ユメバクラ
ゆめばくら
第二十五幕「夢世界」、第二十六幕「決戦大一番」に登場する混じった獣のような、渦巻く悪夢のような姿を持つアヤカシ。 『獏』の伝承のルーツとされている。
これだけでは何の事かわからないが、正面を向いた犀をベースに横を向いた象がくっついた頭部をしており、象の前脚がそのまま右肩の部分になっている。更に手首の甲が虎の頭部で二の腕にもその縞模様があり、そして右脚はモノクロの牛で足首の部分にその頭部が来る。
様々な動物のパーツで成り立つ貘だけに、キメラ的でグロテスクな右半身を持つ。右半身は全体的に赤い。
対する左半身は真っ黒な中に緑色の渦の模様が随所に散りばめられており、まさしく渦巻く悪夢を表現した悍ましい形になっている。ちなみに左腕は右腕より微妙に長い。
野太い声に似合わず幼稚であどけない言動を取るのが特徴で、「迷妄凶夢剣(めいもうきょうむけん)」と呼ばれる剣で武装している。
能力に関しても、まず左手からの催眠効果を持つ息で人間を眠らせ、様々な夢を見せる事が可能。そして自身も獏のルーツらしく夢の中に自在に入り込む能力を持ち、眠る人間の夢を喰らうのを好むが、夢の中で食べられる事は魂自体を喰われるのと同じであるため、犠牲者は二度と目覚めない。
戦闘でもこの能力を活用しており、夢の中では世界を自在に変え、現実でも奇怪な動きで相手を翻弄するなかなかの技巧派である。
醜悪な外見もしかる事ながら、人間を様々な悪夢の世界に誘い、喰らう事で永遠の眠りへと誘うその悪事はいかにも外道衆らしい残酷な物だが、上記の子供の様なあどけない言動が却って不気味さを煽り、遭遇する事が破滅を意味する異形の化け物としてのアヤカシの姿を見事に体現している。
劇中では前回、十臓の暗殺を拒否した薄皮太夫暗殺の命をドウコクより直々に受けた刺客として登場。薄皮太夫と交戦中の茉子の両名をまとめて夢の世界へ送り込んだ。
ここで太夫の過去を知ってしまったことを受け、太夫と茉子の間に因縁が生じる事となる。
前回のゴズナグモ同様、二週に亘って週を跨いで登場したアヤカシだけに実力も高く、物語の核心に迫る重要や役回りを担う存在となった。
第二十五幕「夢世界」
前回十臓を斬れと命じたにも拘らずそうしなかった太夫。「腹が立つなら斬れば良い」と前置いた上で、更に「外道に堕ちて数百年。身内にある思いは一向に晴れん。泥の様に溜まるばかりだ。斬れ!思いごと全てバラバラに!それこそ骨まで!わちきが望んでいたのはきっとそれだ」とすごんで見せるが、そんな太夫の言葉を冷めた様子で聞いていたドウコクは不意に立ち上がるとおもむろに彼女の三味線を奪い、火をつけて放り投げてしまう。
慌てて拾う太夫だったが、既に三味線は穴が開いてそこから怨嗟の呻き声が漏れ出て来る。慌てて穴を塞がなければと外へ飛び出す太夫を見送ると、ドウコクはシタリに命じてユメバクラを招聘。太夫抹殺の刺客として差し向けるのだった。
太夫が街中で人を襲っていると、近くの書店に居合わせた茉子はシンケンピンクに変身して応戦。そこへ更にユメバクラが参戦し、「御大将(おんたいちょう)の言いつけだ。黙って寝んねちな」と言って太夫を眠らせようと襲い掛かる。そこへ残りのシンケンジャー4人が駆け付けるも、太夫を追う茉子と更にそれを追うことはの2人が戦線離脱。入れ替わりで源太が駆けつけるが、ユメバクラは真っ先に源太を眠らせてその夢の中へと侵入。尚も交戦するピンクと太夫の元へ近くで眠っていた男性の夢を経由して現れるや、2人を眠らせて自身もその夢の中へ再度侵入する。
夢の中に入るや、その場に居合わせた一般人の女性を襲って捕食しようとした所へ、モヂカラを使って同じ様に源太の夢の中へと侵入したブルーとグリーン両名と交戦。
