概要
魔改造とは、通常の改造と異なり、対象について本来考えられない様な無茶苦茶な作り替えをすること。複数の意味が在る。
元祖魔改造
「おいどんたち薩摩模型同人会は、スケールモデルにアニメモデルの性能を持たせる秘技を開発したでごわす」
「その名は魔改造たい!」
元々は、漫画『プラモ狂四郎』の作中に登場した言葉。
複数の戦闘機のスケールモデルを変形・合体させ、巨大ロボット「プラモ魔神」を作り出した。
尤も、変形合体機構に関しては実はインチキ。
合体前の模型とプラモ魔神に合体した状態の模型を2つ用意し、対戦中に差し替えられる様に時限式の仕掛けを施していたのだ。
因みに、プラモ魔神そのものは雑誌企画で実際に製作されている。
最初のプラモ魔神(上記イラスト左)は、ゼロ戦を上半身に、F-15を下半身にそれぞれ変形させ、上下合体させたもの。
最初に両機体にガウォークの様に脚部を展開させた後、変形し合体する事でその異様な姿を見せつけた。
ゼロ戦のプロペラをブーメランの様に飛ばし、ゼロ戦の燃料タンクを変形させたロケット砲で、狂四郎のダンバインに勝利する。
しかし、実際は上記の通りに時限式の仕掛けを施したもので、プラモ魔神自体は別に用意されたキットだった。
再戦時のプラモ魔神Ⅱは(上記イラスト右)、鐘馗が上半身、SR-71が下半身に変形し合体する予定だったらしいが、シミュレーション前に仕掛けを暴露された為、実際には登場する事は無かった。その為、戦闘機形体のみの参加となった。
しかし鐘馗には金属製プロペラを用いており、参加した健のボゾンを破壊する。
SR-71には翼にカッターナイフの刃、ピトー管に錐の切っ先を仕込んでおり、更にエンジン部にはグリス入りミサイルを内蔵。
それらで狂四郎のビルバインを苦戦させ、変形能力を一時的に奪ってしまった。
いや、そんだけ強かったら魔改造いらないだろ……。
後に、ライバルのサッキー竹田がこの魔改造を応用。
機体がやられると次の機体に入れ替わる様に細工し、狂四郎を追い詰めた。
派生
転じて、色んな意味で無理が有ったり、常軌を逸した改造という意味合いで使われる様に成った。
主な例
- 服を着ているキャラクターのフィギュアを全裸や半裸に改造する(当初は御魔改造と呼ばれ、上記の魔改造と区別されていた)
- ロボットや乗り物、武器に使い手の危険を無視したチューンナップを施す。通称「マ改造」。
- キャラクターの見た目や設定を原形を留めないレベルで過剰にアレンジしたり、多数の無茶苦茶な設定を付与したりする
- 巨乳化、ふたなり、女体化・男体化、むちむち等の体型変化
- 夢の国チキンレース
- 貨物船をフェリーに改造しました(鹿児島商船の「はいびすかす」)
- カリフォルニアロール
- クラスアップや昇格、ゲーム内のバランス調整等によって、本来の運用方法と異なる能力に化けたキャラ。前者はレインボーローズ、後者はペトラ(2024年5月には最終上限解放も実施された)ほか。
- 魔改造の夜
- 魔法(的な要素を使用した)改造(もしくは魔術的な改造)
- 野球、特にプロ野球でいう「投球フォームの変更」
…など。人間の趣味・嗜好の範囲の広さ(業の深さ?)が窺い知れる。
鉄道用語として
財政難やコストをケチる、あるいはもったいないからとことん使い廻す(手抜き型)、及び下手するとかつての姿が分からなく成るほど本気を出した(全力投球型)等で普通では有り得ない改造を施されちゃった車両の事を指す。勿論ファンからの愛称。
代表的な例として、国鉄時代の583系改造の食パン列車(手抜き型)や旧型国電改造の103系3000番台(全力投球型)、民営化後のJR西日本にはサンパチ君(手抜き型)や415系800番台(全力投球型)およびキハ33(全力投球型)、東日本には485系の3000番台化やジョイフルトレイン(何れも全力投球型)等、私鉄では名古屋鉄道の1600→1700系化(全力投球型)、京阪電気鉄道の旧3000系ダブルデッカー車(全力投球型)、阪急電鉄のリニューアル工事(全力投球型)が存在する。
更に、魔改造以上の改造を施された「魔復元」という1つ上の手法も存在する。
クモハ113形3800番台(サンパチ君) | 419系(食パン電車) | 阪急7300系 |
該当車両の例(一種類でも当てはまれば掲載)
213系(クハの100番台)
289系(一部)
717系(900番台)
785系(300番台)
わたらせ渓谷鐵道わ99形
京阪電気鉄道旧3000系(ダブルデッカーとなった3805・現富山地方鉄道サハ31)、3代目600形・同700形など大津線の2扉車全般(ただし、3代目600形・同700形は新製扱い)
魔新造?
