英国面の亜種。フォースの植民地面
概要
元を正せばイギリスの植民地から独立した国家であり、根っこは一緒ともいえる。
「多少は冷静なのか、設計段階や実験段階で断念したものは多い」と思われがちだが、下手に開発・量産能力があるだけに、特に軍用機のトンチキ、もとい試行錯誤ぶりはドイツ第三帝国に比肩するほど酷い。動力付きの飛行機を世界で初めて飛ばした「飛行機の老舗」という点も影響しているのか。時には「他国なら『イギリスみたいな真似すんな』と笑い飛ばされそうな代物」を実用化にこぎつけてしまったりもする。
まあ要するに、財力と資源に物を言わせて力押しでやってのけてしまうのが米国面だってことである。
また民生分野では、本項目に書ききれなかった例も含めて「米国面が世界を変えた例」が際立って多い。これは革新的な新製品を作ったら「普及させるためのインフラや制度を一緒に作る」ことが得意技であるため。エジソンが電球を普及させるため配電システムを作り上げたのが典型例(電球の発明自体はスワンというイギリス人である)。最初の発明はイギリスやドイツやフランスや日本で行われたものでも、最初に事業化に成功したのはアメリカ人……という例が多々ある。
もちろんストレートに頭のネジが外れていることもしょっちゅう。
海軍部門
太平洋戦争以前
- 装甲艦モニター:最初期の装甲艦にしてモニター艦の語源となった河川砲艦。独特な外観から通称「筏の上のチーズボックス」。被弾面積を極限まで減らすために甲板が水面ギリギリの低さになっている。沈みかけてるようにしか見えない...と思っていたら河川砲艦なのに外洋に出たがために高波に呑まれて本当に沈んでしまった。
- H・L・ハンリー:世界で初めて敵艦を撃沈した潜水艦。動力は手回しクランク推進のプロペラってスワンボートと同じじゃないか...。攻撃・撃沈には成功したがその際の衝撃が原因で帰還中に沈没し、海面下での戦闘に利点が有ることと危険性があることの双方を証明することに。
- キアサージ級戦艦:主砲塔の上に副砲塔を載せた変態戦艦。利点もあったが、当然ながら主・副砲の射撃時の爆風が相互の射撃を阻害するなど欠点の方が多い結果に。
- バージニア級戦艦:上記キアサージ級の次のイリノイ級戦艦からは普通の砲塔配置だったのに、性懲りもなくキアサージ級と同じ主砲・副砲配置を採用した変態戦艦の後継者。結果はキアサージ級と同じ事に。尤もこの二度の失敗の教訓が世界初の背負式砲塔配置のサウスカロライナ級戦艦に繋がる。また、この搭載法は後に戦車で花開いたり……
- 12inch砲の揚弾機構:1915年ごろの揚弾機だが搭載艦は不明。その構造は弾薬庫から取り出された砲弾が垂直に立てられて砲塔まで揚げられ、しかも途中で逆さまに向きを変えるというもの。揚弾筒の径を小さくするのが目的だったようだが、砲塔内でゴロンゴロン向きが変わるのは信管に悪影響がなかったか非常に心配される。
- ティルマンの巨大戦艦:ベンジャミン・ティルマンが提案した超弩級戦艦。6種類(ティルマンI~ティルマンIV-II)が設計案として出されたのだが、全長は全て共通で297m、IIとIVは六連装砲塔、IV-IとIV-IIは45.6cm砲搭載という、提案された1916年じゃなくてもぶっ飛んだものだった。幸いにも(?)計画案のみで採用されなかった。
- アイオワ級戦艦:日本海軍が建造していると考えられた「排水量45,000トン・16インチ砲搭載艦」に対抗するために建造された超弩級戦艦。空母機動部隊と連携した艦隊決戦を想定したため16インチ3連装砲を備えながら金剛型戦艦を上回る速力31ノットを発揮したものの、本来の計画であった艦隊決戦についてはお察しください。しかし使い勝手が良く、モスボール(不活性化処置)と現役復帰を繰り返しながら1990年代まで生き残り、ついには近代化改修によって誘導兵器を搭載した唯一の戦艦群となった。そのまま生き残っていたら、第3主砲塔を撤去して航空戦艦化する予定だったという……(どうしてそうならなかった)。
- モンタナ級戦艦:全長281m、基準排水量60,500tの大和型に匹敵する超弩級戦艦。アイオワ級より大型化したためパナマ運河を通れなくなったが、建造開始と同時にモンタナ級のためだけに拡張工事を行って対策する予定だった。しかし空母や揚陸艦、潜水艦などが重視されたため結局起工すらされず建造中止に。このためモンタナ州は合衆国48州(当時)で唯一主力艦の名前にならなかった。
- アラスカ級大型巡洋艦:日本が極秘裏に「秩父型」なる大型巡洋艦を建造しつつある、という誤報に振り回されて建造された30㎝砲搭載の軍艦。結果完成したのは戦艦としても巡洋艦としても中途半端で更には操舵性が悪いという残念な代物だったばかりか、この艦に対抗して日本が本当に大型巡洋艦を計画してしまう(B65型超甲種巡洋艦。対米開戦で計画中止)という間の抜けた事態に。
- 米海軍の雷撃に対するこだわり:小回りの利かない巡洋艦での雷撃は早々に見切りをつけていたことから、かつては日本海軍に比べて雷撃にはそれほどこだわりがないとされていた米海軍。ところがどっこい。米軍の駆逐艦乗りは吉川潔や田中頼三にも引けを取らない、アーレイ・“31ノット”・バークに代表されるキ○ガイぞろい。そんな命知らず野郎どもが雷撃を好まないはずがなく……日本の特型登場以降は、米海軍の駆逐艦整備計画は「計画やら条約やらの関係で軽量化案が出る」→「デストロイヤー乗り達の『ふざけんな! 魚雷発射管省略すんじゃねぇ!』という声により他を削ってでも雷装を保持する」の繰り返しを終戦までやり続けた。まぁ、英国海軍の分家筋って考えたらどっちも大概なことになるのは目に見えてたようなもんなんだけど……。さらに、これらの重雷装化は米駆逐艦にトップヘビーという深刻な慢性病を引き起こすこととなる。
- マハン級駆逐艦:所謂条約型駆逐艦。同時期の駆逐艦はあの日本ですら重量物の魚雷発射管を(次発装填装置と引き換えに)4連装2基まで減らすという身の切り方をしていたのに、米軍は現場の「ふざけんな! 魚雷発射管減らしたらヌッコロすぞ!!」という声に押されて4連装3基を維持することに。そしてその代わりに、砲の方を38口径に詰めて軽量化するという日本も唖然とするしかない雷撃優先設計となった。ただ、排水量制限のため全長を切り詰めた結果、艦軸上配置が常識の駆逐艦にあって第2・第3発射管は第3砲塔の両舷に配置するしかなく、結果一度に発射できる魚雷は日本の白露型と同じ8本でしかない(その上トップヘビー)ということになった、のだが……
- グリッドレイ級駆逐艦:マハン級の次級なのだが……簡単に言うとマハン級を見た駆逐艦乗りたちが「こりゃいい! 雷撃を2度できる! おい、前部発射管も両舷配置にしろ」とか言い出した結果、死ぬほど重い魚雷発射管をもう1基、つまり計4基16門も搭載することに。まさに米軍駆逐艦版大井・北上。どうしてこうなった。このためマハン級以上に重量バランスが最悪で、米軍駆逐艦で唯一主力兵器のボフォース40mm機関砲を搭載できず4隻で打ち止めに。しかもボフォースが載せられない以上神風特攻隊に対処できないため全艦大西洋へ回されたうえ、魚雷発射管も半分に減らされてしまった。バカじゃねえのかメリケン水雷屋。 ただし、高温高圧缶の採用で当時の米駆逐艦としては最速を誇り、モーリーが1938年に42.8ノットという記録を残している(もっとも、軽荷・過負荷運転であるため、常にこの速度を出せたわけではない)。そのモーリーとクレイヴンが、ベラ湾夜戦で重雷装とレーダーに物言わせ、日本のお株を奪う“夜戦完勝”を収めたのも見逃せない。射線16本は伊達じゃなかった。 その後、海軍工廠建造によるバッグレイ級駆逐艦(計8隻)として復活し、こちらは造り方がうまかったせいか魚雷発射管4基を残しつつ40mm機関砲を一基搭載できた。
- サマーズ級駆逐艦:上記のグリッドレイ級が魚雷を片舷に8射線しか発射できなかったのに対し、中央のスペースを広くとることで魚雷発射管を中心線上に3基12門搭載し、計12射線を片舷へ発射できるという当時としては最強の雷装を誇った(ただし後に島風に抜かれることになる)。しかし、荒天時の使用制限回避のため魚雷発射管を高い位置に装備したこと、主砲をすべて連装砲にしたことなどがたたって案の定トップヘビーとなってしまった。結局、魚雷発射管を撤去するなどの対策を施したが、1隻がハリケーンにより沈没している。中には、魚雷発射管を全部取り払って対空兵装に特化した艦さえあった。重雷装化とはいったい何だったのか……
- フレッチャー級駆逐艦:170隻を超えるというアメリカのマスプロダクション能力の高さの象徴としてあげられる本級だが、艦軸上配置の5連装発射管2基という日本海軍に負けるとも劣らない雷撃バカぶりの体現者であることはあまり知られていない。しかもフレッチャー級もロットごとにレーダーや高性能ソナーなどどんどん装備品が増えて排水量が増大し、速力がトレードオフされる結果になり、船体を共有するアレン・M・サムナー級ではとうとう米海軍伝統の単装砲から日本海軍張りに連装砲を採用して装備重量を詰める事態になったにもかかわらず、さらにその次のギアリング級までとうとう「この上には日本海軍しかいねぇ、その日本海軍ですら秋月型と雑木林ではついにあきらめた」レベルの雷装を維持している。なんだお前ら。ちなみに、フレッチャー級の初期ロットはあの島風を上回る43.3kgf/cm²高温高圧缶を搭載し36.5ノットを発揮した。もちろん技術と量産の国アメリカだけに余裕で量産……してたはずが、信頼性やダメコンの問題から徐々に標準使用缶圧は下げられ、ギアリング級では39.7kgf/cm2で落としていた。……結論。駆逐艦乗りが頭おかしいのは万国共通。もうやだこいつら。
- 駆逐艦サミュエル・B・ロバーツ:そして頭のおかしい駆逐艦乗りの極みの一つがこの駆逐艦。サマール沖海戦で護衛していた護衛空母艦隊を守るためとはいえ、スコールと煙幕を利用し同僚のフレッチャー級二隻と共に大和率いる栗田艦隊に突撃していったのである。アメリカ版夕立。しかも、夕立やフレッチャー級はまだ艦隊型駆逐艦だからわからなくもないが、ロバーツは護衛駆逐艦、日本海軍で言う海防艦クラスの艦である。お前のような駆逐艦がいるか。(孤軍奮闘艦も参照)
- いただろ:はいすいません。
- 駆逐艦『プリングル』『ハルフォード』『スティーヴンス』(フレッチャー級):駆逐艦なのに水上機を載せてしまった。今でこそ駆逐艦に航空機は標準装備であるが、第二次世界大戦当時はかなりの異例であり、常識はずれ。しかも結局運用がうまくいかず、撤去されてしまった。
- 籠マスト:鋼鉄を籠の竹のように組み合わせて塔状に形成された奇天烈な外見を誇るマスト。戦艦に小さな東京スカイツリーが乗ってるように見える。軽量で強度もある事でアメリカ海軍で主に採用されたが、戦艦ミシガンが荒天下で倒壊事故を起こして廃止の方向に。ただしコロラド級までは用いられ続けた。
- グラマン F6Fヘルキャット:後述のコルセアが新機軸を盛り込んだ期待だったため、失敗したときの保険として作られた艦上戦闘機。「新型機を作れ。ただし保険だから新しい技術は一切使うな」と命令されたというグラマン社技術陣はどんな心境だっただろうか。しかしコルセアが案の定尖った性能になってしまったため、こちらが天下御免の防御力と大馬力エンジンで大活躍。大空のサムライをして「二度と戦いたくない」と言わしめた。誰が呼んだか「グラマン鉄工所」なる名誉の二つ名も頂戴している。しかし、保険程度で設計されたに過ぎなかったため、基本性能で当初からコルセアに負けてるわ、挙句の果てに紫電改が相手だとそこまで有利ではなかったなど、次第に粗が出てきた。そのため、終戦の一年前に主力艦載機の座から引きずりおろされてしまっている(ただし、名誉のために付け加えておくと、「日本機相手ならF4UよりF6Fのほうがいい」というパイロットも少なくなかったとか)。
- チャンスヴォート F4Uコルセア:次期艦載機の大本命であったにも拘らず、チャレンジ精神あふれる機体デザインが災いして空母での扱いが非常に難しくなってしまい、保険であるヘルキャットにその座を掠め取られてしまった。当時の日本軍側からも「グラマンよりはるかに殺り易い相手だったよ?」と言われ、日本機相手のキルレシオでもヘルキャットを下回っている(しかしコルセアのキルレシオも1:11.3と優秀であり、むしろヘルキャットのキルレシオが高すぎると言った方がいい)。ただし基礎設計が大変優れており、おかげで基本性能は最後までヘルキャットを上回っていたため、最終的には主力艦載機の座を奪還した。また、防御力が低い(装甲が薄い)分ヘルキャットと比べると割合軽量であり、その分ペイロードに余裕があったので用途の幅も非常に広く、朝鮮戦争でも大変重宝されることに。軽い分だけ速度面を伸ばす余裕もアホみたいにあったので、グッドイヤー社が独自改造したF2Gではエンジン出力を1,000馬力も強化した結果、最高速度が690㎞台に達している(量産はされなかったが)。流石に後期型はヘルキャットより重くなったが、エンジンをより高出力なものに切り替えたので最後まで安定したペイロードと飛行性能を維持できた。おかげでジェット化の波が押し寄せても戦闘爆撃機として生産・運用が続けられた。
- ヴォート XF5U フライングパンケーキ:試作機が国内でUFOと間違えられ苦情が殺到した円盤翼機。STOL性に優れていたが、巨大なプロペラのおかげで固定武装が積みづらい上に既に戦争が終結し、ジェット機の時代になっていたため採用されることはなかった。なお外板にメタライトを使うなど無駄に頑丈にし過ぎた結果、処分の際に通常の手法ではスクラップ処分できなかったとか。
- グラマン XF5F スカイロケット:機首が翼から突き出ていない双発艦上戦闘機。 着艦時の視界確保(と、エンジンとプロペラを出来る限り翼の中央に寄せることでロールレートを高める)という狙いがあったがエンジンカウルがデカすぎて逆に視界が悪く、艦上機としては致命的だったため試作一機で開発中止に。
- ボーイング XF8B:後のF-111の御先祖様、と言えばだいたい解るだろう。掩護・邀撃・急降下爆撃・雷撃とほぼ全ての用途に使える戦闘爆撃機として試作発注された。しかも胴体には爆弾倉が設けられた。ある意味ロマン機だが、計画的に炎上したと言うよりは大戦終結が近づいたことと似たような性格で爆弾倉を持たないA1Dの実用化にめどが立ったこととから、試作3機で開発中止に。
- アクロン級飛行船:後述のXP-85に先立つこと約20年、米軍が実戦配備した史上稀な「空中空母」。アクロンとメイコンの二隻姉妹。構想としては現代のAWACSに近い運用を想定していたようで、偵察機を兼ねてF9C“スパローホーク”複葉戦闘機を5機搭載していた。飛行船に共通する弱点として天候の急な変化に弱く、二隻とも荒天で喪失。ちなみに実は米軍が配備した最大にして最後の硬式飛行船でもある。
- インターステート TDR:第二次世界大戦中に開発した無人航空機。付近で飛行するTBFアヴェンジャーの搭乗員が、機体に取り付けられたカメラの映像を見て操縦する。一応攻撃にも成功しているものの結局は早すぎた発明だったようで、「従来の有人機の方が信頼性も精度も高い」という理由で開発・運用は中止された。
- ティニー・ティム:弾頭直径11.75inch(29.8cm)の大型空対地ロケット弾。敵艦対空砲の射程外から攻撃するために開発されたとも言われている。それだけの長射程を実現するだけあって、他のロケット弾と同じように発射するとロケットモーターが強力すぎて発射母機が損傷するほど(切り離してから時間差で点火する事で解決したとか)。
太平洋戦争以降
- デモイン級:米海軍最後の、そして最強の変態重巡洋艦。太平洋戦争中、ソロモン海域における日本海軍の水上艦隊との交戦で得られた戦訓から生まれた、砲弾の1発当たりの威力があり、かつ高い発射速度(毎分10発)を持つ半自動式装填機構を備えた8インチ砲(3連装×3基)を主兵装とし、全長218.4mと歴代の米重巡洋艦では最長を誇った(ワシントン海軍軍縮条約期以前の、全ての米海軍弩級・超弩級戦艦よりも長い)。この様にアメリカの重巡としては正に最高峰に位置する艦で12隻の建造が予定されたが、竣工したのは3隻のみ。しかも1番艦デモインが就役したのは、戦争終結から3年以上もあとの1948年11月。まさに「遅れてやって来た」艦となってしまった。1番艦デモインと2番艦セーラムは実戦を経験することなく、10年あまりで退役・予備役入り(デモイン1961年、セーラム1959年)。しかしその後、1991年に揃って除籍されるまで、なんと約30年に亘って保管されていた。つまり、現役でいた期間よりも予備役でいた期間のほうがはるかに長かったことになる。セーラムは1994年からマサチューセッツ州クインシー市で記念艦として保存され、デモインも引き取り手を求めて、除籍後もなおその姿を留めていたが、ついに2006年スクラップとして売却され、2007年その姿を消した。3番艦ニューポート・ニューズはベトナム戦争で艦砲射撃を行ったが、こちらも1975年退役・予備役入り。除籍されたのは姉艦2隻よりも早い1978年だったが、姉艦たちの部品確保の目的で、1993年までその姿をとどめていた。
- ロングビーチ:原子力ミサイル巡洋艦。VLSの無い時代でありながら、建造時は対空ミサイル2種類と対潜ロケット1種、さらに後には対空1種類を降ろす代わりに対地・対艦ミサイル1種ずつが追加された結果全身ミサイルランチャーまみれになった。開発中は砲も積まずにSLBMまで搭載する予定だったが、時のケネディ大統領が「砲は積んでくれよ…」と要請したためにお流れになっている。また、世界初のフェーズドアレイレーダー搭載艦でもあるが、そのレーダーのせいで艦橋が非常に独創的な形状をしている。しかし技術レベルが追いついていなかったためそのレーダーはしょっちゅう壊れる代物であり、最終的に撤去されて普通の3次元レーダーと2次元レーダーのセットに置き換えられてしまった。
- オールバニ級ミサイル巡洋艦:アメリカ海軍のミサイル巡洋艦。ボルチモア級重巡3隻を改装したものだが、既存の兵装や上部構造物を全撤去して各種装備を搭載するというかなり大規模な改修の結果、ベース艦の面影が船体と2本の煙突程度(その煙突もマック構造の新規の物なので実質船体程度)という魔改造ぶり。特にミサイルの火器管制レーダーの視界を確保するため、細長く高い艦橋構造物という特異な外見となった。
- 外見はともかく、これでも既存艦艇の改装艦としては最も高度な装備を有するなど性能自体は非常にまともな上に高いレベルだったため、艦隊旗艦としても運用されるなどアメリカ海軍の防空艦の一翼を担っている。ちなみに更に3隻追加改装するプランもあったが、こちらはより小型な駆逐艦ベースの船体でも防空ミサイルシステムを搭載できることが分かったことなどから実現しなかった。
- 原子力打撃巡洋艦(CSGN):アメリカ海軍が計画していた原子力ミサイル巡洋艦。イージスシステムを搭載し、8インチ砲・ミサイル発射機などの充実した兵装や司令部機能を備えた威風堂々たる巡洋艦であったが、更に試案として上記の装備に加えて艦をやや大型化してアングルドデッキを備え、ヘリコプター2機とVTOL機6機の運用能力を持たせた航空巡洋艦という、「アメリカ版キエフ級」というべき案も設計された。が、当然このような艦は高コストであり、スプルーアンス級ベースのイージスシステム搭載DDG(ミサイル駆逐艦)とのハイローミックス配備となったが、結局あっけなく計画中止となった。
- ちなみに、そのDDGこそ後の世界初の実用型イージス艦・タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦である。
- 巡洋艦ヨークタウン:世界初の実用型イージス艦であるタイコンデロガ級の2番艦。スマートシップ計画で制御系にWindows NT 4.0を取り入れていたが、乗組員がデータベースフィールドに0を入力したために艦に搭載されていたRemote Data Base Managerでゼロ除算エラーが発生、全システムがダウンし2時間30分にわたって航行不能に陥った。スマートとは何だったのか。
- ズムウォルト級ミサイル駆逐艦:アメリカ軍がスプルーアンス級&タイコンデロガ級の後継最新鋭艦として建造中……だった駆逐艦。ステルス性を追求した結果船体形状は非常に(奇妙な程)平たい船体形状をし、艦首形状もww2以前に採用されていたタンブルホーム船型(雑な言い方だが、要するに水面下部分が水面上部分よりも前に突き出ている船型)を採用・従来の艦砲とは比較にならない155mmという高火力砲を2基も搭載・将来的に電磁投射砲すら搭載可能な電力を確保する統合電気推進システム・艦隊防空どころか弾道ミサイル迎撃もこなせる大出力レーダー…と様々な次世代的先進機構を取り入れまくった結果船体が大型化し、排水量は満載でおよそ1万5000トン(重巡洋艦並み)、コンセプトも「強力な戦闘能力で迫る敵をねじ伏せながら、艦砲とミサイルを陸にたたき込む」という、お前のような駆逐艦がいるかと思わせる軍艦になってしまった(まぁ日本も巨大な護衛艦とか作ってるけど…)。つかこれ最早コンセプトが戦艦。
- しかしレーダーの開発が遅れた上にそれを制御する高性能CPUの開発に失敗して装備が取りやめになったり、こいつ駆逐艦の癖に魚雷装備が無かったり(一応スペースは確保されているらしいが…)、その結果最終的なズムウォルト級自体の装備と性能も「(一応)ミサイル駆逐艦なのに艦隊防空も対潜攻撃もできない、対地攻撃力とステルス性能にガン振り」したような結果になったり、ズムウォルト一隻の建造コストがニミッツ級原子力空母1隻分にまで跳ね上がったり、と踏んだり蹴ったりをした結果、当初31隻建造が予定されていたのが、結局技術実証艦として3隻建造して量産終了となってしまった。後に艦隊防空能力は獲得したものの、今度は砲弾1発のコストがトマホークに匹敵する額になってしまい、155㎜砲を撤去して共通極超音速滑空体(C-HGB)を搭載することになっており、どちらかというとアーセナルシップに近い艦となった。因みに前述の2級の代替にはアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の更なる追加建造を以て充てるようだ。
- AN-1:潜水空母計画。しかも浮上から短時間で艦載機を一気に発進させようと考えた結果、艦載機をカタパルトで真上に打ち出す方式を採用する予定だった。潜水空母自体が廃れたのでおじゃんに。
- 制海艦(SCS):大戦期に建造したエセックス級航空母艦の退役に備えて計画された(当時で言う)現代版護衛空母。小型で安上がりな代わりに垂直離陸機とヘリしか運用できない上、カタパルトも無し。原子力艦派と大型空母派の猛反発を受けて中止になった。
- VTOL支援艦(VSS):上記SCSの後継計画。SCSよりも大型化した結果能力が高かったのだが、大型空母とのハイローミックスが徹底されなかった結果逆に肥大化しすぎてSCSの利点だった低コスト性が失われてしまい、搭載予定機の開発失敗もあって自然消滅してしまった。
- ただ、SCSのコンセプトである「低コストなVTOL・ヘリ空母」という点は捨てがたかったようで、昨今のアメリカ海軍大型強襲揚陸艦は制海艦の任務を行うことが出来るようになっている。これが最近になって米軍により有名になったライトニング空母と呼ばれるものであり、ステルス戦闘機であるF35Bやオスプレイといった、ただでさえ種類の少ない高性能な垂直離着陸機の開発によって実現した。発案された時代からようやく技術が追いついたと言ったところだろうか。ライトニング空母はこの先、通常型空母が見張る必要があまりない戦場などに投入されるとされている。
