概要
複数のレンズ(個眼)が寄り集まって一つの目を構成している構造。
昆虫などの節足動物に多く見られる特徴で、角膜と数個の視細胞からなる単純な「レンズとフィルム」の構造をした個眼が複数大量に集まる。個眼それぞれの情報はビットマップ画像のピクセル単位のように、それを統合することで高い視覚を得ることができる。
そのため、フィクションでよく見られる「個眼ごとに一つの目線が映る」という複眼目線の表見は誤りである。正確には個眼ごと一つの色の塊を表し、併せてモザイク画のような視覚を形成する。
この構造が良く観察できる生物としてトンボが挙げられる。
またカマキリやカニなどの一部の種類の複眼に「黒目」のような点が見えることがあるが、これは個眼の奥行きが深い場合、観察者に対して正面を向いた個眼の中が暗く見えるためである。この黒点は「偽瞳孔 (ぎどうこう)」と呼ばれる。
原始的な節足動物であるラディオドンタ類(アノマロカリスなど)にも見られることから、節足動物の系統において初期から既に進化した特徴と思われる。ただし、それが二次的に退化した節足動物も多く存在する(ヤスデ、クモ、サソリなど)。
複眼と単眼
節足動物においては、複眼とは異なり、たった一つのレンズで一つの目として機能するものを「単眼」と呼ぶ。これは昆虫のように既存の複眼と兼ね備える例がいれば、ヤスデやサソリのように、複眼が退化し、その個眼が独立して単眼に変化した例もいる。
単眼も参照。
複眼と多眼
目自体が複数ある多眼とよく混同されるが、前述した通り複眼は複数の個眼でできた「一つの目」であり、多眼ではない(機能的にいうと、複眼の数多くの個眼は、我々の目の数多くの視細胞に該当する)。
しかしPixivでは昆虫、もしくは昆虫的な複眼のイラストにこのタグが付けられることは少なく、あえてタグ付けされるものはいわゆる「人間の目」が複数の瞳孔を備えた状態(重瞳)や単一の眼窩に複数の眼球を有したもの、また多眼を扱ったものが多い。
そのため人によっては蓮コラ的なR-18Gに相当するので、検索・閲覧には注意を要する。