「開発は完了した…我が帝国の始まりだ!」(epic33)
データ
概要
機械禦鏖帝国マトリンティスの皇帝。部下からは「ロボゴーグ閣下」と呼ばれる。
一言で言い表すなら超ワンマンのパワハラマッドサイエンティストである。
以前の敵首領である大王モンス・ドレイク、ブロブの膜イン、ビッグフットの筋グゴンは極悪非道ながらも部下に対しては友好的かつ寛大で度量も広かったが、ロボゴーグの場合、部下は生きてすらいない自分の「作品」に過ぎないので、そうした配慮は微塵も無い。
傲慢極まりない独裁者で、全ての部下は自分の野望達成のための道具、敵であるゴセイジャーすらも研究材料程度にしか思っていない。
些細な失敗や失言も許さず、腹心であるエージェントのメタルAであろうと、「このロースペックめが!!」と罵声を浴びせて制裁を加える。
「10サイ」の名は、下記の10個の特殊能力によるものである。
二つ名の『10サイ』にかけてか、読み仮名に『さい』が含まれているのが共通している。
- 鬼才ブレイン:マトロイドの製作を行う優秀な頭脳。
- 制裁ボム:電撃を流して罰を加えたり、爆破処刑を行ったりする処罰兵器。
- 要塞アーマー:巨大化させることでいかなる攻撃も防ぐ装甲。
- 撃砕バルカン:両腕から発射する強力なバルカン砲。
- 爆砕ミサイル:全身の随所から発射するミサイル。
- 伐採セイバー:何でも伐採してしまう巨大剣。
- 独裁ハリケーン:突風を起こし、相手を吹き飛ばす。
- 厄災デストラクション:一度しか発射できないが、地殻変動を起こすほどの凄まじい破壊力を誇るビーム砲。命中せずとも、ゴセイナイトのトライアングローバルとぶつかり合っただけで町中を揺るがす大地震が発生したほど。
- 玉砕クラッシャー:最後の手段である自爆技。大陸を消失させる威力がある。起爆まではバリアが展開されるため、阻止も困難。
- 救済セル:上記の技でバラバラになっても蘇生できる奥の手。ただし遠隔操作不可能。他者にスイッチを押してもらう必要がある(体外に機能を個別化していたのは恐らく、体内に納めていたままだと戦闘の衝撃などで誤作動や、機能不全を起こす可能性を考慮したのかもしれない)。
オリジン
ロボゴーグの正体は、かつてのマトリンティスで活動していた人間の科学者である。
抜きん出た才覚の持ち主だった彼は、研究努力の末、滅びることのない機械の体を作り上げることに成功した。
しかし当時の人々からはその才能の大きさをむしろ恐れられ、疎外されていた。
そんな折、マトリンティスを地殻変動が襲い、海に没し滅亡。
命の危機を前にした人々はロボゴーグに助けを求めたが、今まで自分を疎外して来た者達が手のひらを返したように救いを求め嘆くのを見た彼は人類そのものに失望し、「身を脅かす恐怖こそが人類の弱点である」と結論付けた。
現在のロボゴーグが徹底した力と恐怖による独裁体制を敷いているのはこの過去に由来しており、彼なりに得た真理に従っているまでである。
恐怖だけを信じた独裁者の末路
人を守る決意を口にするゴセイジャーに対して、「ある科学者の話」として自身のオリジンを語る。
それでも揺らがない護星天使を鉄壁の防御力と数々の武装で圧倒するも、ゴセイジャーもまた負けてはおらず、ゴセイナイトのカードを使用した「スーパースカイランドシーナイトダイナミック」を発動。
直撃を受けたロボゴーグだがそれでも倒れず、「おのれぇ! まさかこの私がビービネイルを使う羽目になろうとは!?」とぼやきつつ巨大化。
降臨したゴセイアルティメットを撃砕バルカンと独裁ハリケーンで攻め立てるが、乱入して来たデータスハイパーに妨害され、さらに独裁ハリケーンの第二射はスカイックブラザーの竜巻で、伐採セイバーはランディックブラザーの妨害で、爆砕ミサイルはシーイックブラザーのレーザーで全て迎撃され防がれる。
先に語られた科学者の話から、それがロボゴーグ自身のことだと気づいたアラタには「もう一度誰かを信じることが出来ればお前も変われるかもしれない」と説得されるが、
「フッフッフッフ……フハハハハハ……ハッハッハッハッハ!!」
「面白い……面白いぞ護星天使……!おかげで私は己の信念を取り戻した。愚かな人類を信じられるわけがない。人類は進化するどころか、退化する一方だ! もはや救いようがない、愚かで下劣な存在だと……!」
機械の体になる以前から、そもそも人類を信じるような心を捨てていたロボゴーグはこれを一蹴。最終兵器・玉砕クラッシャーで大陸もろともゴセイジャーを消滅させようとする。
阻止に動いた天装巨人を力場で跳ね返すが、そこにゴセイグランドが参戦。
