概要
「一つ目小僧」の様に、大きな目玉が顔面の中央に1つだけ付いている形態である。ロボットのデザインがそのように見える場合にもこのタグが付く。多くの場合は生まれつき一つしか眼がない。
一つ目小僧やファハン等、妖怪や神としては紀元前から見られ、ゲームのモンスターとしてもしばしば登場する。それらの場合は目以外の部位も人間とは異なる形態で描かれる扱いが多い。一方で通常の人間キャラクターの様式で描かれ、目の部分のみ単眼としたキャラクターもあり、そのミスマッチさが奇異な絵を好むイラストレータに好まれる。
ガンダムシリーズに登場するザクⅡをはじめとした単眼のメカニック→モノアイを参照。
神話や伝承
後述の先天的な形成異常や、一部の節足動物、微生物などを除けば、現実の生物界では存在しない形態であり、フィクションの住人である(少数だが、正常な発育の過程で2つの眼球が癒着し、単眼になる生物は存在はする)。
一方で創作・伝承の世界では、前述のように『単眼の怪物』は古代から世界各地の異なる文化圏の伝説に広く散見される、歴史と馴染みのあるデザインである。この事実から、低頻度ではあるが「世界中で共通して発生し尚且つ印象的な奇形を生じさせる『単眼症』(後述)が起源ではないか?」説の他、サイクロプスや天目一箇神などの『金属加工に携わる文明的な存在』として扱われる史実から「『鍛冶師が作業をする際に片目を閉じている姿』から」説などもあるが、いずれも確証は得られていない。
現代では:異形から萌え要素へ
従来の作品では、単眼キャラはおおむね異形の扱いであり、ほとんどが悪役かモンスターとしての登場だった。
「悪役」イメージだった頃の代表的単眼キャラの例
しかし、いつの頃からか「大きなぱっちりとした愛らしい瞳」のデフォルメとして、女性キャラや動物と組み合わせた萌え要素として認知されていく。
当初は同人作品などのオリジナルキャラクターがほとんどだった(名前のない、単発のイラストも多かった)が、モンスター娘のジャンルが発展・拡大するにつれ、商業作品にも徐々に進出。主役級として活躍するキャラも見られるようになった(後述の関連作品も参照)。それに伴い、眼のサイズを胸のように個人差を出した巨眼や貧眼という概念も誕生した。
これらの単眼キャラは、前述の「通常の人間型で、目の部分のみ単眼」としたキャラクターが多い。…「頭蓋骨、特に眼窩がどうなってるか」を問うのは野暮というものだろう(例えばメイン画の娘の場合、少なくとも「目」の横幅以上の直径を持つ球体が頭蓋骨に納まっている扱いになる)。
デザイン的考察
とりわけ注目されやすい顔のパーツの中でも、当然目の部分が注目されるため、その目に対してのアレンジ具合が試される。瞳の大きさ(三白眼だったり)、目自体の大きさ、まつ毛の長短(多さ)、眉の位置、瞳の光源具合(ハイライトを薄くしたり)、その他目に髪型を被らせるかや眉の数とそれだけでも大きな差が出る。
なお、バックベア子のように一つ目であっても「片目を髪で隠した」ようなアレンジも見られるが、これはデザイン的にはむしろ片目隠れに属するだろう。また、2つ目のうち片目が潰れている場合は隻眼になる。
現実世界での「単眼」
医学的な見解
人間を含む現実の生物でも、ごく稀に発症する単眼症による先天性の奇形に位置づけられる。母体のビタミン類の過剰欠乏で発生確率が上昇するとされるが、ほとんどが流産または死産となる。生まれたとしても右脳・左脳と分裂していない為、脳神経系に重大な障害があり、また口や鼻が不完全または全く無く、すぐに死んでしまう。
発生初期の胎児では、まず神経管と呼ばれる後に中枢神経に成長し、パイプ状の構造が形成される。これは次第に複雑さを増して『脳胞』と呼ばれる袋状の構造になり、この脳胞の前側はある時期に正中線を対称軸にして、左右にY字型に分岐して成長していく過程で右脳と左脳の分離が行われた後、この左右に伸びた脳胞の先端部から眼(眼球や眼窩)の形成を誘導する物質が分泌され、体の表面に左右に分かれた2つの眼が形成され始める。
しかし、脳胞の分岐が何らかの要因で阻害されると、脳胞が分岐しない異常な構造のまま発生を続け、この状態を全脳胞症と呼ぶ。全脳胞症でも脳胞がどれほど本来の形を残しているかは様々な段階があり、比較的軽度の場合は脳の発達がほぼ正常に進み、眼もやや間隔が狭くなるものの正常に左右に分離して形成され、脳機能も知的障害を抱える程度で生存機能には問題がないものとなる。
