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概要

過去の人々が思い描いた未来のこと。

2020年代の現代においては、19世紀後期から20世紀中期までの人々が描いた未来像への懐古趣味や、現代との比較を楽しむことを指すことが多い。


かつての科学万能の夢がオイルショック公害環境破壊経済の低迷などの現実に破れ、すぐにでも実現するはずだった宇宙開発に至っては一向に進展を見せないなど、「かつて思い描いていたバラ色の未来」が実現してはいない。


これからの社会の将来や世界情勢に明るい希望が持てない時代、レトロフューチャーという趣向は「かつての、希望と躍動に満ちあふれた未来を思い描いた時代」への一種の「郷愁」であるとも言える。


19601970年代に設計され、当時描かれたレトロフューチャーの姿を先取りしたような存在の乗り物のうちいくつか(東海道新幹線0系営団6000系グラマンF-14トムキャットスペースシャトルコンコルドなど)は21世紀初頭まで長きにわたり活躍した。0系や6000系のように「成功」とみなされ直系の後継機が現在も活躍しているものもあれば、スペースシャトルやトムキャット、コンコルドのように「失敗」と評価され直接の後継機がないまま引退したものもあるが、現在はいずれもその役割を終え20世紀後半を象徴する存在として記憶されている。


ただ、中には「日々の生活の中では実感していなかったが、気がついたら実現していたこと」や、「従前からある技術が思いのほか進歩してしまったこと」「技術的には可能だが、環境面や安全面、倫理面で問題があり実現しなかったこと」が結構あったりする。連続した日々だから気付かないのであって、ふと後ろを振り返れば確かに21世紀は来ているのだ。

  • 「気がついてたら実現していたこと」の例は、コンピューターの普及と超高性能化、結核白血病糖尿病エイズといった、かつて「不治の病」と言われた病気の治療法の確立など多数ある。
  • 「従前からある技術が思いのほか進歩してしまったこと」としては、高速鉄道としてのリニアモーターカーが、鉄輪で最高記録575km/h:TGV、営業最高速度320km/h:新幹線を実現してしまったため、エネルギーコストにつりあわなくなったことなど。
  • 「技術的には可能だが、環境面や安全面、倫理面で問題があり実現しなかったこと」の例は、エアカー(宙に浮かせるだけエネルギーのロス。普通にタイヤで荷重を支えて走った方がずっと合理的)などがある。今日「空飛ぶクルマ」と称されるものは短距離飛行特化のVTOLであり、エアカーでもスカイカーでもない。
  • ロボット兵士や手術ロボット、身体障害者用のサイボーグ技術(筋電義手)も21世紀初頭においてすでに実用化されている。

派生

SF作品の1ジャンルであるサイバーパンクスチームパンクを含める場合もある。


「レトロフューチャー」が流行しはじめたのは1980年代だが、21世紀から見ると80年代も既に過去の時代である。同年代の『ターミネーター』や『ネメシス』、『エイリアン』『ロボコップ』といった作品のレトロフューチャーは、80年代レトロフューチャー等と呼称される。


また、後述するような「未来の技術」として発表当時の最先端技術を描いたが、後年の現実では廃れたような物が普及している世界もレトロフューチャーと言える。

令和の現在では既に2000年代初期のSF作品であっても一部はレトロフューチャーと呼べる時代になってきている。


関連作品

近未来を描いたSF作品は時間の経過により必然的にレトロフューチャー化してしまう。しかし、科学考証を無視した時代錯誤な設定、発表された時代としても古めかしく見える要素を意図的に取り入れた作品も多い。


漫画連載は1958年から1968年に連載、テレビアニメは1963年から1966年にかけて放送された。

21世紀初頭が舞台のはずだが、昔のブラウン管のような「丸くふくらんだ箱形モニタ」(昔のブラウン管は角が丸く、画面の中央が盛り上がった形だった)などのレトロなガジェットが多数登場する。中には「電報配達員」や「後払い式の公衆電話」など、既に廃れて久しく今の読者には理解できないようなものもしばしば現れる。ただし、このような要素は「当時の読者に親しみを持ってもらうための手段であった」と作者は言っている。


