変態

へんたい

変態とは、生物が成長過程で形態を変えること。または異常な性癖(あくまでヒトの生態として)を持つ者のことを指す。

目次 [非表示]

1 意味

2 解説

2.1 学問的解説

2.2 世間的解釈

2.3 マンガ・ネット的用法

2.4 余談その1

2.5 余談その2

2.6 余談その3

2.7 余談その4

3 関連タグ

3.1 元々変態ではないキャラクターの変態化

意味

生物学的な意味では成長過程で短期間に全く姿形が変わること。「幼虫 → 蛹 → 成虫」や「おたまじゃくし → カエル」などといった変化。形態の変化という意味でたまたま字面が同じになっただけで、本項目とは全く関係が無い。英語のmetamorphosisの訳語。変形する意味transformationの訳語。
変態性欲の略。「特殊な性癖の持ち主」であることから転じて、「変な人」「突飛な行動や装束の人」「ヒトの生態(厳密には生活習慣)全体そのもの」などの事を指す場合が多い。本項目で解説する。
2.のうち特にフェティシズム（フェチ）を指す呼称。
性的な意味に限定せず、常軌を逸した嗜好、技術、技能を持つ個人や組織に対する、ネット上における敬称。
変わった生態を持つ生き物や人物(ヒト)キャラクターなどを解説する時にドキュメンタリーなどに使われるもの。

解説

学問的解説

正式名称は『変態性欲』。医学的には『性的倒錯』という。英語ではparaphilia。リヒャルト・フォン・クラフト゠エビング男爵の『性の精神病理 (Psychopathia Sexualis)』（1904年）が、1913年（大正2年）『変態性慾心理』の名で翻訳されたことで、一般化した用語と見なされている（当時、ミステリー小説や娯楽雑誌などを通じてセンセーショナルな「変態性欲」ブームを起こした）。一般的ではない対象・行動に性的興奮を感じること。

『性的対象の逸脱』の有名な例としては「ナルシシズム」、「フェティシズム」、「ロリコン」、「獣姦」など。Pixivにおいてはフェティシズム、または「アニメキャラなどの二次元を対象とした特殊な萌え嗜好」という意味に偏った使い方をされる。
『性的満足行動の逸脱』の例は「窃視症」、「SM」、「虐待」、「カニバリズム」など。過度なイラストにはR-18Gタグがつきやすい。

またDSM（精神障害の診断と統計マニュアル）やICD（WHOの定める精神障害の分類）などで精神障害と認定されている性的嗜好を有していたとしても、必ずしも病的であるとは言えない。DSMでは身体、心理、環境、年齢などを加味して多軸的に診断する手法が確立しており、早い話が「人に迷惑を掛けておらず、また自分の生活を害していない」ならば色々セーフである。

世間的解釈

特殊な性的嗜好が原因で、他人への性的被害を発生させる人物のこと。

前述の例に当てはめるなら

(公の場で)過剰な肌の露出を好む　→　露出狂
相手が着用していた衣類に執着する　→　下着ドロ

こういった過激な行動で他者に迷惑をかける事は刑法によって禁じられている。

しかし、ここまで過激でなくとも特殊と思う事柄のボーダーラインが人によって違うため、当人が自覚していなくても他者から見れば変態とみなされてしまう場合もある。この明確な線引きが無い点から、結局のところ（性的な意味でなくても）「おかしなことをする変な人」の蔑称として使われる場合がほとんど。変態な人を「普通の神経の持ち主じゃない」と軽蔑する人も多い。

マンガ・ネット的用法

漫画などの創作物では、その突飛な思想・行動によって印象づけを容易に行いやすいためキャラクターの特徴として使われることがある。これも前述の例から説明するなら次のようなキャラクター性が出来上がる。

露出狂＝奇抜な衣装で町中を闊歩する
下着ドロ＝実行するときだけは尋常でない身体能力を発揮する

ネットなどでのスラングとしては、「特殊・変」の意味をさらに拡大解釈した表現をされることが多い。

ある一点において(無駄に)突き抜けた能力→　「変態的能力」「変態的性能」
常識とは著しく異なった設計、内容など
突き抜けた技術力、特異なコンセプトが際立った製品を多く手がける変態企業

ただし、前述のとおり、『変態』と言う言葉は世間一般から見て「蔑視的な意味」を多分に含む事が多いため、このノリの使い所を間違えてはいけない。2000年代～2010年代前半のオタクの内輪ノリ、マイナーゆえの卑屈さの裏返しなノリが強く、ごく狭い世界で使われる用法であることを忘れないように。

余談その1

ちなみに、現在頻繁に使用される「エッチ」という言葉は、変態という語の略称である。性に関する話題など大っぴらに話せなかった時代、女学生たちが作り出した。「あら、あなた変態ね」と言うところを、ローマ字表記した場合の「HENTAI」から最初の1文字を取り、「あら、あなたエッチね」という具合に使い始めたという（上述の『変態性慾心理』が刊行されてセンセーショナルな「変態性欲」ブームを起こした頃であろう）。とはいえ昭和、戦後に入っても40年代ぐらいまでは人前で出す言葉ではなかった。これを、性交渉を意味する隠語としてテレビで堂々と使い始めたのは、かの明石家さんまである。