「この言葉を忘れるな。――『TENET』」
『TENET テネット』は、2020年9月に公開されたSF映画。
クリストファー・ノーラン脚本・監督・共同プロデュース。
ワーナー・ピクチャーズ&シンコピー制作。
ワーナー・ブラザーズ配給。
作品解説
本作はSFでは定番の「登場人物が過去の時間に遡る」、いわゆるタイムトラベル系の映画ではあるが、既存のタイムトラベルものと比較して決定的に異なる点がある。
それは過去へ戻る方法が「時間の向きを変える」という事。
通常のタイムトラベルは過去へ一気にジャンプし、その後も未来に向かって時間が進むのは変わらない。
人は前に向かって歩き、落とした物は下に落ち、銃弾は前に向かって発射される。
しかしTENETで描かれる「時間逆行」は物理的性質が全て逆になり、それまでに起きた出来事がまるで逆再生されるような世界になる。
人は前を向きながら後ろに進み、落ちている物が元の位置へ戻り、銃弾は着弾位置から吸い込まれるように銃へ戻る。
逆行世界は『「行動」によって「結果」が出る』のではなく、『「結果」が出たため「行動」する』という因果の逆転が当たり前のように進んでいく世界なのである。
さらに特筆すべき点として、「“What’s happened, happened” (起こった事は仕方ない)」という劇中の台詞通り、一度起こった事は絶対に変えられないという原則がある。
これは映画内で起きる全ての出来事は順行と逆行での行動を全て反映した「結果」として進んでいくためであり、この映画の核心を突く重要な要素である。
キャスト
役名 | キャスト | 吹替 |
---|---|---|
名もなき男 | ジョン・デヴィット・ワシントン | 田村真 |
ニール | ロバート・パティンソン | 櫻井孝宏 |
キャサリン・"キャット"・バートン | エリザベス・デビッキ | 清水はる香 |
アンドレイ・セイター | ケネス・ブラナー | 内田直哉 |
プリヤ・シン | ディンプル・カパディア | 高島雅羅 |
マヒア | ヒメーシュ・パテル | 藤田大助 |
バーバラ | クレマンス・ポエジー | まつだ志緒理 |
アイヴス | アーロン・テイラー=ジョンソン | 小松史法 |
フェイ | マーティン・ドノヴァン | 伊藤和晃 |
マイケル・クロズビー | マイケル・ケイン | 青森伸 |
ボルコフ | ユーリー・コロコリニコフ | 拝真之介 |
ホイーラー | フィオナ・ドゥーリフ | 行成とあ |
サンジェイ・シン | デンジル・スミス | 加藤亮夫 |
クラウス | ジャック・カットモア=スコット | 落合佑介 |
マックス | ロウリー・シェパード | 飯沼南実 |
余談
- 本作では時間逆行中の人物が画面に映っている時は音楽も逆再生になっている。また、演出として順行と逆行の人物が干渉する時は順行側に赤色、逆行側に青色のものが映るシーンが多い。
- 監督はクリストファー・ノーラン。『メメント』で時系列を逆に描き、『バットマンビギンズ』で回想パートと現在パートを交錯させ、『ダークナイト』と『ダンケルク』で3つ以上のパートを同時進行させ、『インセプション』と『インターステラー』で時間の延滞を取り扱い、時間への並々ならぬこだわりを見せてきた。
- 本作のテーマである「時間の逆行」だが、これについてはタイトルにして重要なキーワードでもある「TENET」が回文(上から読んでも下から読んでも同じ言葉)となっていることからも窺い知れる。
監督曰く「体感的には『インセプション』と『ダンケルク』を足して二で割ったモノ」とされ、SF的テーマを取り扱いつつも一時も気が抜けないスリラーとなる。
『007』ファンとしても知られるノーランが「ボンド映画への未練を断つ」為に作ったとされ、ジャンルも国際的スパイ・アクション映画に分類される。
また主演のジョン・デヴィッド・ワシントンによれば「『インセプション』の精神的続編」とのこと。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
ドニー・ダーコ:TENET同様、1度の観賞だけでは理解が難解とされているリバースムービー。