概要
朝鮮戦争後、アメリカ軍はM1ガーランドに代わる正式採用小銃を必要としていた。
M1ガーランドは第二次世界大戦当時から名銃と見なされていたが、決して完璧ではなかったのだ。
そこでM1ガーランドに代わる小銃の試作を米国の様々な銃器メーカーに頼み様々な試作品が出された。
その中でもジョン.C.ガーランド(M1ガーランドの設計者)を中心としたスプリングフィールド造兵廠がT20というライフルを試作した。
同造兵廠のアール・ハーヴェイがT20等と完全に異なるライフルT25を試作した。
この小銃は新しい.30口径弾を使用するもので、後に7.62mmNATO弾に発展した。
その後開発が進みT44が完成し、AR-10やT47(T25の改良型)、T48に勝ち1957年、M14としてアメリカ陸軍に制式採用された。
実戦投入、そして交代へ
正式採用後1966年、M14はベトナム戦争に投入された。
敵兵に対して効果的なストッピングパワーを発揮し、武器としての信頼性は、悪条件下でも良好であった。
しかし、同時にいくつかの欠点が発覚した。
ジャングルの湿気の多い環境では木製銃床が悪影響を受け、膨れたり、腐食したりする傾向があった。
さらに、7.62mm×51弾をフルオートで射撃した場合、反動のコントロールが非常に難しいという難点があった。
ピストルグリップ化と折り畳み式フォアグリップの追加がされたM14A1及びM14E2が試作されたが改善には至らず、試作に終わっている。
その為、当時の国防長官の政策によって、反動が小さいM193弾(5.56×45mm)を採用し、大部分が樹脂製となっているM16が急遽採用された(しかし、このM16にも多数の問題が発生。詳細はページを参照のこと) 。
アサルトライフルとしてのM14の人生はここで終わったといえるが、それでも、M14は狙撃用に改良が行われ、M21として一部部隊に使用された。
その後、国営のスプリングフィールド造兵廠は1968年に閉鎖、M14等の製造権とブランドは民間に販売され、民間企業であるスプリングフィールドアーモリー社が創設された。
復活
ベトナムでいらない子扱いされたM14だったが、一部が狙撃銃やマークスマンライフルとして使用された。
そもそもM14は長距離射撃に向いているうえにAK-47よりも有効射程が長い為、AK-47を持った敵に対してAK-47の射程範囲外から狙撃できる強みがあったのである。
そんな中、米軍が湾岸戦争などで中東地域へ展開し始めるとM16の5.56×45mm弾では威力不足(現在は不足では無いと判明)の点とM16に作動不良の多発が問題視された。
そこで米軍はM14を復活させたのである。
ベトナムでは取り回しの悪さと反動であまり活躍出来なかったM14だったが、実戦で使用すると作動効率の高さから兵士たちに好評だった。
その後木製の曲銃床は時代遅れであり拡張性も低く、環境の影響を受けやすいので金属やプラスチックでできた銃床に変えられて(M14EBR)現在でもアフガニスタンやイラクの戦場で活躍している。
後継はSCAR-Hとなる予定。
海兵隊ではM39EMRとして改良された22インチ銃身仕様のEBRが2008年に採用され、使用されている。
また、陸軍儀仗隊や空軍儀仗隊でもM14ないしM21を儀典用、戦没者葬礼用の礼砲用銃として使っている。
アメリカ海軍では、艦艇の洋上補給時の舫い銃として現在もM14が用いられ、SEALsではEBRをMk14EBRとして採用している。
空軍でも海軍のMk14を採用している。
陸軍では設計の古さと砂塵の進入しやすい構造(機関部上部が大きく開いている)の問題、重量などからM24を使用する狙撃手を支援するスポッターの装備としては不満があるとしてCSASS計画により後継銃を選定、HK417をベースとしたG28Eが採用された。
評価
アサルトライフルとしては落第点をつけられたM14だが、バトルライフルやマークスマンライフルとしては高評価を得ている。
基本データ
全長 | 1,117mm |
---|---|
銃身長 | 558mm |
重量 | 4,500g |
口径 | 7.62mmNATO |
装弾数 | 20発 |
民間型
フルオート機能が除去されたコマーシャル向けモデルはM1Aと呼ばれる。
スプリングフィールドアーモリー社だけでなく様々な会社で製造されているが、殆どの製品では外見も中身もに似た別の銃と言える程に変更されているが、フルトンアーモリーで製造されているM1Aは外見を含め忠実にM14を再現しており、部品の互換性だけでなくダミーとはいえセレクターも稼動しており、フルオート省略版M14と言える出来となっている。
スプリングフィールド社で製造されたカービンモデルのSOCOM16は東京マルイ製電動ガンM14SOCOMのモデルとなっている。(ちなみに遊戯銃のM14はマルイも含めてM14の名になっているが、M1Aを採寸元としている為か刻印のみM14なM1Aと言うものが殆どである)
関連イラスト
関連項目
マークスマンライフル ミニ14 よく似た銃