概要
ストーリーの展開において、「この先どうなるのか」という不安と緊張感を与えて観客・読者を惹きつける手法。また、その手法が大きく使われている作品の総称。
この手法は、ミステリー(推理もの)、ホラー、アクションものなどに用いられる事が多い。
ミステリーとサスペンス
ミステリーと混同されやすいが、ミステリーが推理を主とする作品であるのに対して、「サスペンス」は不安や緊張感(ハラハラドキドキ)を楽しむところを主に置いている。そのため、整合性のある真相が得られるとは限らない。
わかりやすい例として、冒頭の方で、犯人と犯行過程などが読者・視聴者にわかる作品(倒叙もの)は、サスペンスに分類される。
もちろん、探偵小説や推理小説でも、内容によっては、サスペンス内容であったり、真相を究める刑事ドラマでも、「推理サスペンス」などと紹介されるなど、例外的なことはしばしばある。
また、サスペンスの中でも犯罪を扱っている物はクライム・サスペンスと呼ばれる。
代表的な作品は『刑事コロンボ』や『古畑任三郎シリーズ』、『デスノート』。冒頭で事件の犯人やトリックが視聴者にはわかっている状態で、探偵役が犯人を追い詰めていく。
ミステリー作品では謎を解きたくなるのに対して、サスペンス作品では相手に真相を知られたくないという犯人側、侵入者側を見守りたくなる。
蝶と蛾のちがいのように、大まかな特徴で分類は可能だが、例外作は多く、明確な線引きは難しいといえる。
ただ、そもそもミステリーとは「神秘的」という意味で元々はファンタジーものである。
語源
「宙吊りになったように、あっちにいったりこっちにいったりして、不安定でハラハラさせる状態」を指す事からだと言われている。
余談
- アルフレッド・ヒッチコックの名言とされるものに「サスペンスとショッカー(瞬間的な恐怖・驚き)は両立出来ない」というものが有る。要はプロットやテーマは似ていても、「ハラハラドキドキ状態を長時間持続させる」ような面白さの作品と「思いもよらぬ場面で瞬間的な恐怖や驚きが有る」ような面白さの作品とでは、完全に別物になり、「長時間のハラハラドキドキ」と「思いもよらない場面での瞬間的な驚き」は1つの作品内で両立させるのは無理または困難という事である。
関連タグ
クリフハンガー 所謂「つかみ」。
アルフレッド・ヒッチコック サスペンス界の大御所である映画監督。
マクガフィン 上述の監督が提唱した表現手法。
サスペンダー 語源を同じくする言葉。