 ドラえもん22世紀から「ひみつ道具」を携えてやってきたという設定だが、作中に登場するひみつ道具の多くが意図的に懐かしめの器物を模した形状にデザインされている。原作の漫画版は1969年に発表、テレビアニメは1979年から放送されている長寿コンテンツだけあって、過去に登場したひみつ道具の中には現実に実現したものがそこそこある。例えば「おこのみボックス」という、「テレビにも電話にもコンピュータにもカメラにもなる道具」は薄くて小型のスマートフォンによって2000年代のうちに実現してしまった。しかし1980年代のサイバーパンクSFでもスマートフォンのような携帯端末を予想できた作家は殆どおらず『ニューロマンサー』では多くの情報端末が有線接続されていたり、『重力が衰えるとき』では音声通話機器を腰からぶら下げていたりするので、F先生は慧眼な方だと言える。


放送当時に想像された21世紀世界であるが、「THUNDERBARDS A GO」等で製作時から見た未来として登場人物達の生年月日や時代設定が変更されたものもある。


舞台としては21世紀初頭という設定だが、現実の世界とは技術面も文化面もまるで異なる。


サイバーパンクの世界観自体が陳腐化している他、日本製品がアメリカを席巻している時代背景もバブル景気への郷愁が感じられる。空きチャンネルTV画面色の空と世界最先端の闇病院が集まる電脳都市チバ・シティなんて無かった。


製作当時から想像された1970年代の世界とされており、最終回で「1930年代から40年以上」と1970年代であることを示唆する台詞がある。

しかしジャミラの没年が1993年である事が描写されており、制作陣の間では近未来であること以外は特に明確な合意はなかった様子。


1980年代後半~末期に想像された未来世界(2015年)が登場。現実の2015年にはこの事が話題となるほど過ぎた未来の一つとなった。


1980年代後半に想像された21世紀初頭の世界を原点としたシリーズ。ロボット工学が進んだ近未来が舞台だが、後のシリーズでは更なる未来が描かれている。世界観を一新したロックマンEXEではネットワーク技術が発展した結果、ロボット工学が排他され居場所をなくした科学者がネット社会の破壊を目論むなど、レトロフューチャーそのものが題材の一つになっている。


1987年に1998年を舞台として描いた作品。バブル崩壊後に制作された後続の作品でも、昭和冷戦の時代が21世紀まで続いている設定で、レトロフューチャー的な世界観を表現している。現実の1990年代後半と違い携帯電話が普及していないなど、現実と嚙み合わなくなった要素も意図的に残されている。


発表年当時に流行していたゲーム機や市販されていた飲料などが登場し、作中の時代設定からするとレトロフューチャーに近い。なお、新劇場版準拠だと過去作で明確にされていた西暦が不明となっており、近未来の世界観を維持している。


2013年発表のゲームだが、舞台を2007年に設定し、ドギツイ蛍光色、VHSやフロッピーディスクや「メガバイト」の単位などの80年代レトロフューチャーの要素を取り入れた。


「世界初の家庭用・個人向けにチューンされたVRマシーン用MMORPG」という、2002年にweb小説として初めて世に出た時点ではおよそ想像がつかないような技術設定であった。Web版時点では2012年リリース設定、商業化にあたり時代が追いついたため2022年リリース設定となったが、それすらも時代が追いついてしまい、現代ではVRによるオンラインマルチプレイゲームというのは珍しくなくなっている。

またWikipediaの作品記事は荒らしによって編集規制がかけられ、2022年9月=作品の前日譚の一部が終わってしまう時期まで解除されないという珍事も起きている。