- チャンスヴォート F7Uカットラス:コルセアが最終的に大成功で終わったチャンスヴォート社が、チャレンジ精神を過剰投入した末に生み出した無尾翼艦上戦闘機。ジェットエンジンの性能がまだ遅れていた時代の機体でありながら、艦載機の速度記録を更新するなど高い性能を発揮したものの、デザイン上フラップを取り付けられず離着陸時の抑え角を大きくすることでカバーている。その結果、離着陸がとんでもなく難しくなり、コルセア以上に空母では扱い辛い機体になってしまった。特に着艦の難易度は凄まじく高く、失敗事故が多発し過ぎて「ウィドウ・メーカー(『未亡人製造機』の意)」「カマキリ(着艦失敗事故でパイロットを次々と道連れにした件を、メスが交尾時にオスを食い殺すことに例えた)」など、散々なあだ名をつけられる羽目に。当然、長期運用などできるわけがなく、3年ほどしか実戦配備されなかった(完全退役はその2年後)。強烈かつ前衛的で洗練された、オーバーテクノロジー級に先進的過ぎた外観に振り回された機体だったが、この機体の反省を踏まえたことでチャンスヴォート社は名機・F-8 クルセイダーを生み出すことができたのである。
- マクドネル F3Hデーモン:当時の海軍上層部が推していたエンジンの開発難航と低性能に足を引っ張られ、件のエンジンを搭載した初期型が相次いで事故を起こし(当然、原因の大半はエンジンの不具合)、その悪評に最後まで悩まされた全天候艦上戦闘機。ただし、エンジン変更後は安定した性能を発揮し続け、空母向きの小柄なサイズ(これによりシルエットが引き締められ、精鍛になる副次効果も起きた)もあってか取扱いも容易だったらしい。また、後にこの機体の基本構造は名機・F-4 ファントムIIに受け継がれ、更に運用時の経験も大きく活かされることとなる。
- マグダネル・ダグラス F-4ファントムII:そのF-4、超音速ジェット時代に機銃でのドッグファイトは廃れると勘違い。なんと今日の戦闘機でさえ標準装備している固定機銃(例:M61A1バルカン 20mmガトリング砲)が無く、装備する場合は増槽とハードポイントを排他式とするガンポッドを装着せねばならない。まあこいつに限った話ではないのだが。後述の空軍編も参照。
- XF2Y-1 シーダート:水上ジェット戦闘機。しかも水上機の癖にフロートはなく、引き込み式の水上スキー板型離着水装置を使って水上を滑水し離着水を行う。緩降下時ではあるが音速突破に成功した唯一の水上機でもある。実際は既存の艦上機に比べて遥かに運用の制限が大きく、(主に天候に艦上戦闘機以上に左右されやすい事など)空母の離着艦が技術進歩により容易になったのもあってついに実用化されなかった。もっとも、実戦配備されたとしても、ミサイルなど外部兵装の搭載がどう考えても無理ゲなので、早々にお払い箱になってしまっただろうが。
- ダグラス A-1 スカイレイダー:エド・ハイネマン設計の攻撃機。第二次大戦中、急降下爆撃や雷撃をこなせる多用途の攻撃機の要求に対し、以前から開発していた機体を手直し作ったBTD-1は今一つな性能しか出せず、このままでは他社に負けるとハイネマンは一から作り直させてくれと要求。「なら、明日の朝まで設計図を持ってこい」という無茶な要求をされ(大ざっぱな設計図だが)見事に提出。今度は「9か月以内に試作機を作れ」という要求にも試作機を間に合わせ見事に採用。大戦には間に合わなかったものの朝鮮戦争では、レシプロ単発機ながら3,130kgという搭載量に物を言わせ大活躍。ジェット機の時代のベトナム戦争でも対地攻撃は低速の方が都合がいいとまたも大活躍し、今度は空軍でも運用される。
- ちなみに朝鮮戦争であまりの搭載量から「キッチン以外に運べない物はない」という話になり実際に流し台を投下。次は「運べない物はトイレぐらい」と便器を投下。その後、バスタブを積もうとしたが上官に見つかり失敗したという。
- マーティン AM-1 モーラー:空軍編にもある世界最大最強のレシプロエンジン「ワスプ・メジャー」を搭載してしまった大型艦上攻撃機。エンジンがハイパワーすぎて飛行が困難なほど強烈なトルクが発生するため右に2度傾けて取り付け、それでもパイロットの腕力だけでは不安だったので操縦補助用の油圧システムまで搭載。その有り余るパワー故に搭載量は合計12,648lb(5,742kg、例としては2,200lb魚雷3発に500lb爆弾12発、もちろん機銃弾薬満載)というすさまじいもので、A-1スカイレイダーを上回り当時の単発航空機ペイロード記録を更新した。冷蔵庫でも運ぶ気か。しかし満載すると飛行甲板への着艦が難しいとされ、また信頼性もA-1には劣るとされたため1950年に予備役を除いて退役した。
- ダグラス F4D スカイレイ:A-1でお馴染みのエド・ハイネマンが設計した、丸みたっぷりな無尾翼艦上戦闘機。艦載機には凄まじく不向きな無尾翼機でありながら、同じく無尾翼艦上戦闘機であるF7Uと違って着艦失敗による事故のケースは殆ど残っていない。また、実戦配備は実現しなかったが後期型は最高速度がマッハ1.5以上にまで跳ね上がった。それもこれもエド・ハイネマンが天才だったから、の一言で説明するしかない。
- ダグラス F6D ミサイリアー:ミサイル万能論の被害者。長距離空対空ミサイルを多数搭載し長時間滞空できればいいと開発されたが、その結果ミサイル以外の性能が散々な事になってしまい、ミサイル艦艇が発達した結果完全にお払い箱になってしまった。
- ノースアメリカン AJ サヴェージ:レシプロ2基とターボジェット1基を混載した三発機。世界初の艦載核攻撃機だが、一応艦載機なのにもかかわらず全長19.2m、全幅21.8mという双発陸上爆撃機並みのデカさ、しかも主翼が折りたためないため扱いにくいことこの上なかった。
- ダグラス A-3 スカイウォーリアー:で、そのA-3はというと全長23.27m、全幅22.1mという、双発戦闘機のF-15よりデカい艦載核攻撃機になった。お前の様な艦載機がいるか。機体サイズからくる有り余るペイロードで機雷投下任務も可能だった他、偵察機や空中給油機などの派生型が数多く作られ、陸上爆撃機型はB-66として空軍に配備された。
- ノースアメリカン A-5 ヴィジランティ:スカイウォーリアーの後継である艦載核攻撃機。前身から全幅は狭くなったが全長はほぼ変わってないため、相変わらず艦載機とは思えないほどデカい。核攻撃に特化し過ぎて『普通』攻撃機への転換ができなかった(尾部から空になった燃料タンクごと核爆弾を後方に射出して投下する仕組みで、特異な方式故に爆弾を一発しか搭載できない)ものの、アメリカ軍の攻撃機で唯一超音速で飛べるとんでもない飛行性能(マッハ2以上。当時、これより速く飛べる軍用機は空軍機を含めてもF-4とYF-12ぐらいしかいなかったほど)から重宝され、偵察機として活躍できた。見た目も大変優美。ただし、電子装備があまりにも緻密だったため、稼働率の低下に悩まされた“病弱の美女”でもあった。
- ヴォート A-7 コルセアII:エド・ハイネマンが設計したA-4の後継機種決定戦において、並み居る強敵を押しのけて見事正式採用された攻撃機にして、コルセアの名を引き継いだ機体。運動性こそA-4には及ばないが、ペイロードと行動半径は大きく勝っている。F-8をベースに開発されているため、相違点が多い割に全体のシルエットがあまりにも似ているのでパッと見ではかなり見分けがつきにくい。海軍艦載機として初めてターボファンエンジンを装備したり、改良型のE型では初めてバルカン砲やHUDを装備するなど、地味にターニングポイントを回ってたりする。手堅くやればちゃんとできるのに、どうしてみんな奇をてらいたがるのか……。後述の空軍編も参照。
- ゼネラル・ダイナミクス A-12 アヴェンジャーII:A-6イントルーダーの後継として開発されていた艦上ステルス攻撃機。なんと完全な三角形の全翼機。お前はTR-3Bか。これでも開発を計画された最後の純粋な攻撃機らしい。
- ズーニー・ロケット:航空機搭載型の対空・対地ロケット弾。大戦中に開発された古株だが、戦後に事故で二度も、搭載されていた空母(CVA-59フォレスタルとCVAN-65エンタープライズ)の甲板を火の海にしてしまい、あわせて航空機36機、乗組員161名を犠牲にした曰くつきのシロモノ。ただし実戦での運用は問題なく、ベトナム戦争では対地用の信管をつけたズーニーで敵戦闘機を撃墜している。
- コンティニュアス・ロッド:対空ミサイル弾頭の一種。爆発させても命中するのが小さい破片じゃ効果範囲が狭いので、爆発したらワイヤーめいた長いロッドが同心円上に展開して飛行機を輪切りにするようにした。
- お前らに言われたくない:はいすいません…ってこっちも必死だったんだよ!
- キャノン級護衛駆逐艦アザートン:太平洋戦争を生き延びたと思ったら海上自衛隊で「はつひ」の名で運用され、その後フィリピン海軍へと移籍した結果自分より大きな戦闘艦がいなかったせいで、「ラジャ・フマボン」の名で現在も現役。 なお、海上自衛隊時代の同僚艦は姉妹艦が一隻と、旧海軍の一度死んで蘇った古兵である。
- アーレイ・バーク級駆逐艦:これそのものは世界中(特に西側諸国)のイージス艦の雛形になった非常に優秀かつ、これと言った難もない艦なのだが…まさか先人達の軽口がブーメランしてくるとは…。
- EFV:海兵隊の水陸両用強襲車両。乗員20人、2700馬力エンジンで海上を23ノットで航行し、高速航行のためにキャタピラは格納できるという破格のスペックだったが、お値段も1両18億と破格になってしまったので没。
空軍部門
- マグダネル・ダグラス F-4ファントムII:元は海軍の艦上戦闘機だったところが、当時のセンチュリーシリーズ(後述)がアレだったため、空軍にも採用。当初は“F-110・スペクター”と呼ばれていた。海軍機を採用するとは空軍にとっては屈辱的だっただろうが、最終的には様々な派生型も誕生し、主力に躍り出た。西側各国にも採用され、総生産数5,195機。西側の超音速ジェット戦闘機では、今なおレコードホルダーである。ちなみに、F-4の最終号機は日本でロールアウトしている(機体番号17-8440号機。現在は浜松広報館に展示されている)。
- ヴォート A-7:こちらも性能を買われて空軍にも採用。近接航空支援に重宝されたが、後述の海軍・空軍の仲の悪さから“コルセア(海賊)”の二つ名は使われず、最後まで名無しだった(非公式には“SLUF(Short Little Ugly Fellow)”のニックネームで呼ばれている)。実は先述の海軍E型は、空軍向けD型の“逆輸入”だったり、飛行特性が似ているために後述のF-117のパイロット養成に用いられたりと、空軍でも地味に貢献。
- フェアチャイルド A-10:P-47と同じ親から生まれた攻撃機。味方の制空権内での活動を前提とした近接航空支援(CAS)専用の攻撃機という尖った性能から政治家に幾度と無く存在意義を問われるがその度に出撃機会が生まれ、従軍中にその支援を受けた経験を持つ一部政治家・軍人からの苛烈な圧力により退役をなかなか許されないという数奇な運命を辿っている。映画出演等の多さからミリオタからもカルト的な支持を受けている。詳細はリンク先を参照。
- ダグラス A-24 バンシー:これ自体は名機SBDドーントレスを陸軍仕様にしたもので、空軍独立時に引き継いだだけ...なのだが、運動性がよかったせいか攻撃機カテゴリの廃止時に急降下爆撃機なのに戦闘機カテゴリにされF-24と名乗っていた。確かに大戦中零戦に挑んだこともあったが、お前のような戦闘機がいるか。
- リパブリック XF-84H サンダースクリーチ:超音速プロペラ機という文面だけでお前は何を言っているんだと突っ込みたくなる実験機。しかも改造元はジェット機である。何故プロペラに戻した。超音速飛行が出来なかった上、すさまじい騒音が発生し地上要員に頭痛、吐き気を生じさせ「金切り声」を意味する非公式愛称で呼ばれた。どれくらいうるさかったかというと一説には40km離れた地点でも騒音が聞こえたとか。
- リパブリック XF-103 サンダーウォーリアー:マッハ3.7を目指した、SR-71もビックリの超音速迎撃機。チタン製のミサイルのような極細の機体に尾翼付きデルタ翼、埋め込み式操縦席(前方視界はペリスコープで確保)、下に打ち出す射出座席、武装は自動発射される空対空ミサイル4発のみで固定武装無しと、もうツッコミどころしかないレベルの設計だった。価格高騰とエンジンの開発見込みが薄くなったため開発中止に。
- ゼネラル・ダイナミクス F-111アードバーグ:多種多様な任務を1種類の機体でこなすことを目的に設計された。そしてそんな開発計画は総じて炎上するという教訓を世界に示した……が、結果として完成したものは実戦部隊からすさまじい信頼を受け、つい最近まで実戦で使用されていた。爆撃機として。やはりアメリカ恐るべし……。(ちなみに一回り大型化した機体を“FB-111”として戦略爆撃機として運用していた。こいつも『FとBを間違えた』としか思えない)
- ダグラス XB-42 ミックスマスター:V型12気筒エンジン2基を並列に連結し、胴体後部の二重反転プロペラ1基を回す推進式試作爆撃機。この時点でかなり異質だがそれ以上に、並列複座式の操縦席を左右に引き離し別々のキャノピーを装備したため、前から見ると何かの顔と目というべき見た目に。この配置は意思疎通に手間取るという結果に。
- ダグラス XB-43 ジェットマスター:XB-42をジェット化。またも没。
- XC-120 パックプレーン:脱着可能なカーゴポッドを備えた輸送機。兵士の輸送用、貨物輸送用、空中投下用(パラシュート付き)の三種類のカーゴがあり、カーゴごと取り替えることで素早く離着陸する計画だった。お前はサンダーバード2号か。
- (Y)AL-1:メガワット級の酸素-ヨウ素化学レーザー(COIL)を搭載して発射直後の戦術弾道ミサイルをブースト段階で撃墜するために設計されたミサイル迎撃の実用試験用機(要するに、レーザーでミサイルを撃墜する航空機)。レールガンの次はレーザーって...。しかも、レーザー関連装置が巨大(SUV並のサイズだとか)なため、ベースがボーイング747。「世界最大の戦闘機」などとも称された。一定の成果は出したものの、やはりあまりに巨大に過ぎ、レーザー用の化学薬品(過酸化水素)や排ガス(ハロゲン化合物)の始末に困り、2011年、モスボール化。基礎研究は続けられているが、実質お蔵入りとなっている。見た目はB747の機首に黒い鼻(レーザー砲)をつけたようにしか見えない。現在は砲弾迎撃用のADAM(Area Defense Anti-Munitions)が試験中で、AC-130やF-35等の航空機に搭載できるサイズのもの(HEL)を研究中...ってえぇ、続ける気あるの?(困惑)
- エアロダイン:単品のジェットエンジンに尾翼と操縦席をつけて安定飛行できるようにしただけの航空機。しかもVTOL。設計者はドイツから渡ってきたデルタ翼機大好きリピッシュ博士で、本気で次世代航空機と信じていたらしい。
- グッドイヤー GA-466 インフラットプレーン:リアル風船飛行機。ナイロンとゴムを織り込んだ布地の機体で、エンジンとプロペラを取り外して空気を抜けば一畳以下の面積にまで折りたたむことができ、コンパクト輸送に加えて最速5分で展開可能、最悪人力でも膨らませることができる…が、陸軍への売り込みはテスト飛行中に墜落し失敗。一応ある程度は機銃の弾にも耐えられるらしいが、そもそもの構造強度が不安視されたのか結局陸海+海兵隊のどこにも採用されず。
- ヒューズ XH-17 フライングクレーン:直径40mという世界最大のローターを持つヘリコプター。しかもチップジェット方式。トルクが少ないので逆にテールローターは極小サイズで、開発期間短縮のために爆撃機やら輸送機やらその辺の軍用機からパーツを流用したキメラへリだったりする。12tというかなりのペイロードだったが速度は137km/hしか出ない上に航続距離もたったの64km。
- F-15GSE-VL:F-15Eに巨大な弾道ミサイルを背負わせて一段目代わりにする計画。F-15Eを無人機化改造する手間や分離時の接触対策等問題が多く、普通に打ち上げたほうがましと言うこともあって計画中止。
- RQ-3 ダークスター:長方形の主翼の中央から半円形の機体が後方に突き出ているという奇怪な外見の全翼機型UAV。無人航空機の分類でも最も高性能なティアIIIに割り当てられ研究されていたものの、その割にはいつまでたっても空力的に安定せず、コスパも悪いので開発中止......だけならまだよかったが、あろうことか低性能を「ダークスポット(暗部)」というあだ名で嘲笑されてしまう事に...。
- プラット&ホイットニー R-4360「ワスプ・メジャー」:量産された中では世界最大最強の航空機用レシプロエンジン。空冷星型28気筒、排気量71.4L、出力は3000馬力(最初期型)-4300馬力(最終生産型)という頭おかしいスペック。…だが冷却不足や始動の難しさ(始動を誤ると点火プラグが全て汚れて動かなくなってしまう)などの問題も山積み。ついでに言うなら本エンジンを採用した機体はろくな目にあっていないものばかり。まあどっちかというとレシプロエンジン自体の限界に突き当たったという側面が強いのだが。
- ゼネラル・エレクトリック J79:F-4戦闘機などのエンジンとして知られるJ79であるが、当時流行の二軸式をあえてかなぐり捨てて単軸式を採用している。ちなみに単軸式となった分の効率低下はコンプレッサーの静翼(固定されているタービンブレード)を可変ピッチ式にして補っている。
- マクダネル XF-85 ゴブリン:爆撃機護衛用に開発されたパラサイトファイター(爆撃機に格納される戦闘機)。発進はできたが空中着艦(?)が難しすぎる上に性能もよくなかったので没。それにしても発想といい、リアルたまごヒコーキといった外見といい、これ考えついた奴も絶対にイングランド出身だよな?。
- FICON計画:XF-85とは別のパラサイトファイター(寄生戦闘機)計画。 計画自体は大戦後期からあったが本格的になったのは1950年代。 ちなみにこの計画、(戦後ドイツから渡ってきた)あのリヒャルト・フォークト博士も関わってるとか。
- MX-1016計画:別名ティップ・トゥ計画。B-29とF-84の翼端を改造し、空中で翼端同士を繋げた。航続距離を稼げて空力特性にもさほど変化がないという利点はあったが、ドッキング後自動操縦の試験中に衝突して両機とも墜落、搭乗員全員が死亡する惨事となってしまった。
- トム・トム計画:こちらはB-36を使用。関節アームとクランプを介して翼端同士を繋ぐ。こちらは事故こそなかったが飛行中の母機周辺の乱気流が大きな問題となり、実際に実験中F-84が乱気流で文字通り『引き剝がされて』緊急着陸する事態に。
- GRB-36:翼端は無理だったのでXF-85に倣って機体下部にF-84を搭載。 しかし乱気流の問題は解決せず、実際に偵察機型のF-84と共に運用してみた結果発進はともかく空中着艦(?)は理想的な環境下での熟練パイロットでも危険だという事になり、運用からわずか1年でとうとうFICON計画そのものがお蔵入りになった。
- ジャック・ノースロップとノースロップ社の無尾翼・全翼機の数々:ジャック・ノースロップは航空技術者で航空実業者。生涯にノースロップと名の付く会社を三度設立し、三代目(Wikiなどでは第二次と言われる)ノースロップ社でひたすら全翼機を研究開発し続けた。結果は以下の通りほとんどが正式化されなかったが、B-2スピリットでようやく結実した。アメリカ恐るべし。それ以上にジャック・ノースロップの執念恐るべし。
- ノースロップ XP-56 ブラックバレット:無尾翼で二重反転プロペラの戦闘機。安定性不良等の問題が多く試作2機のみで開発中止に。
- ノースロップ XP-79 フライングラム:体当たり攻撃といえば日本の十八番、などと思っている貴方は甘い。機銃などの武装ではなく翼で敵機の主翼を切り裂くというぶっ飛びな発想で開発されていた迎撃用戦闘機……というのは一種のヨタ話で、急上昇に耐えられる構造から「敵機に接触しても大丈夫だろう」と考えられていたことと、その愛称(ラムとは軍艦の砲がそれほど長射程ではなかったころ、相手のわき腹を抉るために設けられた触角のこと)から来た俗説(だいたい、実際に不安定な全翼機で体当たりを行えば機体はコントロールを失い墜落してしまう)。マグネシウム合金のセミモノコック構造で急上昇に耐えられる強固な構造だったが、テスト飛行中に原因不明のスピンを起こして墜落炎上、戦争も終結していたためお蔵入りとなった。
- ノースロップ YB-35 フライング・ウィング:大型全翼爆撃機。因みにレシプロ機。第二次世界大戦中に開発が始まったが、当初の予想よりも速度が出ず航続距離も短いなど性能の不足が予想され、大戦終結の見込みとジェットエンジンの発展・プロペラ機の旧式化があいまって、量産計画は中止に。しかし全翼機という概念自体には注目されていたため、研究目的のみのため計画は継続されることに。
- ノースロップ YB-49:YB-35をジェット化。しかしレシプロの頃より高速なったせいで失速間際になると勝手に機首が上がって上転するようになってしまい、案の定テスト飛行中に墜落事故が発生。何より競争相手のB-36とは違い核兵器の運搬能力がなかったためこれも開発中止に。
- B-2スピリット:しかしYB-49から30年後、遂に全翼爆撃機が軍用機として正式採用された。今やF-117に代わり「ミスター・ステルス」としても有名。因みに本機とジャック・ノースロップに関してはちょっと涙を誘うイイハナシがある。詳細は該当記事で。
- ノースロップ・グラマン B-21 レイダー:B-2が一機20億ドルと滅茶苦茶に高くなってしまったので開発中の廉価版。 じゃあ安いのかというと予定額は5.5億ドルと4分の1までコストカット!(ただし最大の宿敵B-52は1億ドル以下である)
- ノースロップ・グラマン X-47 ペガサス:UCAV艦攻。 A型の上からの見た目は四辺形。世界初の無人艦上攻撃機として注目されていたが、AIの性能不足や伝統的に戦闘機パイロットが重視される空母打撃群の反発などが要因で2016年、B型は開発中止に。代わって無人偵察機であるMQ-25とその空中給油機型であるRAQ-25の開発が計画されており、A型は無人攻撃機の実証機開発のベースになるようだ。
- ノースロップ F-89D スコーピオン:全翼機じゃなけりゃまともとでも思ったか?翼の両端に52発のマイティ・マウス対空ロケットが搭載された増槽兼任の武装ポッドを搭載した迎撃戦闘機。ロマン装備すぎるというか、大戦末期のドイツ空軍とやってることがさして変わらないというか。
- バトル・オブ・パームデール:そんなスコーピオンの実戦経験(?)の一つがこれ。ミサイルのテストをするために飛び立ったF6F-5K標的機が暴走状態に陥った(要するに遠隔操縦機能が故障し勝手にあらぬ方角めがけて飛び始めた)ため二機のF-89Dが撃墜処理するために出撃したのだが、三回に分けて攻撃し208発のロケット弾を使い切っても撃墜出来ず、結局標的機は燃料切れになるまで飛び続けて砂漠に墜落。命中率ェ...
