概要
DCコミックのアメリカン・コミックを原作とした実写映画で、世界観を共有している一連の作品を指す。
既存のスーパーマン・バットマンシリーズをリブートし、2013年公開の『マン・オブ・スティール』より継続中である。
製作はDCの映画部門であるDCフィルムズ:現DCスタジオ(設立以前に製作された『マン・オブ・スティール』『ジャスティスの誕生』を除く)、配給はDCの親会社であるワーナー・ブラザースが担当している。
名称について
正式名称が「DCエクステンデッド・ユニバース」なのかどうかははっきりしていない。
今日に至るまで広く使われ続けてきた名称だが、初出は映画メディアであり、公式からアナウンスしたものではないことが、ユニバース展開開始のだいぶ後になって明らかにされている。
が、その後ワーナーの配信サービスであるHBO MAXでこの名称が使われ始めており、「なんだかんだ公式で定着しているのではないか」という微妙な扱いになっている。
と思いきや「DCユニバース」と決定したことが、2022年10月の公式発表において使用されたことでさらっと判明した。
ただこれだと「DCコミックの舞台となる世界(= ユニバース)」を指すこともあり、事実、一部サイトではその用例が見られる。また日本国内では略称「DCU」が2022年冬に放送された日曜劇場ドラマ『DCU ~手錠を持ったダイバー~』と重複する、という問題もあり、現状Pixivでは「DCEU」をメイン記事として扱うことになる。
なお、この発表がちょうど後述する仕切り直しの時期だったため、当初のシリーズを「DECU」・新しいほうを「DCU」と呼び分ける動きもあるが公式ではなく、これだと2つが関係無い異なるものという誤解を生みかねないため非推奨。
また「DCマルチバース」という用語もあるが、これは『ザ・バットマン』等も含むので注意。
余談だが、ライバル会社であるMARVELの実写映画シリーズの1つ「スパイダーマン・ユニバース」は正式名称が何回か変わっており、現在の名前「SPUMC」と当百科事典におけるメイン記事が一致していない。
特徴
スーパーマンのリブートとなった『マン・オブ・スティール』(以下、MoS)から始まった、いわばDC版MCUといえる。スーパーマン以外にも、バットマンやワンダーウーマン、ドラマでおなじみのフラッシュの活躍が描かれる。
当初は、ユニバースを率いていたザック・スナイダーの持ち味である暗くリアルなビジュアルと、『ダークナイト・トリロジー』や『ウォッチメン』に連なるハードな描写・展開が特徴であった。
これについては、MARVEL映画の1つ『DEADPOOL 2』でもネタにされており、デッドプールがケーブルに対して、「暗い奴だな。DCユニバースから来たのか?」と皮肉るシーンがある。
ただし、後述の通り現在は主軸となるクリエイターが不在の状態にあり、これらの作風は鳴りを潜めている。特に『ワンダーウーマン』以降はギャグシーンも含むようになり、MCUに近い明るい作風へと変化している。
またMCUに比べて、ひとつのユニバースとしての連携感はあまり追及されておらず、代わりに一作一作の完成度が優先されている。
ユニバース全体を貫く巨大な物語やヴィランが今のところ存在しないため、『アベンジャーズ』のような作品でヒーロー達が合流するお祭り的な盛り上がりは弱いが、その分『アクアマン』や『ワンダーウーマン』など最近の作品をいきなり見ても単体で楽しみやすく、ユニバースにすんなりと入りやすい利点がある。
沿革
元々DCは、1978年の『スーパーマン』にはじまり、ティムバートン版『バットマン』など、アメコミの実写化においてはMARVELに先んじていたものの、近年MCUが確立した「シェアード・ユニバース」構築では大きく遅れていた。その為、『ウォッチメン』で実績のあったザック・スナイダーを舵取り役に据えて、『MoS』を第一作とするユニバースの立ち上げに本格的に取り掛かった。
