経歴
1970年7月30日生まれ。ロンドン出身。
1998年、『フォロウィング』で長編映画デビュー。
2000年、長編2作目の『メメント』が低予算作品ながら大ヒット。数々の賞と知名度を得る。
2005年より、アメコミヒーロー『バットマン』の三部作『ダークナイト・トリロジー』共同ストーリー考案・共同脚本・監督を務める。特に2作目の『ダークナイト』(2008年)が社会現象になるほどの評価を得、若くして世界的監督の仲間入りを果たす。
この前後にも『インセプション』、『インターステラー』、『ダンケルク』を発表。SFアクションからハードSF、戦争映画など様々なジャンルを手掛け、それぞれの作品で大ヒットを収めている。
作風
- フィルム・ノワール的といわれる。全体的に暗めのトーン、リアリティ重視で抑え目の演出、重低音のサウンドがシリアスな雰囲気を醸し出す。ストーリーはおおよそ犯罪がらみで、人間の醜い心理が暴露されたり、不幸な目に遭うことがほとんど。(初期作ほどその傾向は強い)
- そうしたリアルな作風の一方で、映画としての「映え」を優先して整合性や科学考証をあえて無視することも少なくない。また、人の夢の中に入り込むなどのSF・ファンタジー要素を含んでいることもある。
- 長編デビュー作『フォロウィング』から現在に至るまで、オリジナル脚本作に共通するテーマとして、独特の時間構造が挙げられる。映画内で時間を逆行させてみたり(メメント)、夢の階層ごとで時間の流れ方が違う(インセプション)、重力の影響で急速に時間が経過する(インターステラー)、三つの時間軸を同時並行で映す(ダンケルク,OPPENHEIMER)など、とにかく時間構造へのこだわりが強い。本人曰く、映画『パルプ・フィクション』や小説『ウォーターランド』が大好きなあまり、強く影響を受けた結果なのだとか。
- 「時間」と同じく重要視されているテーマは「確定的な結果でもがく人々」で、これは初めて世に出した短編映画である『Doodlebug』の頃から一貫している。『メメント』では主人公が復讐を果たすという確定的な結末から始まり、『TENET』では中盤から明かされる事実が確定的なスパイラルを生み出している。
- 同じスタッフ・キャストを次の映画でも起用する率が高く、特にスタッフでは音楽面でハンス・ジマーを起用し続けている。ジマーはノーラン作品を特徴づける重低音サウンドに決定的な貢献をしている。また、キャスト面ではマイケル・ケイン、キリアン・マーフィ、トム・ハーディが常連組。その他の俳優陣も、ノーラン作品では複数の作品に出演している率が高い。
- フィルムかデジタルかで言えば断然フィルム派だと明言しており、年々衰退傾向にあるフィルムを守るためにタランティーノらとともに行動を起こしている。
- なお、全世界でも数えるほどしか無いIMAXフィルムカメラ(基本的にレンタル品)を、ほぼ独占して使っている為、クリストファー・ノーランが映画を撮影している際は、他の監督がIMAX対応のフィルム撮影の映画を事実上撮影出来ないという問題も起きている。
- CGを使うよりも実写物を撮ったほうがリアルになるという考えから、撮影方法もアナログにこだわっている。病院をまるまる一棟爆破したり、空中での飛行機の解体を実際に空撮するなど、ワイルドな逸話にも事欠かない。やりすぎて当時世界に数台しかなかったIMAXカメラを破壊してしまったこともある。
- 登場人物の口述から明かされる回想シーンにフラッシュバック演出を使うことが多い。
関連人物
弟のジョナサン・ノーランは専業脚本家で、兄の映画に参加することも多い。
1997年に結婚したエマ・トーマスは映画プロデューサーで、製作を担当している。
作品
脚本・監督
『フォロウィング』1998年
『メメント』2000年
『インソムニア』2002年
『バットマンビギンズ』2005年
『プレステージ』2006年
『ダークナイト』2008年
『インセプション』2010年
『ダークナイトライジング』2012年
『インターステラー』2014年
『ダンケルク』2017年
『TENET テネット』2020年
『オッペンハイマー』2023年
製作
『マン・オブ・スティール』2013年 - 製作
『トランセンデンス』2014年 - 製作総指揮
『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』2016年 - 製作総指揮
関連タグ
マイケル・ケイン / キリアン・マーフィ / トム・ハーディ