概要
Vaperwave(ゔぇいぱーうぇい ぶ)とは インターネットカルチャー発の音楽ジャンルである。80年代のCMのBGMや歌謡曲、スーパーやショッピングモールで流れる音源等をコラージュした作品が多く、それらをオマージュした音楽・ミュージックビデオ・アートワークなどの芸術の総称である。
「消費社会に無限の夢があった時代」を懐かしむ一種のレトロ趣味としての一面がある。1980年代といえば日本が急速に経済発展していた時代であり、作品のタイトルなどに、カタログ等から切り抜いたメチャクチャな日本語や、日本のレトロCMがよく使われたりする(極度乾燥?知らない子ですね...)。また90年代バブル期も含むことが多い。
具体例として「現代のコンピュー」や「札幌コンテンポラリー」、「ESPRIT空想」などが挙げられる。(しかもこれは邦題ではなくマジモンのタイトル。)
ちなみに、Vaporwaveの「Vapor」は「蒸気」、「Wave」は「波」を表す。
蒸気の中で聞こえるような感覚の音楽、という解釈...らしい。
ただしこの80年代はあくまで外国人が思い描いた80年代なので、実際の日本の80年代とは特に音楽面で違っている。当時の日本ではアイドルポップ・バンドブーム等が主流であり、Vaporwaveに影響を与えたシティポップは一定の支持がありつつも傍流だった。
具体的にどんなの?
ざっくり一言で言えば既存の曲のピッチ(音程)を低くし、スピードを下げてぐちゃぐちゃにしたといった感じだろうか...
どこかで拾った音源(スーパーのBGMや昔の音楽、CMなどサンプリングの元ネタは人による。)をサンプリングして、ピッチ下げてスピード落として、切り貼りして(一部の部分を狂気の沙汰まで繰り返すなど)ドラム重ねて(人によってはドラム重ねないアーティストさんもいる)ハイ完成。
ね?カンタンでしょ?
具体例
一番有名なのはやはりMacintosh Plusの「リサフランク420//現代のコンピュー」だろう。この曲はこのジャンルをバズらせた(良い意味で)原因である。(何聴けばいいか迷ったらリサフランク420//現代のコンピューを聴こう。)
そもそも「Macintosh Plus」って誰?と思う人が大半だが、もとは「vektroid」というトラックメイカーがこの名義の他に「情報デスクvirtual」「ESC不在」などの別名義を使って、SNSなどで拡散した結果「お、こんな曲が流行ってんのか」と錯覚させる事に成功したのである。(要は自作自演)
ちなみに、Vectroid氏以外にも別名義を持っているアーティストさんは結構いる。
他の代表例は「テレパシー能力者」や「Luxury Elite」、「TOYOTA セリカ」などである。(TOYOTAセリカ氏に関しては何故トヨタ自動車に怒られないか未だに謎である。)
どこで聴けばいいの?
彼らの基本的な活動場所はBandcampという音楽サイトである。日本語が少ないが基本無料で、ストリーミング再生も無料、気に入ったら購入してダウンロードも可能である。(アーティストによっては無料でDL可能で、アカウント無しでもDL可能)
だが、YouTubeやSoundCloud(サウンドクラウドはサイト内ほぼ100%英語)でも活動しているアーティストさんもたくさんいる。さらに、巷で流行りのVTuberもいる。(ちなみに、YouTubeでVapormemoryというユーザーさんもいるので気になったら各自調べて)
アートワーク
Vaporwaveのイラスト(アートワーク)は先述の通り、昔のアニメ(最近のアニメイラストを使う人もいる、大丈夫だろうか...)やCM、実写の写真などが多いが、そのまま使わず、スマートフォンやPCのソフトなどでグリッチ(ちょっとした不具合で画面に砂嵐が出るなど)やVHSによくみられるノイズ(赤、青、緑がずれてるなど)などに加工をしている画像が多くみられる。
他にはギリシャ彫刻(倫理の教科書に出てきそうな白いアレ)、椰子の木、1980〜90年代当時のワイヤーフレーム、三角形、カードライブなどのモチーフがよく使われる。
私も作ってみたいんだが...
スマホアプリならいくつか無料のアプリがあるので、ぜひインストールして楽しんでいただきたい。
初めて聴く皆さんへ
このジャンルは何回も言うが、昔の音源(実は最近の曲をサンプリングした曲もある)を切り取ってぐちゃぐちゃにした曲のジャンルである。つまりゲテモノといっても過言ではない曲も少なからずあるが、これもこのジャンルの面白い所なので大目に見てほしい。