が、構築を急いで伏線を詰め込みすぎた第2作『バットマン v スーパーマン ジャスティスの誕生』(以下、BvS)や、短い製作期間で完成させた第3作『スーサイド・スクワッド』が、ヒット自体はしたものの批評面では相次いで失敗。MCUなどに比べると、興収面はともかく批評面は苦しい結果となるのが、特徴の一つとなりつつあった。
続く『ワンダーウーマン』がRotten Tomatoes(アメリカの有名な映画・テレビの批評サイト。ここでのスコアが、映画の出来の基準として扱われる事も多い)で92%フレッシュという高評価で見事にそれを打ち破ったものの、その後の『ジャスティス・リーグ』(以下、JL)が再び失敗。製作途中にザック・スナイダーを降板させて『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンを起用してまで娯楽性を追求した結果、『BvS』などに比べると映画の出来自体はマシだったものの、今度は興行収入がイマイチな結果で終わってしまった。
この失敗を受けて、ユニバース自体の大幅な方向転換が決定。上述の通り、MCUほどにはユニバースとしての繋がりを意識せず、まず一作一作の完成度を高めていく方針が取られることになった。
これにより、『サイボーグ(原題)』や『グリーンランタン・コァ(原題)』、『ジャスティス・リーグ:ダーク』といった当初の予定作品群が軒並み製作遅延(あるいは事実上の凍結・作り直し)となった。その一方でDCEUとは別の世界観とキャストによる『Joker』が作られるわ、それに対して今度は『スーサイド・スクワッド』のジャレッド・レト版ジョーカーの単体スピンオフ企画が立ち上がるわと、ほとんど仕切り直しと言ってもよいほど、作品の顔ぶれが様変わりした。
加えて言えば、『MoS』以降ユニバースをリードしてきたザック・スナイダーが離脱したことで全体の作風にも変化が生じ、もはや最初に提示された企画内容とは似ても似つかないユニバースと化した。
しかし、この新たな方針の下で製作され、2018年に公開された第6作『アクアマン』は、『ワンダーウーマン』に続いて興行面でも批評面でも大成功を収め、ついにはユニバース初の世界累計興収10億ドルを達成。続く『シャザム!』も、かなり製作費が抑えられた上に、直後に公開となった『エンドゲーム』の陰に隠れてしまったところはあるものの同様に成功。
興行面や知名度で言えばまだMCUほどの大成功には至っていないものの、シリーズとしての安定と人気は取り戻されつつある状況にあった。
迷走
DCEUの製作を担当しているワーナーとDCフィルムズは、2022年以降、年4本までの劇場公開映画作品・2本までの配信映画作品を提供していくと発表。
ユニバースとしての繋がりをいったんは弱めたDCEUだが、『ザ・フラッシュ』のムスキエティ監督によれば、今後は「マルチ・バース」構想を本格化させ、将来的には『MoS』以前の作品も含むすべてのDC映画=複数の世界線を統合する巨大なユニバースを形成していくという。
ひとつのユニバースを整然と発展させて大成功を収めたMCUと比べるともはや好対照と言ってもよい乱雑っぷりで、迷走中と言っても差し支えない状況にあったDCEUだが、マルチバース構想ではMCUに先駆ける形となる。ある意味では、この混乱が功を奏したと言えるかもしれない。
特に『ザ・フラッシュ』はマルチバースの交錯を本格的に描く接点のような作品になることが明らかにされており、ティム・バートン版に出演したマイケル・キートンが約30年ぶりにバットマンを演じる予定。