夢の世界と言う事で周囲の事象を自在に変化させて2人を翻弄するが、「夢の中なら何でもあり」と気づいて巨大化したグリーンによって夢から追い出されてしまい、現実に戻った所へ2人のシンケンマルの斬撃で左手を失った為、その場は撤退するのだった。
第二十六幕「決戦大一番」
その後、六門船で三途の川の水を掛けても斬り落とされた相手を眠らせる為の能力の要である片腕は治らず、もう人間の魂を食べれないと嘆くが、ドウコクに「人間喰いたきゃ、そのまま喰え」と言われたことで、人々を直接食べようと再度現世に出現するが、十臓との決闘で不在のレッド以外のシンケンジャー5名が駆け付け交戦。「殿、お借りします!」と丈瑠から借り受けたインロウマルでパワーアップしたスーパーシンケンブルーに為す術も無く、そのままシンケンマルの斬撃を受け倒される。
直後に二の目となって巨大化すると、ダイカイシンケンオーと交戦。
奇妙な動きで翻弄するも、スーパーシンケンブルーの指揮で他の4人は奮起したために攻撃を止められてしまい、最期は折神大開砲を喰らって爆散した。
いろんな獣の混ざった姿をした妖怪という意味では鵺も該当するが、コイツはあくまで貘のルーツであり、鵺のルーツのアヤカシは登場しない。合成獣なのが被るからだろうか?
モチーフは象、犀、虎、牛といった貘を構成する獣と悪夢。名前の由来は夢枕+獏から。
現代の伝承に於ける『獏』という妖怪は象、犀、虎、牛等が合わさった様であり、夢を食べる化け物らしいが、ユメバクラの姿と夢に誘う能力がそのルーツになったと思われる。
第二十五幕では薄皮太夫の声を演じる朴璐美女史が、外道に墜ちる前の薄雪という花魁の役で女優として出演している。
声を演じた小杉氏は『超力戦隊オーレンジャー』でバラビルダーを演じて以来、14年振りのスーパー戦隊シリーズへの出演となった。次回作の『天装戦隊ゴセイジャー』でも3番目に登場する敵組織の首領の声を当てている。
海外版「パワーレンジャー・サムライ」ではライノスノルスという名前になっている。頭がサイになっているからこそのネーミングと思われる。
こちらでは前回の戦いでインロウマルことブラックボックスが完成しなかったため、スーパーサムライモード無しで撃破している。そして、巨大化戦においてもサムライ・メガゾード(シンケンオー)で戦っており、やや不自然な描写になっている。
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) 獏 夢属性
デメバクト:能力で異空間に引き込むアヤカシ。こちらは幻の空間。
獏モチーフ
東映系
バクキ:『忍者戦隊カクレンジャー』に登場した獏モチーフの大々先輩。
夢幻サイマ獣バハムー:『救急戦隊ゴーゴーファイブ』に登場した大先輩。キメラ的な外見も共通している。
悪夢忍者ユメバクー師:『忍風戦隊ハリケンジャー』に登場した悪夢繋がりの獏の先輩。
妖怪バク:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場する後輩。
ユメパックン(キュウレンジャー):『宇宙戦隊キュウレンジャー』に登場する後輩。
ネロー・キルナー:『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の後輩。
バク怪人:『仮面ライダーBLACK』に登場する獏繋がりのライダー怪人。
バラクローズ、バラガード、メルダメルダ、武者人形オルグ、カゲカムロ、スターグル:声優が次回作でラスボス及び敵組織の首領を演じた怪人繋がり。