この場合、単眼症はさまざまな重さが考えられる『全脳胞症』カテゴリーの中でも、特に重度な症状を呈するものの位置づけになる。大抵の場合すぐに「発生のプロセスに重大な異常が起きた」と感知され、ヒトを含む多くの動物に備わる母体保護機能が発動し、発生が停止し自然流産となる。
しかし、稀にそのような機構をすり抜けて発生を続けるケースがあり、その場合は正中線に沿って棒状に伸びた異常な脳胞の先端位置を基準に、眼窩や眼球の形成が始まるので顔面の正中線に眼球を持った単眼症となる。正常な発生であれば鼻(鼻腔)は頭の高い位置(額の位置、イルカの鼻を想像すればよい)で形成が始まった後に正中線に沿って下に移動し、両眼と口に挟まれた本来の位置に収まる経過を経るが、単眼症では鼻や鼻腔が収まるべき位置は眼球と眼窩で占領されているので、鼻の形成が阻害されて事実上無形性となるか、形成されたとしても正常に移動できずに、眼球の上の額に相当する位置に不完全な鼻が留まる。
基本的に哺乳類には母体を保護するために、発生中の胎児に生存の見込みがないほどの重大な異常が検知された場合、自動的に自然流産となる仕組みが備わっているため、単眼症の胎児がそのような機構をすり抜け続けて出産に至るまで発生を続けるケース自体が稀である。
死産であってもそこまで至るのが稀で、死産とならずの出生は更に稀である。出産まで生存しても、脳の発生の初期における異常であるため、脳はもとより中枢神経系の大部分に致命的な異常が生じており、摂食・排泄や呼吸・心拍の制御など最低限の生命維持にも事欠く場合が多く(この辺は無脳症に近い状況である)、普通であれば出産後数時間で死亡し、延命措置を施しても数日以内で死亡するのが大半で、故に「単眼児がどの程度の視力や知能を持っているか?」は医学上の関心の対象ではあるが、生後わずか数日の新生児に視力・知能テストに協力してもらうなどは、普通の(単眼症でない)赤ちゃんであっても無理な話であり、ほとんど分かっていない。
単眼症は発育上の基礎的なプロセスの一端である「『脳胞の左右への分岐』の成否」に起因しているため、ヒト以外の脊椎度物でも見られる奇形で、ヒツジなどの哺乳類の家畜や魚類でも発見例があり度々ニュースになる。基本的にヒトと同様に出生直後の死亡が多いが、発生率や生存のしやすさは種によって差があり、ヒツジやヤギなどは出生後も比較的長時間生存しやすいとされており、獣医学的な延命措置なしで牧場主の世話だけで、単眼のヤギが一週間以上生存した例もある。
なお、妊娠中の羊が毒草バイケイソウおよび近縁種を摂取すると、胎児の発生を制御する物質の伝達を阻害により、種々の奇形を生じさせ(いわゆる催奇性物質)、しばしば脳胞の分岐を妨げて単眼の子を死産する場合がある事が知られており、分離された毒成分はサイクロプスから採った「シクロパミン」と名づけられた。ある牧場で単眼症を含む奇形の羊が次々と生まれたため、近隣住民から「何らかの超自然的な呪いではないか?」と大騒ぎになったが調査の結果、牧場内にシクロパミンを含有する毒草が繁殖していたケースもある。
画像検索すると単眼症のものとされる写真は数多くヒットする。ただし、前述のように現代の医学技術では単眼症の患者は新生児の状態にほぼ死亡する為、新生児以外の単眼症のヒトと称される写真はコラを疑った方がいい。
備考:複眼と単眼
生物学の世界において「単眼」と言えば、先に述べた「単眼症」の他に「複眼の対義語」としての単眼がある。
「複眼」とは単純な構造を持ったレンズ(個眼と呼ばれる)が複数集まって1つの目としての機能を持つもので、トンボを特徴的な例として節足動物が多く持つ特徴であるが、それに対したった1つのレンズで機能しているものを単眼と呼ぶ。
単眼の構造は複眼を構成する個眼と似ているが、原則として複眼のように物の形の識別ができない。ただし単一で存在しているため「脳への伝達が早い」特徴を持ち、光の性質や明暗などを検知する役割を持っている場合が多い。
なお、単眼であるにもかかわらず、物の形や距離を精密に識別できるほど優れた例外もいる。人間などの場合は、レンズ(水晶体)の厚み・屈折率を変化させて焦点を調整するが、ハエトリグモの場合は、人間の網膜に当たる受光部を複数持っており、これを対象との距離にあわせて切り替えて視認しているらしい。
単眼のキャラクター(一例)(作品名五十音順)
- マネキン妖怪(悪魔くん)
- 吉川(アナーキー・イン・ザ・JK)
- イキグサレ一号(イキグサレ)
- スイショウ、アイシャ、コモク、メガロ(異種族レビュアーズ)
