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ザ・バットマン(映画)

ざばっとまん

2022年に公開されたアメリカ合衆国の映画。DCコミックスの出版するアメリカン・コミック『バットマン』を原作とした実写映画作品。
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マスクに隠された「嘘」を暴け


作品解説編集

DCコミックスーパーヒーローバットマン』シリーズを原作とした、2022年3月11日公開の実写映画。

監督はマット・リーヴス、主演はロバート・パティンソン


本作におけるバットマンは活動開始から二年目の人物像となっており、ヒーローとしてまだ若く未熟な頃のバットマンの戦いが描かれた作品。

ダークナイト・トリロジーと同様にダークでシリアスなノワール映画路線を踏襲しており、また、本作では原作コミックが持つサスペンスミステリースリラー要素を強調し、バットマンの称号の一つである「世界最高の探偵」に則した探偵映画でもある。


作中美術や小道具についてもリアリティを重視し、登場するバットマンのガジェット類も現実離れし過ぎているものは少なく、現実に存在する物品から有り合わせの部品を組み合わせて作成されたものであることがわかるように演出されている。

リアルに作り込まれた現実と地続きの見慣れた日常空間に立つバットマンの姿は、従来シリーズの中でも一際異彩を放っており、それが「バットマンという存在の異常性」「ヒーローを目指すことの狂気」を演出している。


マット・リーヴス監督は本作の製作にあたり、原作におけるバットマン/ブルース・ウェインの繊細さに着目。

自身の信念と世間との齟齬と軋轢に苦悩して押し潰された夭折のロックシンガー・カート・コバーンのイメージをブルースに重ねてキャラクター性を再解釈しており、全編を通じて彼のロックバンド・ニルヴァーナの楽曲『Something In The Way』が印象的に使用されている。


ストーリー編集

腐敗と凶悪犯罪が横行する経済都市ゴッサム・シティ

しかし、一年前から突如現れたクライムファイターバットマンの活躍で振りまかれた「暴力」と「恐怖」により、犯罪者達は次第に夜の闇に潜むバットマンの影に怯えるようになっていた。


そんなハロウィンの夜、ゴッサム・シティ市長ドン・ミッチェルが次期市長選を目前に何者かに殺害される事件が発生。被害者は頭部を割られ、顔面をダクトテープでぐるぐる巻きにされた異常な状況で、幼い息子に発見されたのだという。

犯人は自らをリドラーと名乗り、現場に「NO MORE LIES(もう嘘はたくさんだ)」というメッセージと、バットマンに宛てた謎めいたメッセージカードを残していた。

悲嘆に暮れる市長の息子の姿に、目の前で両親を殺されたかつての自分を重ねたバットマンは、ゴッサム市警の刑事・ジェームズ・ゴードンと協力して捜査を開始し、リドラーの残した暗号を解読。ドン・ミッチェルはかつてゴッサムに違法薬物『ドロップ』を蔓延させた麻薬王サルバトーレ・マローニの検挙に貢献した人物として英雄視されていたが、実は裏の顔があったことを突き止める。


その後もリドラーはSNS動画サイトも利用した劇場型犯罪で大衆を煽り、バットマンを挑発しながら、次々と猟奇的な殺人を繰り返す。

謎を解き明かしながら事件を追うバットマンだったが、やがてリドラーに導かれるように街の暗部、そして自分自身に潜む巨大な「嘘」と対峙することになる……。


登場人物編集

カッコ内は(俳優/日本語吹替版声優)

本作の主人公。かつてゴッサム・シティの清浄化を目指していた父の想いを継ぎ、犯罪が溢れかえる街の現状を変えるべく、蝙蝠の騎士”バットマン”として犯罪者と戦い続けている。

だが、一年に渡る夜のヒーロー活動による疲弊は着実に心身を蝕んでおり、世間からも頭のおかしいコスプレ自警団扱いをされ、警察からも白眼視されている。

両親の死に纏わる復讐心を犯罪そのものに向けており、犯罪者達に対しては容赦なく苛烈な暴力を振るう。反面、両親の死のトラウマゆえに脆くて危うい一面を抱えており、マスクを被って「バットマン」という分身を生み出すことで何処か自分を守っているようなところがある。偏屈で寡黙な世捨て人であり、非常に影の濃い人物造型が成されている。

バットマンとして活動し始めた1年目の間の活躍で、既にゴッサムの多くの犯罪者達から恐れられる存在と化しつつあるものの、人間的にもヒーローとしてもまだまだ未熟。

まるで取り憑かれたかのようにリドラーの捜査へのめり込んでいくが……?


ゴッサム屈指の闇クラブ”アイスバーグ・ラウンジ”でウェイトレスとして働く傍ら泥棒稼業を営む女性。

ルームメイトがゴッサム市の暗部に触れてしまったことで、一連の事件に否応なく巻き込まれてしまう。バットマンとは成り行きで行動を共にするも、次第にシンパシーを感じるようになる。


謎の怪人。ゴッサム市の裏で蔓延る汚職や腐敗を暴き立て、不正に関連する人物を次々と殺害して回るサイコ殺人鬼。犯行現場になぞなぞ(リドル)を残してバットマンと警察を翻弄する劇場型犯罪を繰り返しながら、ネットやSNSを駆使して世間を煽り立てる現代的な犯罪者である。


