天下御免!!
概要
2009年2月から放送されたスーパー戦隊シリーズの第33作。これまで和風戦隊はいずれも忍者だったが、今回は戦隊で初の「侍」をテーマに、殿様と家臣が書道による「文字の力」でヒーローに変身するという作風になっている(当時は『パワーレンジャー』シリーズ打ち切りの恐れがあり、海外展開を意識しない設定ができたとも言える)。
宇都宮孝明が初のチーフプロデューサーに起用され、メインライターを小林靖子が担当し、二人は後に『烈車戦隊トッキュウジャー』でもコンビを組むこととなる。松坂桃李の俳優デビュー作としても知られている。
戦隊シリーズは本作からデジタルシネマカメラ「レッド・ワン」によるビデオ撮影に移行した。これにより、日本のテレビドラマからフィルム撮影作品が無くなった。加えてオールアフレコを廃止し、俳優陣の顔出しパートが同時録音方式になった。
東映時代劇作品のオマージュが盛り込まれ、印籠型のパワーアップアイテムが登場したり、リーダー格の殿様が白馬に乗ったりする。リーダーが名乗った後に「同じく、○○!」と他のメンバーが続く名乗り口上は『大江戸捜査網』がモチーフ(※仮面ライダーディケイドとのコラボ回における、ディケイド側のエピソードでの名乗り口上は例外となる)。劇場版における『水戸黄門』の歴代格さん3人の共演(その内の合田雅吏は三田裕司/オーブルー役)も話題となった。
オープニングも従来とは違い通常存在するメンバー個々の紹介パートがなく、普通のドラマのオープニングに近い形のものであった。また、放送話の中で変身しないメンバーがいる時はキャスト紹介時に変身後の役名が表示されない。
東京ドームシティ(旧・後楽園ゆうえんち)で行われるヒーローショーは前作までは屋外で行われていたが、本作よりシアターGロッソ(屋内)で行われるようになった。
作風
全体的には仮面ライダーに近いシリアスな作風であり、番組初期こそギャグ調を生かした明るい回も見られたが、俳優陣にまで隠されていた重大な設定が終盤に明かされ、よりシリアスなストーリーになっていった。
他にも子供向けとは思えないくらい重たい設定を持った敵や、和風ならではの殺陣、登場人物の葛藤、秀逸な伏線回収等が高く評価されており、放送から10年以上経った今でも脚本・ストーリー共に戦隊シリーズトップクラスの根強い人気を持つ。
あらすじ
この世とあの世の狭間を流れる三途の川に棲む妖怪・外道衆は、遥かな昔から人間達を襲い苦しめてきた。その外道衆と代々戦ってきたのが、殿とその家臣で構成される侍戦隊シンケンジャーであった。
西暦2009年。志葉家の現当主を務める志葉丈瑠は、当初はシンケンレッドとして一人で外道衆と戦っていたが、外道衆の本格的な攻勢が始まることを察知した後見役の日下部彦馬は、いずれ殿一人での戦いに限界が来ることを危惧し、家臣の子孫である4人の若者を招集し、侍戦隊シンケンジャーを結成した。
登場キャラクター
シンケンジャー
シンケンジャーの殿様である志葉家の当主。
歌舞伎役者の家柄に育つ。家臣としての忠義は人一倍。
召集までは保育士をしていた。演者が書道5段の腕前であることから、達筆である。
高校生。丈瑠をライバル視している。
京都弁で喋る。病弱な姉に代わって、シンケンイエローとなった。
「ゴールド寿司」という屋台を引く寿司屋。「電子モヂカラ」を使うチームのエンジニア。
外道衆
外道衆の御大将。
ドウコクの側近。常に三味線を携え、悲しい音色を奏でている。
多くの知識と経験を持つドウコクの一味の知恵袋。
外道衆のはぐれ者。両刃の妖刀裏正を振るう剣の達人。
三途の川の底に眠っていた謎の外道衆。ドウコクの「夏の力」により復活して六門船に姿を現した。
シンケンジャーの関係者
志葉家に仕える家老。
シンケンジャーを支える裏方の皆さん。
源太が一時期戦えなくなった時に作った提灯型侍巨人。
存在そのものがネタバレ。詳しくはリンク先参照。
薫に使える家老。特に侍ではない源太を疎んじている。
故人。上記の薫に同じく存在そのものがネタバレ。
略称表
| 丈瑠 | 流ノ介 | 茉子 | 千明 | ことは | 源太 | 彦馬 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
丈瑠 | 俺 | 流ノ介 | 茉子 | 千明 | ことは | 源太 | ジイ |
流ノ介 | 殿 | 私 | 茉子 | 千明 | ことは | 源太 | 彦馬さん |
茉子 | 丈瑠 | 流ノ介 | 私 | 千明 | ことは | 源太 | 彦馬さん |
千明 | 丈瑠 | 流ノ介 | 姐さん | 俺 | ことは | 源ちゃん | ジイさん |
ことは | 殿様 | 流さん | 茉子ちゃん | 千明 | うち | 源さん | 彦馬さん |
源太 | 丈ちゃん | 流ノ介 | 茉子ちゃん | 千明 | ことはちゃん | 俺 | ジイちゃん |
彦馬 | 殿 | 流ノ介 | 茉子 | 千明 | ことは | 源太 | 私 |
各話リスト
話数のカウントは「第○幕」、サブタイトルの表記は全て漢字で統一されている。
音楽
作詞:藤林聖子/作曲:YOFFY/編曲:Project.R(大石憲一郎・サイキックラバー)/歌:サイキックラバー (Project.R)
OPテーマ。
作詞:藤林聖子/作曲:高取ヒデアキ/編曲:Project.R(籠島裕昌)/歌:高取ヒデアキ (Project.R)