これに先駆けて2020年、別の世界観であるとされていたDCドラマ作品群「アローバース」のクロスオーバー『クライシス・オン・インフィニット・アース』にてフラッシュ/エズラ・ミラーがカメオ出演し、ドラマとの世界観の共有を果たした。
また、ワーナーの提供する映像配信サービス「HBO MAX」での配信にも力が入れられる。
2020年には新型コロナ流行を受けて『ワンダーウーマン1984』が劇場公開と同時に配信提供されるなど、既に結構活用されているHBO MAXだが、今後は『バットガール』、『スタティックショック』といった、劇場で大々的に公開するにはリスキーなキャラクターの映画作品、さらにはゴッサム市警や『ザ・スーサイド・スクワッド』に登場するピースメーカーの活躍を描くスピンオフドラマなどが独占配信される。
さらに、ファンからの根強い希望を受け、降板前に構想していた本来の『JL』、いわゆる「スナイダーズ・カット」をザック・スナイダー監督が改めて描く『ザック・スナイダーズ・ジャスティス・リーグ』も、HBO MAX限定作品として製作が決定。ディズニープラスと強く連携するMCUと同様、HBO MAXもDCEUにとって重要なプラットフォームとなっていく見込みである。
なおHBO MAXの日本でのサービス開始は未定だが、U-NEXTがワーナーと独占契約を結び日本国内での配信を担当することが発表されたほか、作品によってはほかの配信サービスにも提供される予定。
スタッフについては、
- 上述の通りザック・スナイダーが『JL』を最後にユニバースを離脱(『ザック・スナイダーズ・ジャスティス・リーグ』での復帰は1作限りのものとのこと)
- 彼の後を引き継ぐ形で参加したジョス・ウェドンも『バットガール』を制作するはずだったが降板し同様に離脱(ついでにサイボーグ役から『JL』製作現場でのパワハラを告発された)
- MCUをクビになった代わりに『ザ・スーサイド・スクワッド』でDC映画へ本格参加すると思われていたジェームズ・ガンも結局MCUへ復帰する
など、なかなか軸になるクリエイターが固まらなかったが、2018年に『死霊館』シリーズで実績のあるウォルター・ハマダが新たなシリーズ統括に就任。劇場公開作品から配信作品に至るまですべてを統括し、2022年以降のDC作品量産に向けて製作を進めていた。
しかしワーナーの映画部門のCEOが交代したことで、方針が転換。
その最たる影響として2022年夏、『バットガール』が撮影完了していた段階でお蔵入り。しかもこれはハマダに了承を得ないままの決定だったらしく、彼はしばらくして離脱。
その後、ジェームズ・ガンと、『アクアマン』以降でプロデューサーを務めるピーター・サフランが、DCフィルムズに代わって新設される「DCスタジオ」の共同会長兼CEOとして牽引することになった。
ジェームズ・ガン体制
幹部の交代により、『ワンダーウーマン』の3作目も棚上げされ、スーパーマン役もリキャストが決まるなど、『Aquaman and the Lost Kingdom』以降は殆ど見直しに。
2023年1月末に"新"ユニバースとして仕切りなおすことと、今後の大まかな計画が発表。
また別ユニバースの『ジョーカー』シリーズと『ザ・バットマン』シリーズも、改めて「DCエルス・ワールド(DC Elseworlds)」として区別された。
※コミックでの"Elseworld"とは、MARVELの『WHAT IF...?』のような「もしもの世界」を描いたシリーズ。
MCUの「フェイズ」に相当する「チャプター」で区切られ、チャプター1『Gods and Monsters』は10作品を予定している。
余談だが、同じDC原作の『コンスタンティン』の続編に影響は無い模様?
