翼の先端が付け根に対し、前にあることからそう呼ばれる。
運動性など優れた点もあるが、その裏返しとして本質的に安定性が低いという欠点がある。量産に至った機体はドイツで生産されたHFB320が唯一の例であったが、この機体は安定性の低さから事故が相次いだ。
機体制御にコンピューターが利用できるようになった1980年代前後の軍用機には、敢えて機体形状の安定性を下げて運動能力を向上させる設計思想(CCV)が導入され、前進翼も注目を集めた。
しかし主翼は大きな風圧に抗して「ねじれ」に耐えなければならないために強度・軽量化の両立が難しく、また同じく重要視されるようになったステルスでは、主翼前縁に当たったレーダー波が胴体に反射し、胴体は発信源に向けてレーダー波を反射するという不利は戦闘機用としてのトドメを刺された。これによりS-37・X-29ともども、実用には至らなかった。
デザインとしては普段見慣れない形のため、未来的で目新しい印象があるため架空機にはしばしば見られる。ただし、実はジェット機黎明期の第二次大戦時ドイツのJu287にまで遡る、発想としては決して新しくはないものである。
また、架空機には前進翼と可変翼を組み合わせ、前進翼に不向きな超音速飛行時には後退翼に変わる等の機構を持たせているものもある。
技術的な詳細はwikipedia参照。