
【Justice League Movie Wonder Woman Gear Test & Toys Review for Kids by KIDCITY】
- コミックではスーパーマンには「魔法的な攻撃に対する防御力/耐性が常人並」という設定があるので、存在そのものが神的/魔法的なキャラであるワンダーウーマンと戦った場合は、仮に能力そのものはスーパーマンの方が上でも属性相性でワンダーウーマンが有利になる筈だが……そもそも「スーパーマンとワンダーウーマンが本気で殺し合う」という状況がコミック/映像化作品でも余り無い。
- なお、コミック版のIFストーリーで、スーパーマンがワンダーウーマンの剣をうっかり触って怪我をしてしまいワンダーウーマンに「あなたは物理攻撃に対してはほぼ無敵だけど、魔法攻撃には弱いんだから気を付けろ」と注意されるシーンが有る。
関連イラスト
サイドキック
関連タグ
DC / DCコミック / スーパーヒロイン / ギリシャ神話 / アマゾネス / パンドラ
バットマンVSスーパーマン / BvS / ワンダーウーマン1984 / DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団
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