- ノースロップ タシット・ブルー:全翼機じゃなくてもまともじゃないノースロップ社その2。ステルス技術実証機なのだがF-117と違い設計にコンピューターではなく人間(レーダー技術者のジョン・キャッセン)を用いた結果、「ザ・ホエール」とか「エイリアン・スクールバス」といわれる奇妙な形状になった。もっとも、曲面構成のステルス機自体は先進的なので技術実証を優先してデザインを考えなかった結果でもあるが。
- ノースロップ F-20 タイガーシャーク:まともだったけど別の意味で失敗した機体。ベストセラー戦闘機F-5の後継として開発され、兵装・運動性能面で同世代機のF-16を上回るのにF-16より安上がり、という仕上がりになったが、直後に新鋭機の輸出が解禁されたため台湾を始め諸外国は『主力』を担っていたF-16に目移りしてしまいF-20は買われずじまいに...。因みに先述の不運にもかかわらず日本ではとある映画のおかげで結構有名。
- エド・ハイネマン:実は第一次ノースロップ社の技術主任だった。第一次ノースロップ社はダグラス社に買収され、上記にあるようにジャック・ノースロップはスピンアウトした一部の従業員とともに第二次ノースロップ社を起ち上げるのだが、ハイネマンはダグラスに残り、ノースロップ時代のBTの発展型であるダグラスSBDドーントレスを手がけて躍進する。と、彼の出自を考えれば上記F4Dの意味もわかるというもの。
- ちなみに、現在はノースロップがグラマンを吸収しノースロップ・グラマンとなり(対等合併ではなく、継承法人格はノースロップ)、ダグラスのほうがマグダネルとの合併(マグダネル・ダグラス)を経た後ボーイングに吸収されてしまったのは歴史の皮肉か。
- ベル・エアクラフト社:今でこそ回転翼機関係しか開発・製造していないが、創設当初はいくつかの戦闘機などの開発も行った。まぁおよそ半分が失敗作か不採用になったが...。またいくつかのXプレーンの開発も行った(特にベル X-1が有名)
- ベル YFM-1 エアラクーダ:ベル社が最初に設計した航空機。当時開発中だったB-17を護衛するために開発された長距離護衛戦闘機だったのだが、エンジンが冷却不足でしょっちゅうオーバーヒートする上に出力が足りず、護衛戦闘機なのに宙返りやロールができないほど鈍重になった。しかも機体のあっちこっちに銃座があるし爆弾まで搭載している。お前のような護衛機がいるか。ついでに一番火力の高い37mm機関砲はなんとエンジンナセル前部に銃座として搭載。当然これも安全性・居住性が問題に。トドメにこれだけ詰め込んだせいで機体費用が高すぎる、と問題点が噴出しまくる問題点のデパートに。当然、13機だけで製造を終了した。(なお、訓練にはしばらく使われていたらしい...)いくら最初だからってこれはちょっとヒドいぞ...。この先もめげずに固定翼機の開発を続けるあたり根性はあるのだが。
- ベル RP-63 ピンボール:爆撃機の防御機銃手の射撃訓練のために開発された、前代未聞の有人標的機。P-63を装甲と防弾ガラスでガチガチに固めたシロモノ。ちなみに弾が当たると先端のランプが「大当たり~!」とばかりに点滅する。パチスロじゃねえんだぞ。
- ベル XP-77:「『速度性能と運動性能の高い軽量小型な、且つ戦略物資の使用を極力抑えた低コストな』戦闘機を作ってくれ」と頼まれたので、木製の機体を金属で外張りした。一歩間違えたら空飛ぶ家具と同類である。 結果は重量制約とエンジンのパワー不足で要求性能を満たせなかったのと、『やっぱり資源には余裕あったわ』という事実の判明で存在意義がなくなり開発中止に。
- ベル P-59エアラコメット:米軍初のジェット戦闘機だったが、速度・運動性ともレシプロ機のP-51に劣るという体たらくで30機で生産は打ち切り、実戦にも参加することなく終わった。
- ベル XP-83:上記P-59をパワーアップし、最大速度840km/h、最大航続距離3,500kmまで強化。しかし残念ながらこれでも飛行性能が計画値を大きく下回り、また第二次世界大戦が終結したため、早々に開発中止に。実はベル社の戦闘機開発はこれが最後に...。
- ベル XV-3・X-22・XV-15:下記V-22に至るベル・ティルトローター機の系譜。最初の開発計画が始まったのは1940年代のことであり、全翼機に情熱を燃やしたノースロップといい勝負である。アメリカ恐るべし。しかもUAVまで実用化させている。ちなみにX-22はあのダクテッドファンを4発搭載。(Xプレーンシリーズ参照)
- ベル V-22オスプレイ:そして完成したティルトローター機。開発当初に事故が多発したために、日本のアメリカ軍基地に配備される際には、一部からかなり嫌がられた。(そのほかにもいろいろあって開発は難航し、試作機の初飛行から量産型の実戦配備まで10年ほどかかっている。)なお実際は特異な機体と初期の大事故が悪目立ちしただけで、実は現行の輸送ヘリコプターと比較しても事故率はさして変わらない。 因みにpixivではかなりネタにされている機体でもある。おすぷれ~い!
- QTR:ボーイングと共同で米軍向けに提案している4発化したオスプレイ。C-130並みの輸送力だというがいろんな意味で日本じゃ絶対飛ばさせてもらえない逸品。
- Xプレーンシリーズ:変態機シリーズ。これとセンチュリーシリーズだけで本場英国面と張り合える程のツワモノ揃い。
- ダグラス X-3 スティレット:槍のように細長いボディに小さな翼でマッハ2での水平飛行を狙った超音速実験機。後のF-104にも似ており見た目は非常に速そうでカッコいい。ただし計画よりも非力なエンジンを搭載し重量も増える羽目になったため、水平飛行では音速を超えることができず、見かけ倒しの失敗作になってしまった。
- ライアン X-13 ヴァーティージェット:機首を上に向けて垂直離陸するテイルシッター型のVTOL実験機。一般的なタイヤ式の降着装置を持っておらず、トレーラーに載せた専用のプラットフォームに、機首に付いたフックを引っかけて着陸する。
- ヒラー X-18:ティルトウイング機というエンジンを主翼ごと上に向けるVTOL機。
- ベル X-22:ダクテッドファンを4発も搭載したVTOL機。扇風機で空を飛ぼうとしているようにしか見えない。因みにエンジンを下に向ける方式の飛行機の実験データは結構とれたので失敗というわけでもない。
- ベンセン X-25:小型オートジャイロ。何がおかしいってコイツを戦闘機のコックピットに詰め込んで航空機脱出用機材にしようとしていた。一々パイロットに回転翼機の操縦訓練が必要になるのは非効率的なので中止に。
- ロッキード X-27:F-104の発展型であるCL-1200 ランサーの開発資金が足りなかったので、実験機の名目で政府・軍から調達しようと目論んだ。もちろん資金の拠出などなく中止になっている。ちなみに機体も実質機首部分だけを流用した別機レベルの魔改造をされてるとか。
- ボーイング X-32:ロッキードのX-35(後のF-35)と統合打撃戦闘機(JSF)の座を争った試作戦闘機。無尾翼デルタにしゃくれアゴのようなエアインテークという独創的な外観を持つ。デザインしたやつ絶対イングランド出身だろ。なお、量産型はもうちょっとマトモなデザインになるはずだった。
- ボーイング X-50:カナード・ローター/ウィング機。全ての機動を一つのエンジンですべてを賄う為にエンジン排気をメインローター兼主翼の駆動やトルク制御、固定翼時の推進力として使う垂直離着陸機。有り体に言えばフェアリー・ロートダインの進化系。しかも無人機。ただし技術的にいろいろ無りがあり開発中止。
- センチュリーシリーズ:超音速時代の先駆けに現れたイロモノ軍団。
- ノースアメリカン F-100スーパーセイバー:アメリカ初にして世界初の超音速戦闘機。こいつは他の連中に比べれば大人しい方。
- マクドネル F-101ヴードゥー:爆撃機を護衛する制空戦闘機として開発されたが、機動性が劣悪で戦闘機との空戦には不向きだったため迎撃機に。
- コンベア F-102デルタダガー:超音速迎撃機として開発されたが、試作機は水平飛行で音速を超えられなかった(量産型では解決)。
- ロッキード F-104スターファイター:これ自体はごく普通の制空戦闘機…と思ったら、「小型軽量でパワフル」を意識しすぎた結果操縦性がピーキーになってしまったり、初期型は下に打ち出す射出座席を採用していたりと一歩間違えれば英国面堕ち寸前の設計だったりする。改造されて偵察機となったり、ロケットブースターを追加されて熱圏を飛んだりもしている。そしてアメリカ以外ではドイツではロケットブースターをくっつけてゼロ距離発進をさせられたり双動化やラムエアジェットエンジンを追加した三発化が計画されたり、日本では模擬空戦でF-15(ただし初期型のため実質逆ハンデあり)相手に一本取ったり、イタリアでは2.5世代進んだ機体が後継になるまで40年以上現役を続けたりと様々な無茶をやらかしている。
- リパブリック F-105サンダーチーフ:初めて機内に爆弾槽を搭載して制式採用された戦闘爆撃機(試作止まりなら上の方にいる)。軽爆撃機を過去の物にした搭載量は『FとBを付け間違えた』と言われるほど。
- コンベア F-106デルタダート:爆撃機を相手にする迎撃機として生まれたが、本来想定していなかった戦闘機相手の模擬戦で好成績を収めている。
- ノースアメリカン F-107:上述のF-100の発展型。エアインテークが胴体の上に付いている。
- VTOL機の数々:いわばアメリカ編。発想は先進的だが技術が追い付かず世界中で失敗作が生まれることに。なお、ここでは海軍機もまとめて紹介する。
- コンベア XFY-1 ポゴ:海軍が開発した、見た目のインパクト抜群なテイルシッター艦上戦闘機。戦後世代では最初期のVTOL機だが後ろが見えないのに揺れる飛行甲板にバックで着陸するという無茶をパイロットに要求しお蔵入りに。もっともそれが解決されても、超音速機の時代に亜音速にも届かない(変態)レシプロ戦闘機なんぞいらなかっただろうが。因みに『鉄腕アトム』にジェットエンジンになった架空機が登場している。
- ロッキード XFV-1:簡単に言えばロッキード版ポゴ。こちらは主翼に直線翼を採用したのだが、その結果空力特性で劣ってしまい垂直離着陸も水平飛行への転換にも成功せず開発中止に。
- ロックウェル XFV-12:ハリアーに刺激されて開発した試作V/STOL戦闘機。オーギュメンター・ウイング方式(主翼の上にジェットエンジンの噴気やファンの気流を噴射して大きな揚力を得る)のV/STOL機となるはずだったが圧力損失が大きすぎて主翼上のノズルから全然推力が出なくて飛行すらできなかった。……ちなみに同時期にハリアーの発展型『AV-8B ハリアーII』も開発しており、こちらは普通に成功しイギリスにも逆輸出。自国製に拘らず素直にそっちにしとけばよかったものを...。
- グラマン ナットクラッカー:海軍向け試作VTOL機。『クルミ割り』の名前の通り機体が真ん中で折れてエンジンを下に向けて垂直離着陸する。セミスケール実験機を製作して試験した結果、エンジンを機体の左右に搭載したためホバリングが難しくなり、何かの事故で片肺になったら即座に墜落することが判明。片肺云々は設計図とかを見たら作らずともわかる気がするのですが。
- ベル D-188:試作VTOL戦闘機。8基のエンジンを一人のパイロットが操縦して垂直離着陸。
- ヴォート XC-142:VTOL輸送機。しかしその実態は4発化したヒラー X-18、つまりティルトウイング4発機。発想的にはオスプレイの先駆者であり開発にも一応成功したが、試作5機のいずれもが事故を経験しうち3機は喪失するというオスプレイよりひどい事になり実用化されなかった。
- F-104 VTOL:F-104の主翼を捥いで胴体上部に正三角形の翼(?)を配置。離着陸時には三角形が丸ごと回転してヘリコプターのように離着陸し、飛行中は固定されて主翼になるという奇天烈な発想の機体。
- シコルスキー XV-2:こちらはさらに安直に、戦闘機の上面にヘリコプターよろしく単ローターブレードを搭載。
- カマン K-16B:ヒラー X-18と同じティルトウィング機。こちらは双発なのだが「こんなのが飛ぶわけないだろ」と飛行試験すらされず開発中止に。なぜXC-142でそうしなかった。
- スカンクワークス:ロッキード社の秘密航空機開発部門。いくつかのセンチュリーシリーズやXプレーンシリーズの航空機の開発にも携わる。
- ロッキード U-2:F-104を改造して誕生した高高度偵察機。非公式愛称はドラゴンレディ。主翼長が5倍以上も長くなるなど魔改造の結果F-104を基にしたとは思えないほど外見が変わっている。高高度飛行のために軽量化を徹底しまくった結果、降着装置がタンデム式になってしまい着陸時は翼端を地面に擦り付ける事になったり、軽すぎて地面効果で簡単に浮き上がってしまう、パイロットは宇宙服から(地上では必要のない)生命維持装置とスラスタを外しただけのような専用スーツを着る必要がある、高高度を飛行中は最大速度と失速速度の差がわずか18km/h(約10kt)しかないなど、ピーキーというか扱いづらい。そして装甲も皆無どころかそもそも機体外壁自体が薄く、対空ミサイルが至近炸裂した際の衝撃波(飛び散った破片ですらない)だけで機体が破壊されるほど。それでも前述の様々な性能の犠牲の代わりに高度21,212m(70,000ft)以上の成層圏を飛行することができ、偵察性能も十分にあるために現在もアメリカ空軍で運用中。
- ロッキード F-117 ナイトホーク:フライトシムなどでお馴染みのミスターステルス戦闘機…もとい攻撃機。当時の技術でステルス性に全ステぶちこんだ結果兵装が残念なことに(固定武装は機銃すら無し!)…という点はまさに英国面に限りなく近い設計思想及び現物といえる。
- ロッキード RQ-170 センチネル:全翼型のUAV偵察機。どう見てもHo229だが独自開発らしい。アフガニスタンで作戦活動中だがうち一機がGPSをいじられてイラン空軍に横取りされた。
- 戦略爆撃に対するこだわり:戦場が自国から遠く離れているせいか長航続距離の爆撃機が発達、これを用いた大規模戦略爆撃がお家芸。欧州戦線のB-17、太平洋戦線のB-29は言うに及ばず、戦後もB-52をはじめ、冷戦終結後も大陸間弾道弾、原子力弾道ミサイル潜水艦と並ぶ核戦力の三本柱の一角として(恐らく)世界唯一大規模な戦略爆撃機隊を擁する。
- ボーイング B-52 ストラトフォートレス:その極みにして空飛ぶネタの塊・その2。“後継”とされた機体の多くが、モノにならなかったり、先にリタイアしていくのを尻目に、最終号機のロールアウトから半世紀が過ぎてもまだ現役、さらに20年以上飛ぶ予定という空の不死者(化石ともいう)。親子、孫、三代でB-52に乗っている家系もあると囁かれるが、このままだと搭乗経験者より長寿な機体まで現れかねない……orz。搭載しているTF33は1958年に開発された骨董品だが、開発元のプラットアンドホイットニーが2030年以降サービスを打ち切ることを発表してさぁこれでようやく退役かと思いきや、こいつと同出力のロールスロイス社製のF130に換装することが決定。しかも最新モデルなので燃費も向上!どれだけ使う気だ…
陸軍部門
太平洋戦争以前
航空機
- ロッキード P-38ライトニング:何がおかしいって「第二次世界大戦で活躍した、量産された戦闘機」の中にしれっと混ざりこんでいる点だろう。妖怪双子“未満”飛行機と言ったところだが、この手の航空機がどれも少数生産や大戦終結後のあだ花程度に終わっているのに対し、P-38は9,924機が製造され欧州方面でも太平洋方面でも活躍した。高速機が多い欧州戦線ではあまりパッとしなかったものの、相手に高速機が少なく、かつ長大な航続距離を存分に活用できた太平洋戦線では(初期こそカモにされたが)大活躍。F6F、F4Uに次いで3番目、陸軍機では最多の日本機を撃墜した米軍戦闘機となった。ちなみに、アメリカ最多の撃墜王リチャード・ボングの愛機でもあり、山本五十六が搭乗していた一式陸上攻撃機を撃墜したのがこの戦闘機である。
- ロッキード XP-58 チェインライトニング:簡単に言えば複座化・重武装化・大型化したP-38。胴体後部に12.7mm防御機銃座を設け、主武装は37mm機関砲4門(75mm砲を搭載する案もあった)。爆撃機迎撃用の機体として開発されたものの、大戦後期の枢軸国に戦略爆撃をする余裕などあるはずもなく、XP-58も必要性がなくなって開発中止に。
- ノースアメリカン P-82(F-82) ツインムスタング:こちらは完全にアメリカ版妖怪双子飛行機。P-51を横に2機合体させた。しかもこんな無茶苦茶な構成にもかかわらず性能的にも問題はなかった。だが、見た目が素敵に無敵にキモい(褒め言葉)。
- ライアン YO-51 ドラゴンフライ:試作観測機。ほぼ機体2機分の23mというとんでもなく短い距離で離陸できてしまうSTOL性能を発揮。競合機に離陸性能以外で勝てずお蔵入りに。
- バルティ XP-54:レシプロ機の限界を打ち破る開発計画「周回計画R40C」によってバルティ社で開発された試作戦闘機。H型エンジン(平たく言うと水平対向エンジンを双子エンジンに仕立てあげた)を機体に収めるためミョーな形状をしている。これと同じH型エンジンを搭載した英国生まれのタイフーンはちゃんとした飛行機の形をしていることを考えると、ある意味本家を凌駕した存在かもしれない……。ちなみにこの機もボールトンポールP.100と同じく「ボッシュート方式」で脱出をするものの、こちらはP.100と違い単純な下に打ち出す射出座席である。そのうえ座席は搭乗時にはエレベーター式に機首下面から下がってくる。おまえはサンダーバードメカか何かか。
- カーチス XP-55 アセンダー:同じくR40Cによってカーチス社が開発したアメリカ版震電。低速時の安定性が悪く、さらに操縦性も劣悪だったため中止に。
- コンソリデーテッド B-24 リベレーター:第二次大戦中米軍で最も生産された爆撃機。フォードに至っては24時間体制で生産しまくった結果、1時間に1機というとんでもない勢いで生産していた。しかし機体の構造上被弾に弱く、巻き上げシャッター式の爆弾倉扉も「クルーが誤って踏み破って」しまえるレベル。このため太平洋戦線で主に運用されたにもかかわらず『不時着水→即沈没』の危険さえあり、乗員一掃機、空飛ぶ棺桶、未亡人製造機などと呼ばれ評判は悪かった。
- ボーイング B-29 スーパーフォートレス:日本と因縁浅からぬ第二次大戦時の戦略爆撃機。空気抵抗削減のためのエンジンナセルの小型化のせいで冷却が不足し、軽量化のためマグネシウム合金を多用した結果エンジン火災が多発するようになってしまったのだが、エンジンを使い捨てにすることで補った。ちなみに各国が耐熱性などの問題で開発に難渋した排気タービンも、使い捨てと割り切って交換品を多く用意することで所定の高空性能を確保していたりする。その他火器管制付きのリモート銃座、上昇限度9000m以上、航続距離6600kmなど、40年代のレシプロ機ということが信じられない性能をしている。
- マクダネル XP-67:当時まだ新進気鋭の航空機メーカーだったマクダネル社が開発した試作双発戦闘機。設計されたのが1941年でありながら、F-16のようなブレンデッド・ウイング・ボディ構造を持っている。極めつけに武装が37mm機関砲6門という脅威の火力バカ仕様。エンジンに問題があり試作のみに終わった。
- ゼネラルモータース XP-75 イーグル:安上がりに高性能機を作るため、主翼をP-40ウォーホークから、尾翼をSBDドーントレスから、主脚をF4Uコルセアから流用し、新規設計の胴体にくっつけたキメラ戦闘機。実験機などでは他機種からパーツを流用することはままあるが、XP-75はこの仕様で量産するつもりだった。バカか。
陸戦兵器
- スチームタンク:世界初の工兵戦車。Mk.I戦車がベースだが、エンジンに蒸気機関を採用していた。当然ながら出力不足だったのでガソリンエンジンに換装している。
- スケルトン・タンク:Mk.I戦車の軽量化型。装甲を削った……訳ではなく、戦闘室を縮小し履帯と骨組みで繋いだホネ戦車。