上記エヴァのヒットを受けて1990年代終盤~2000年代序盤数多く作られた、いわゆる「第二のエヴァ狙い」のセカイ系作品(特にアニメ)の一つ。エヴァと同じく設定年代を現実が通過したという意味での「一応」のレトロフューチャーであり、パタPという未来的なガジェットは登場するが、描写としては制作当時の90年代色が強い。

特に劇場版のタイトル及び舞台設定が「2011年の夏休み」だが、現実の2011年では作品自体の人気がエヴァには及ばず商業展開がほぼ終息して久しかった事と、同年3月に東日本大震災が起こり自粛ムードが残っていたこともあり「劇中の未来がやってきた!」との盛り上がりは一部に留まった。


第6話の馴レーションによれば「百年後」らしいが、いつから数えての百年なのかは不明。

放送当時から数えれば2074年の未来となり、世界観の解説も割と頻繁に行われる。しかし、レコード盤がメディアとして主流でキチガイレコードが普通に売れてしまうなど、結果的にレトロフューチャー全開の世界観となった。


作中で「未来」として示されていた、主要キャラの1人が結婚し、が生まれることになる2017年をすでに過ぎている。一方で、作中設定に時代が追いついたことにより『Steins;Gate』以外にも科学アドベンチャーシリーズで未来を描いていた『Robotics;Notes』は、改めて新作を出すきっかけになった。また初期作品から9年経過した後に2010年を舞台とした続編がつくられたことから、「後付けレトロフューチャー」とも言うべき奇妙な事象が発生しており、主要登場人物の殆どが現実ではまだ普及していなかったスマホを所有していたりする。


西暦1999年に初代マクロスが地球に墜落し、2009年の進宙式にゼントラーディ軍の攻撃を受け、以後のシリーズも年号が確定されている。

また宇宙戦闘機には野暮な指摘だが、バルキリーVF-1がアメリカでは全機退役したF-14等に意匠が似せられている他、ステルス性能が重視される現代の戦闘機には採用されないカナード翼や可変翼前進翼機も多い。

 1980年代の初回放送時より未来の21世紀を舞台にしているが、主役機VF-1は当時既に最新とは言えなかったF-14をモチーフにしている。また、劇中で重要な意味を持つミンメイが歌う挿入歌も、意図的に当時よりも少し古いアイドルソングの雰囲気で作られている。


1968年公開のゴジラ映画で、20世紀が終わりに近い(劇中の新聞では1994年)世界が舞台となっている。

世界の恐怖であった怪獣たちを管理できるようになった人類の科学力を描いているが、キラアク星人の襲来を受け、コントロールされた怪獣たちが世界中で暴れまわる。


 22世紀の宇宙が舞台だが、20世紀の海戦をモチーフにした時代錯誤な要素が多く見られる。主役艦ヤマトをはじめとして本作に登場する宇宙船は科学考証としてのリアリティを無視して水上艦に似せた形状にデザインされている。ガミラスナチスがモチーフであり、主要人物の多くが、第二次世界大戦時の人物に似せられている。


リアルな戦争を描いた「リアルロボット」の嚆矢だが、そこで描かれる戦争は当時の冷戦や少し前にあったベトナム戦争ではなく、第二次世界大戦前の植民地戦争がモチーフになっている。ジオン公国に至ってはナチスドイツローマ帝国の要素を混ぜ合わせたものである。


石油が枯渇した未来という設定だが、登場する鉄道車両の多くは放送当時の車両に酷似している。また、登場人物や多くのエピソードが、懐かしい映画やテレビ番組のオマージュになっており、意図的に放送当時から見た未来と過去を混在させている。


現代という設定で、戦車砲で撃ち合う競技が安全に運営出来る技術が確立しているが、競技に使う戦車は第二次世界大戦時のもの。それだけでなく、競技と直接関係無い学園艦までもが、旧式の軍艦を模したデザインで統一されている。


2003年から塚原重義による弥栄堂によって制作された映像作品群。20世紀前半の段階で石油資源が枯渇した架空の西暦2040年代(※)が舞台となっており、それに伴って文明は宛ら大正〜昭和初期のそれによく似たものにとどまっている。

