別項「殺人」も参照のこと。
概要
狭義には、現代刑法における殺人罪が成立する事件を指すが、一般的には、おおむね、故意または未必の故意をもって人を殺傷した事件全般を指す。
直接的に暴力・凶器・毒物などをもって他者を殺傷するケースを指すことがほとんどであるが、常識を逸した危険運転(及びその他の危険行為)による死亡事故なども、世論では「事実上の殺人事件」と見做される。
殺人は、窃盗・放火・傷害・強姦と並び、古くから最も許されざる罪の一つに数えられている。
現代の都市文明社会においては、やむを得ない特別な理由なくして他者を殺害した場合、重大な法的・社会的責任を問われることになる。
最古の殺人事件
既知で最古の殺人事件は、約43万年前のイベリア半島 (cf.Wikipedia) 北部で起こっている。
スペイン北部のアタプエルカにある洞窟「クエバ・マヨル(Cueva Mayor;主要な洞窟)」(ユネスコ世界遺産『アタプエルカの考古遺跡』)に属する遺跡「シマ・デ・ロス・ウエソス(Sima de los Huesos;骨の採掘坑)」(cf.Wikipedia) から出土した約43万年前のホモ・ハイデルベルゲンシス (cf.Wikipedia) の頭蓋骨に殺人の跡が見付かったと、国際研究チームが2015年5月27日に発表した。
被害者は若い成人と見られるが、性別は不明。頭蓋骨には転落したことでできた傷とは考えにくい穴が2つ開いており、石器や木製の槍など何らかの武器による攻撃を受けたと判明している。治癒の形跡が全く見られないことから、負傷した直後に死亡したと考えられる。
現場の状況から犯人は右利きと推定されているが、それ以外には犯人を特定する証拠は見付かっていない。このことから、研究者は "coldest cold case(最も古い迷宮入り事件)" を謳っている。
これは、決して風化させてはいけない事件です(化石化してますけど)。犯人への怒りが収まらない。われわれ現生人類ことサピエンス種でないとは言え、殺されたのは同じヒト属(ホモ属)(cf.Wikipedia) で、ハイデルベルゲンシス種はご先祖さまの血筋なのです。被害者のご冥福をお祈りします。
※a Nohemi Sala et,al. (2015) "Fig 2 - available via license: Creative Commons Attribution 4.0 International" ResearchGate, May 2015, DOI: 10.1371/journal.pone.0126589
※b 「43万年前の“殺人事件”見つかる 頭蓋骨に攻撃の跡」 ITmedia「ITmedia NEWS」、2015年05月28日作成。
フィクションにおける殺人事件
人間にとって、殺人は最も恐怖すべき事件であり、また、被害者から状況を聞き取ることが永遠に不可能になるため、解決に困難が付きまとうケースが少なくない事件でもある。
このため、フィクションにおいては、不可解な状況で殺人事件が発生し、その事件の謎に主人公が勇気と英知をもって立ち向かうというシチュエーションが好んで描かれる傾向がある。その典型として探偵もの(推理小説など)やサスペンス・ドラマを挙げることができる。
また、アウトローが他者(多くは主人公や物語の謎を知る重要人物)を威嚇するために該当者の身辺の人間を殺害してみせるという場面も、描かれることが多い。