概要
- 戦国時代において、主君の身代わりを務めた武者。
- 転じて、権力者の身代わりを務めること、及びその人物。
解説
主に日本の戦国時代によく見られたが、古今東西時代や国を問わず影武者は存在したとされる。
著名な武将・大名など権力者の身代わりとして側に仕え、敵(ときには味方)を欺いたり、本人が死亡した際にそれを隠したりする目的で見られた手法で、写真がない時代では名の知られた人物であっても人々が顔を知っているとは限らず、有効な手段であった。
よく知られた例としては武田信玄の死後、「3年間、(信玄の)死を隠す」という遺言を守るために信玄によく似た実弟・武田信廉を御簾のある病床に隠し、見舞いに来た他の大名の使者に生存を信じさせようとしたことがある(しかし、努力もむなしく生存を信じこませたのは北条氏政のみで、織田信長、上杉謙信らをだますことはできなかった)。
江戸幕府初代将軍である徳川家康も、影武者を利用していたという仮説も存在し、それを題材にした小説作品も存在する。
また、関ヶ原の戦いで東軍につき土佐の藩主となった山内一豊は、その前に改易された長宗我部盛親の旧臣の反発に手こずり、領内の見回りをするとき「同装束六人衆」という同じ格好をした部下五人を引き連れていた。影武者が実際にいたという記録が公式記録に残っている稀有な例である。
二・二六事件では岡田啓介首相の秘書官を務めていた松尾伝蔵(陸軍予備役大佐。岡田首相と容姿が似ており、岡田の義弟でもあった)は、影武者となって反乱軍に射殺されることで反乱軍を欺き、岡田首相を逃がすことに成功している。
現代でも影武者説は時折浮上することがある場合がある。
例えば北朝鮮の金正日総書記はその死が公表される前から既に亡くなっており影武者を立てていた、というのがその最たる例である。
また、現代でもスキャンダルやスクープなどでマスコミから追われる人間が、その追跡を振り切ったり撹乱させたりする為に影武者を用意するというケースが有り得る。
影武者を題材とした作品(一部ネタバレ注意)
- 影武者:黒澤明の映画作品。⇒影武者(映画)
- 影武者徳川家康:隆慶一郎の小説作品。後にドラマ化・漫画化されている。
- 鉄仮面:アレクサンドル・デュマの小説。三銃士の続編で、『仮面の男』という題で映画化もされた。
- 未来ロボダルタニアス
- 侍戦隊シンケンジャー:ネタバレ注意
- 美少女戦士セーラームーン(原作・ドラマ版)
- 信長協奏曲
- 機動戦士ガンダム水星の魔女:エラン・ケレス
- テイルズオブジアビス:ルーク・フォン・ファブレ
- 舞-乙HiME(漫画版):マシロくん