生物の進化
ここでは、現代進化論の源流となるダーウィニズムの進化論を説明する。現代の科学者に支持されているのは、ダーウィニズムの理論を拡張したネオ・ダーウィニズム(現代進化論、総合説とも呼ばれる)であるが、遺伝学や生態学についての込み入った説明が必要となり煩雑になるのでここでは説明しない。
ダーウィニズムの進化についての見解
有性生殖によって生まれた子は遺伝的に差異が生まれるが、環境に適応できなかった個体は死に易く、できた個体は生き易い。それが子孫の残しやすさにも繋がるため、それぞれの生物が生きる環境に適応した形質・特徴が残りやすい。重ねた世代が膨大になれば、恐竜と鳥類のような、まったく異なる姿の生き物にもなる。
次世代に受け継がれるのはあくまで遺伝子のみであるため、親の経験や鍛錬によって発達した形質は継承されない(ダーウィニズムの考えでは、獲得形質は遺伝しない。遺伝する場合がある、とするのが「ラマルキズム」である)。
ただし、英語で「進化」を意味する「evolution」は、ダーウィンの「種の起源」が刊行されるより前から使われていた単語であり、それも、ラマルキズムにおける仮説「獲得形質は遺伝する」を前提とした「進化」の意味で使われる事が多かった。その為、ダーウィンの「種の起源」では、かなり後の版にならないと「evolution」という単語は使われていない。(初版では動詞形のevolveが1箇所出て来ただけ)
生物学における「進化」という語には「強い」「優れた」ものになるというニュアンスはない(少なくとも、ダーウィンの自然選択説がラマルキズムの「獲得形質の遺伝による進化」説を駆逐して以降の生物学においては)。ガチンコで戦えば最強であろうと、餌にありつけなければ死ぬし、戦闘では弱かろうと生き残りさえすれば生殖活動もできて子孫を残せるのである。ある環境に適した性質も、別の環境ではむしろ不利に働くこともザラである。また勘違いされることも多いが、進化の対義語は退化ではない(そもそも進化は一方通行なので逆戻りはあり得ない)。
退化は、進化の過程で役割を失った器官(人間の盲腸やクジラの後ろ足など)が衰えていくことで、「退化は進化の一形態」と見るのが正しい。
ダーウィニズムにおける「進化」は「種の起源」で使われている用語「変化を伴なう系統(血統)」を意味すると言える。
宗教との関係
キリスト教やイスラム教などの宗教を否定するもの、として受け入れを拒否する人もいるが、人による。進化を受けれている生物学者にはクリスチャンもいる。現在ではカトリックなど教団レベルでは受け入れているところが多い。
しかし強く反発する保守的なクリスチャンもまた多いのも事実であり、アメリカ合衆国でも現在進行形で進化論否定を巻き返し、創造論やインテリジェントデザイン論を科学教育に持ち込もうという試みが続いている(参考)。日本でも統一教会が反進化論キャンペーンを行っている。
「成長」「強化」としての進化
生物学的な意味での「進化」とは異なるが、俗に進歩、成長、パワーアップをさす言葉としてもよく使われている。現実世界ではスポーツ選手によく使われる。pixivでは絵師進化録が代表的か。
ゲーム用語としての「進化」
1996年に発売されたゲームの「ポケットモンスター」では、パワーアップしたポケモンの姿や名前が変化することを「進化」と呼んだ。
ポケモンやデジモンの進化は見た目やサイズの大きな変化を伴うし、世代交代でなく一世代において起こるので、変態のほうがふさわしい。詳しい点はこちらでも解説がされている。
今では「レベルアップにより少しずつ強化されるのとは別の抜本的な強化」を意味するゲーム用語としてすっかり定着している。
多少なりともゲームに触れていれば、本人は成長どころか服を着替えたりポージングを変えたりしているだけとイラスト差分レベルの変化であっても、ゲームシステム的に飛躍的な強化さえされていればこれを「進化」と呼称することに違和感を抱く者は少ないだろう。
間違った使われ方の結果で科学、学問に悪影響が出るなどがあった場合にはポケモンに限らずゲームなど創作では進化と言う表現が制限され「変化」になる可能性もある。テレビ以上にビデオゲーム、ネットの影響が強くなっている時代なのでテレビ基準の制限はいつかかってもおかしくはない。(ネット、SNSの発達でオタクの表現の誤用、悪用が爆発的に増加し、それを開き直って使い続けているなどの例から)
関連タグ
暗黒進化 ワープ進化 ジョグレス進化 スピリットエボリューション
進化の神/ジ・エクスキューショナー:『キン肉マン』に登場する、進化を司る神。