- G-9:スチームタンクと同期の履帯配置が三輪車と同じ戦車。車体横幅が狭くて背が高いという異様な外見が災いし、塹壕を越える前にバランスを崩して溝に突っ込んだ。
- ジョン・ウォルター・クリスティー:エンジニア兼発明家。独自開発した『クリスティー式サスペンション』を元にいくつかの装輪装軌式戦車を開発、ソ連やイギリスで大いに発展するが、BT戦車シリーズ以外では装輪機能は省略された上、何故か本国アメリカではほとんど採用されず。
- 飛行戦車:アメリカ版A-40。既存のクリスティー戦車を改造し砲塔の代わりにエンジン付き複葉翼を搭載し、武装は車体前方の75mm砲。もちろんサスペンションはクリスティー式。
- M4シャーマン:これ自体は高い生産性・信頼性・居住性を誇る優れた戦車だが、AGF(陸軍地上軍管理本部)が主砲の76mm砲を過信し、さらに「戦車で勝てない戦車なら駆逐戦車か爆撃機を差し向ければええやろ」と考えたため、ティーガーⅠやパンターなど遠距離で正面装甲を貫通できない相手に物量でのゴリ押しで挑むことになってしまった。 アメリカ兵自身も「池のアヒルみたいに簡単にやられちまう」と自嘲し、捕虜になったシャーマンの戦車長がティーガーⅠを見上げて「こんなでかい砲と戦うのは不公平だ」と言ってドイツ兵を笑わせたなんて逸話まである始末。現地では撃破した敵戦車の装甲を切り出して間に合わせの増加装甲にしていたり、輸出先のイギリスでは17ポンド砲を乗せるなどして対戦車戦闘能力を上げていたが、アメリカが対ティーガーを真面目に考えてM26パーシングを実戦投入したのは45年4月。もう戦争終わりがけですがな...。
- じゃあ太平洋戦線ではどうかというと、確かにチハやハ号相手の戦車戦は余裕だった。が、日本軍は決死の肉薄攻撃をはじめ、対戦車砲をジャングルの中に隠し待ち伏せ、戦車で突進してひっくり返すなど、戦車戦どころか総力戦で戦ってきたため予想外にシャーマンの被害も大きかったのである。(ただしこちらは装甲板の金質を改善した結果、損害が大きく減少した、とされているが、沖縄戦で喪失率50%弱)
- ただし初期のお前らだけには絶対言われたくない:サーセンwww
- また、アメリカの名誉のために一応言っておくと、シャーマンにも90mm砲搭載型の計画はあり、試作車も1両製造された。しかしそちらも開発完了までに数か月かかると考えられたため、既に開発の進んでいたM26に注力するために結局キャンセルされてしまったのである。
- なお、「これだけやらかした原因の筆頭であるAGFトップは戦後相当恨まれたのでは?」という疑問も出てくるが、当時トップを務めていたマクネアー中将は、なんとコブラ作戦の前線視察に出かけた際、B-17に誤爆されて死亡...戦車の仇を航空機が返すとは、やはりアメリカが航空機大国ゆえなのか...。
- クライスラー A57:M4中戦車用のW型?エンジン。M4A4にのみ搭載された。その実態はバス用直列6気筒エンジンを扇形に5台つなげたW型30気筒という、ロールス・ロイス ヴァルチャーやダイムラー・ベンツ DB610が裸足で逃げ出すゲテモノ仕様。もちろんこんなものが普通に使えるわけがなく、下側のエンジンを整備するために全体を取り出さなければならなかったり、容積がデカくなりすぎたため車体後部を延長する羽目になったりしている。V8エンジン大好きアメリカ(後述)でも「こりゃねーわ...」とM4A4を全車イギリスにレンドリースで送りつけたのだが、送りつけられたイギリス側はというと「ゲテモノだけど整備そのものはしやすかったし、うちの巡航戦車のエンジンより故障しにくかったよ!」と、喜んでファイアフライに改造。半ば無理やり載せたバス用エンジンより壊れやすい純戦車用エンジンって、大丈夫か英国陸軍。
- M4A6:M4A4車体にキャタピラー社製ディーゼルエンジンを搭載したタイプ。が、開発直後に「シャーマンは全車ガソリンエンジンで統一する」とAGFが決定したため75輌作っただけで生産中止。生産された車両は訓練用に回された。
- T76E1:M4の主砲を182.8mmロケットランチャーに換装した工兵戦車。問題は設計で、何も工夫せずそのまま換装したので発射するとバックブラストが乗員を襲う。
- T34 カリオペ:M4シャーマンの頭の上に多連装ロケット発射機を搭載。俯仰を砲身によって行うために砲塔にリングを通しているため主砲があるのに砲撃はできない。(現地改修で撃てるようにはなった)
- デトロイト工廠のM4改良案:全身角ばった傾斜装甲にする事で防御力を増す設計だった。アメリカ版T-34。
- M6:50t級の試作重戦車。初期の案では多砲塔戦車で、設計変更後も主砲と同軸で37mm副砲を搭載、7.5mと長い車体(エンジンが大きいため)、主砲は76mmでM4シャーマンと同じなど、結果としては微妙な出来に。性能がイマイチと文句を言われたので重装甲化し105mm砲を搭載したら『シャーマンと76mmで十分だわ、そんなデカブツいらん』と突っぱねられた。 まぁ上記の通りそっちの結果も大丈夫じゃなかったけどな!
- T28重戦車:T95とも呼ばれるアメリカが開発した超重装甲戦車。強固と謳われたドイツの要塞線(なんて物は無かったが)を突破するために前面を中心に重装甲を極めた結果、正面装甲300mmというマウスをも上回る前面装甲厚を持つ戦車となった。しかし、その重装甲ゆえに車体重量は86tにもなり、車体を支える履帯は4本、エンジンは500馬力と全く足りず(このエンジンは『普通の』重戦車であるM26(重量42t)と同一のものであり、しかもそのM26においてすらパワー不足を指摘されていた代物である。よって当然のことながら)最高速度は13㎞/hと機動性は劣悪を極めた。主にヨーロッパ戦線での運用を想定していたが、ドイツの降伏に伴い対日戦へも想定され、日本本土上陸作戦への投入へも計画されていた。
- T29/T30/T34:ようやくM26を完成させ、実戦投入した米陸軍。ところが前線から「もっとヤバいのが出てきた」という報告を受け、かねてより計画していた重戦車を開発することに。三種類の重戦車は全て重量60t級、T29は105mm砲、T34は120mm砲、T30に至っては155mm砲を搭載していたが、案の定試作車ができた頃にはベルリン陥落、日本も本土決戦前に降伏してしまったため実戦運用は全くされなかった。(ただしここで得た技術は後のM103重戦車に生かされている)某戦車ゲーの中では計画通りドイツの重戦車達と今も戦ってたり。
- T26E4 スーパーパーシング:上述の重戦車完成までの時間稼ぎとして改造したパーシング。新設計の90mmT15E1戦車砲を搭載し攻撃力を増したが、砲座が砲塔内に収まりきらないのをスプリング式平衡機を砲塔に外付けする事で強引に解決している。無論これを損傷した状態で発砲したら最悪砲塔が壊れる可能性もあったとか。そして実戦試験とばかりに前線に送られた試作車は、やっぱり撃破した敵戦車の装甲を切り出して車体に貼り付けて増加装甲としていた。
- T92 キングコング:日本本土決戦に備えて開発された240mm砲を搭載した自走榴弾砲。これでトーチカなどを木っ端微塵にする予定だった。
- アストロン:車体が二つ連結した戦車。 設計は1945年だがそれ以上の事は情報がない。(情報求ム)
- 一本足ジャンプヴィークル:伸縮式の脚で飛び跳ねるトーチカ兼戦車。脚はシリンダー構造となっており、圧縮空気か火薬を使って伸ばし、跳躍する。アメリカ版ジャンピングタンク。
- ケーブル爆弾:大型の爆弾にロケットをくっ付け、ケーブルで戦車に繋いだもの。点火するとケーブルに引っ張られた爆弾が戦車を中心に半円を描いて飛び、対角線上の目標に正確に爆撃できるがそのケーブルがたったの15m。戦車で砲撃した方が遥かに早い。
- Brodie Landing System:カタパルトや飛行甲板のない艦船で航空機を発進させる為にアームで吊り下げて発進する。落とすだけのフランスと違い、二本のアームの間に船と平行にワイヤーを張る構造となっており、そのワイヤー上を吊り下げられたまま艦首方向に加速して発進する。航空機の回収は発進に使った吊り下げ装置を航空機側のアームで引っ掛ける方法。第二次大戦中に硫黄島や沖縄戦にて陸軍のUSS LST-776で実戦投入されている。
太平洋戦争以降
- M47パットン:M46の後継として開発された主力戦車。遠距離でも高い命中精度を確保するため、砲塔左右の半球形張り出しにステレオ式光波測距儀をできるだけ前よりに取り付けた。...が、前すぎて砲撃の反動で測距儀が狂って逆に狙えなくなるという結果に。M48が完成・量産された後は西側諸国に輸出された。え、戦歴?輸出先の実戦(第二次印パ戦争や第三次中東戦争、ユーゴスラビア内戦など)での評価が戦前戦車にも劣った。(具体的にはセンチュリオンやイスラエルの魔改造シャーマンに敗北、クロアチアではT-34-85にも性能で劣るとか言われる始末)あんまりバカにするなよ、これでも61式の開発に一役買ってるんだからな。
- TS-31/T110:M103重戦車の後継として計画された重戦車。E1~E5まで数種類が考案されたが、台形の固定戦闘室だったり操縦手が燃料タンクで囲まれていたり車長がエンジンの上に座るような配置だったりと問題だらけ、おまけにどの案も大まかな基準とされた『(鉄道トンネルの世界基準である)ベルントンネルを通過できるサイズ』に収まってない有様。某戦車ゲーでは内E3~E5が登場している。
- T57/T58:あの揺動砲塔を採用してしまった奇怪な外見の重戦車。120mm砲か155mm砲を4連射できるという当時としてはすさまじい火力になる色々と無理があったらしく結局中止に。
- T77 MGMC:M24 Chaffeeの車体を改造して各種自走砲を開発する「ライトコンバットチーム」構想で計画された自走対空砲。レシプロはともかくジェット戦闘機に照準が追いつけなかった。
- M1エイブラムス:パットンの後継に当たるアメリカ軍の主力戦車の現行機種。動力ユニットにガスタービンエンジンを採用したり、防御周りの設計が優秀過ぎて鹵獲防止の為に破壊しようとしたのに破壊しきれなかったばかりか、損傷を受けてなお主砲は射撃可能だったというとんでもないエピソードを持つ。
- M247 サージェント・ヨーク:M48の車体に40mm機関砲2基とF-16のレーダーを備える砲塔を載せた自走対空砲。低コストかつ迅速な開発を目論んで既存の手堅い技術を多く採用したにもかかわらず開発に手間取り、VIPなどを招いたデモンストレーションではあろうことか観客席に砲塔を向けたり(当然これに慌てた観客の一部は避難しようとして飛び降りて負傷)、気を取り直して射撃訓練をしたところ目標の300m手前に着弾させたりと散々な結果に。その後も建物の換気扇に間違ってロックオンしたりと多くの困難を抱えつつ根気よく開発が進められたが、何とか完成したものの結局性能はあまりよろしくなく、それに加えて『天下のアメリカ軍が制空権ないってなによ?』という話になり生産中止に。すでに生産されていた50両ほどは博物館送りにされた一部を除き、よりにもよって訓練で撃ち落とすはずだった航空機に的にされた。
- M6ラインバッカー:M2ブラッドレーを自走対空砲に改造。が、SAMはスティンガーで歩兵が持てる上に高度な対空射撃用の火器管制装置や対空レーダーは載せられず能力不足になり、そしてやっぱり『アメリカ様が制空権を握っていない状況ってなによ?』という話になって順次退役してブラッドレーに戻されることに。サージェント・ヨークを無駄に作ったのに同じ失敗を繰り返してどうする。
- M50 オントス:自走無反動砲。同じカテゴリの60式(の試作車)すら上回る驚異の6連装無反動砲を搭載した。しかも自動装填機構がないので、装甲車両のくせに乗員が車外で再装填しなければならない。まぁ戦車の反撃を受けるとワンパンなので撃ち逃げでいいやと考えたのかもしれないが、そもそも無反動砲なので撃った瞬間に派手なバックブラストで居場所がバレ、即座に反撃をもらう可能性が高い。因みに実戦投入されたベトナム戦争では敵戦車ではなく歩兵師団が相手だった。
- M40 106mm無反動砲:ちなみに搭載している無反動砲、実は砲口径は105mmなのだが前身のM27 105mm無反動砲と区別するためにあえて名前を106mmにしてある。
- T92:試作空挺戦車。見た目が某戦車ゲーのフランスのGソックリ。しかし操縦主席が独立してるせいで意思疎通が微妙だったり、偵察用空挺戦車なのに水上航行能力がなかったり、じゃあその能力つけようという話になったら空挺能力と両立させるのが難しすぎたりで結局開発中止に。
- M8 装甲砲システム:下記のM551 シェリダンの後継として開発されていた空挺装甲車両。が、シェリダンがあまりに酷かったため(後述)「もう空挺戦車なんていらねぇ!」と開発中止、その後アメリカ軍は空挺戦車を開発しなくなった。(というかLAPESならエイブラムスを空挺投下できるし...)
- TC-497 オーバーランドトレイン:米軍とルターナ社で開発された、複数のトレーラーを連結して地上を走破する輸送車両…というか陸上列車。しかも動力分散式。いくつかの試作を経て完成した車両はトレーラー自身もステアリングできるので悪路走破性が高く、輸送力も最大で150tの貨物を牽引して640kmを走破できるという貨物列車に匹敵するスペックだったものの、単価が高くなり過ぎた上に輸送ヘリコプターの登場で結局不採用。試作車両は民間に払い下げられたもののこちらも使い道がなく、現在はアリゾナ州ヘリテージセンターに先頭車両が置かれているのみ。
- ロッキード AH-56 シャイアン:世界初の本格的攻撃ヘリコプター。メインローター、テイルローターに加えて後部に推進式プロペラを採用した複合ヘリコプターである。その為、高速飛行も可能だった。乗員の前後配置や武装面の既存の機銃やロケット弾以外にも対戦車ミサイルTOWを採用するなど登場当時は先進的だったが、その先進的な技術を詰め込みすぎたせいで、開発遅延とトラブルを引き起こし採用はされたものの、導入中止。
- MRE:色々と有名な米軍のレーション。初期型はその評判たるやさんざんで「Meal Rejected by the Enemy(敵から拒絶された食べ物)」「Meals,Rarely Edibles(とても食えたもんじゃない食べ物)」などと呼ばれる。このぐらいならまだましで「Materials Resembling Edibles(食べ物のような何か)」なんてあだ名も。採用後のテストでカロリー換算で約40%が廃棄された、公式で「2週間以上食べ続けるのはやめた方がいい」となっている……などの"伝説"でどのようなものかは察するべし。現在ではさすがに改良が進んでいるようだが。尚、初期型の"破壊力"の原因はとりあえず保存がきいて必要な栄養とれればいいよねという考えで開発されたためと言われている。……それなんてイギリス料理?
- ADATS(Air-Defence Anti-Tank System):スイスとアメリカが開発した自走式の短距離地対空ミサイル兼対戦車ミサイルシステム。その名の通り対空ミサイルとしても対戦車ミサイルとしても使用できる統合ミサイルシステムであり、どちらの任務もしっかりこなせる上にレーダーや誘導装置、管制コンピューターを砲塔に纏めたコンパクトなシステムに仕上がっている。いるのだが、こうした車両にありがちな高コストなシステムになった上に、誘導方式にレーザー誘導を採用した結果悪天候性能に欠けるという欠点が判明してしまい、アメリカは採用はしたものの配備はせず、採用したのはカナダとタイ(地上設置型)のみだった。
兵器・装備部門
- コルト M1855:リボルバー式装填機構を採用したライフル。19世紀に連発式ライフルは画期的ではあったが、装填機構に全く手を加えていなかったので他のライフル同様の構えで撃つと発射ガスで火傷してしまう欠陥品に。一応対応した持ち方をすれば火傷は防げる。
- シャープス軍用カービン:南北戦争中に製造されたものの内、少数のカービンには何故か銃床に手動の粉挽き機が付属していた。長い間「コーヒーミルなのでは?」と思われていたが、実は小麦粉などを作るためのものだったことが判明。いや、なんで銃につけたし。
- リトル・デーヴィッド:世界最大の口径の砲。一応分類は重迫撃砲。その口径たるやドイツの80cm列車砲をも超える36インチ(914mm)。砲弾の爆薬重量でもあの80cm列車砲を上回っており、未強化の地面に着弾すると直径10m、深さ5mのクレーターができるほど。第二次世界大戦末期に航空機用爆弾の試験装置を転用して開発し、日本本土に上陸した時に強固な防御陣地にぶっ放して爆砕するつもりだったが、日本が降伏したために、実戦で使用されることはなかった。迫撃砲故に前装式であり、複雑な装填・発射機構を必要としないため、80cm列車砲などと比較するとかなり小さい...のだが、砲台基部を地面に埋める必要があるのでまず設置に時間がかかる、砲弾がデカすぎる上に分離装薬式でしかも前装式なので装填にも時間がかかる、迫撃砲特有の精度の低さ、射程の短さなどが問題となり、戦後そのまま開発終了。
- T-12クラウドメーカー:アメリカの地震爆弾。その重量は実に20tに及ぶ。もうクラウドっつーかクェイクメーカー。因みに開発目的はグランドスラムと同じだが大戦終結まで開発が間に合わなかった。
- AZON:第二次世界大戦中に開発した誘導爆弾。驚くべきはフリッツXなどとは異なり、既存の爆弾にキットを装着するだけで誘導爆弾にできる仕組みだったところ。
- ASM-N-2 BAT:第二次世界大戦中に開発した史上初のレーダー誘導爆弾。しかし大戦中の戦果ははっきりせず、戦後に電子妨害に虚弱なことが判明し第一線から引き下げられた。
- プロジェクトオルコン:BATの誘導方式案の一つ。行動主義心理学者B.F.スキナーが提案したもので、弾頭カメラの映像が映し出された画面を訓練されたハトがつつき、つついた方向にスクリーンが傾き、連動してミサイルが方向を修正する。お前絶対ハトの行動心理の研究したかっただけだろ!そして何をトチ狂ったのかNDRC(国家防衛研究委員会)は25,000ドルを研究費として支出した。当然後に中止されるが、戦後の1948年に海軍によって一度復活しかけている。
- デイジーカッター:『ヘリポートを作りたい!でも(ベトナムの)ジャングルが邪魔だなぁ → だったら爆破して薙ぎ払おうぜ?』という目的で開発された7t爆弾。湾岸戦争時にもその広範囲を薙ぎ払う爆風で地雷原を吹き飛ばすのに使われ、イラク戦争では敵に落とした。(言わずもがな本来の使い方ではない)この時爆撃されたイラク軍はあまりの破壊力に「核攻撃を受けた」と勘違いしたとか。因みに運用の際は輸送機から投下する。
- GBU-43 MOAB:正式名称は Massive Ordnance Air Blast(大規模爆風爆弾兵器)。デイジーカッターの後継にして史上最強の通常爆弾。(重量はグランドスラムとほぼ同じ)『全ての爆弾の母』とも呼ばれる。あまりの破壊力故に、通常爆弾なのに爆発すると原爆みたいなキノコ雲が立ち昇るとか。開発目的自体は先代のデイジーカッターと同じで、運用するのも同じ輸送機である。だがイラク戦争ではやっぱり敵に落とそうとした。(配備しただけで結局使われなかったが)そしてとうとう対IS作戦で本当に投下した。
- ASM-135 ASAT:人工衛星攻撃用兵器で、敵国の衛星兵器に対して攻撃を行う為のもの。破壊した衛星の破片等によるデブリの発生、余計な被害の発生、コストの増大、軍縮等の理由により開発中止や配備終了となった。ちなみにASM-135は実戦配備に至らなかったものの、DARPAの項目で書かれている戦闘機での小型衛星打ち上げに技術が繋がったともいわれている。
- ガンランチャー:砲弾と対戦車ミサイルの両方が撃てる戦車砲。当時の技術ではシステムが複雑でミサイルも高価だったため、限定的にしか採用されなかった。(しかも故障しやすい)さらにこのミサイルは止まっていないと撃てなかった。後にイスラエルやロシアでも同様のものが作られているが、「普通の戦車砲から撃てるミサイルを作る」という逆の発想と技術の向上によって普通に使える代物に。当時はまだ早すぎたんや...
