概要
昭和40年代の後、昭和60年代の前。西暦だと1975年~1984年となる。
時は安定成長期真っ只中、バブル景気突入前で昭和レトロの対象になりやすい時代である。バブル世代と団塊ジュニアの子供時代にあたる。
メイン画像のアイスは、昭和58年に発売されたクロキュラー。食べると舌が黒くなる。
世相
昭和59年には日本人の平均寿命が男女とも世界一になり、高齢化社会への移行が本格化。昭和53年には家庭用のマイコン(パソコン)も登場するが、この時代に使っているのはほぼマニアだけである。
乗り物趣味の分野では、この時代の前半は昭和50年に連載開始された漫画『サーキットの狼』などの影響でスーパーカーブームとなった。中盤から後半はブルートレインブームが巻き起こるが、これは国鉄の経営再建につながらず、多くの夜行列車がブーム真っ只中で廃止され、廃止間際の列車を狙って群がる小中学生の撮り鉄(今で言う「葬式鉄」)が社会問題となった。
スポーツでは昭和56年連載が開始された高橋陽一によるサッカー漫画『キャプテン翼』のヒットの影響で、それまで日本ではマイナーな競技であったサッカーが一躍メジャーになり、のちのJリーグ発足(平成3年)につながる。
ローラースルーGOGO(昭和49年)、超合金ブーム(昭和51年)、スーパーカー消しゴム(昭和52年)、スライム(昭和53年)、ウルトラマン人形(昭和54年)、ルービックキューブ(昭和55年)、ガンプラ(昭和56年)、チョロQ(昭和57年)、ゾイド(同年)、キン肉マン消しゴム(昭和58年)、とヒットおもちゃが続出。バービーの日本再上陸(いわゆる和製バービー、後にジェニーと改称)、カプセルトイが登場したのもこの時代である。当時の流行は 『ドラえもん』でも描かれている。非デジタル系のおもちゃは昭和40年から昭和60年の間にだいたい出揃ったと言ってよい。
コンピュータゲームが登場した時代でもあり、インベーダーゲームの流行を皮切りにゲーム&ウオッチ、ファミコンが大ヒットする。
オタク文化の黎明期。昭和50年の夏に第1回のコミックマーケットが開かれ、昭和52年には『宇宙戦艦ヤマト』が公開されアニメブームとなる。昭和53年には女性向けの男性同性愛を描いた日本初の専門誌「JUN」(翌年「JUNE」に改称)が創刊。昭和55年ごろから男性おたく(という語はまだなかったが)の間で「ロリコンブーム」(この頃の「ロリコン」は美少女ファンという意味合いが強い)が巻き起こる。なおこの「おたく」という語が生まれるのは中森明夫が昭和58年、ロリコン漫画誌「漫画ブリッコ」に『「おたく」の研究』というコラムを連載した時からである。
人口の急増や、理数系科目の難化、受験競争の激化などを背景に中学高校では「受験地獄」「受験戦争」という言葉が広がり、授業についていけない「落ちこぼれ」が急増。「ツッパリ」と言われる不良少年らがシンナーや覚醒剤の乱用事件や、喧嘩から発展した暴力事件を引き起こし、特に郊外の新興住宅地の中学校や高校は大いに荒れた。