上記の魔改造を再現した状態で新造した鉄道車両。魔改造車に仕様を揃える事で、保守面での統一が図れる実用上のメリットがある。
JR西日本207系のモハ207形1500番台:0番台3連を4連に組み替える為にモハ207形1000番台1次車にパンタグラフ撤去等の改造を施した車両だが、(車両の補充のため)改造車に似せた「魔新造車」も存在する。該当車は新造時からドアの窓が複層ガラスに成っている2次車に属する。
リニューアルで1次車もドアの窓が複層ガラスに交換される為、リニューアル後はパッと見での判別がつかなくなった。
軍事関連では
若干鉄道関連と似てはいるものの、こちらは政治的事情が絡んでくる場合が多い。よくあるのが新型を導入しようとしたが予算や政治の都合で十分な数が揃わなかった、あるいは正式に採用されなかった為、その新型の技術を多少流用したり応用したりして既存兵器に改修を施すパターンである。様になったものもあるが、中には行き過ぎた魔改造を施したが為に逆に使い物にならなくなったパターンの存在する。
- F-4EJ改(日本):F-4EJに比べて電子機器と兵装搭載能力が強化されている。
- F-4K・M(イギリス):こちらはイギリスの例。ターボジェットエンジンからターボファンエンジンに換装されている。
- F-4Eクルナス2000:イスラエルも同じことをやった。こっちも兵器搭載能力と電子機器が強化されている。エンジンも換装する予定だったが流石に無理があった様子。
- というかF-4全般:長く使われるので時代に合わせた改修を行うのだからある意味必然である。それだけ元が優れている飛行機ということでもあるのだろう。
- Su-17(旧ソ連):Su-7を可変翼機にした。結果兵器搭載量が増えて東側戦闘攻撃機のベストセラーに。
- 強撃5(中国):原型はMiG-19……だが、原形を留めていない。
- 殲撃7(中国):初期こそ原型であるMiG-21と似ていたが、独自の発見を遂げた結果、原型とは別物になった。
- FC-1(中国・パキスタン):パキスタンの力を借りつつ最新技術をつぎ込んで誕生した第4世代ジェット戦闘機。これの原型が派生元であるMiG-21だと初見でわかる人はいない。
- Mi-24/35 Mk.IIIスーパーハインド(南アフリカ):ハインドの近代化改修モデル。かなり不気味な見た目をしている。
- キ109(日本):四式重爆撃機に75mm砲を積んだ。これでB-29を撃ち落とすつもりだったらしい。
- スピットファイアのグリフォンエンジン搭載モデル(イギリス):エンジン出力は向上したがトルクも強くなって操縦性が悪化した。
- ブラックプリンス(イギリス):チャーチル歩兵戦車をベースを改良して17ポンド砲を装備。ただでさえ遅かったのに余計遅くなった。結局戦争には間に合わず、「センチュリオンでよくね?」ってなった。
- オリファントシリーズ(南アフリカ):センチュリオンシリーズをベースに現代戦に対応させた。もはや原型を留めていない。
- T-72M1モデルナ(チェコスロバキア):T-72の砲塔左右に機関砲をポン付けして対空戦闘能力を付けた。
- CM11 勇虎(台湾):パットンにエイブラムスの火器管制装置を載せた。ちなみにこいつに限らず台湾は戦車をよく魔改造する(主にパットンシリーズ)。
- スーパーシャーマンシリーズ(イスラエル):色々とぶっ飛んでいる。
- M3グリースガン(アメリカ):大量生産された為、余剰品が友好国に供与された。その中でも東南アジアの軍隊では未だ現役。特殊部隊がサプレッサーやマウント、サイトをつけれるよう近代化改修が施されている。
- M14(アメリカ):アサルトライフルとしては散々だったが、マークスマンライフルとしては優れていた為、倉庫から引っ張り出して木製ストックをプラスチックに変えてアフガンで使用した。
- モシン・ナガン(ロシア):ウクライナ侵攻で木製銃床をプラスチックに変えたモデルが確認されている。
- AK-74M(旧ソ連・ロシア):AKシリーズは派生が多い為魔改造シリーズも多いが、代表としてAK-74Mを上げると、木製部はプラスチックに変更され、ストックも折り畳めるようになって機能性が向上している。今日でもロシアの主力武器である。
- 扶桑型戦艦(日本):変わりようもはや言うまでもない。
- 隼鷹型空母(日本):客船を空母に改造した(ただし客席の時から空母改造が前提になっている)。
- トライバル級駆逐艦ズビアン(イギリス):あろうことか損傷した同じトライバル級2隻をくっつけて新造した。
- アイオワ級戦艦(アメリカ):1980年代の改装でトマホークとハープーン、CIWSを積んだ。
- エセックス級(アメリカ):戦後にアングルド・デッキに改装された艦が存在する。
- ミッドウェー級(アメリカ):大戦型空母で従来の空母もよりも大型だが、それを逆手に取ってアングルド・デッキに改装され、一番艦は湾岸戦争まで現役だった。その以外にもジェット化と艦載機の大型化に合わせて度重なる改造が施されてる。
- アーレイ・バーク級(アメリカ):最初期に建造された艦は改装で艦橋の上部構造物が異様な形に変化している。
ベイブレード関連
近年「YouTube」上で人気と成りつつある『ベイブレードバースト』非公式アイテム群全般を「魔改造ベイ」と呼ぶ。
当初は「違法改造ベイ」等と呼ばれる域を出て居なかったが、次第に改造のディープさに拍車が掛かり最初にハンドスピナー「ウロボロス」をベースにしたレイヤーの完全オリジナル改造ベイ「アイアンウロボロス」が登場した。コレを皮切りに3Dプリンターで作られた事案レイヤー、ホワイトメタルで鋳造されたドラグーンのメタル化レイヤー、ベアリングをレイヤー化した防御無双レイヤー等が次々生まれて行く。遂には「アイアンウロボロス」の作者がDMMに発注してチタン素材で作らせた「トンデモ破壊力ベイ」まで登場し其れの能力に合わせたディスクやドライバー迄自作されるに至った。
最早「改造」の域を逸脱している感は有る物のこれらも全て、現在では「魔改造ベイ」と呼ばれている。
関連タグ
悪魔合体 カオス だいたいあってる だいたいあってない だいたいまちがってる マリオン・ラドム キャノンボーグ
違法改造・・・似て非なるもの。
コキリの剣・・・公式(?)の魔改造。詳しくはリンク先へ。