- M551 シェリダン:M81 152mmガンランチャーを搭載した空挺戦車。ベトナム戦争で実戦投入されたが東南アジア特有の高温多湿の環境でミサイルの誘導装置は壊れるし砲弾は湿気って膨らんで装填できなくなるしでさっぱり効果を発揮せず、一時的にミサイル発射機構を省略した型が生産されることに。しかも空挺=軽量化のためにアルミ合金装甲という戦車にあるまじき装甲を採用したため『被弾もしくは地雷を踏む→152mm砲弾に誘爆→木っ端微塵』『空挺投下したら着地の衝撃で故障して半数が行動不能』という脆さ。 乗員の間では「M551に乗って戦死すると死亡が確認されたのに『行方不明』の扱いになる」というブラックジョークが流行した。
- M60A2:パットンにもM162 152mmガンランチャーを載せてみた。結果は砲塔内部が狭くなって整備性が悪くなり、高価で運用も難しかった(戦車なのに行進間射撃ができないなど)ため「スターシップ」と揶揄されることに。前線から引き揚げられ次第架橋戦車や回収戦車に転用されていった。
- X17A機首ターレット:海軍がF9F-3の、空軍がF-89Aの機首に試験的に搭載した四連装20mm機関砲の旋回銃塔。連動レーダーと火器管制システムが開発できなかったため開発中止に。
- パイ・ワケット・ミサイル:XB-70用のDAMS(Defensive Anti Missile System)。音速で飛行しながら真横に打ち出そうとした結果、正式名称『レンズ型防御ミサイル』の通り円盤翼型になった。XB-70のキャンセルと共に開発中止。
- Missile launcher for aircraft:1976年にロッキードが特許申請した大型航空機用ミサイルランチャー。航空機内にロータリーランチャーを備え、ノーズ部分に開口部を持たせて正面にミサイルを発射する。一応コールドランチ式。
- ローリングボム:対独戦向けに開発された自走爆雷。身も蓋もないことを言ってしまえばアメリカンパンジャンドラム。見た目的には直径3mのトゲボール(トゲの正体は磁気信管)。パラシュートを使って投下後、内部のエンジンで自走して敵兵は踏み潰し戦車に接触すると爆発する。設計段階で何処に転がるか分からないという事が判明し製造されることは無かった。
- MGM-166 LOSAT:成形炸薬弾頭ではなく硬い弾頭と運動エネルギーで強引に装甲をブチ抜く超高速対戦車ミサイル。誘導するAPFSDS。成形炸薬弾頭を使わないので安上がりに生産でき、ジープにも戦車並みの火力を持たせられると期待されたが、そのミサイルの誘導装置が複雑すぎて結局高くついたので没に。現在は後継としてより低コストのCKEM(小型運動エネルギーミサイル)が開発中。
- T20:口径60mmの肩撃ち迫撃砲。重すぎるし反動デカイし前装式だから下向けられないしで評価はさんざんだった。米国版PIAT。
- FP-45 リベレーター:枢軸国支配下のレジスタンスを支援する目的で制作した簡易型拳銃。簡易さを追求しすぎた結果、ライフリングなし、排莢機構なし、使用弾薬は.45ACP弾(オートマチック用の弾丸)というツッコミどころの塊に。
- M72 LAW:使い捨て対戦車ロケット。ベトナム戦争で非装甲・軽装甲目標を遠距離からお手軽に吹っ飛ばせると大活躍したが、肝心の対戦車能力は足りていなかった。
- Strategic Long Range Cannon:次世代の155mm榴弾砲として現在開発中。長大な砲身とロケットアシストラムジェット砲弾(!)で射程1,000マイル(!!)を目標としている。
- XM29:5.56mmカービン+20mmグレネードランチャー+火器管制システムの全部乗せアサルトライフル。これ1丁で何でもできる武器になる筈だったが、重量超過(5.5kgの目標に対し8kg前後にしかできなかったらしい)やバッテリーの持続時間、開発予算の削減等技術的・経済的問題から開発中止。ちなみに開発担当はH&Kだがドイツ本国ではなく米国法人。
- XM214 マイクロガン:ミニ・ミニガンとも。 ミニガンことM134を最大で100発/秒という発射速度はそのままに軽量化し、一歩兵でも扱えるように……できなかった。(重量38kg)
- M16/AR-15シリーズ:ゴルゴ13が使ってることで有名なライフル。ベトナム戦争時に採用され、半世紀経っても同シリーズが現役にある。ガスピストンを介さないダイレクト・インピジメント方式を採用し、ボディもアルミ・プラスチックを多用した結果、同クラスのライフルより軽量かつ命中精度が高い。操作系統も優れ、リロードが素早く行える。これらは1950年代に完成されている。当時としては圧倒的に優れていたM16だが、ベトナムでは幾多の作動不良を起こし、「欠陥銃」とさえ言われた。しかし、最近ではこの当時の不良はM16の欠陥というより「人災」であったことが判明している(項目参照)。その後、小改良を加えながら湾岸戦争・イラク戦争・アフガニスタン紛争をアメリカ兵と共に戦い抜き、現在でも短小モデルであるM4カービンが主力で使われている。新型ライフルへの移行も何度か検討されたが、M4の発展性やコストパフォーマンスが高すぎ、未だに限定的にしか実現していない。(欧州や日本のアサルトライフルは1,000ドル以上がデフォルトだが、最新のM4で約650ドル)特許が切れた現在では、民間で様々なAR15が作られているが、こっちもやっぱり変態。詳細は民生部門にて。
- 冷戦期に開発・試作された核兵器:発想も含めていろんな意味で狂っている。
- SADM:設置型核爆弾。 特殊部隊兵士が背負って敵の基地に侵入、設置した後時限式で爆発する。 ただし時限式なのでちょっとでも脱出に手間取ったら巻き込まれる。
- M388 デイビー・クロケット:核爆弾をぶっぱする無反動砲。ただし撃った本人も残念なことになるという洒落にならないオチ。
- MGR-1 オネスト・ジョン:戦術核ロケット弾。 上記デイビー・クロケットもそうだが前線で戦う個々の師団に核を撃たせるという前提からして既におかしい。
- M65 280mmカノン砲:核砲弾を発射する専用のカノン砲。
- W23:アイオワ級戦艦に搭載されていた核砲弾。
- W48:砲兵師団用の155mm榴弾砲から発射する世界最小口径の核砲弾。 だからどうして個々の師団に(ry しかし大きさの割に威力が小さく非効率的だった。
- AIR-2 ジニー:空対空核ロケット。
- AGM-28 ハウンド・ドッグ:全長13mと戦闘機並みの大きさの核搭載型空対地巡航ミサイル。運用にはB-52が用いられたのだが、余りの大きさに爆弾倉に収まりきらず、左右の主翼下に1発づつ、計2発しか搭載できなかった。なお搭載エンジンはB-52側から任意に始動や停止を行うことが可能で、それを活かして搭載したB-52が離陸する際の補助にも使うことが出来た。ただやはり大きすぎたらしく、後継として配備されたAGM-69 SRAM(短距離攻撃ミサイル)は射程がAGM-28の約8分の1程度になった代わりに大幅に小型軽量化され。B-52の場合で1機に20発搭載できるようになった。
- LIM-49 スパルタン(ナイキ・ゼウス):核弾頭で核ミサイルを迎撃する弾道弾迎撃ミサイル。アメリカ上空の敵偵察衛星を破壊する地対衛星ミサイルとしても配備された。
- スプリント:スパルタンが撃ち漏らした時用の弾道弾迎撃ミサイル。 これも核弾頭だが爆発そのものではなくそこから発生する中性子線で敵の核弾頭の核物質を変質させ無力化する、という回りくどい迎撃方法だった。 というか核で迎撃しても撃ち漏らすってどういう状況ですかそれ...。
- プログラム437:核弾頭搭載の中距離弾道ミサイルPGM-17 ソーを流用した地対衛星ミサイル。
- Mk.45 核魚雷:誘導性能の低さを核の威力で補った。 ただしデイビー・クロケットよろしく発射した潜水艦も危険範囲内。
- サブロック:Mk.45と同じ発想の対潜核ミサイル。
- LGM-118A ピースキーパー:LGM-30 ミニットマンの後継として開発された、MIRV(複数個別誘導再突入体)方式で10発の核弾頭を搭載したICBM。抑止力で『平和を維持』するという冷戦期の発想の果ての産物。現在はモスクワ条約(戦略攻撃兵器削減条約)により廃棄され、衛星打ち上げ用使い捨てロケット「ミノタウロスⅣ」として運用。そのためアメリカの主力ICBMは現在もミニットマンの最終発展形である「ミニットマンⅢ」が担っているが、流石に旧式化しているので後継のICBMが2020年代末の初期作戦能力獲得を目指して開発が進められている。
- B61並びにB83:そこんじょらにある戦闘機にも搭載可能な程小型化した威力可変式の核爆弾(B83に至っては水素爆弾)、かつ2023年現在でも配備中の(今となっては貴重な現役の)核爆弾でもある。世界一高価な爆撃機の真の目的ことミサイルサイロ等といった硬化した目標を探知されずに確実に仕留めるためか、現在配備しているモデルでは地中貫通爆弾化させているとか・・・
- 原子力化兵器の数々:原子力にすれば最強...と思ったのかはわからないが、冷戦期(特に50年代)はとにかくいろいろな兵器に原子炉を詰め込もうとしていた。
- WS-125:原子力爆撃機計画。 さすがに試験機でのデータ収集や机上案など、検証のみで終わった。 なお、原子力ジェットエンジンは空冷式なので排気は放射能に汚染される。
- ロッキード CL-1201:スカンクワークスの計画していた、全長170m・全幅341m・重量5,300tの超大型原子力機。 分かりやすく言えばガンダムのガウ攻撃空母よりもデカい。 こんなデカブツを運用できる滑走路など当然無いので182基のリフトジェットで垂直離着陸する。 空中でボーイング707とドッキングして荷物を積み降ろしする輸送機型や、戦闘機を22機搭載する空中空母型、短距離弾道ミサイルを発射するミサイル母機型などが計画されていた。
- TV-1:原子力戦車。 当時の中戦車と同等の戦闘力に加え、一度の補給で6,500km弱も走るという、当時としては超低燃費(40L入る乗用車に例えればリッター160km)だったために結構真面目に計画され、一時はM48パットンなど主力戦車を置き換える構想まであった。 が、どう考えても乗員は被爆不可避な上に撃破されたら最悪放射能が広範囲にまき散らされるという欠点が利点を帳消しにしているうえに技術的問題が重なって立ち消えに。 自重しろメリケン。
- TV-8:まだ作ろうとしていた原子力戦車。 しかも何故か水陸両用にしようとした結果、宇宙船じみた巨大な砲塔に乗員も核機関も詰め込むことになっていた。 そしてコイツはどういうわけか試作車まで作ってしまった。
- プルートーミサイル:弾頭だけでなく動力まで原子力にしてしまった巡航ミサイル。 当然フィルターなどを搭載する余裕はないのでWS-125よろしく飛行中も放射性物質をばら撒き続ける。 そのため安全に発射試験を行える場所がなく開発中止になった。
その他軍事部門
- アメリカ合衆国に於ける陸軍と海軍の確執:日本のそれがあまりに酷すぎて有名になりすぎたことと結果的に太平洋戦争には勝っていることからあまり目立たないが、太平洋方面の陸軍と海軍の最高指揮官がお互いのツラを見るのも嫌だというぐらいの仲の悪さ。他にも海軍の物資を陸軍がガメただとか、そんなエピソードには事欠かないようである。それでも勝利のために協力と妥協して戦争では勝てた。戦後、「空軍のやってることが気に入らない」(三軍体制移行後も、発足当初の空軍は陸軍閥で陸軍出身者の発言力が強かった)とお互い足を引っ張り合った。なお、海軍から独立した海兵隊も陸軍と仲が悪く、足を引っ張り合っている。現在では四軍すべてが仲が悪いという有様となっている。作戦の失敗を経験として枠を超えて統合指揮するSOCOMなどの統合軍が作られているが特殊部隊を持たなかった海兵隊が蚊帳の外になるなど、統合まで色々問題があった。
- チャック・イェーガー:第二次大戦中、恐るべき超兵器だったMe262をP-51でぶち落とし(実際には弱点があったが)たと思ったら、戦後は空軍のテスト飛行で公式に認められた人類初の水平飛行での有人超音速飛行に成功した。さらに、鹵獲したMiG-15とF-86で模擬空戦を行った際は、どちらに乗っても勝ってしまった。イェーガー曰く「実際の勝敗はパイロットの腕しだいだ」。それを言えるのはあんただけだ。
- ファンタジア作戦:第二次世界大戦中に日本に対して行おうとした作戦で、日本ではキツネが神聖視されている一面があることを利用して夜光塗料(ラジウム塗料)を塗ったキツネを日本に送り込んで社会不安を煽ろうとした。キツネの送り込み方は潜水艦で沖まで接近してキツネに泳いで上陸してもらおうというもので、実際にアメリカの沿岸で実験したところ、ちゃんと近場の陸地には上陸したものの塗料がすっかり落ちてしまっていたため、実現不可能でお蔵入りに。
- 国防高等研究局:略称DARPA。アメリカ大統領および国防長官直属の機関であり、最先端技術の速やかな軍事転用を目的としている。とはいっても研究組織ではなく、軍事用途に役に立つ"かもしれない"技術研究への投資を行うためのマネジメント機関であり、固定観念に囚われない自由度の高い研究への投資を重視している。それゆえ、F-15を使って小型衛星を打ち上げるといったわりかし常識的なものから、ハエにカメラを付けてスパイにしようとしたり、FPSからガチの軍事用シミュレーターを開発しちゃったり、キモいロボットを作ったり、ロボットカーレースを開いたり、ヘリにキモい足をつけたりといろいろフリーダムな研究までがこの機関からの投資で行われている。
- 偵察衛星コロナ:U-2撃墜事件をきっかけに開発されたアメリカ初の偵察衛星。あまりに焦って開発したためか、撮影したフィルムを大気圏突入ケースに入れて地球に落とし、パラシュート降下中のカプセルを専用の回収機で空中キャッチして回収する送信(物理)方式を採用。
- コードトーカー:先住民族に部族語で通話させる暗号。傍受されても部族語なんて部族の人しか知らなかったので第一次、第二次大戦共に破られることはなかったという。ただし同じ考えは誰でもするようで……
- スターフィッシュ・プライム実験:核爆発が地球の周りに元からある放射線帯に影響を与えうるかどうかを実験するため、1.4メガトン級の核兵器「スターフィッシュ・プライム」を高層大気で爆発させた。結果、イギリス初の人工衛星アリエル1号や翌日軌道に投入された初の商用通信放送衛星テルスターが壊れ、他の低軌上道にいた衛星も実に3分の1が作動停止し、ハワイでは街灯が数百台故障し電話システムがダウン。おまけに打ち上げロケットの故障で予定より低高度で炸裂してしまい放射性物質が太平洋のジョンストン島とかサンド島、その周辺の海に降り注ぐ。...後に部分的核実験禁止条約で大気圏や宇宙空間での核実験は禁止されたがそんなこと言われなくても二度と宇宙核実験はしなかった。アメリカの宇宙黒歴史の一つ。
- ファルコン/エアリー:VTOL小型偵察機とそれを搭載する装軌車輛。車両の方はいいのだが、VTOL偵察機の構造はと言うと軸に制御系が詰まったダクテッドファン。どうしてこうなった。
- B-12 スカイマット:10枚プロペラの有人ドローン。実際に人を乗せて高さ6mまで飛ぶことができたが、じゃあ何に使うのかといわれると用途が何も浮かばなかった。
- HZ-1 エアロサイクル:こちらは単ローター。一応一人乗りヘリコプターに分類されるらしい。セグウェイと同じ感覚で操縦でき、「簡単操作で訓練いらず!」と売り込むはずが逆に操縦が難しくお蔵入りに。しかも恐ろしい事に操縦席はただの台座なので、足を滑らせたら冗談抜きでローターにみじん切りにされる。
- ウィリアムズ X-ジェット:一人乗りVTOL機...というか空飛ぶ筒。ヘリコプターや無人機に勝る点がなかった。
- アコースティック・キティー:スパイ装備と専門の訓練を積んだネコ。約1,000万ドル(=36億円)もつぎ込んだが、張り切って最初の盗聴任務をさせようと放したら通りがかりのタクシーに轢かれて死亡。なぜ道路越しに放した。後に公開されたCIAの文書曰く、「この問題に関する長年にわたる研究の功労者は、本計画を指導してきた●●をはじめとする面々である。とりわけ●●の努力と想像力は、科学の開拓者の模範といえるものであろう。」(●●は人名だが非公開)
- オカマ爆弾と愉快な派生型(?):ゲイ爆弾、ホモ爆弾とも。敵陣に強力な催淫剤を投下し、敵部隊兵士に同性愛行動を惹起し部隊を混乱に陥れる完全非殺傷兵器にする予定だったが、そんな都合のいい化学物質は存在しなかった。
- なお、空軍研究所はこの研究により後にイグノーベル賞平和賞を受賞。ただし空軍関係者は授賞式に出席する気は無かったという。当然か。
- オナラ爆弾:派生型(?)その1、別名「誰だよ?オレ?」爆弾。オナラや強烈な口臭のようなニオイを放ち、敵兵がお互いに「誰だよ?」と疑心暗鬼に陥るように仕向け士気を鈍らせるつもりだったが、研究の過程で『世界中の人々は普段その臭いをかいでいるのでオナラのニオイ攻撃だと気がつかない』ということに気がついたという。
- フェロモン兵器:派生型(?)その2、別名「私を刺して」「私を襲って」兵器。戦闘地域にあらかじめ無数の蜂の巣を隠し、敵部隊にミツバチの攻撃フェロモンを噴霧することによって敵部隊をハチの猛攻撃に曝す。ハチの他にもネズミやより大きな動物を対象とする案もあったが、冷静に考えれば噴霧する=霧状なんだから風向きを間違えると自軍が襲われるのは明らか。
- 第一地球大隊:ベトナム帰りの将校、ニューエイジ思想にハマる。そして愛の力で敵を洗脳すれば誰も傷つかずに戦争に勝てるんじゃね?という考えのもと、「敵を武力で傷つけることのない愛と平和の軍隊」を造るために自称超能力者などの奇人変人を集めてスピリチュアル部隊を創設する。なおその後冗談抜きでカルト化し関係者がグアンタナモの件に関わった模様。
- 海上配備Xバンドレーダー:ミサイル防衛用に配備を進めている洋上レーダー。見た目は巨大なレドームを乗っけた海上油田。しかも自走航行可能。
- レールガン:そう、あのレールガンである。極めて大真面目に研究を重ね、2016年に試験運用が開始されるところまでこぎつけてしまった。確かに電力さえ確保出来れば砲弾よりも空気抵抗の少ない専用弾を大砲よりもはるかに高速で撃ち出せ、射程距離の延長、装弾数の大幅増大などのメリットも大きいが、消耗も激しいこの武器を力技で実用化してしまったところが実に米国面。とはいえ、実用化に成功すれば「砲熕武器で対艦ミサイル等を迎撃できる」可能性があるため、半世紀以上前に生まれてんじゃねえかと思わせる現代の大艦巨砲主義者共からは大いに期待を寄せられている。と思いきや、2021年、開発費用の要求を出さなかった。どうやら開発を中止するようだ。
- 最強への拘り:高性能を求めるあまり計画中止もしくは大幅に縮小されることが稀によくある。無尽蔵に予算を使えた冷戦時代はとうに過ぎ去ったというのに……。F-22、シーウルフ、ズムウォルト、XM29など多数。
- 大口径主義:.45口径のガバメントは可愛い方。.44マグナムことM29、.50口径マグナム弾をぶっ放すM500なんてバケモノ拳銃も。カスタム銃に至っては重機関銃用の.50BMGや象撃ち用の.600NEをぶっ放せる単発銃なんてゲテモノ銃も。軍用としては採用されないものが大半ではあるものの、お前は一体誰と戦ってるんだ。
- Sea Wars:決して海戦の事ではない。STARWARSエピソード7の予告編のパロディをアメリカ海軍が作ってしまったのである。⇒YOUTUBE動画 バカか。
- ボーイング・ペリカン:ヒューズH-4の夢よ再び。最大ペイロード数千トンの軍用ターボプロップ輸送機。海上では燃料節約の為に海面すれすれを飛ぶが、一応数千メートルの山脈を飛び越すことも可能。着陸時は主翼を折り曲げて普通の空港でも運用可能というが未だコンセプトの状態。
- ホライズン計画:全く同名だが英仏の駆逐艦開発計画ではない。1959年にアメリカ陸海空軍共同で計画した月面科学・軍事基地建設計画。要は月面をソ連より先に確保して防衛したかったらしいが59年はスプートニク1号打ち上げからわずか2年後である。しかも防衛用兵器は月面用に改造したクレイモアとデイビー・クロケット。地球じゃないからって核戦争するな。宇宙開発が下記NASAに移管した際にさすがに机上で終わらせた。
- 火器紛失:内部調査により米軍は2010年から2020年の間に1900挺近くの火器を紛失していたことが明らかになった。問題っちゃあ問題だが、あの規模の大きさからしたらそう珍しい数字ではなさそうである。この数字にロケットランチャーやグレネードランチャーまで含まれてなければ。しっかりしろ。因みに、全部「非戦闘中」かつ隊員の就寝中に紛失していたのこと。もっとヤバかった。(ちなみ我が国では薬莢一個紛失しただけでも駐屯地総出で探し出す。そこは見習って欲しいなぁ…)
NASA
どこぞのユーラシアの国やどこぞの極東の国が変態メカニズムばかりの衛星・ロケットを打ち上げているのに対して、アメリカのそれは正攻法というか、普通のものが多い。但しその分デカく・多くなるが。
- AD-1:可変翼実験機。 主翼は一体の斜め翼の上に取り付けは中央の一軸のために片方が前進すると反対側は後退する可変斜め翼機。 BV P202再び。
- ヤード・ポンド法へのこだわり:このせいで火星探査機が火星にカミカゼをかました模様。NASAのみならず国民一般に見られる現象でもあるので詳しくは後述。
- ディスカバリー計画:NASAの宇宙探査計画。コスト上限をあらかじめ設定した上で競争原理を徹底化したため、他国の常識からするとありえないほどの低予算と短期間で宇宙探査を行っている。
- ディープ・インパクト:科学者の要求「彗星の内部が知りたい」→技術者(アメリカ人)の答え「じゃあ彗星に金属の塊を高速でぶち込めば内部のブツがポロッと見えるんじゃねえの」→実際にやってみました。
- サターンVロケット:アポロ計画でおなじみの超巨大ロケット。月まで有人宇宙船を送りつけ、低軌道であれば最大118tのペイロードを放り投げる打ち上げ能力を有する。お値段?一発あたり5億ドル、どれだけの額かといえばあのアメリカすら「こんなのバンバン打ち上げてたら予算足りないよ」となってスペースシャトルの開発に乗り出したほど。
- スペースシャトル:宇宙往還機の走りと言える、再利用可能な宇宙船。「繰り返し宇宙に行ける宇宙船があれば安上がりじゃないか?」という、どこの国でも考えつくが「実行は出来ない(というか財政面などで無理ゲー)」なことを本当にやってしまった。
- が、「一回1,200万ドルぐらいだろ」という見込みそのものが甘かった。有人宇宙船を繰り返し使用するには徹底的な整備が不可欠で、膨大な数のパーツで構成されたスペースシャトルではその作業量=整備費用も半端じゃなく、最終的には一回あたり15億ドル(サターンV三機分、ソユーズロケット12機分)という結果に。おまけにNASA自体も病的な官僚主義に侵され、「事故は起きないだろう」と対応策を十分に講じなかった結果、チャレンジャー・コロンビアの悲劇を生む事になってしまった。その上、調子に乗ってNASAが「衛星打ち上げ等は全てスペースシャトルでやります!」とか言ったもんだから事故の調査でスペースシャトルの飛行が停止されてる間、事実上衛星の打ち上げが不可能に。結局、ジェミニ計画で使用されず倉庫で埃被ってたロケットを改造したり、任を解かれ退役したICBMを空軍から引っ張り出してくる羽目になった。
- そしてスペースシャトルに甘んじて純粋な有人宇宙ロケットを開発していなかった結果、後継機オリオンができるまでの間は宇宙飛行士の輸送をかつてのライバル、ロシアのソユーズに頼る羽目に。ISSへの物資輸送も民間企業に委託しているが、ノウハウのない民間企業が成功ばかりするはずもなく、2015年には打ち上げ失敗で運べなかった分をNASA自身がかつて『実績の無い日本製の無人宇宙船なんて』と難色を示していたJAXAのHTV(こうのとり)に頼ったり...。
- 宇宙服:製造技術が継承されなかったために新たに製造する事ができず、古いものでも事足りていたためか新たな宇宙服の開発もまだ途中の為、昔のものを耐用年数が過ぎても補修しつつ使い潰している。この手の話は宇宙開発に限らず珍しくなく、部品の製造会社が潰れて資料や技術が散逸、製造を止めて長く経ちすぎて製造技術が失われた、環境基準の変化により製造が不可能となった等により、新たに調達が不可能となる事から処分せずに部品取りとして確保しておくことが普通に行われている。さすがにこの手の状況を皮肉ったジョークだろうが、核兵器の削減に積極的なのも部品がなくなって整備ができないからだ、といった話まであるとか。
民生部門
陸運部門(鉄道、自動車)
- ペンシルバニア鉄道S1形蒸気機関車:デュープレックス式と呼ばれる機構を持つ蒸気機関車。ニューヨーク万国博覧会に展示されるなどして注目されたが、慢性的な空転という致命的にも程がある欠陥により1両のみの製造となった。あとついでに重すぎた。(但し、スペック自体はそれほど悪くなかったらしく…)
- ペンシルバニア鉄道Q1形蒸気機関車:こちらは貨物用のデュープレックス式蒸気機関車。構造上の欠陥によりこいつも1両のみ。
- ペンシルバニア鉄道Q2形蒸気機関車:上記Q1形の改良形。一応26両製造された。因みに出力は7980馬力ある。
- ペンシルバニア鉄道T1形蒸気機関車:お待たせしました上記S1形の小型・実用性向上版。結果は50トン以上の軽量化に成功したものの動輪の粘着力が低下。それによりS1形以上に空転を頻発させた。さらにディーゼル機関車への動力近代化の波に押されて短命に終わった。因みに、現在このT1形を新造しようとする動きがある。
- メトロライナー:日本の新幹線の成功に触発されたペンシルバニア鉄道が1967年に開発した米国版「電車型」高速鉄道(車両)。ニューヨーク - ワシントン間を最高速度125マイル(201km/h)で結ぶ予定だったのだが、肝心の線路状態が劣悪(21世紀現在のJR某と似たような状況)な上車両自体のトラブルも多く、その性能を十分に発揮することは出来なかった。時代的な背景にも恵まれず、試運転期間中の1968年にペンシルバニア鉄道はニューヨーク・セントラル鉄道と合併(ペン・セントラル鉄道)、1969年には営業運転にこぎつけるものの、翌年会社は倒産してしまった。さらに1971年のアムトラックへの移管などの荒波を受けつつ活躍を続けたが、1980年代に入ると上記のようにトラブルの多いメトロライナーは客車列車に置き換えられて引退した。(列車名は客車列車にも受け継がれた)その後大半はスクラップにされてしまったが、一部の車は運転台を生かして(機関車を遠隔操作する)制御車に改造されて現在も細々と生き長らえている。で、仕様はと言うと、一両あたりの重量75tのステンレス車体を出力300PS=約220kWのモーターによる全電動車方式で爆走させるという力業仕様、ついでに言えば整流器は水銀整流器(本来なら地上施設とかで使うはずのもの、であるが…)を使用。
- マイルトレイン:旅客はともかく貨物需要は有り余るほどあるのがアメリカの鉄道。ありあまりすぎて容量足りねえよ、どうする?→「じゃあものすごく長い編成の貨物列車走らせればよくね?」というわけで編成の全長がマイル(1マイル=約1.6km)を優に超える超長編成の貨物列車が当たり前のように走っている。本当の意味での無限列車。
- お前らに言われたくない:まっ、そりゃそうだよね!