- マツモト(Vivy-FluoriteEye'sSong-)※本編序盤はテディベアの姿
- ブラックサタン、グロン、アクマニヤ星人、宿那鬼、ガンQ(ウルトラ怪獣)
- ダレル(OK K.O.! めざせヒーロー)
- ロブ(おかしなガムボール)
- 一部のミニオン(怪盗グルー)
- デストラ・マッジョ(快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー)
- ショッカー首領 (仮面ライダー(初代))
- 仮面ライダーリガドΩ (仮面ライダーギーツ)
- ユルセン (仮面ライダーゴースト)
- 一つ目タイタン(仮面ライダーストロンガー)
- StingerFlynn(GARTEN_OF_BANBAN)
- 鳴女(鬼滅の刃)
- グレイト・ハリケーン、ガンキュー、ガンマン(キン肉マン)
- ゴーレム、コア艦艇※、ゼロスフォース等(グラディウスシリーズ)※コア艦艇の核の部分が単眼ににているため
- 目玉おやじ、バックベアード(ゲゲゲの鬼太郎)
- ゴーマ怪人(五星戦隊ダイレンジャー)
- 無支奇(西遊妖猿伝)
- 単眼ちゃん(邪神ちゃんドロップキック)
- アモ・バロン(Shantae)
- 漏瑚(呪術廻戦)
- マル・ドッキオ(神撃のバハムート、shadowverse)
- 六・七(人外さんの嫁)
- イワンテ(スーパーマリオ64)
- アイワーン(スター☆トゥインクルプリキュア)
- サファイア(スティーブン・ユニバース)
- スパイキー(スプラトゥーン2、スプラトゥーン3)
- テクタイト、ギーニ、デグドガ、ゴーマ、グフー、キース※、ヒノックス、ワート、シュアイズ、ゲルドーガ、ボンゴボンゴ、イバラケバラ、イワントス、ベラ・ダーマ、ダイダゴス、デグガーマ(ゼルダの伝説)※BOTW以降
- 総統タブー(大戦隊ゴーグルファイブ)
- 魔力炉(ダイの大冒険)
- オデ(ちいかわ)
- ジュラル星人(チャージマン研!)
- クラーゲン(超新星フラッシュマン)
- メッツラー(超電子バイオマン)
- ギョダーイ(電撃戦隊チェンジマン)
- あくまのめだま、ギガンテス、おおめだま、ふゆうじゅ、スキッパー、メーダ、ひとつめピエロ、ビックアイ、フーセンドラゴン、ガンコどり、リビングハンマー、シーメーダ、コハクそう(ドラゴンクエスト)
- ディナー(トリコ)
- 十尾(NARUTO)
- レッドサイクロン等のサイクロン系統 (にゃんこ大戦争)
- ヴォッファ(爆竜戦隊アバレンジャー)
- 緑膿菌(はたらく細胞)
- ヒトミ先生(ヒトミ先生の保健室)
- 臼井幸(ひと目惚れ)
- 瞳咲ひとえ(Vtuber)
- アイアンヘッド、ゲイズ(風来のシレン)
- ペルニダ・パルンカジャス(BLEACH)
- コイル、アンノーン、ヨマワル、サマヨール、ヨノワール、ダンバル、シンボラー、オーロット、ヒトツキ、ツンデツンデ、メルタン、メルメタル、デスバーン、ブロロローム(ポケットモンスター)
- ワドルドゥ、クラッコ、ダークマター、メガイター、スカーフィ(豹変後)(星のカービィ)
- シュマゴラス(MARVEL)
- ドサンコ(魔入りました!入間くん)
- 真子さん(真子さんとハチスカくん)
- ハート(MAD RAT DEAD)
- 4番目(ママにあいたい)
- パッコヤン(メイドインアビス)
- 邪鬼ギリメカラ(女神転生シリーズ)
- マザーブレイン(第2形態)、ファントゥーン(メトロイドシリーズ)
- スエゾー(モンスターファーム)
- マナコ(モンスター娘のいる日常)
- メメ・ルドン(モンスター娘のお医者さん)
- 鬼のトップ(約束のネバーランド)
- フゥミン、おねむの精、ミッチー、一つ目小僧(妖怪ウォッチ)
- 独眼流政宗、野菊(戦国ランス)、トローチ先生(ランスシリーズ)
- 歩兵、近衛兵、中戦車54號リュカ、対空戦車222號ツングースカ、移動式中要塞スターリングラード(りっく☆じあ〜す)
- プリークリー(リロ&スティッチ)
- 御附子蔵・麻妃(√3)
- アイリス(RubyGloom)
- イエローデビルシリーズ(ロックマンシリーズ)
- ボロス、マナコ、ギョロギョロ(ワンパンマン)
作者の自画像
関連イラスト
関連タグ
単眼猫:pixivでは、オリジナル作品の他『呪術廻戦』の作者芥見下々氏のファンアートが投稿されている。
人外 / 人外娘 オッドマン クリーチャー 妖怪 亜人 非人間 モンスター / モンスター娘