語義
昭和レトロとは昭和の時代に対する回顧趣味や憧れの総称である。しかし、昭和は戦前と戦後、高度経済成長期の前後で劇的に世相が変化したため、一口に「昭和レトロ」と言っても、人により全く違うイメージを抱いていることがしばしばある。
かつて「昭和レトロ」といえば、昭和生まれの熟年世代らが昭和30年代〜昭和40年代の前後を懐かしむ風潮(昭和ノスタルジー)を主に指していた。しかし、近年は平成生まれの若者が昭和50〜60年代前後の事柄に憧れる風潮を指して「昭和レトロ」と称する例が目立つようになり、平成初期にかかるバブル期への愛好もしばしば昭和レトロに含まれている。令和ではむしろこの用例の方が主流となっている。
高度成長期前後の日本を懐かしんで「昭和レトロ」と称することは今でも多い(そもそもレトロが懐古主義を指す言葉)が、そちらは実体験の回顧を伴う「昭和ノスタルジー」の項目に譲り、ここでは令和の若者たち(概ね平成生まれ)を中心とした昭和後期の物事への愛好について扱う。昭和初期を対象としたレトロ趣味は昭和モダンを参照。
令和における昭和レトロ趣味
リアルタイムの昭和を知らない世代による、昭和の時代の文化や品物、サービスを愛好する風潮。平成最末期の2017年ごろから流行しだした。
純喫茶巡りや往時の雰囲気を残す商店街などの街歩きを楽しむ、インテリアにポップな花柄シートを貼る、ラジカセなどの当時の家電、花柄食器などのグッズを揃えるなど。70〜80年代シティポップや昭和歌謡曲のリバイバルヒットなどもこの風潮に含めることが可能である。
対象になるのは、概ね日本が世界に冠たる経済大国であった時代――安定成長期にあたる1970年代~1980年代のものであることが多い。昭和の日本にあふれていたパワフルさ、ある種の向こう見ずな風潮が、清潔で安全だが何かと萎縮しがちな令和の日本に生きる人々をとらえてやまない。
ただ、昭和レトロを好む人は必ずしも厳密な年代区分にはこだわらず、昭和初期のものから平成初期(さらにはY2K前後)のものまでごった煮のレトロ要素として享受していることも多く、「ニューレトロ」との違いがあいまいになっている。
昭和レトロ趣味はインターネットを通じて海外にまで広がっている。YouTubeでは80年代から90年代中盤のアニメがごちゃ混ぜになったAMV、昭和〜平成期のCMの寄せ集めが多数投稿されている。
昭和レトロファッション
昭和50年代のお嬢様や女子大生風の「ニュートラ」、ボディコンや肩パッドを取り入れたバブル期のリバイバルファッションなど。1990年代に流行した70年代風ファッションも昭和レトロ趣味の一環として再びリバイバルしている。
バブル期のファッションの一環として、90年代には「ダサい」として嘲笑の対象になっていた派手な柄物のセーターや、プロデューサー巻き(石田純一が昔よくやっていた、カーディガンを背中に羽織り、袖を胸元で軽く括るあれ)なども復活している。
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レトロ 昭和ノスタルジー 昭和っぽい 昭和臭 あふれ出る昭和臭
昭和 安定成長期 平成レトロ 80年代風 レトロモダン ニューレトロ