- ぐぬぬ:無理すんな。もう彼らがどこを目指しているのか俺たちにもさっぱりわからん。
- お前らに言われたくない:まっ、そりゃそうだよね!
- ダブルスタックトレイン:コンテナをもっと効率的に運びたい、どうするよ? → 「よろしい、ならばコンテナ二段積みだ」。
- 巨大機関車へのこだわり
- 上記のような長大な貨物列車を牽引するには、当然それなりの大型機関車が必要であり、蒸気機関車の時代は、大手の鉄道会社に於いては関節式の強力な機関車を多数所有していた。特に西部に路線網を持つユニオン・パシフック鉄道はその傾向が非常に強く、1941年に登場したビッグボーイはその頂点とも言える存在である。さらに戦後、ディーゼル機関車の時代になっても、近年に至るまで幾多の超強力な機関車を導入してきた。1950~1960年代のガスタービン機関車(末期モデルでは8500HP!)、それらの後を継いだダブルエンジンのディーゼル機関車(なんと4軸台車!)などがそれらの代表であろう。さらに1990年代、インバーター制御によるACモーター駆動が一般的になると、1エンジン6000HPの強力機まで作られるようになった。しかしこの手の巨大機は、時代の流れによる陳腐化や後継機の登場、ランニングコスト・メンテナンスコストの問題、トラブル発生時の冗長性に欠けており、長くて10数年程度の短命に終わったものが多い。現在のディーゼル機関車は上記のダブルスタックトレイン(120両前後)の場合、4000~4500HPクラスの3~4重連(または無線総括制御)で牽引することが多いようである。
- お前らには絶対に言われたくない:はいすいません。
- ちなみにEF66の出力はこれらの機関車に対して遜色のないレベルである(3990kW≒5350HP)
- X-12:Xプレーンではない。ユタ大学の研究チームがアメリカ原子力委員会の指示で研究していた原子力機関車。放射線から周囲を守るためにクソ重い防御壁を搭載し、それ以上に強力な出力4万英馬力の原子炉を搭載した結果、全長49m、自重360t、牽引力7,000馬力(これは5,000tの貨物列車を牽引して時速100kmに加速するまでたったの32秒しかかからないレベル)、核燃料5kgで1年間無補給で稼動可能など、史上最大最強の鉄道用機関車となる設計だったがそんなのは当然設計だけにとどまった。だから自重しろメリケン。
- 実はサザン鉄道でも全く別の原子力機関車が計画されていた。こちらは全長20m、自重174t、出力3000英馬力の予定だった……いや、電力会社以外の民間企業が原子力とか言ってる時点でおかしいからな。
- そして当然のようにブーメランしてくる極東の変態国家。
- 上記のような長大な貨物列車を牽引するには、当然それなりの大型機関車が必要であり、蒸気機関車の時代は、大手の鉄道会社に於いては関節式の強力な機関車を多数所有していた。特に西部に路線網を持つユニオン・パシフック鉄道はその傾向が非常に強く、1941年に登場したビッグボーイはその頂点とも言える存在である。さらに戦後、ディーゼル機関車の時代になっても、近年に至るまで幾多の超強力な機関車を導入してきた。1950~1960年代のガスタービン機関車(末期モデルでは8500HP!)、それらの後を継いだダブルエンジンのディーゼル機関車(なんと4軸台車!)などがそれらの代表であろう。さらに1990年代、インバーター制御によるACモーター駆動が一般的になると、1エンジン6000HPの強力機まで作られるようになった。しかしこの手の巨大機は、時代の流れによる陳腐化や後継機の登場、ランニングコスト・メンテナンスコストの問題、トラブル発生時の冗長性に欠けており、長くて10数年程度の短命に終わったものが多い。現在のディーゼル機関車は上記のダブルスタックトレイン(120両前後)の場合、4000~4500HPクラスの3~4重連(または無線総括制御)で牽引することが多いようである。
- ACE3000計画:1973年の第一次石油ショックによって原油価格が高騰し、石油がダメならアメリカ国内で山程取れる石炭を燃料にした機関車を作ろうということで開発が計画された蒸気機関車。もう一度言う。蒸気機関車である。自動給炭システム、コンピュータ制御による自動化、エアコン完備のキャブなど当時の最新鋭技術を満載した蒸気機関車になるはずだった……。が、原油価格が下落しACE3000を開発する必要性がなくなり、構想のみで終わった。実は中国にACE3000を売り込もうとしたが「4つの近代化を推進中の我が国に蒸気機関車は合わない(ていうか自分とこで新製できるし)」と断られてしまったとか。なおこのACE3000はシリンダを駆動した水蒸気を捨てずに再び冷却して液体に戻して再利用する復水式で計画されていた。
- (二次元における)蒸気機関車へのこだわり:ディズニー映画やMLPでわかるように、2次元創作モノの「アメリカの鉄道車両」といえばまず真っ先に(それも19世紀の)蒸気機関車が挙がる。実際には1930年代になると実用的なディーゼル機関車が普及し始め、戦争による影響は多々あったものの、1950年代後半にほぼディーゼル化は完了している。なお、ディーゼル機関車も実写映画での出番は数多いのだが、無人で暴走したり、駅に突っ込んだり、正面衝突で木っ端微塵とか、たいがい扱いが酷い。やめたげてよぉ!
- だからお前らには言われたくないと何度言えば:せやな…。
- マッスルカー:自動車産業界におけるアメリカンスピリットの象徴たるスポーツカーの総称。ワイドでマッシブなボディに、これまたバカでかいエンジンを搭載したFR車といえばだいたいおわかり頂けるだろう。え?フォードGT?あれはどっちかと言うとスーパーカーなので…バケモノじみた排気量から絞り出される凄まじいエンジンパワーを生かした豪快な走りが特徴だが、1歩アメリカの外に出ればデカい、重い、燃費が悪いの三重苦で扱いづらい事この上なく、余程の愛がある人でなければ乗らない。ちなみにコイツらの内の1台、ダッジ・バイパーは市販車で最大の排気量を持つ車としてギネス世界記録に認定されたことも。その総排気量たるや脅威の8L超である。頭おかしい。だがそこがいい。
- バイパーGTS-Rとル・マン24時間レース:しかし「所詮は似非スポーツカー」と侮るなかれ、レーシングカーに仕立て上げられたバイパーがル・マンに出場していたこともあるのだ。なにせ元はといえば長距離輸送トラック用の8.4L・V10エンジン、パワーとトルクは山のようにあり、ギア比の工夫によりレーシングカーとしては燃費も良く、エンジンをいじる必要が全く無いため耐久性にも優れ、空力特性を良くするためのハードトップ・エアロパーツの装着と軽量化だけで耐久レーサーとして充分通用する戦闘力を発揮する。1998年から2000年にかけて同GTSクラス3連覇という偉業も達成している。アメリカンメソッドで欧州の耐久レースも押し通してしまったという観点から見ても実に米国面。
- シャパラル・カーズ:ジム・ホールによって設立されたレーシングカー製造会社。マニュアルトランスミッションが主流だった時代にセミオートマチックトランスミッションを搭載したり(2A)、車体周りの乱流を避けるために通常より高い位置(約2m)にリアウィングを設置したり(2E)、補助エンジンを追加して車体と路面との間の空気を強制排出してどの速度域でもダウンフォースを稼げるようにしたり(2J)と、時代の先を行くレーシングカーを生み出した。これらの白いマシンが欧米のスポーツカー世界選手権を荒らし回った結果、ついたあだ名は「白い怪鳥」。
- フォード・エドセル:1957年にフォードが生産・販売した乗用車のブランド。創業者の息子の名前まで使い(フォード一族や販売部門は大反対だったらしい)、正に「社運を賭けて」大々的に宣伝までしたものの、あまりにも奇抜過ぎるデザイン(フロントグリルに至っては「便座」とか「オ○コ」とまで言われた)や品質問題、中途半端な価格設定で全く売れず3年でブランドが消滅、当時の金額で3億5千万ドルもの赤字を出したという。自動車業界では「伝説の大失敗」として語り継がれている。
- フォード・ピント:大失敗とはいえエドセルは「売れなかった」だけだが、こちらはシャレにならない、いわばガチの米国の暗黒面。1971年にフォードが市場に投入したサブコンパクトカーだが、日本車をはじめとする海外勢に押される中、開発期間を極端に圧縮したために、追突されるとタンクが破損して、即ガソリンダダ漏れ→BBQ状態という一大欠陥を抱えたままで販売。実際に死亡事故まで引き起こしてしまい、裁判沙汰に。内実を知るフォードの元社員の証言、また運輸省の改良提案に対して「改善にかかるコスト上昇が、事故による人的損害(死者も含む)の額に見合わない」つまり「欠陥を放置したほうが安上がり」と言わんばかりの理屈で異議を唱えたために、陪審員と世論の総スカンを食った。結局、全く割に合わない巨額の賠償とブランドイメージの失墜を招き、企業倫理における偉大なる反面教師として歴史に名を残したのは、大いなる皮肉。ただし、改良後は大きな問題もなく1980年まで生産されている。
- フォード・ニュークレオン:アトミック・エイジの申し子として計画された原子力自動車。いい加減自重しろメリケン。
- デロリアン・DMC-12:ゼネラルモーターズの副社長が理想の車を作るためGMを辞め設立したデロリアン・モーター・カンパニーが作り上げた車。ガルウィングドアとステンレスの外装という独特な外見を持つ。初年度こそ売れたものの品質の悪さによる悪評やスキャンダルによりすぐに生産終了。ここまでなら迷車、珍車で終わったはずだがあの映画に登場したことにより一躍有名に。製造は北アイルランドで行われ(悪い意味で)英国の要素も入っていたり。
- ゼネラルモーターズ ハマー:GMのSUV…なのだがその実態は「民生用HMMWV」。もう少し詳しく書くとハンヴィーから武装と装甲を取っ払って民生用にしたクルマ。その為車体は日本で言う2tトラック(コンビニのトラック)よりデカイ。お前のような乗用車があるか。え、このクルマを作った理由? シュワちゃんがハンヴィーを見てなにこれ欲しいと言い出したのが全ての始まりという、ある意味アメリカらしい逸話を持つクルマ。
- MTT・タービン・スーパーバイク(Y2K):エンジンにヘリコプター用のターボシャフトエンジンを搭載したトンデモバイク。ちなみに開発者曰く作った理由は「それが可能だからです」。It's the frontier spirit. 忘れるな、アメリカは西の吹き溜まりだが日本は東の吹き溜まり、いいね? アッハイ(そして日本面(乗り物)へ……)
- V8エンジンへのこだわり:しかも、量販車でさえDOHCが当たり前のご時世に、未だにOHVがバリバリ現役。OHCよりも重心が低くなるとか、整備が容易とか、回転で馬力を稼ぐのではなく低速の太いトルクを味わうとか、やっぱり音だろとか、いろいろと理由はあるが、全部ひっくるめてこだわりが(病的に)深い。そのとばっちりをある意味受けてしまったクルマが…
- クライスラー ターバイン:これである。クライスラーの悲願とも言えるガスタービン乗用車。ユーザーテスト用に55台のみ製造された。排気中の炭化水素が0、エンジンの部品点数がレシプロの1/5、雑食性(メキシコ大統領曰く『テキーラでも走った』)、ハイパワーというまさに夢のクルマ…のはずが、ガスタービン特有の問題(アクセルワークに対するレスポンスの遅さや燃費など)が解決できない、高地ではセルモーターが不調になりがち、そしてガスタービンエンジンはレシプロと比べると音がなあ……という理由で評判は良くなかった。故障率は5%未満と、信頼性は日本車以上だったんだけどねぇ……
- ボスホス/カノン:V8エンジン搭載バイクを手がける変態バイクメーカー。そもそもがバイクに積むエンジンではないがゆえの難点(あまりのトルクで車体が傾きそうになる、燃費で劣るなど)も幾つかあるが、好きな人はとことんハマるとか。ちなみにあまりの大きさと重量で取り回しも宜しくないせいか、バイクながらバックギアも付いている。
飛行機(と“のようなもの”)
- テレフギア トランジション:パラジェット社の子供だましなどではなく、きちんと(アメリカの)自動車・航空機の両方の形式登録を目指して開発中のスカイカー。当初2011年発売予定が諸般の事情で遅れている。発売予定価格は20~25万。日本円で2000万円ほど。えっ、都市圏の庭付き一戸建てより安いんですけど。────そういう問題じゃねえけどな。
- Tandem Duct Aerial:米Aerofex社が開発していた空飛ぶバイク。一言で言えばリアルワッパ。ちなみに似たような機体の開発を米陸軍研究所が米国Survice Engineeringと英国Malloy Aeronautics社と共同契約を結んでいる。
- エジソンのヘリコプター:著名な発明家トーマス・エジソンが飛行機械の発明に挑戦したときに作られたもの。推進力としてプロペラの先に火薬を取り付けてその噴射力で回転させて飛ばそうという、フェアリーロートダインやパンジャンドラムに似た考え方。飛行試験は点火した火薬により飛行機械自体が自爆する結果に終わった。
- ヒューズ H-4 ハーキュリーズ:「スプルース・グース」とも呼ばれる、B-52、An-225、B747など並み居る巨人機たちを凌駕した、世界最大の翼をもつ航空機。分類は輸送用飛行艇。翼幅は圧巻の97m。翼内にエンジン点検用の通路があるほどデカい。しかしあまりにデカ過ぎたため、空軍編にもある世界最強のレシプロエンジン「ワスプ・メジャー」を8基搭載しても出力が足りず、初飛行で地面効果で25m浮いただけで二度と飛ぶことはなかった。ちなみに軍は元々乗り気じゃなかったのだが、提案者が下記リバティ船の開発者ヘンリー・カイザーだったために提案を聞いた世論が『彼ならやってくれる』と賛同しまくったため『じゃあ民間でやってくれ、ただし軍需物資の金属は使うな』という条件で開発を許可。結果、世界最大級の巨体のほとんどを木造で作ることになり、製造工場も木材で建設した結果その工場が当時世界最大の木造建築物になったり、最終組み立ての際にドックにパーツを運ぶために経路上の電柱2,300本(と多数の街路樹)を撤去して輸送後植え直したり、その様子を見るために近隣の学校が全部休みになって見物に来たりと様々なエピソードがあった。なお、カイザー自身も途中から『これ無理だわ』と諦めており、最終的に開発を委託されたヒューズ航空機がほとんど単独で製造したとか。社長、ハワード・ヒューズの意地である。 紆余曲折を経て現在はエバーグリーン航空博物館で他の航空機を翼の下にしながら展示されている。 ……え? カイザーが何故こんな巨大飛行艇を提案したかって? 『空を飛んじゃえばUボートの魚雷は当たらない』からだよ。
- ただしH-4は全くの無駄に終わったわけではなく、木材に十分な強度を持たせるために木版を積層しエポキシ樹脂で接着するという、現代の複合材に近い作りになっており、操縦系統にも当時開発されたばかりの油圧装置を採用したりと、新世代のエンジンやボディ、操縦システムや複合材などの基礎技術の確立については大きな貢献をしている他、後のアメリカの大型航空機開発を支えてゆく技術を残している。
- あとH-4がうまくいったら総重量500トンの輸送機も設計する可能性があったとかないとか。
- シコルスキー Xウイング:試作複合ヘリコプター。正式名称は“シコルスキー S-72”。“Xウィング”と呼ばれているが、某遠い昔銀河の物語のアレとは異なり、X字型のメインローターを持っているところが、ニックネームの由来。高速飛行の際は“X字翼”を固定し、胴体横の補助ジェットで飛行する。要はケツイのヘリ。非常に独特かつ個性的な形状の機体だったが、エンジンを4基(メインローター用2基+補助ジェット2基)も積んだせいで、機体は重く、ペイロードは小さく、航続距離は伸びず、スピードも思ったほど速くならないと、結局は中途半端を絵に描いたようなポンコツになってしまい、先述のV-22に破れる格好で開発中止。その後もシコルスキーは“複合ヘリコプター”を諦めていないようだが、先行きはいかに……。
- ボーイング737:ボーイングが開発した小型ジェット旅客機。機体の基本設計はB727を元としているが、そのB727の機体設計はさらに元をたどればB707。つまり空飛ぶ化石といっても過言ではない機体。それに最新エンジンとアビオニクスを搭載、翼構造を殆ど新規になど「段階的に魔改造」が加えられ元設計の部分があまり残っていない始末で、現在も地球上の空の大半で運用中。英国紳士だってこんなのは滅多にやらないだろう。え、自衛隊のレシプロ練習機?ああうんごめんなさい。
- 737 MAX:そんな737の最新モデルがコレなのだが…新機能でやらかした。大型化した新型エンジンが今までの配置では収まらないサイズになったため、前脚を若干かさ上げし、エンジンナセルを前上方へ移動。その結果前進したエンジンナセルは大迎角時に揚力を生んで機体の機首上げを加速させるようになってしまったため、これの補正を補助するために迎角を上げ過ぎた際にセンサーで検知し自動で機首下げを行うシステム、MCASを追加……が、このMCASが結構頻繁に動作する上に迎角センサーが故障しても単体では検知できず、故障警報装置はまさかのオプション装備(なので大半の機体に搭載されていなかった)、そして致命的な事にMCASの優先度が実質パイロットよりも高く、だからと言って切ると尾翼エレベータを事実上人力で操作しなければならない(当然状況によっては重すぎて操作不可になる事もある上、そもそもMCASを切る手順が面倒)。以上の欠陥が放置された結果、2018年に二度の墜落事故を起こして全機運用停止となった。さらに、その後も受注中の機体の生産を続けたため、納入の目途が立たない機体がボーイングの空港、果ては従業員の駐車場まで埋め尽くす事態に陥っている。とうとう2020年に入り生産が中断、その後も運用再開の目途は立っていない。
- しかも皮肉な事に、「パイロットよりもAIが優先された結果墜落事故に発展する」という設計上の欠点はライバルであるエアバスがかつてA300・310でやらかした問題だったりする。
- ボーイング747:ミスター旅客機といえる飛行機だが、よく考えてみればこのクラスの飛行機を1500機も作ってしまうあたりも「大量生産」の方面での立派な米国面だろう。あの777すら1000機ちょっとなのに。
- ボーイング767:ボーイングが開発した中型ジェット旅客機。お手頃サイズで使い勝手がいいゆえ未だに根強い人気があり、そのため未だに生産が続けられた結果一部の航空会社では767で767を置き換えるという、どこかの高速列車のような事態すら起こっている。
- 3発旅客機:当時の民間航空規定では安全のため大洋横断路線の双発機運航は認められておらず、かと言って上述の747を運用するほどの需要はないが、747以外の4発機だと707やDC-8とかいう古い機体しかない。なら4発機より運用コストが安くて双発機の間を取る3発機を作ろう!ってのがことの発端。しかしいざ作ってみると、設計上の問題が放置されその結果欠陥品のレッテルを貼られてしまった残念な機体だったり最新技術を盛り込んだはいいがそれが仇となってコストが高くなった挙句構造上の問題から発展型の開発ができない機体に仕上がった為欠陥品と言われた機体に販売面で敗北したう機体(なんなら賄賂まで駆使してこれである)だったり時代に合わせてグラスコクピット化したりウィングレットで燃費を改善したはいいが色々いじった結果安定性が悪化した上に技術向上で双発機でも大洋横断飛行が可能になった結果商業的に大失敗した機体だったりと一癖も二癖も強い機体しかいない。それだけ3発機の設計が難しかったということでもあるんだろうが。
- ビーチクラフト2000 スターシップ:ビーチクラフト社のビジネス機。エンテ翼・推進式ターボプロップエンジン・カーボンファイバー製機体とやたらSFチックなデザインと仕様が特徴的だが、先進技術盛り込み過ぎで高額化した上にすでにビジネス機もジェット時代に入っていたためさっぱり売れなかった。
- ビークラフト ウィービー:(発表当時)世界最小の飛行機。あまりにも小さすぎて座席を付けられなかったのでパイロットは機体上部に腹ばいになって搭乗する。ある意味リアルメーヴェ。
- スティッツ SA-2A スカイベイビー:ウィービーの記録を更新した世界最小の飛行機。作画崩壊のレベルを通り過ぎデフォルメとしか言いようがない外見。