リブート発表後は、興業が輪をかけて凄惨であり、米国外では「Blue Beetle」の上映見送り・配給を他社に委託などが起きている。
作品
旧ユニバース
No. | タイトル | 全米公開年 | 監督 |
---|---|---|---|
1 | マン・オブ・スティール | 2013年6月 | ザック・スナイダー |
2 | バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生 | 2016年3月 | ザック・スナイダー |
3 | スーサイド・スクワッド | 2016年8月 | デヴィッド・エアー |
4 | ワンダーウーマン | 2017年6月 | パティ・ジェンキンス |
5 | ジャスティス・リーグ | 2017年11月 | ザック・スナイダー → ジョス・ウェドン |
6 | アクアマン | 2018年12月 | ジェームズ・ワン |
7 | シャザム! | 2019年4月 | デヴィッド・F・サンドバーグ |
8 | ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY | 2020年3月 | キャシー・ヤン |
9 | ワンダーウーマン 1984 | 2020年12月 | パティ・ジェンキンス |
5' | ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット | 2021年3月 | ザック・スナイダー |
10 | ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結 | 2021年8月 | ジェームズ・ガン |
11 | ブラックアダム | 2022年10月 | ジャウム・コレット=セラ |
12 | シャザム! ~神々の怒り~ | 2023年3月 | デヴィッド・F・サンドバーグ |
13 | ザ・フラッシュ | 2023年6月 | アンディ・ムスキエティ |
14 | ブルービートル | 2023年8月 | アンヘル・マヌエル・ソト |
15 | アクアマン/失われた王国 | 2023年12月 | ジェームズ・ワン |
ドラマ
No. | タイトル | 全米配信年 | 監督 |
---|---|---|---|
1 | ピースメイカー:シーズン1 | 2022年1月 | ジェームズ・ガン他 |
ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットに関する世界線の事を「スナイダーバース(SnyderVerse)」と呼ぶ。
新ユニバース
No. | タイトル | 種類 | 備考 |
---|---|---|---|
Chapter 1:Gods and Monsters | |||
1 | Creature Commandos | アニメ | ガン自ら執筆 |
2 | Waller | ドラマ | アマンダ・ウォラーが主人公 |
3 | Superman | 映画 | 2025年7月予定。ガン自ら執筆するリブート作 |
4 | Lanterns | ドラマ | グリーンランタンを描く |
5 | The Authority | 映画 | ワイルドストームによるヒーローチーム |
6 | Paradise Lost | ドラマ | ワンダーウーマンの故郷が舞台 |
7 | THE BRAVE AND THE BOLD | 映画 | バットマンと息子のダブル主人公 |
8 | Booster Gold | ドラマ | ブースターゴールドが主役 |
9 | Supergirl: Woman of Tomorrow | 映画 | スーパーガールが主人公 |
10 | Swamp Thing | 映画 | スワンプシングのオリジンを描くホラー |
Peacemaker Season 2 | ドラマ | ||
Teen Titans | 映画 | ||
Blue Beetle | アニメ | ||
DYNAMIC DUO | 映画 | ディック・グレイソンとジェイソン・トッドのアニメ映画。 | |
Bane and Deathstroke(仮題) | 映画 | ||
Clayface | 映画 | ||
SGT. Rock | 映画 |
※順番はあくまで紹介動画で挙げられたもの。
エルス・ワールド