数え歌の体裁を取ったEDテーマ。劇場公開中に使用されたメインキャストで歌われた「銀幕版」も存在している。
挿入歌
- 斗え! シンケンジャー
作詞:高取ヒデアキ/作曲:IMAJO/編曲:Project.R/歌:高取ヒデアキ(Project.R)
- 侍合体! シンケンオー
作詞:桑原永江/作曲:高木洋/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:串田アキラ
- モヂカラ大行進
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:鈴木盛広/歌:ヤング・フレッシュ、高橋秀幸(Project.R)
- どこまでもシンケンジャー
作詞、作曲:高取ヒデアキ/編曲:籠島裕昌/歌:高取ヒデアキ(Project.R)
- つらぬけ武士道
作詞、作曲:高取ヒデアキ/編曲:籠島裕昌/歌:小野田浩二
- シンケン祭り
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:ジャック・伝ヨール/歌:Sister MAYO (Project.R)
- 一貫献上! シンケンゴールド
作詞:YOFFY/作曲:高木洋/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:YOFFY (Project.R)
- 侍変形! ダイカイオー
作詞:桑原永江/作曲、編曲:渡辺宙明/歌:宮内タカユキ
- 六人の侍
作詞:藤林聖子/作曲:菊池俊輔/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:松原剛志 (Project.R)
- 究極 サムライハオー 降臨!
作詞:里乃塚玲央/作曲、編曲:矢野立美/歌:MoJo
キャラクターソング
- シンケンレッド 一筆奏上
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:高木洋/歌:ヤング・フレッシュ、志葉丈瑠(松坂桃李)
- 青浪(あおなみ)世直し
作詞:藤林聖子/作曲:高取ヒデアキ/編曲:真崎修/歌:池波流ノ介(相葉弘樹)
- ナデシコ真剣 花吹雪
作詞:藤林聖子/作曲:押谷沙樹/編曲:亀山耕一郎/歌:白石茉子(高梨臨)
- シンケンデイズ Never give up 道中
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:籠島裕昌/歌:谷千明(鈴木勝吾)
- はんなり めっちゃ武士道ガール
作詞:藤林聖子/作曲:IMAJO/編曲:川瀬智/歌:花織ことは(森田涼花)
- ゴールド人情 一本締め
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:岩崎貴文/歌:梅盛源太(相馬圭祐)
関連映像作品
劇場版
メインタイトル
2009年8月8日公開。本作の単独作品。
同時上映は『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』。
2010年1月30日公開。本作と前作『炎神戦隊ゴーオンジャー』のクロスオーバー作品。
2011年1月22日公開。本作と次作『天装戦隊ゴセイジャー』のクロスオーバー作品。
客演
2011年6月11日公開。『海賊戦隊ゴーカイジャー』と『天装戦隊ゴセイジャー』をメインとしたスーパー戦隊35作記念作品。
本作から谷千明/シンケングリーンと梅盛源太/シンケンゴールドが登場。
2013年1月19日公開。『特命戦隊ゴーバスターズ』と『海賊戦隊ゴーカイジャー』のクロスオーバー作品。
本作から志葉薫が登場。
2013年4月27日公開。仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズ、メタルヒーローシリーズのクロスオーバー作品。
本作から花織ことは/シンケンイエローが登場。
2021年7月22日公開。『仮面ライダーセイバー』と『機界戦隊ゼンカイジャー』をメインとした仮面ライダー50周年&スーパー戦隊45作記念作品。
本作から谷千明/シンケングリーンが登場。
Vシネマ
メインタイトル
2010年6月21日リリース。「帰ってきた」とあるが、後のシリーズとは違い本編の幕間的な番外編となっている。
客演
2018年8月8日リリース。『宇宙戦隊キュウレンジャー』と『スペース・スクワッド』シリーズのクロスオーバー作品。
本作から腑破十臓が登場。
余談
- メインライターの小林靖子は『必殺シリーズ』を1シーズン分書き起こすほどのファンで知られている。ちなみに主人公達が変身する掛け声は「一筆奏上」だが、必殺シリーズ第6作『必殺仕置屋稼業』で各サブタイトルの冒頭には「一筆啓上」という言葉が使われている。
- TBS版『水戸黄門』レギュラー俳優では日下部彦馬役の伊吹吾郎(3代目格さん/渥美格之進)、初代志葉家当主役の合田雅吏(5代目格さん)、脂目マンプクの声役の大和田伸也(2代目格さん)、浄寛和尚役の高橋元太郎(うっかり八兵衛)、光栄二郎役の石橋蓮司(3代目柳沢吉保)が本作に出演している。本作終了後、志葉丈瑠の父を演じた津田寛治はBS版にて3代目風車の弥七役に抜擢された。また、血祭ドウコク役の西凜太朗、筋殻アクマロの声役の堀川りょう、丹波歳三役の松澤一之も『水戸黄門』にゲスト出演している。