ゴッサムに巣くうギャングの大物ファルコーネに仕える大幹部。かぎ鼻と太った体型からペンギンと渾名されており、ゴッサムの腐敗の温床となっている闇クラブ”アイスバーグ・ラウンジ”のオーナーとして辣腕を振るっている。リドラーが引き起こす一連の事件を切掛に、バットマンと熾烈な戦いを繰り広げることとなる。


ゴッサム市警察の刑事。ギクシャクした関係ではあるがバットマンの数少ない味方として彼をサポートしている。腐敗が蔓延るゴッサム市警察にあっても清廉さを保ち続ける気高い男。


ウェイン家に仕える執事。両親を亡くしたブルース・ウェインを男手一つで鍛え上げた育ての親ではあるが、ブルースからは一歩距離を置かれた関係にある。


ブルースの父親。医師であり、ゴッサム市有数の大富豪であったが、ゴッサム市の再開発計画を推進していた矢先に何者かに殺害されてしまった。


ゴッサムの名士であると同時にギャングの大物でもある悪党。ゴッサム市の暗部に深く関わる人物であり、リドラーが引き起こす劇場型犯罪によって次第に追い詰められて行くことになる。


アーカム・アサイラムに投獄されている謎の囚人。リーヴス監督いわく「笑い続ける障害を患っている」。


  • ベラ・リアル(ジェイミー・ローソン/村中知

次期ゴッサム市長候補。二十代の若さながら勇敢で聡明な女性であり、ゴッサム・シティ再開発計画が既に形骸化していることを指摘し、ドン・ミッチェル・Jr.現市長に一歩も引かず舌戦を繰り広げていた。


  • ドン・ミッチェル・Jr.(ルパート・ペンリー=ジョーンズ/佐藤隆太

現ゴッサム市長。ゴッサム・マフィアの大物の一人である麻薬王サルバトーレ・マローニの逮捕に貢献し、良き家庭人としても知られる。ハロウィンの夜、リドラーに殺害される。


  • ピート・サベージ(アレックス・ファーンズ/北川勝博

ゴッサム市警本部長。ゴードンとは旧い付き合いで、ドン・ミッチェル・Jr.市長とも友人だった。捜査に介入してくるバットマンに良い印象を持っていない。


登場ガジェット編集

  • バットスーツ

ライフル弾を至近距離で喰らっても弾き返すほど強固なボディアーマー。ブルースが防弾プレートや防刃繊維を組み合わせて作り出したお手製の鎧であり、マスクに至っては革を縫い合わせて作っているため目をこらすと縫い目が見える。

非常に頑強だが、それ以外にSFじみた技術は殆ど使われていない現実的な装備である。

他にもグローブにはスタンガン機能、マントはウィングスーツに変形する機能を持つ。


  • グラップル・ガン

ワイヤー付きの矢をガス圧で射出する装備。シリーズお馴染みの武器の一つだが、本作では従来のようなハンドガン型ではなく、腕に直接装着する形式となっており、両腕に一基ずつ装備されている。

巻き取り機構自体はあるものの、一度撃った矢は再使用できず、一射毎に新しい矢を装填する必要がある。予備の矢はバットスーツのガントレット(腕甲)部に格納されている。


  • バットラング

お馴染みバットマンのメイン武器のブーメラン。本作では胸のバットエンブレムに収められている。これもお手製であり、市販のナイフ拳銃の部品を組み合わせて作ったもの。使用回数は少ないが、印象的な場面で使われている。


  • ユーティリティベルト

万能ベルト。小型爆弾、発煙筒、いざという時のためのアドレナリン注射などが装備されている。


  • カメラ・レンズ

コンタクトレンズ型の撮影カメラ。一度見たものを動画映像方式で記録することができる。バットマンに協力するセリーナも使用。レンズを装着しているためかブルースの顔のアップカットでは目の大きさが左右非対称になっている。


バットマンが駆るモンスターマシン。頑強なボディに巨大なV型エンジンを搭載したアメリカン・マッスルな見た目の改造車であり、歴代バットモービルの中でも異色のデザインである。

それまでのバットモービルと違い、武装や特殊装備の類いは殆ど無く、シンプルな速さと頑丈さを突き詰めた潔いメカである。


バットマンが駆るバイク。見た目は黒いドリフターサイクルだが、ライト部分にはバットのディテールが施されている。


関連イラスト編集

THE BATMANブルース

THE  BATMANザ・バットマン


関連動画編集

予告編編集


派生作品編集

本作の好評を受け、大きく方針を変更したDCEUとは別に、独自の「Batman Epic Crime Saga」として展開されていくことに。(参考


配信ドラマ作品。ペンギンが主人公のスピンオフ。


  • The Batman Part II

マット・リーヴス監督も続投予定の映画。


余談編集

ベン・アフレック版編集

当初はDCEUバットマンを演じたベン・アフレックが主役を務める予定であったが、諸事情で降板したため、主演をパティンソンに交代。DCEUとは直接関係の無い、DCフィルムズ・マルチバース内の「DC Elseworlds」が舞台の作品となった。

2021年に公開予定であったが、コロナウイルス問題の影響で延期となった。


本来はレックス・ルーサーリドラーを助手にする構想、デスストロークが息子をバットマンに殺されたと思っている構想等があったとされる。


関連タグ編集

DCコミック バットマン


ジョーカー(映画)…バットマンのライバルであるジョーカーの単独映画。こちらも当初はDCEUのシリーズとして作られる予定であった作品。

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