- セスナ172 スカイホーク:軽飛行機の代名詞にして、世界一製造された飛行機。どれだけの生産数?ざっと43000機以上。B747、T型フォードと並ぶアメリカのマスプロダクション能力を体現する存在。
- セスナ 336 スカイマスター・337 スーパースカイマスター:胴体前後にエンジンを搭載し、尾翼は双ブーム方式という奇怪な形状の軽飛行機。見た目こそ奇天烈だが片方のエンジンが故障してもバランスが崩れにくいという利点がある。視界が広く、双発で生残性も高いため、アメリカ空軍でも観測機“O-2”として採用。映画『地獄の黙示録』でもちょっとだけ顔出ししている。
- オデュッセウス:試作ソーラープレーン。胴体が主翼と尾翼を繋ぐだけの棒になってしまった。 当然このままでは着陸できないので、三機がジグザグに空中ドッキングして着陸する予定だった空中ドッキングの件はFICON計画がダメだった時点でお察し。
- エアロスペース プレグナントグッピー/スーパーグッピー:大型貨物用輸送機。英国紳士すら「まいりました」と言いそうな凄まじい外見。しかも動けるデブ。元となった機体をたどるとB-29に行きつく。
- ロトンATV:有人宇宙船と称したロケット型ヘリコプター。260km上昇して衛星軌道に...入れるはずもなく23m上昇しただけだった。
- ハネウェル ALF502:BAe146などに採用されているギヤードターボファンエンジン。元になったエンジンがヘリコプター用のターボシャフトエンジンである(ターボファンエンジンなんてのは普通ならターボジェットエンジンをベースとするか、或いは完全新規設計である)、高圧圧縮機に遠心式を採用しているなど非常に特異なエンジン。
- ゼネラル・エレクトリック GE90:ボーイング777に採用された巨大ジェットエンジン。どこがすごいのって、ファンの直径はナローボディ旅客機並とか最大出力のモデル「GE90-115B」は推力約50t(B747のJT9Dの約二倍、B-52のJT3Dの約7.5倍)という頭おかしい数字。777はこれを2基、翼下にぶら下げてるんだからたまらない。但しそのサイズが災いし、「分解状態でもB747貨物型クラスが必要、ファンを外さない状態であれば最低でもAn-124レベルの超大型輸送機でないと輸送は無理」という洒落にならない難点も抱えている。B777の軍事用での採用例が日本の政府専用機くらいしかないのは実はこれが原因なのでは…
- バート・ルータン:航空機設計家、航空宇宙技術者で実業家。 彼の設計した航空機や組み立て式飛行機にはエンテ型飛行機を始め異型の物が多い事で有名。上記NASAのAD-1も彼が設計したものである。
- スケールド・コンポジッツ:ルータンの立ち上げた企業。やはり前衛的な航空機を多く開発しており、現在はノースロップ社の傘下企業となっている。
- モデル27 バリ・ビゲン:スウェーデンのサーブ37 ビゲンに発想を得て作った、ルータン最初の航空機。自動車より一回り大きいくらいの大きさで推進式のエンテ型飛行機というかなり特異な形状。組み立て式飛行機として実際に売りに出された。
- モデル31 バリ・イージー:身も蓋もないことを言えば前後に長くなって流線型になったバリ・ビゲン。 こちらも組み立て式飛行機として売りに出してなんと成功、繊維強化プラスチックを用いた小型機の先駆けとなった。
- モデル76 ボイジャー:三胴式の双ブーム機。1986年に世界初の無着陸・無給油の世界一周飛行に成功。
- モデル202 ブーメラン:左右非対称形状の軽飛行機。しかも双発。これには恐らくフォークト博士歓喜待ったなし。
- モデル281 プロテウス:タンデム翼に垂直尾翼が二つついた機体。上記ブーメランよりはマシだがそれでもちょっと変わった見た目である。ただし性能は最大約2tの貨物を搭載して65,000フィート(19,800メートル)以上の高度に18時間以上留まることができるかなりの高性能機。
- モデル309 アダム M-309:串型配置のエンジンに双ブーム式尾翼の試作機。後にアダム A500の名でビジネス機として販売された。
- ストラトローンチ・システムズ:こちらはルータンがマイクロソフト共同創業者のポール・アレンと共に立ち上げた、空中発射ロケットによる宇宙輸送を業務とする企業。
- スケールド・コンポジッツ:ルータンの立ち上げた企業。やはり前衛的な航空機を多く開発しており、現在はノースロップ社の傘下企業となっている。
- スタヴァッティ社:ベンチャー企業。 F-35やタイフーン、ラファールの後継となる第6世代戦闘機や軍用機と称して実にSFチックな航空機を設計しており、『リアル要塞シリーズメカ』とも。そして完成予想CGイラストでは何故か自衛隊の洋上迷彩が施されている。
- SM-36 ストラマ:可変翼・前進カナード・鉤爪のようなV字尾翼という異様な外見。
- SM-27 マシェーテ:2020年代に販売を目指している双尾翼・二重反転プロペラのプロペラ機。しかもそれで防空戦闘機とA-10をはじめ既存の攻撃機の後継を名乗っている。
- SM-28 マシェーテ:SM-27のジェット版。これがあるならなぜプロペラ機も出したのか...。しかもジェットなのに予定されている用途に戦闘機がない。
- SM-47 スーパーマシェーテ:前進翼になったSM-28。同じ前進翼の先駆者Su-47よりも高速になる予定。そして『軽』戦闘攻撃機なのにA-10に匹敵するレベルの重武装。
- SM-47 T-X:練習機版。アメリカ空軍次期練習機T-X計画のトライアルに参加したとのこと。
- SpaceX社:宇宙開発ベンチャー企業。PayPalの創始者イーロン・マスクがそこで得た巨額の利益を半ばそのまま突っ込んで活動している会社なため、依頼さえ入ればロケットをポンポン打ち上げるある意味とても米国面らしい企業。火星探査も計画してるとか。
- ファルコン9:主力ロケット。一段目を再利用することで大幅なコスト削減を目指し、試行錯誤中。なお、回収は一段目が分離後洋上プラットフォームに着陸脚を広げてパラシュートなしの逆噴射で垂直に着艦するという実にシュールな方式。ちなみに名前はミレニアム・ファルコンから取ったそうな(イーロン・マスクの茶目っ気のあるネーミングは定評がある。例えば洋上プラットフォームの名前はイアン・M・バンクスの『ゲーム・プレイヤー』からの引用で「指示をよく読め」号と「もちろんいまもきみを愛している」号)。
- ファルコンヘビー:ファルコン9のアッパーバージョンというか、ファルコン9を三本束ねたら搭載量も三倍になりましたという三本の矢的わかりやすい発想。回収機能ももちろん健在。なお初号機のペイロードはイーロン・マスクの愛車「テスラ・ロードスター」。
- スターシップ:開発中の次期主力ロケット兼宇宙船。某社長が乗る宇宙船と言えばわかりやすい。上段(宇宙船部分)が「スターシップ」、下段(ブースター部分)が「スーパー・ヘビー」というあまりにも直截的なネーミングもさることながら、「炭素繊維より耐熱性に優れてる上に安いぞ!」という理由で胴体の素材にステンレス鋼を採用したため、機体全体が光り輝いている。お前はSF映画のセットか何かか? しかし、外見よりもっとSFめいているのがそのスペック。まず全長118m、直径9m(実用化すれば上記のサターンVを超えて史上最大)の胴体、さらにその巨体を持ち上げるための37基の下段エンジン(物量でごり押すのが得意な赤い国の月ロケットですら30基にとどまる。しかもそっちの発射テストは全て第1段エンジンのせいで失敗している)、そして最大搭乗員数100人(100人乗っても大丈夫!)と、どれをとっても規格外のデカさを誇る。ちなみにお馴染みの回収機能はさらなる進化を遂げ、発射台に帰ってくるようになった。え、こんなモンスターマシン何に使うんだって? そりゃもちろん火星移民だよ。
- なにより恐ろしいのは、この超巨大宇宙船の打ち上げ費用が700万ドルだという点である……桁が2つ違うだろって? いいえ、間違いじゃありません。700万ドルです。いくら機体全体を再使用できる構造とはいえ、価格破壊もいいところである(参考までに、サターンVの打ち上げ費用は5億ドル、一部再使用型のスペースシャトルは15億ドル、日本のH-2Aが9000万ドル、ファルコン9ですら6000万ドルである)。
- そして2023年4月20日にとうとう軌道飛行試験(運用時と同じ状態での打ち上げ)を実行。結果、離陸には成功したもののエンジン数基が停止し上下段の分離に失敗したため空中で爆破処分された。ちなみに離陸時のエンジン噴射がヤバすぎて発射台の基部を地面ごと抉ってしまい、文字通り粉微塵になったコンクリートが10km先にまで降り積もったという。
情報関連
- Pentium D:1つのパッケージの中にPentium4のCPUダイを2つねじ込んで「ほら、デュアルコアだ。文句ある?」と言い張った。
- Core2 Quad:まだ懲りてなかったIntel。但し性能はそこそこ良かったので結構売れた。
- AMD:パソコン向けCPUの世界シェア第2位。と言っても王者Intelとの間には9:1以上という圧倒的シェアの差をつけられている。そんなこの会社の趣味は殿様ってるIntelを崖から突き落とすこと。
- Athlon:市販されるPC用CPUとして初めて動作クロック周波数1GHz突破を果たし、センセーションを浴びた。ギガヘルツ神話の時代が幕を開き、各社クロック周波数の向上に躍起になっていくが……
- Athlon64:……の、Athlonを開発したAMDが突然「クロック周波数だけじゃ性能向上に限界あるよね、エコじゃないし」とか言い出したもんだからクロック周波数を上げることを念頭にNetBurst(Pentium4)の開発に躍起になっていたIntelを絶望のドン底に叩き落とした。ついでにIntelが頑なに拒んでいたx86命令の64bit版を開発し(つまりx86_64、x64はAMDがオリジナルでIntelが互換品)、Intel独自のIA-64がちぃとも進まない状況に業を煮やしたMicrosoftを味方につけることに成功。この時Intelは本当にやばかった。P6(PentiumIII)の正統進化系であるPentium Mが無かったら、地獄のフチを彷徨うところだった。
- Xbox:Microsoftが開発したゲーム機。一見すると単なるゲーム機のように見えるが内部的には部品・設計共にPCのものが多数流用されており、「ゲーム特化型PC」「ほぼパソコン」とも言える代物である。またHDDには子供に手荒に扱われることを想定し軍用でも使える品を採用するなど、「力業」と「合理性」を兼ね備えた色んな意味でアメリカンなマシン。
- ATARI Lynx:Epix社開発、ATARI発売の携帯ゲーム機。…なんだがCPUには65816(早い話がスーパーファミコンと同系列のCPU)を採用し、ディスプレイには4096色のカラー液晶を採用したという代物。しかもSFCに先駆けてスプライトの拡大縮小変形機能をサポート。「当時の技術で携帯型スーファミ作っちゃいました」なマシン、といえば、どれだけ力業のマシンかわかるはず。燃費?カラー液晶でゲームボーイと差別化したゲームギアが単三6本で3時間程度の稼働時間の時代です、察しろ。
機械関連
- GEインスペクションテクノロジーズの超音波探傷器
- USM25・USM35・USM36:GEインスペクションテクノロジーズの超音波探傷器。問題はインターフェース。「画面横のファンクションキーで設定項目を選び、左右のダイヤルで値を増減する」という操作方法を採用しており(ソニー製の携帯電話等を使った経験のある人なら「ジョグダイヤル」を想像すればいい)、十字キーやテンキーなどに慣れていると初見では確実に面食らう。尚
- USM Go:USM25/35の後継機。今度は操作系がほぼ左端の十字キーに集約されているというかなりの割り切り仕様。
- ちなみに、GEの探傷器部門たるGEインスペクションテクノロジーズ(現GE Measurement&Control)は元を辿るとドイツ系企業に行き着く。
- 接着剤:近年のアメリカの電子機器類はガワに関しては、ネジ止めや爪で止めるのですらなく「接着剤で貼り付けて完成」というのが多い。いや、確かに作るのは楽だけど、整備性は…。
流通・小売関連
- アメリカのスーパーマーケット:とにかくでかくて広くてなんでも揃えるウォルマート、トラックから荷降ろししてそのままパレットごと売り場にPON☆と置いたような陳列方法のコストコなど、「規模」「量」そして「雑」を併せ持ったような物が多い(特に大手)。ただしその分格安を実現しているチェーンも数知れず。
- スーパーセンター:小売店の形態の一つ。とにかくだだっ広い平屋の店舗にありとあらゆるジャンルの商品を置き、会計は集中レジ一箇所で行うという雑さもとい合理性の極地のような店舗。日本だとMrMaxやベイシア、トライアル、西友なんかが時々この形態の店舗を開業させている。あまりに雑な発想だが構造上バリアフリー化が容易という美点も。
銃火器
- ケルテック社:ワッフル模様のプラスチック外装が特徴的な小火器製造会社。拳銃は無難な製品ばかりだったが、ブルパップ銃は前方排莢機構の自動小銃やダブルチューブマガジンのショットガンなどの変わった構造を持つものを製造している。品質よりもアイデア勝負といった製品ばかりではあるが、品質が良くないといっても大手メーカーのそれなりの値段の製品と比較してであって十分な品質は持っており、安い事もあってか意外と売れている。そしてついに拳銃でもやらかし、裏返したP90のマガジンを銃身とフレームで挟むように搭載する拳銃P50を発表した。
- AR-15の民生用オプション:AR-15は二つに分割可能で、ロアフレーム側のみ登録がされるためにアッパーフレーム側を複数持って自由に交換するといったことが可能なのだが、そのおかげでとんでもない種類のアッパーフレームが登場。5.56mm弾以外の7.62mmや.410ボアショット等に対応や銃身交換を容易にして一つの銃で複数の銃弾に対応できるマルチキャリバー化といったまともなものから、ベルトリンク弾薬に対応、12.7mm弾用シングルショット、コンパウンドボウ、缶ランチャー、ポンプアクション式と言ったとんでもないものまで登場。量産品でこの有様なので個人製作レベルの少数製造品まで含めれば同時発射のダブルバレルシングルショットや先込式のマスケットといったとんでもないものも登場している。
- 0%ロアフレーム:上記のようにAR-15はロアフレームが主要部品として登録されるのだが、ユーザー自身が加工をして仕上げるのであれば未完成品であれば管理番号なしの未登録で販売可能(所謂80%フレーム、銃規制の一つであるGCA68に準拠)な事から違法な銃火器としてたびたびATFの摘発対象となったり製造会社が捜査されたりしている。もちろん会社は基本的に銃規制に従って製品を製造しており、ユーザーにも売買の際や盗難の際に問題とならないように番号打刻の上で登録を勧めているが、ATFは知ったこっちゃないとどこかがやらかすたびに圧力をかけている。そこでとある会社がATFに対する嫌がらせとして販売した未完成品で、ロアフレームが削りだせるサイズの鍛造アルミ塊をビレット(削りだし)フレームとして発売した。こんなものでもATFは違法な銃火器となる製品か調べなきゃならんのである、それが銃の形すらしていないアルミ塊であったとしても主要部品となる製品である以上は。
- AR-15クローン:アメリカで売られている弾薬に対応していないものはないというほど種類が出ており、機構も様々で、必要とあれば互換性を捨ててでも部品の強化を行って対応、フレームが耐えられなければ大型化も当たり前。ボルトアクション向けの長距離狙撃銃向けの大口径マグナムライフル弾を使用するセミオートAR-15まで登場している。クローンというもののここまで弄ってしまえば構造こそAR-15そのままであっても互換性は完全に捨てており、流用できる部品はグリップやセレクターといった少数の部品のみとなっている。
- バンプファイアストック:アメリカではフルオートの銃火器の所持は難しい地域もあり、民間の所持を禁止する法律も存在する。これに抵触せずにフルオートで銃を撃ちたいという人のために開発されたのがバンプファイアストックである。これはグリップとストックを一体化したパーツであり、パーツを装着した銃本体はパーツと直に接触しておらず、発砲のリコイル(反動)で銃本体のみが前後動(スライド)を行う事で、フルオートを再現するというものである。これを装着すれば、それがセミオートライフルであっても、かつ射手がバンプファイアの技術を体得していなくとも、トリガーを引くだけで簡単に擬似フルオート連射を行う事が出来る、というもの。ちなみに、スライドに固定スイッチが付いているものは、ストックを固定してセミオートに切り替える事が出来る。対応するストックはAR-15とAKで出ており、同系列の散弾銃でも装着は可能である。
- クランク式連射装置:フルオートの定義は一度のトリガー操作で複数の弾が発射されるというもので、連続してトリガー操作して疑似的にフルオートを再現することは規制されていなかった。そこでトリガー部にクランクを介して連続してトリガー操作をする機構を取り付ける事で規制に引っかからずに連射を行えるというもの。こちらはあっさりとフルオート化するパーツとなってしまい規制対象に。
- 片手保持用補助装具:アメリカではライフルベースでも条件を満たせば、拳銃として登録・使用が可能である。コレに目をつけたある会社がAR-15の構造(AR-15は基本的にボルトの往復運動のためにストックチューブ内にスプリングを入れなければいけないため、チューブが必要なのである)に目をつけここにストックの代わりに片手保持用補助装具(アームブレース)を装着して片手でライフルを保持できるようにするというものである。登場当時、銃火器業界でかなり話題となり、これにはATFが違法ではないか?という騒動があったが、最終的にはストックのように補助装具を肩に当てなければ合法とされているが判断は合法と違法を行ったり来たりしている。現在ではAR-15以外にもAKやMP5など民間版の銃火器にも対応した同種の製品が出回っている。
- M249S:FN USAが企画した民間用のセミオート(単射)オンリーの軽機関銃。もちろん実用目的ではなくコレクション向けであるが、フルオート射撃が出来ない以外はそのままの機能を残しており、簡易な銃身交換やベルトリンク弾薬の使用も可能。後に短銃身も付属したParaモデルも登場。
- キャリコ M100:キャリコ社の開発した民間向け自動小銃。ヘリカルマガジンという独特の弾倉を採用し装弾数100発を実現した。お前のような自動小銃がいるか。が、いざ民間に売り込もうと思った矢先に装弾数等を規制するアサルトウェポン規制法によって販売不可になってしまい、代わりに軍や警察へ売り込んだら独特の装弾機構が災いして「ジャムりまくるしMP5でいいわ」と言われてどこからも採用されなかった。まぁ他社の軍用カービンライフルと比較したら装弾数以外に優れた点は特になかったので...。同じマガジンを搭載した50連発の拳銃タイプやM10/M11に同じマガジンを搭載するキットもあったがやはり信頼性が悪く採用されず、その結果開発元のキャリコ社は倒産。
- ちなみに装弾数規制失効によりキャリコ・ライトウェポン・システム社として復活。レール付きハンドガードが付くなど近代化してM100の販売は継続中。
- また、日本ではM100のエアソフトガンが小型の銃でありながら大容量弾倉にフルオート可能とサバゲで優秀な銃として人気があり、拳銃型のM950を某目が死んでる魔術師殺しがコンテンダーと共に使っていた事から一部の界隈では結構有名だったり。
- ジャイロジェット・ピストル:MBA社が開発・販売したロケットプロペルド・ハンドガン。もっとわかりやすく言えばロケット推進の専用弾丸をぶっ放す拳銃...いや、はっきり言おう超小型のロケットランチャーと。構造がロケランなだけあって本体の構造は非常に単純で、なんとプレス成形の左右貼り合わせ式モナカ割りのフレームをネジ止めして完成、しかも「踏めば潰れる」と言われるほど剛性のない造り。市販のエアガンだってもうちょっとマシな造りだろう。火器としての特性や利点欠点はロケットランチャーの項を参照。
- ちなみにMBA社はこれがうまくいったらライフル版や機関銃版も作るつもりだったとか。