No. | タイトル | 時期 | 監督 |
---|---|---|---|
DC Black | |||
1 | ジョーカー | 2019年10月 | トッド・フィリップス |
2 | ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ | 2024年10月予定 | トッド・フィリップス |
Batman Epic Crime Saga | |||
1 | THE BATMAN -ザ・バットマン- | 2022年3月 | マット・リーヴス |
THE PENGUIN -ザ・ペンギン- | 2024年9月 | ローレン・ルフラン | |
2 | The Batman Part II | 2025年10月予定 | マット・リーヴス |
『ジョーカー』は、元は『スーサイド・スクワッド』で演じたジャレッド・レトが続投するスピンオフとなる予定だった。
『ザ・バットマン』も、ベン・アフレックの降板により変更された。
昔の作品だと、2010年代に放送されたアニメ『ティーンタイタンズGO!』も「エルス・ワールド」に属すると言及されている。
その他
タイトル | 備考 |
---|---|
Cyborg | 『ジャスティス・リーグ』に登場したサイボーグの単独作。一切音沙汰がなく、事実上の凍結状態 |
Green Lantern Corps | 同じく回想で登場したグリーン・ランタンの単独作だが、こちらも続報が無く、『ザック・スナイダーカット』では描写が修正された。 |
Justice League Dark | オカルト系ダークヒーローチーム「ジャスティス・リーグ・ダーク」が主役。同名のドラマシリーズがJ・J・エイブラムス率いるBAD ROBOTによって製作されることが新たに発表済み。世界観リブートで制作中止? |
The Trench | 『アクアマン』に登場した敵キャラ・トレンチをメインに据えたスピンオフ作品の予定だったが、2021年に正式に中止された |
Batgirl | 前述の通り2022年夏にお蔵入りした |
Wonder Woman 3(仮題) | 監督が続投予定で、脚本もある程度完成していたらしいが、2022年冬に製作中止が報じられた。 |
Staticshock | 電気と磁気を操る黒人ヒーロー「スタティック・ショック」の活躍を描く単独作で、マイケル・B・ジョーダンがプロデュースとされていたが、新体制には含まれておらず、現状は不明 |
Nightwing | ディック・グレイソンの映画。世界観リブートで制作中止? |
DC: The New Frontier | 新ユニバースのジャスティス・リーグ映画の原作?と報道される作品。本作のヴィランであるCenterが映画に登場?という情報も。 |
Val-Zod(仮題) | J・J・エイブラムスのスーパーマン映画。エルスワールドに属する。 |
The Batman | ベン・アフレック版のバットマン映画。企画当時はZSJL未公開。 |
Suicide Squad Ayer Cut | スーサイド・スクワッド版のZSJLに相当。 |
Arkham Asylum | 企画の頓挫が報道された。 |
主なキャラクター
スーパーマン / カル・エル / クラーク・ケント
演:ヘンリー・カヴィル → デヴィッド・コレンスウェット
惑星クリプトンからやってきた“マン・オブ・スティール”。ビルや船を持ち上げてしまう怪力、弾丸も寄せ付けない強靭な防御力、容易に音速を突破しフラッシュにさえ追いついてしまう速度・飛行力と、まさに欠点なしの超人であり、おそらくDCユニバース最強の男。本気で暴れた際にはジャスティスリーグのほかの面々が束になっても止めるのがやっとという有様だった。
一方、これまでの実写版とは違って内面には悩みが多く、常に深刻そうな顔をしている。『JL』では、多くの仲間に恵まれたためかようやくいつものドヤ顔スマイルを取り戻した。
よりリアルなデザインを目指したために、赤いパンツが省略されて全身青色になっている。また、胸の「S」マークは人類のアルファベットではなくエル家の紋章という設定。
ザック・スナイダーの構想では彼の闇落ちが大きなウェイトを占めていた。
ここ最近は代役によるカメオ出演が続くが、ブラックアダムを演じるドウェイン・ジョンソンは共演を望んでおり、カヴィル本人によるとそのうちカムバックするとされていたが、2022年末に正式な降板が決定。『ザ・フラッシュ』の登場シーンもカットされてしまう模様。
