概要
小腸と大腸の接続部分より下方に突起した部分の呼称。ここから、突起状に虫垂(闌尾)が垂れ下がっている。
後述するように、たびたび虫垂やそこに起こる炎症(虫垂炎)と混同され、(急性)虫垂炎の俗称ともなっている。
役割
多くの動物の腸に存在する。人体に依存しない菌類(いわゆるバクテリア)など微生物を貯蔵しておく効果があるとされる。
盲腸はセルロース(いわゆる食物繊維)など、通常動物が消化できない物質を菌類に分解してもらうために必要な部位となっている。このため草食動物、例を挙げるとコアラなどの盲腸は長いが、肉食動物やヒトの盲腸はあまり明確な役割を持っておらず、長さも短い。数少ない役割としては虫垂とともに善玉菌を貯蔵し腸内の環境を整える程度であるとされているが、詳細はまだ解明されていない。
そこから転じて、置かれてはいるものの実際には意味をなさないもの、行き止まりに存在するものを表すこともあり、例えば盲腸線(本線の途中駅に接続し、終端はどこにも接続しない路線)などという言葉も存在する…が、これは正確には虫垂線に相当するといえる。
虫垂炎について
虫垂に異物が詰まることで炎症を起こす「虫垂炎」を俗に「盲腸」と呼ぶことがある。これは、虫垂炎が進行したことで化膿・壊死して盲腸と癒着し、開腹手術で確認するとあたかも盲腸が炎症を起こしているように見えたためである。
虫垂炎が進行すると、最悪の場合腹膜にまで炎症が広がり(腹膜炎)、敗血症を合併したり臓器に穴が開くなどの危険がある。一方で、他の病気とも症状が似通っている、診断が難しい病気でもあるため、普段と違う腹痛を感じたら早い段階で受診することが推奨される。