本シリーズは2005年の「通勤大戦争」をもって終了したが、のちの「アームズラリー」や「クラユカバ」にその世界観は受け継がれている。

※ 「端ノ向フ」公開前後に公式サイト上からは「西暦2040年代」など明確な年代設定に関する記述は削除されている。

軍事技術の停滞も著しく、空中戦にあっては複葉機や飛行船を主力とし、戦車も戦間期〜第二次世界大戦期の規模の軽・中戦車が用いられるレベルとなっている。

一方で二足〜多足歩行によって可動する「装脚戦車」など、この世界独自の技術も誕生している。

また2008年に放送された星新一作のショートショート「うるさい相手」のアニメ版はこの世界観に準拠した作品として製作されており、原作小説準拠とはいえ人間との意思疎通が可能な人工知能も存在しているようである。


Interplay がPCゲームとして1997年にリリースした『Fallout』からなる一連の作品群。発売自体は1990年代だが内容は冷戦時のテクノロジーの発展による希望と、核による破滅の隠された恐怖が入り混じった1950年代のアメリカに影響をうけており、意図的に1950年代の未来観をベースにしている。第二次世界大戦まではおおむね史実通りだが、アメリカが先に有人宇宙飛行を成し遂げる、ソ連が崩壊せずにそのまま存続するなど冷戦期あたりから史実とは異なる歴史を歩んでいる。価値観も1950年代そのままで、放射能入り清涼飲料小型核砲弾など現代からすれば考えられないようなことが当たり前のように続いている。また現実世界のようにオイルショックや公害、環境破壊はそれほど問題視されておらず、そのせいで省エネ化やリサイクル、再生可能エネルギーの開発がちっとも進まなかった為か2050年代に石油資源の枯渇が始まり、数多くの大規模な戦争の引き金になっている。また当時はそれほど放射線の危険性に関する理解が進んでなかったため数多くの構想がなされ、のちに技術上の問題で挫折した原子力利用は幅広く行われており、当時の価値観や科学技術、核や戦争などに関するブラックジョークがちりばめられた作品でもある。


音楽とレトロフューチャー

音楽の世界では、往時のドイツのバンドKraftwerkがアルバムコンセプトに用い、PVでは露骨にフリッツ・ラング『メトロポリス』など、20世紀前半のSF映画をオマージュしている。それに続いて、1980年代のテクノポップ、シンセポップ勢も類似したレトロフューチャーのイメージを頻用した。

クラフトワークに影響を受けたデトロイト・テクノ勢も、70年代ファンクのアフロ・フューチャリズムと呼ばれるSF趣味を受けて、レトロフューチャー的な意匠を好んだ。


往年の8ビット16ビット時代のコンピューターを音源として用いるチップチューンもレトロフューチャーの趣向と関係がある。


2010年代から流行。「忘れ去られた過去の素材をつぎはぎして無価値なものを生み出す」という大量消費への皮肉が込められており、1980年代〜1990年代の音楽やテレビ番組、CM等をサンプリングして用い、あえて低解像度の映像や古いシンセサイザーのチープな音などが特徴。

日本の(バブルより少し前の)大衆文化や当時流行したニューエイジシティ・ポップニューウェイブなどの影響も大きく、特に2020年代は過去の楽曲のリバイバルヒットも増えている。


関連イラスト

東京ラプソディお出かけ用宇宙服宇宙食センシティブな作品


関連タグ

スチームパンク SF ファンタジー 近未来 昭和レトロ

未来都市 宇宙旅行松本メーター スペースルック スチームパンク

レトロPC 電子音楽 ドット絵 リバイバル塗装

小松崎茂 さとうけいいち


星姉ぇ(キラッとプリ☆チャン):レトロSFをネタにしたキャラクター。デザインモチーフは恐らくつくば万博(1985年開催)のマスコットキャラクター、コスモ星丸

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