現在企画中の新作映画は、スーパーマンの人生の初期に焦点を当てるものになるとのこと。
バットマン / ブルース・ウェイン
犯罪都市ゴッサム・シティを護る闇の騎士。肉体的には普通のヒトであるが、有り余る財力で手に入れた多様なガジェットと、鍛えぬいた技術で戦う。ジャスティスリーグとしての強力な装備もだいたい彼が提供したもの。
「長い間戦い続けてきた歴戦の戦士」というコンセプトのため、これまでの実写版と比べてもひときわ老け込んでいる。実際、既にジョーカーやハーレイ・クインといった強敵たちと戦い続けて久しく、ロビンを喪うといった経験もしている様子。一方で、たまにジョークを言ったり、スーパーマンの実家を買い戻してあげたりと、実はこれでも歴代随一のとっつきやすさとコミュ力を持つバットマンでもある。
『BvS』ではスーパーマンと衝突したものの、彼の遺志を継いで地球を守る決意を新たにし、『JL』では来る決戦に備えて世界中のヒーローをスカウトして回る。
実写バットマンの中でもトップクラスにおじいちゃんだが、肉体的には一番ムキムキで、スーツも一番ピチピチ。『BvS』のモチーフとなったコミック『ダークナイト・リターンズ』のデザインにかなり近い。
当初、アフレックが監督・脚本を兼ねる形で単独映画『ザ・バットマン』が制作される予定だったが、いろいろあって両方とも降板し、作品はほぼ一から作り直しになった。この企画は最終的に、ロバート・パティンソンを主演に据えた『ザ・バットマン』として完成したが、別ユニバースの物語となっている。
アフレックはそのままバットマン役自体を降板するともいわれたが、『ザ・フラッシュ』や『アクアマン2』で続投することが発表されており、ジェームズ・ガン体制で監督として復帰する模様……だったが、ジョス・ウェドン体制の過酷さから決裂。アクアマン2の試写会ではベンのシーンをカットされる事態に。
なお『ザ・フラッシュ』ではアフレックに加えて、ティム・バートン版のマイケル・キートン演じるバットマンも登場予定。
引退から何年も経っており、ハッキング機器は時代遅れで機材の管理はボロボロ。
リブート前の計画ではマイケル・キートンのバットマンが複数の作品に登場する構想だった模様。
ワンダーウーマン / ダイアナ・プリンス
演:ガル・ガドット
女性だけの島セミッシラで育ったアマゾン族の王女。飛行能力こそないものの、それ以外ではスーパーマンに勝るとも劣らない身体能力を持ち、また知識も豊富。
『ワンダーウーマン』で島を飛び出した頃は一般常識に疎く精神的にも未熟だったが、100年の時を経た『BvS』『JL』の頃には聡明で落ち着いた性格を身に着けており、ほかのヒーロー達がもめたり悩んだりしているのをうまくカバーする、ジャスティスリーグのまとめ役となっている。
『BvS』では最終決戦でサプライズ的に参戦して大暴れし、メインの2人を食うほどの存在感を見せつけた。続く単独作は先述の通り大人気で、「DC映画史上に残る傑作」との呼び声も高く、スーパーマンやバットマンに代わってユニバースをリードする大人気ヒーローとなっている。2020年に公開された『ワンダーウーマン1984』は、ユニバース初の続編映画となった。
しかし第3作は中止となり、同時に『ザ・フラッシュ』の登場シーンも一部カットされてしまう予定だが、『神々の怒り』に登場したこともあり、スーパーマンと違いこちらはガル・ガドットが続投するという予想が多い。
アクアマン / アーサー・カリー
海辺の灯台守と、海底王国アトランティスの女王との間に生まれた、すべての魚を味方につける男。やはり超人的な身体能力を持ち、特に水中を超高速で移動できる(もちろん呼吸もできる)。
短気で豪快な性格の暴れん坊で、神妙な面持ちで戦うヒーローが多い中、豪気に笑いながらパワフルに戦う。でも中身は人並みに繊細。
秘密の高度文明と関わりがあるという点ではワンダーウーマンと同様だが、彼女と違って地上文明の中で一般的な少年時代を過ごしており、割と普通の兄ちゃんな面が多い。一方、お家問題が割と込み入っており、その収拾に苦労させられている。
単独作『アクアマン』は中国市場をはじめとして世界中で大ヒットを収め、ユニバースで初めて興収10億ドルを記録し、ついには『ダークナイト・ライジング』を抜いてDC映画史上最高興収を達成している。好評を受けて、ワンダーウーマン同様に続編が制作中。
