概要
飛行機において翼の面積、形状を変更させることができる翼のこと。実用化されたものは全て軍用機である。
実用化されたものの多くは翼の取り付け角を変更することでこれらを行っているが、原理上翼そのものが変形するものも含み、これは実験のみ行われている。
誕生経緯
飛行機では低速、高速、低空、高空など飛行する環境によって、適切な主翼の形状は異なってくる。
旅客機のように飛行時間の大半を一定の高度、速度で巡行するのであれば問題はないが、様々な速度、高度での飛行を要求される軍用機だとそうもいかない。
低速向きの翼は高速では抵抗が大きくなってしまい、しかし高速向きの翼は低速だと揚力が不足する。ある速度での性能を追求すると、別の速度での性能が犠牲になってしまう。
そのジレンマを解決する手段が、角度の変更や翼面積、翼面形状の変更などが行える翼、即ち可変翼である。
衰退
だが当初のもくろみ通りにはいかなかった。
航空機において最も大きな荷重が発生する主翼付け根に可動装置を組み込むというのが大変だった。今まで翼の前後長分の直線でこの荷重に耐えていたところを主翼を回転させる軸の一点のみで支えなければならない。
そのため可動部を非常に頑丈に作らねばならず、おまけにこの制御のために複雑化するため、重量増、コスト増、整備性悪化とデメリットがとても多い。
一時期軍用機で流行したものの、戦術のデメリットと様々な代替技術の出現により、後続機の開発は絶望的となっている。
具体例
F-14の例 | |
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低速状態:着陸時など、翼を展開させ、揚力を稼ぐ。 | 高速状態:翼を後退させ、空気抵抗を減らす。 |
速度に応じ段階的に主翼の翼端を折り下げるもので、衝撃波を抑える、垂直尾翼の役割を持たせる、ためとされる。
XB-70 | ||
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低速状態:翼端は水平。 | 中速状態:角度はまだ浅い。 | 高速状態:角度はかなり深い。 |
フィクションにおいて
翼が稼働するというその機能が非常にカッコいいため、前進翼同様架空機に導入されることが多い。
この機体の様に、角度や翼面形だけでなく、翼断面すら変形をするものも(現実でも理論としては実際に検証されている)
関連タグ
戦闘機
爆撃機
外部リンク
可変翼 - Wikipedia