概要
2023年8月18日全米公開。
DCコミックを原作とする実写映画作品群DCEUの第17作品目の映画。
1939年にデビューしたブルービートルを主人公とする。
日本ではビデオスルーとなり、2023年11月29日からデジタル販売、同年12月20日にBlu-ray・DVDの発売となった。
2024年5月29日にはNetflixで全世界配信となった。日本では、先のデジタル配信や映像ソフトには収録されていない、日本語吹替版が視聴できる。
ストーリー
ゴッサム法科大学を卒業したヒスパニックの青年ハイメ・レイエスは、意気揚々とテキサスへ帰郷するが、待ち受けていたのは家業が廃業し、一家全員が路頭に迷う寸前という悲惨な状況だった。
やむなくハイメは妹のミラグロとともに、街を牛耳るコード産業の社長邸宅で清掃員としてアルバイトするが、現社長のビクトリアと、先代社長の娘ジェニーの言い争いを目撃してしまい、即時クビになる。そんなハイメにジェニーは、後日別の仕事に関する面接をすると告げ、ハイメはそれを喜ぶ。
後日、コード産業本社に訪れたハイメは、ジェニーから箱を託される。決して開けてはいけないと言われたそれをミラグロが開けると、中に入っていたスカラベのような青い金属製の装飾品がハイメの体に入り込み、ハイメは青いパワードスーツを着たスーパーヒーローになってしまう。
スーツの暴走に振り回されたハイメは、何とか元に戻してもらおうとジェニーに会いにコード本社へ行くが、ジェニーは武装集団に襲われていた。再び変身してジェニーを守ったハイメは、科学者でもあった彼女の父がスカラベを取り除くためのヒントを残しているかもしれないと彼女に言われ、コード一家が昔住んでいた屋敷へ向かう。
屋敷には、ハイメが生まれる前に活躍したヒーロー「ブルービートル」の武装があり、ジェニーの父テッドがブルービートルその人であったことがわかる。そして、スカラベの先代宿主であるダンが死んだことでスカラベから解き放たれたこともわかり、ハイメは一生スカラベを外せないことに絶望する。
叔父ルディの励ましでハイメは気を持ち直したが、スカラベを狙うビクトリア率いる武装集団に家族が襲われる。ハイメは善戦するも、心臓に病を持つ父アルベルトが心臓発作で命を落とし、自身は武装集団に拉致される。悲しみに打ちひしがれるレイエス一家は、アルベルトの仇を討ち、ハイメを救うため、ジェニーとともにコード本社の研究所がある離島に向かう。
一方ハイメを捕えたビクトリアは、スカラベの力を部下のカラパックス中尉や新兵器に注ごうとする。命を落としかけるハイメだが、臨死の世界で父アルベルトと再会し、自分がなすべき使命を教えられ、現実世界へ戻ることができた。
力を取り戻したハイメは、島へ辿り着いたジェニーや家族と協力し、武装集団を圧倒する。そして、家族を手にかけられた憎しみからカラパックスを殺そうとするが、スカラベを通じて彼の悲しい記憶を知り、彼を許すことにする。カラパックスも、ビクトリアが自分に対して言っていることがすべて甘言であることに気づき、これまでの悪行を償うべく、彼女もろとも自爆した。
すべてを終えた後、ジェニーはコード社のCEOとなり、レイエス一家に補償をするとともに、コード社が進めていた街の買収や軍需産業をやめることを世間に発表した。
ポストクレジットシーンでは、旧コード邸の研究室に何者かが通信してきて、「テッド・コードは生きている」と告げた。
登場人物
主人公。ゴッサム法科大学を卒業した優秀な学生だが、家族が経済的にピンチになったため、急遽肉体労働者として働くことになる。その過程で、エイリアンの遺物スカラベに取りつかれ、スーパーヒーロー「ブルービートル」の力を手に入れる。
貧乏の出だが家族との結束が強く、信頼し合っている。
- ジェニー・コード