2022年末、『アクアマン』シリーズが第2作で終了し、演じるモモアはLoboにリキャストされる可能性があると報じられたが、本人曰く「アクアマンは続投する」「他の役柄もやるかもしれない」とのこと。
ザ・フラッシュ / バリー・アレン
演:エズラ・ミラー
ものすごく速く動けるヒーロー。速さ以外は一般人と同じ。またスーパーマンだけはこの超高速にもついてくることが出来、『JL』で彼がフラッシュの高速移動に反応し追いついてくるシーンは、その戦闘力の恐ろしさを象徴する名場面として人気。
アニメやK-POPを嗜むちょっとオタク気質な今時の若者で、かなりノリが軽い。重々しく真面目なジャスティスリーグにおいて清涼剤的なポジションを果たしている。コミュ障気味のためなかなか友達が出来ずに悩んでいたところへブルースから勧誘が来たため飛びついた、という設定だが、そんな彼でさえジャスティスリーグの中では一番コミュ力が高そう。
彼とは別に、グラント・ガスティンが演じるドラマ版が大人気を博しているが、『JL』公開にあたってザック・スナイダーが違うフラッシュ像を希望したため、ガスティンが本ユニバースに合流することはなかった。しかし2020年、ドラマ作品群「アローバース」のクロスオーバー『クライシス・オン・インフィニット・アース』にエズラ・ミラーが登場し、ガスティンと共演。映画とドラマの接点が築かれた。「フラッシュ」というヒーロー名は並行世界の自分から貰ったとされる。
本来であれば2020年までに単独映画が公開されるはずだったが、この製作が揉めに揉め、監督の降板や脚本の見直し、さらに2022年にミラーが逮捕されたことにより一時はフラッシュ役降板まで噂されたものの、現時点では2023年6月に公開予定となっている。
これについて一部では「ヘンリー・カヴィルは降板でミラーはそうではないのはおかしい」という批判的な意見もあるが、ジェームズ・ガンの発表によると『ザ・フラッシュ』はこれまでのストーリーを新ユニバースへつなげる重要な作品とのことで、何が何でもお蔵入りにはさせたくなかったことが読み取れる。
サイボーグ / ビクター・ストーン
読んで字のごとくサイボーグ。事故で重傷を負ったところを無理やり生存させた結果、体のほとんどが機械と化してしまった。様々な特殊武装を持つほか、機械ならではの強靭さと生命力を持ち、四肢をちぎられてしまっても修繕・復活できるほど。
もともとは大学フットボールの有望な選手だったが、異形の姿になってしまった今はすっかり暗くなってしまっており、同年代のフラッシュと並べるとテンションに天と地ほどの差がある。
2020年に単独映画が公開されるとアナウンスされていたが、監督・脚本の名前さえ決まらないまま2021年を迎えた。そればかりか、演じているフィッシャーが『ジャスティス・リーグ』製作中のウェドン監督からのパワハラを告発し、これを黙認していたとしてワーナーとも衝突、現在は「二度とサイボーグを演じるつもりはない」と言い切る状況にまで陥っており、単独映画製作どころか再び彼の勇姿を見られる可能性さえ非常に低い。(ただしスナイダー監督とは良好な関係を築けていたのか、スナイダーカットの追加撮影に協力している)
スナイダーカット版では「ジャスティスリーグの心臓」と称される程描写が増えた。
劇場版ではほぼ描かれなかった彼の過去、父親との関係性がかなり掘り下げられ、それに伴いジャスティスリーグのメンバーとの絆にも深みが増した。
シャザム / ウィリアム・“ビリー”・バットソン
演:アッシャー・エンジェル&ザッカリー・リーヴァイ
「見た目はオトナ、中身はコドモ」な異色のヒーロー。普段は子供だが、「シャザム」と叫ぶことによって大人の姿へと変身する。
ソロモン王の知恵・ヘラクレスの剛力・アトラスのスタミナ・ゼウスの全能・アキレスの勇気・マーキュリーのスピードを備えた超人で、戦闘力だけならスーパーマン並みだが、中身が子供なだけあって、重大な問題に直面して悩むことが多い彼とは対照的にコミカルな活躍を見せる。
単独映画は製作費9000万~1億ドル程度と最近のヒーロー映画としてはかなり安く抑えられ、さらにあの『エンドゲーム』の1か月前の公開と割と不利な状況だったものの、4億ドル近く稼ぐヒットを記録。ワンダーウーマン、アクアマンに続いてみごと続編を勝ち取り、『神々の怒り』がコロナ禍で延期はあったが公開された。