- サンダー.50BMG:トリプルアクション社が技術デモンストレーション目的で開発した、 .50BMG弾(バレットM82等の対物狙撃銃やM2重機関銃で使う12.7mm実包)をぶっ放せる試作拳銃。重量5kg、油断すれば発砲の反動で銃本体が跳ね返ってきて顔面強打しかねない、拳銃といっていいのかすら怪しい代物。
- ドッペルグロック:グロック二丁を向かい合わせに繋ぎ合わせた、紅茶とコーラが激しい化学反応を起こしたとしか思えない変態拳銃。変な持ち方を強要してくる銃など誰が想像しただろうか...。一応利点として、左右同時に撃てばスライドの反動が相殺し合って高精度の射撃ができる、と開発者は語っているが、その効果は左右とも完璧に、同時に、寸分違わず発砲しないと発揮されない。
- SilencerCo:社名の通りに銃火器用サイレンサー専門のメーカーであるが、ショットガン用サイレンサーなどの各種銃火器用やそれを取り付けるためのアクセサリーを開発するだけでは飽き足らず、グロックをベースとしたサイレンサー一体型拳銃やコンテンダー風中折れ機構を持つサイレンサー付き銃身を備えたマズルローダーといったオリジナルのMAXIMシリーズを開発。
- エイガー機銃:南北戦争中の1861年に開発された、最初期の機関銃の一つ。四角い漏斗型の弾倉に弾(紙製薬莢の実包を金属製の筒に入れたもの)をジャラジャラと入れ、その弾が機関部へ重力で一発ずつ落ち、クランクハンドルを回すことで連射できる。その弾倉とハンドルの外見からコーヒーミル・ガンとも呼ばれた。発射速度は毎分120発。リンカーン大統領の興味を引いて北軍が購入した……が、実戦ではほとんど使われずに戦後売却された。当時はまだ機関銃の価値がちゃんと理解されていなかったようで、「弾の消費が激しすぎる」という批判があったこと、ジャミングを起こしやすいなどの問題があったことが理由とされる。しかし『オーバーヒート対策として銃身を交換可能』、『鋼鉄製の防盾付き』などのアイディアは後世の単銃身機関銃に受け継がれている。
その他
- 一風変わった?色彩感覚-:青色とかのケーキを作ってみたり、派手な色の馬のキャラクターを生み出したり……
- お前らに言われたくない:はいすいません。
- あと変な色の馬のキャラならあんたらのとこにもいるよな?:サーセンwww
- ハリウッド映画:大作級となれば予算は万で3~4桁は当たり前、最新技術は惜しみなく投入、爆発も特殊効果も惜しみなく使うという、ある意味非常にわかりやすい米国面の例。
- ILM:ルーカスフィルム傘下の視覚効果・CGIを扱う会社。元々はスターウォーズ第一作制作を既存の企業に断れまくったジョージ・ルーカスが草の根運動で立ち上げた自主映画制作愛好家の集団なのだが、70年代からずっと映画業界の視覚効果を牽引しているのみならず、常にCGI技術の最先端を走ってる。まだまだ模型によるストップモーションアニメや特殊効果が主体の時代にフルCGの恐竜を実装して映画業界に大転換を起こしたなど、映画史に残るような偉業を乱発しているうえに、主要メンバーにアカデミー賞14回ノミネート8回受賞とかフォトショップの開発者などすんごい人たちがいるある意味リアルアベンジャーズ。ちなみに「アベンジャーズ」含むマーベル作品群の制作も請け負っているまさしく光と魔法の技術者集団。最近は俳優たちを若返らせる技術を確立したとか。
- ハロウィン:実はアメリカに渡って魔改造されたお祭り。元々アイルランド界隈のマイナーなお祭りだったがアメリカに伝えられた後、文字通りの魔改造を受けて今の形に。仮装行列や子供がお菓子をもらう風習などもアメリカ発祥。
- チャリオット作戦:アラスカ州の一部で計画された核兵器を用いた土木工事。アラスカ州の一部に水爆による核爆発で穴を開けて人口の湾を作り港として運用するという計画。生態系への影響や放射能汚染などの問題が山積みだったため(当たり前だ!)中止となる。
- 「合衆国(United Stats)」と書くと自国の事だと思っている件:まさかとは思うが、メキシコとの仲が悪いのはこれが原因じゃないよな?。ちなみに巷に溢れる英文というか米文でこうなっているため、英語が破滅的に読めない日本人は「はー、アメリカ合衆国を『アメリカ』って呼ぶのは日本だけなんだな」と思いがちだがイギリスではアメリカ合衆国の事を「America」と略している。
- リチャード・フィリップス・ファインマン:ファインマン・ダイアグラムなど数々の物理学における発見をし、晩年にはスペースシャトル『チャレンジャー』の爆発墜落事故の原因を突き止めた、ノーベル物理学賞を受賞した天才と言う名の変態。
- バラク・フセイン・オバマJr:アメリカ合衆国第44代大統領にして、日本のテレビ東京に緊急特番を放映させた男。
- ヒーローに対するこだわり:古今東西現実架空構わずに「ヒーロー」や「英雄」と呼ばれる存在に対するこだわりは異常(褒め言葉)。アメコミヒーローは言うに及ばず、国外から輸入した特撮番組が社会現象レベルで大ヒットしたり、第二次世界大戦の時に本土に唯一爆撃を行ったかつての敵国パイロットの偉業を本気で讃えちゃった上に爆撃地点に記念碑まで作ったり……
- オカルトへのこだわり:確実に元宗主国からの遺伝。
- ヤード・ポンド法へのこだわり:殆どの国がメートル法に切り替える中、この21世紀になっても未だに「相互に関係のない慣習的な各種度量衡単位の寄せ集め」であるヤードポンド法を使用している。当人たちは「使えれば問題ない」と主張しているが、航空事業や宇宙開発などの分野で普通に事故の原因にもなっている。合理主義どこいった。なお、最近は極東の島国に源流を持つ某スマホゲーの影響でひっそりとメートル法の啓蒙が進みつつあるとか。
- グロにこだわる洋ゲー:日本製のゲームと比べて出血やグロ描写がやたら多い。分かりやすい例が格ゲー。日本が脱衣KOや乳揺れする格ゲーを作っているころ、アメリカではKOした敵を様々な方法で惨殺するゲームを作っていた。なんでも萌え化する変態国の真逆を言っていると言えよう。一応補足しておくと常に何でもありというわけではなく、時期によっては対象となる年齢次第では厳しい規制が行われているので日本だと普通に出せたものが北米版では規制対象となって変更しなければならなかったものもある。
- ダクトテープ:日本で言うガムテープ相当の粘着テープ。…なのだが、アメリカじゃ「壊れたらとりあえずダクトテープで応急処置」というのが基本。車も飛行機も住宅も。
米国面が世界を変えた例
異論や批判はあっても、なんだかんだで“世界のリーダー”たるアメリカなのだから、もう枚挙に暇がない。実は“一番乗り”を逃した分野も少なくないのだが、すぐに追いつき、さらには地球規模で“必需品”レベルまで普及させてしまう底力は、他ではなかなか真似できない。
特に20世紀後半では、その傾向はよりいっそう加速している。
ただし鉄道は除く。イギリスの弟子筋がもはや師であるイギリスでさえ「なんでそんなところを走っているのか」解らない状態なのでさしものアメリカも太刀打ちできないっつうかしてはならない。もっとも、その原因を問いただすとだいたいフランスのせいで片付く。
- 飛行機:もう言わずもがな。ライト兄弟の“世界初の動力飛行”(信じられない話だが、当時は「人類に動力飛行は不可能ではないか?」とさえ言われていた)に始まり、ジェット時代に多少の後れを取ったものの、たちまち挽回。今や民生・軍需、両分野とも“必需品”であり、ライバルの台頭にさらされつつも、なおもトップランナーの地位を維持し続けている。(まあ、先述の死屍累々については、失敗は成功の母ということで……)
- 空中給油:軍用機と航空戦術の発展はこいつなしではあり得ない。1920年代からアメリカで研究され始めてるところを見るに流石は飛行機大国と言ったところか。元々はかなり危険度が高く、飛行記録樹立くらいにしか使われていなかったものを広大な太平洋戦線で運用する為の本格的な研究に始まり、陸軍航空軍が空軍として独立しソ連との冷戦が勃発すると爆撃機をソ連領最深部に到達させる為の有効手段として実用化に漕ぎつけた。その後ベトナム戦争で運用方法が確立した空中給油は、現代の航空戦においてはなくてはならない存在となり、戦略爆撃はもちろん、制空、防空、偵察、輸送、救難などあらゆる分野で必須となっている。
- 人工衛星:“一番乗り”こそソ連の後塵を拝したものの、実用面、一般化の分野ではアメリカの勝利と言っていいだろう。通信、航法、気象観測などなどなど、人類が受けた恩恵は計り知れない。ちなみに、最も身近な“GPS(グローバル・ポジショニング・システム)”の元祖ナブスター1号が打ち上げられたのは1978年。30年以上をかけて携帯電話に内蔵されるまで普及したのだ。
- 電化製品:これも解説不要。トーマス・エジソンやグラハム・ベル以前から電球、電話の原型は完成していたが、実用化、一般化を為し得たのは、両者を筆頭としたアメリカの力。今や電気なしの生活など、先進諸国では考えられない、つか、ムリ。
- リバティ船:アメリカの戦時標準船。当時最先端の溶接とブロック工法を採用し、2700隻以上も作りまくった色んな意味で米国面全開の輸送船。Uボートの脅威に手を焼いたアメリカが「沈められる以上に造ってしもうたらええんや」と、一種の“飽和戦術”的に大量建造した次第だが、その理屈は絶対おかしい(もっとも、そのように考えたのは敵国のカール・デーニッツなんだが……)。溶接における脆性破壊の研究が未成熟だった初期には船体が突然真っ二つになるなどの大事故が多発したが、そのおかげで溶接技術の発展にも多大なる貢献をした「海のデ・ハビランド コメット」とも言える船でもある。後半は性能・品質も安定し、終戦後に余剰となった分は気前よく敗戦国にも譲渡・売却。1970年代まで世界の海運の一角を担ったという、どこどこまでも桁違いな船であった。
- 核兵器:……言わずもがな、悪い意味で世界を変えてしまった例。日本人にとっては、最悪の悪夢の1つ。アメリカ一国が「切り札」として独占できた時期はつかの間。ソ連を皮切りに、徐々に、しかし確実に保有国は拡散・拡大を続けている。冷戦終結後は、アメリカを始め先進諸国は核戦力の削減を進めているが、拡散に伴い地域紛争やテロで核が使用される懸念はむしろ増大……(こわい考えになってしまった)
- コンピュータ関連全般
- 掃除用ロボット:最初に技術開発を進めたのは日本のメーカー。なのに最初に成功し元祖と目されるようになったのはiRobot社のルンバ。日本の会社が「100%の安全確保ができない」と製品化に二の足を踏んでいる間にiRobot社はトラブル時のルールづくりを進め、新市場は丸々ルンバのものとなった。
- インターネット:これもまた言わずもがな。インターネットの原型ともいえる世界初のパケット通信ネットワークシステム「ARPANET」は、広大なアメリカに点在する大学の研究機関を相互接続するために開発されたものである(『核戦争下でも使用可能な通信システムとして開発された軍事技術』と言われることがあるがこれは誤り。米国国防省が関わってはいるが、あくまで先述のDARPAの前身であるARPAを通じて投資を行っただけである)。これがなければ当然このPixivも存在し得なかった。詳細はリンク先も参照。
- コンピュータゲーム:生まれたきっかけが原子力関連の研究所を一般公開したが見学者がつまらなそうにしてるからだったり、テレビがつまらない番組ばっかりならどうすればいいかだったりどこかずれている。
- 自動車排出ガス規制:1970年大気浄化法改正法(通称:マスキー法)として誕生。「排気ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の排出量を、新車ベースで5年間で1/10(目標値はNOxで0.4g/マイル)に減らせ。でないと販売を許さん」という、当時としては世界一厳しい内容だった。ビッグスリー(ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー)が「無理だ!」と猛反対して潰した…かに見えたが、なんとホンダやマツダを筆頭に日本メーカーが(セルフで更に厳しい基準を勝手に設けてしかもクリアしているため)あっさりクリアし西欧メーカーも続く。クリーン化技術の三元触媒は低燃費化促進にも貢献し、以後アメリカ自動車市場は「排ガスがきれいで低燃費」な日欧車に蹂躙される皮肉な結果になったのはご愛嬌というレベルじゃねえぞ。
- 不屈のBIG3:だがBIG3はただ政治的な解決のみをもって自らを保身しよしとしたわけではなかった。一方で日本車に学んだのである。上記フォード・ピントのようなネタも残しつつも、バブル崩壊で資本不足に悩まされた日本車メーカーと提携したりすることで技術を吸収。当時長距離ドライブ用のV8車・V12車ばかり造っていたのをやめ、経済的な直4車(1,500~3,000cc)、その折衷的なV6車(3,000~4,000cc)も市場に登場し少なくとも米国内では受け入れられた。その中にはクライスラー SRT-4などいい時期に右ハンドルで輸入していたら日本の2大変態4WDラリーカーに次ぐ第3勢力になっていたかもしれないクルマもある。さらに意外なことに低燃費技術や排ガス浄化システムなども日本メーカーに伍して研究を進めている。一方日本の技術を単純にコピペしてそれをよしとした欧州メーカーが今度は一転、フォルクスワーゲンのポカで苦境に立たされることに……
- 車社会:上述のスーパーマーケットと深い関わりを持つ。80年代バブル期までは鉄道社会だった日本に圧力をかけ1991年に大規模小売店舗立地法を成立させたことで地方にショッピングモールが乱立し、地方都市の交通を車が鉄道業界から奪う事となり瞬く間に衰退させた。しかし地方の交通は依然として車一強で、物価が安いという地方の強みが自家用自動車の維持費に全て消え去るという本末転倒な事態が続き、鉄道社会が主流の都心に若者が流れていく原因にも一役買っている。
- 車社会(余談):アメリカの“モータリゼーション”は20世紀初頭には立ち上がっており、当然ガソリンの需要もうなぎ登りだったが、副産物の重油はだぶついていた。その最大の買い手は、実は日本、とりわけ日本海軍だった。当時の日本は自力での石油精製がままならず、(よりにもよって)仮想敵国からの輸入に頼るほかなかったのである。後に航空戦力の発達につれて自前のガソリン精製に着手したものの、十分な量も能力も確保できないまま、とんでもないツケを支払わされる格好に……
- 飲食物:
- リボルバー:発想そのものは米国完全オリジナルとはいかなかったが、19世紀半ばにコルトによって爆発的に広まった。射程距離こそたかが知れているが、連射可能かつ装弾もそれまでの銃より容易(=短時間で済む)で丈夫、更に取り回しも良好と、兵器としては画期的なまでに優秀だったのである。単純構造故に経年劣化に強いため、黎明期のモデルは実用品兼芸術品として需要と人気がかなり高い。
- ジミー・コナーズ:1975~90年代まで活躍した伝説的テニス選手。スピード&パワーのスタイルを初めてテニスに持ち込み、闘志を前面に出すプレーぶりと相まって「野獣(ビースト)」と称された。当時木かアルミかが常識だったラケットは鋼鉄製のウィルソン・T-2000。子供のころから室内の板張りコートで鍛えられたライジングの強打、当時では珍しい(男子選手ではビョルン・ボルグと彼くらいだった)バックハンドの両手打ち。それまで「優雅なスポーツ」だったテニスを「格闘技」と呼ばれるまでに激しいものに変えてしまった。ATPツアー(大会)109勝はもちろん歴代1位。
- デカラケ:テニス関連でもう1つ。1976年、それまで打球面面積が70平方インチ程度であった従来型ラケットの約1.6倍、110平方インチの巨大な打球面をもつラケットがプリンス社から発売された。考案者のハワード・ヘッドが拙い自分でもテニスを楽しめるように、と考え出した物であるだけに最初は「へたくそが使うデカいラケット」と揶揄されたのだが、巨大な打球面の潜在能力は彼らの想像の域をはるかに超えていた。なにしろ、野球のバットと大して変わりない大きさでしかなかったスイートスポットがスイートエリアへと拡大、どれだけラケットを振り回そうと気持ちよい感触と共に凄い打球が相手コートにかっ飛んでいく。コナーズのパワーショットが、ボルグの超絶スピンが誰でも簡単に打てるとあればテニスで飯食ってるプロが使わないわけがない。デカラケ発売後半年もしないうちに、プロテニスの男女世界ランキングは総入れ替え、あっという間に「デカラケでないと勝てない」状態になってしまった(しかも、柔軟にデカラケに乗り換えた当時のランキング上位者はすんなり生き残った)。その後紆余曲折を経てラケットは最大サイズをルールで定められることに。「大きいことはいいことだ」をまさに地で行った、というお話。
- 海上コンテナ輸送とコンテナ船:「荷物をまとめて箱に詰めて運ぶ」というアイデア自体は18世紀の英国運河時代まで遡るが、このコンテナ輸送を世界規模まで拡大させたのはアメリカのトラック運転手でありのちに実業家となる、マルコム・マクリーンである。彼は港で港湾労働者たちがせっせとトラックから船へ荷物を積み替えているのを待っている中、「こんな無駄なことをしないで、船にトラックをそのまま積んだほうが楽じゃね?」と考え、会社を大きくして中古の貨物船を購入して改造し、トレーラーをそのまま積み込む貨物船を作った。これはのちに「RO-RO船」という、貨物専用のフェリーへと発展する。しかしマクリーンは「キャブとシャシーのスペースが無駄だ!こうなったらトラックの荷台を分離させてそれを専用の船に積み木のように積んでしおう!」と考えた。こうしてコンテナが発明され、彼はこれを実現させるために自分の陸運会社を売り、船会社を買収。そして再び中古の船を改造してコンテナ船を作り上げた。このコンテナを使った輸送方法は瞬く間に世界に広がり、そしてコンテナターミナルという専用の港も整備された。もちろんトラックや鉄道でも海上コンテナは運ばれるようになり、世界規模での海陸一貫輸送が実現した。今や石炭や石油以外の輸出品はすべてコンテナで運ばれていると言っても過言ではない。
- アメリカ3大カートゥーン:元々短編アニメをいちジャンルとして制作していたのはディズニーぐらい。他のアメリカ・カートゥーンは元々映写機が手掛けだった頃、長編映画のフィルム掛替の際のミニコーナー的に制作が開始された。この為アメリカ・カートゥーンのターゲットも最初は長編映画を見に来る大人であり、ブラックジョークが多いのもこの為。この内、ワーナー・ブラザーズの『ルーニー・テューンズ』(“バッグスバニーと仲間たち”)と、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーズ(MGM、アイキャッチがライオンの咆哮で有名なとこ)のカートゥーンシリーズが一歩抜きん出てヒットし、これにディズニーを加えてアメリカ3大カートゥーンとなった。『MGMのカートゥーンシリーズ』は後に『トムとジェリー』となる。アダルトエンターテイメントだったがテレビ放送が始まるとたちまち子供に大ヒット、さらに日本に輸出され、今日の日本のアニメ製作のきっかけになった。
- 苦戦するディズニー:意外にも3大手の中では出遅れてしまっていたのがディズニー。理由は、戦後ミッキー・マウスが優等生になりすぎ、ルーニー・テューンズやトムとジェリーの過激さに対抗できなくなったのだ。その代わりに「ミッキーの友人」ポジから一躍主演作品が増えたのがディズニーいちのタカ派と呼ばれるドナルド・ダック。そしてそのドナルドをおちょくる役としてチップとデールがレギュラーキャラとなる。
- 善戦するディズニー:カラーテレビ時代に入るとアメリカ・カートゥーンは日本アニメの人気に圧され始めるが、ディズニーは日本アニメを研究し「ディズニーの既存キャラを使い、近似のフォーマットでテレビ用低コストアニメを供給する」ことをいち早く決断、この最初の作品が『DuckTales』(1987版、邦題『わんぱくダック夢冒険』)である。ちなみにシーズン1は外注で、その外注先が日本の東京ムービー新社だったのはナイショだ。
- ライオンのあれ、最近見ねぇなぁ……:潰れた。『トムとジェリー』も含め、高コスト体質から抜け出せず、そこへ持ってきて日本のアニメの侵攻を受けたためディズニーの様にそれを吸収したり反撃したりできなかったのである。ブランドは再建途上だが、多くの作品の版権が資金確保のために他社に渡り、結果、現在『トムとジェリー』の版権を持っているのは、皮肉にもかつてのライバルであるワーナー・ブラザーズである。