概要
バットマンが愛用している特殊車両。コミック、アニメ作品、実写作品、ゲーム作品など全てのシリーズで必ずと言ってもいいほど登場しており、バットマンが使用する乗り物の中では代表的な装備である。
基本的にカラーリングはバットマンと同じ黒系で、銃火器類を装備している。実写作品では実際に乗車し稼働する実物が制作されている。
原作コミック
1940年代から、専用車両として劇中に登場。当初は実用性を重視した車両だったが、後にバットマンの乗り物らしく、コウモリの意匠を施すようになった。
特に初期のバットモービルには、そのフロント部分に、コウモリの顔をモチーフにしたグリルを装備。ナイフのようにとがった突起で、障害物を破壊し走行するように。
以後、全てのバットモービルには、どこかにコウモリの意匠を施している。
その全ては、連載時の時代における最新鋭かつ最高性能を持つ車両をベースにしており、何度もモデルチェンジを行ってきた。
スポーツカーのように流線型の車両の時もあれば、重装甲で様々な仕掛けが施されている車両もある。
また、数多くのワンショット(一冊限りの特別編)やグラフィックノベルなどでは、他には登場しないオリジナルデザインのものも多く見られた。
「ダークナイト・リターンズ」に登場したバットモービルは、重装甲で巨大な車体を有し、まるで装甲車や戦車にしか見えないデザインになっている。
映画版・実車
また、実写映像化された時、撮影用の実車が製作されている。
- 初代バットモービル
1966年のドラマの宣伝用に製作。ベース車は1956年製オールズモビル88。
史上初の、DCコミック社公認のバットモービル。
66年以降行方不明になっていたが、2008年にニューハンプシャー州にて、原野に放置されていたのを発見される。現在は回収され、レストアされた。
- バットモービル(バットマンカー)
同じく、1966年に製作・放送された、アダム・ウエスト主演のドラマ版バットマン劇中に登場した車両。日本でも放送され、その際には「バットマンカー」という名称で商品化された。
ベース車は1955年製リンカーン・フューチュラ・コンセプトをベースにカスタマイズされたもの。
後部にジェットエンジンの噴射口が付いている。
- ティム・バートン版バットモービル
89年「バットマン」、92年「バットマン・リターンズ」に登場したバットモービル。
中央部にジェットエンジンが搭載され、フロント部分にはファンが露出。後部にはジェットエンジンの噴射口が同じくついている。機関銃を内蔵し、ワイヤーを用いて減速せずにカーブを曲がる事が可能。
自動操縦機能の他、装甲を展開させて包み込み、完全防御形態「コクーン」になる事が可能。
リターンズ版は、車体の左右を分離し、運転席のある中心部のみで走行・脱出する「バットミサイル」形態になる機能を披露した。
- フォーエバー版バットモービル
96年、ジョエル・シュマッカー監督作「バットマン・フォーエヴァー」に登場したもの。
バートン版に近い形状だが、スケルトンボディで、ところどころの外装が肋骨状になっており、隙間から内部機構がクリアパーツ越しに見える。
- バットマン&ロビン版バットモービル
97年「バットマン&ロビン Mrフリーズの逆襲」に登場したもの。フォーエヴァー版と同じスタイルだが、スケルトンボディではなくなった。運転席には屋根が無く、1人乗り。
- ダークナイト・トリロジー版(タンブラー)
2005年からの、クリストファー・ノーラン監督によるダークナイト・トリロジーに登場するバットモービル。劇中では「タンブラー(曲芸師)」とも呼ばれ『バットポッド』という分離形態も作られた。
外観および機能は、装甲車であるが、高速走行が可能な他、様々な機能を内蔵している。
2015年「バットマンvsスーパーマン」に登場したタイプ。フロント部に重火器を内蔵し、攻撃が可能。タンブラーを多少バートン版に近づけたような形状になっている。
- 「ザ・バットマン」版
2022年「ザ・バットマン」に登場したもの。黒いアメリカンマッスルカーをベースに、火を吹く異形のV型リアエンジンを積んだモンスターマシンである。
特にギミックの類を持たないが、加速や衝撃に耐えられる装甲や極太タイヤ等々、様々な魔改造が施されており、純粋にスピードとパワーに極振りした潔さが光る。
同じくリアル路線の『ダークナイト・トリロジー』のタンブラーが「戦闘車両としてのリアリズム」を重視したデザインだとするならば、こちらは「改造車としてのリアリズム」を追求したデザインだと言える。
- アニメイテッド版
90年代のアニメイテッド版は、バートン版をモデルとしたバットモービルが登場する。形状はほぼ同じだが、フロント部にジェットエンジンが露出しておらず、外装で覆われている。
※これらの他、ゲームなどでも登場。
その他
車両型のバットモービル以外に、バットマンが使用する乗り物はいくつも登場している。代表的なのは航空機「バットウィング」、潜水機能のある「バットサブマリン」など。
他に、各種専用バイク「バットサイクル」、水上移動用の「バットボート」など、陸海空を網羅した乗り物を用意している。
ロビン専用のバイクとして「レッドバード(「バットマン&ロビン」に登場)」、バットガール専用バイク「バットガール・サイクル(60年代ドラマに登場)」も存在する。
原作コミックでは、1人乗りの超小型ヘリ「ホイリーバット」、同じく個人用小型グライダー「バットグライダー」の他、一時期「フライング・バットケイブ」という、科学設備を多く搭載した巨大ヘリコプターも登場していた。
これらは全て別々の乗り物とされている作品が多いが、ニンジャバットマンではバットモービルがバットウィング、バットポット、パワードスーツに変形する(というよりはパーツ排除でバットモービル→バットウィング→バットポッド、変形でパワードスーツ)といった演出が行われる。
「DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団」では、ロボ形態に変形するバットモービルも登場している。
また、GTAVオンラインではバートン版モービルをモデルにした『ヴィジランテ』という車が実装されている。
機銃、ミサイル、ロケットブーストが搭載されている中々に乙な乗り物となっている。