ゴセイナイトとデータスの連続必殺技でバリアを破られたところにアルティメットストライクが直撃し、起爆を阻止されるが、それでも倒れず「貴様等の戯言など、我が力で粉砕してくれるわ!!」と暴れ続ける。
業を煮やしたゴセイジャーは最大戦力であるアルティメットゴセイグレートを投入、アルティメットグレートストライクの直撃を受けたロボゴーグは今度の今度こそ限界を迎え爆発四散した。
しかしそれでも死んではおらず、首だけの状態になりながらも勝利を喜ぶゴセイジャーの前で不敵に語り出す。
「フハハハハ……!こレで勝利シた気でいルトは、おメでたい奴ラだ!私ノ化学力をナメてはいケない…。貴様ラの死と私の死ヲ同等だト思うナ……!」
そう、ロボゴーグにはまだ、自身を復活させるための最後の装置である「救済セル」という切り札が残されていたのだ。
「ブレドRUN!救済セルヲ直ち二発動サセろ!今コそ私が甦ル時だ!」
ブレドRUN「イエッサー……」
そのスイッチを担うブレドRUNに起動を命じ、すぐさま復活しようとするロボゴーグ。
しかしその直後、あろうことか目の前でそのブレドRUNにスイッチを握りつぶされてしまう。
「なっ、何ヲ…!ブレドRUN、何ノ真似だ!?」
ブレドRUN「…フフフフフ……フハハハハハハ……ハーッハッハッハッハッハ!この時を待っていた……待っていたのだァァァァ!!」
実はブレドRUNは総攻撃の寸前、密かに裏切っていたメタルAによって抜かれた記憶を戻され、かつての人格を完全に取り戻していたのだ。
そして自身に付けられた制裁ボムを警戒してロボゴーグに悟られぬよう従順に振る舞いながら密かにゴセイジャーが逆転できるように手引きし、目論見通りゴセイジャーによってロボゴーグが倒された今、ついに反旗を翻したのである。
しかもそうさせたのは、ブレドRUNとなってもなお残されていた「策略を巡らせる本能」であった。
もはやなにも出来ないロボゴーグは、ブレドRUNから「恐怖を司り、支配していたつもりでいたロボゴーグ自身が、最も恐怖に支配され怯えていた」という逃避心を突きつけられ、それこそ、他でもないロボゴーグが散々蔑んだ人間そのものだったと嘲られる。
ブレドRUN「我が閣下よ!マトリンティス帝国など、しょせんあなたという愚かしい"元人間"の、幻想でしかなかったのですよ!!」
「ブレドRUN…やハりお前ノ正体ハ……!」
ブレドRUN「お前とは、器が違うのだ!!」
かくして「恐怖」という感情を支配せんと試み、しかし最後まで恐怖に支配され続けた独裁者は、全てを支配するという幻想と共にブレドランチャーで木っ端みじんに粉砕され、消滅した。
ブレドRUNは本性を表して救星主のブラジラとなり、主を失ったターミネルを掌握。
その後、ロボゴーグはかつてブレドランに利用されてきた3大首領と共に怨霊(?)となってブラジラを襲おうとするも、「失せろ。力無き者共」と一蹴されあの世に送り返されることとなった。
『帰ってきた天装戦隊ゴセイジャー』では予告編で登場しており復活したのかと思われたが、蓋を開けてみればハイドが天装術で擬態した偽物であり、TV番組の再現映像での登場であった。
余談
モチーフはイセエビなどの大型のエビで名前の由来は『ロボコップ』。
声を担当した小杉氏は侍戦隊シンケンジャーにてアヤカシ・ユメバクラを演じており、2年連続スーパー戦隊シリーズに出演を果たしている。
尚、ロボゴーグの最後の登場となったepic44の放送日は、声を演じる小杉氏の誕生日であった。
前述の通りロボゴーグは『自分以外の全てを見下している(信頼していない)』にもかかわらず、『自らの生殺与奪を担う救済セルは起動するのに他者による操作が必要(スイッチを握る他者に裏切られたらアウト)』にしてしまったがために、それが自らの末路に直結したのだから実に皮肉な話である。
関連タグ
天装戦隊ゴセイジャー 悪しき魂 マトリンティス エージェントのメタルA
クズモブ:言わば、生前の周囲の人物はこんな輩ばかりだったがためにロボゴーグは悪堕ちしてしまったのだろう。
閣下:部下からの敬称。しかし、本来『皇帝』に対する敬称は『陛下』が一般的であり、日本語的には明らかな誤用である。
ヨゴシマクリタイン:こちらも独裁者気質のキャラクターで、自分の部下を道具としか見ていない。
Dr.ヒネラー:こちらも哀しい過去を持ち人間を見下している元人間の科学者だが、そうなる経緯や部下(腹心のみ)に対する扱いがロボゴーグとは正反対である。
創造王リュウオーン:同じく人間に裏切られた元人間で、人間を憎悪し、怪物になった学者繋がり。