ヒロイン。軍需産業「コード産業」の前社長テッド・コードの娘。亡き父の後を継いだ叔母のビクトリアから会社を取り戻し、軍需産業から撤退させるため、ビクトリアからスカラベを奪う。
母を病気で失い、父も失踪し、家族愛に飢えている。
- ビクトリア・コード
ヴィラン。コード産業前社長テッドの妹であり、彼の失踪(死去)をきっかけに会社を牛耳る。野心家であり、金もうけのために軍需産業に着手。スカラベの力を使って、最強の軍事兵器OMACを完成させようとしている。
カラパックスやジェニーに対して優しい言葉をかけることもあるが、すべては自分の思い通りにするための甘言であり、本心では自分以外の存在を見下している。
- イグナシオ・カラパックス / OMAC
ビクトリアの護衛を務める元軍人で、「中尉」とも呼ばれている。ビクトリアの命令なら殺人も厭わない冷血漢。
- アルベルト・レイエス(父)
- ルディ・レイエス(叔父)
- ナナ・レイエス(祖母)
- ミラグロ・レイエス(妹)
- ロシオ・レイエス(母)
ハイメの家族。
- カージ・ダ
スカラベに搭載された人工知能。変身したハイメをサポートするが、時々言うことを聞かない。
- ホセ・フランシスコ・リベラ・モラレス・デ・ラ・クルス博士 / サンチェス
ビクトリアの部下である科学者。スカラベとOMACに関する研究・開発をしている。何度訂正しても自分の名前を「サンチェス」と間違えるビクトリアに不満を持っており、最終的には離反。ハイメを逃がすが、反逆者としてカラパックスに殺される。
- テッド・コード
ジェニーの父。先代のブルービートルであり、ルディの世代にとってはバットマンやフラッシュに匹敵するスーパーヒーロー。スカラベに選ばれず、人工的に制作した武装で戦っていた。
妻(ジェニーの母)の病死をきっかけに失踪し、世間的には死亡したことになっている。
- ダン・ギャレット
初代ブルービートルであり、テッドの師匠。スカラベに選ばれ、戦士として戦った。
評価
評価も決して悪くなく、興収的にも出だしは悪くなかったものの、日本を含む複数の国で劇場公開が見送られて興行収入を得られなかったこともあり、最終的な世界興収は1億2,900万ドル(約187億円)となった。
製作費が1億400万ドル(約151億円)なので、何とか製作費を回収できた程度。
この原因には、
- 「ブルービートル自体の知名度」
- 「供給過多によるヒーロー物そのものへの飽き」
- 「コロナ禍の余波の影響」
- 「アメリカ合衆国の政治的・経済的な混乱と不調」
- 「ウクライナ戦争などによる懐事情の悪化」
- 「監督の過去の物議を醸した社会問題的な発言」
などが指摘されている。
そもそも本作公開以前に、DCEUが再編されることが決定したことや、2023年の全米俳優・脚本家同時ストライキの影響で、本作に関して全く宣伝がされなかったのも、原因の一つである。
本作の後に公開され、DCEU最終作となった『アクアマン/失われた王国』も全く宣伝予算・機会を与えられず、大作映画なら普通にあるレッドカーペットやワールドプレミアも行なわれなかった。
逆に、宣伝に全く金をかけていないので、収支としてはギリギリ優秀な成績とも言える。
鳴り物入りで公開された『ザ・フラッシュ』は製作費3億ドル・宣伝費1億ドルに対し、世界興収は約2億7000万ドルで、製作費すら回収できなかった。
ユニバースとの連携
作中では、スーパーマン、ザ・フラッシュ、バットマンが言及されている(ルディが「バットマンはファシストだ!」とも言った)。
DCEUの再編により、本作自体も新ユニバースに編入される予定だったが、取り消された。
ただし、ハイメ(ブルービートル)というキャラクターは新DCユニバースにも登場する予定であり、俳優も続投する模様。
2024年6月には、新ユニバースで続編アニメが制作予定と発表された。