ハーレイ・クイン / ハーリーン・クインゼル
ヴィランでありながら、主役として複数の作品に登場している女道化師。
バットマン最大の宿敵である「犯罪界の道化王子」ことジョーカーに恋してしまい道を踏み外した元精神科医で、『スーサイド・スクワッド』で実写デビュー。
その後、単独スピンオフ作品『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の冒頭でジョーカーとは破局。
現在はフリーに悪事を楽しんだり、スーサイド・スクワッドの任務に参加したりして日々過ごしている。
元々はアニメ版バットマンにオリジナルキャラとして登場し、人気の高さから原作コミックに逆輸入されたキャラだったが、実写デビューにより更に人気が高まっている。
演者のマーゴット・ロビーはポイズン・アイビーとの共演を望んでいる。
ブラックアダム / テス・アダム
こちらもヴィラン(シャザムの敵)でありながら、単独主役作でデビューした破壊神。
5000年前、小国カーンダックで生まれた一般市民(後に奴隷となった)であり、6柱のエジプトの神を宿す男。
元々は『シャザム!』のヴィランとして登場する予定だったが、ジョンソンが元々人気者であることから単独作デビューとなった。
ジョンソンは、今後シャザムはもちろん、DCユニバース最強のヒーローであるスーパーマンともブラックアダムが対決する作品を作りたいと公言していたものの、改編のタイミングに重なってしまったことなどから、少なくとも「チャプター1」には登場しないことが本人から明言された。
そして『神々の怒り』公開後、同作と『ブラックアダム』の内容にジョンソンが介入していたことが関係者から判明。彼自身はスーパーマンとブラックアダムを今後の主軸に据えたかったようであるが、2作とも成績がやや不振だったこともあり、ジェームズ・ガン体制では排除される形となった。
ちなみに、実は『シャザム!』の描写と単独作の設定が矛盾している。
ピースメイカー / クリストファー・スミス
演:ジョン・シナ
ヴィランの1人としてデビューし、後に単独主役ドラマが制作された、自称ヒーロー。
正義のためなら人殺しもいとわない、行き過ぎた正義を掲げた男。減刑を報酬に、タスクフォースXに加わる。
映画『ザ・スーサイド・スクワッド』にてデビューし、後に単独主役ドラマが配信。そのシーズン2も制作が予定されている。
実写化で知名度を大きく上げたキャラクターの一人。
アマンダ・ウォラー
演:ヴィオラ・デイヴィス
ヒーローではないが、複数の作品に登場する、政府の高官。
スーサイド・スクワッドことタスクフォースXの司令官であり、『ブラックアダム』ではJSAにブラックアダム討伐を命じた。タスクフォースXのメンバーを使い捨ての道具としか見ていない冷酷な女。
『スーサイド・スクワッド』にてデビューし、『ザ・スーサイド・スクワッド』『ピースメイカー』『ブラックアダム』と通算4作品に登場。
新ユニバースでも、2作目に初の主役となる『ウォラー』(原題)の制作が発表されており、演者の続投が決まっている。
ジョーカー
演:ジャレッド・レト
相棒ロビンを殺し、ウェイン邸を破壊したバットマンのヴィラン。
ザック・スナイダーカットでバットマンと相対する。
スーパーガール / カーラ・ゾー=エル
演:サッシャ・カジェ → ミリー・アルコック
「ザ・フラッシュ」で初登場するクリプトン。
俳優の雰囲気がヘンリー・カヴィルに似ており、いとこの設定を活かしたとされる。
新ユニバースでは「Supergirl: Woman of Tomorrow」が制作予定。
関連イラスト
関連動画
- 『ジャスティス・リーグ』公式予告編
- 『ザ・スーサイド・スクワッド』キャストの紹介
関連タグ
アローバース - DC作品のドラマシリーズが形成しているユニバース。DCEUやMCUに先駆けてマルチバースを取り入れており、フラッシュの活躍を通じて、DCEUともつながっていることが明らかにされた。
スーパーヒーロー シネマティック・ユニバース
DC | MARVEL |
---|---|
DC Extended Universe | Marvel Cinematic Universe |
DC Universe | X-Men Universe |
- | Sony's Spider-Man Universe |