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リニアモーターカー
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リニアモーターカー

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りにあもーたーかー

リニアモーターカーはモーターの出力を軸トルクとしてではなく、軌道に沿った運動(工学的に言うところの直線運動)として得る車両のこと。

まず初めに

一般的にリニアモーターカーというと磁気浮上式(電磁石の力で車両を浮遊させ推進させる形式)の車両が連想されがちであるが、実際には定義は「機械的な軸を持たずトルクを利用しない形式のモーターで駆動する車両」であるため、浮上するかしないかは関係なく、タイヤを用いて、あるいはレール上を走行するものも含まれる。


特徴

長所


  • 推進にレールの摩擦を必要としない。
    • 急勾配に強い。
    • 急加速急減速が可能。

  • 駆動部分が小型化できる。
    • 地下鉄では車両が小型化でき、トンネルの掘削費用が安くなる。

  • 保守が通常のモーターやエンジンを使用した車両よりも容易。

車輪式リニアモーター車特有の長所

  • カーブに強い。
    • 地下鉄では車両が小型化でき、トンネルの掘削費用が安くなる。

浮上式リニアモーター車特有の長所

  • 車両が接触しないため保線作業が楽。
  • 車両が接触しないため騒音が少ない。

短所

  • 電力消費が多い (特に浮上式)。
  • 駆動部と地上の固定部に障害物を巻き込んでしまうことがある。
  • 既存の鉄道との乗り入れが不可能。
    • 浮上式はその構造上当然だが、車輪式でも、線路が他の路線の線路に接続されていても地上設備がなければモーターが構成されないため自走不可能であり、その路線を走行可能な車両に牽引されなければ走行できない。都営大江戸線のE5000形電気機関車はそのための存在である。

駆動方式

車両から駆動する(電磁石を車両側に設置する)場合について記述する。地上から駆動する(電磁石を地上側に設置する)場合は敷設する設備と、車両の装備の立場が入れ替わる。


リニア誘導モーター

地上にリアクションプレートとよばれる金属の板を敷設し、その上を駆動部の電磁石を使って移動する磁界をかけると、誘導電流による磁界がリアクションプレートに生じ、その磁界との吸引・反発力によって走行する。形としては展開した誘導モーターである。他の方式よりも効率に劣る。


リニア同期モーター

地上に磁石(永久磁石か電磁石か問わない)を敷設し、その上を駆動部の電磁石を使って移動する方向に吸引・反発するように磁界を移動させる。これも同じく展開した同期モーターである。リニア誘導モーターより高効率だが、敷設や保線費用が高額になる。


リニア整流子モーター

形式としては整流子モーター(電流を回転位相に応じて切り替え、回転モーメントを一定方向に保つための機械的整流子とブラシを有するモーター)を展開したもので、効率は最もよいのだが、整流子モーター同様機械的に接触している部分があり、他の方式に比べ寿命が短い事と構造が複雑となるため使われていない。


磁気浮上方式

一般にリニアモーターカーとよばれるマグレブ(Maglev)の浮上方式について下記のものが挙げられている。また、鉄道である以上軌道の案内機能が必要になるが、浮上に使われている仕組みをそのまま使っていることが多い。


吸引式

磁石に引き寄せられる材質(など)でできたレールを吸いよせて車両を浮上させる。

利点軌道敷設費用が安い
難点車両に高度なレール~磁石間の計測・制御が要求される

反発式

地上側に閉ループのコイルを軌道に沿って設置し車両側の磁石が通過したときの電磁誘導作用で浮上する方式。

利点吸引式より任意にかつ大きく浮上できる
難点車両に非常に強力な電磁石が必要。また停止~低速時は車輪が必要

利用

磁気浮上式リニアモーターカーは現在三カ国(大韓民国中華人民共和国および日本)で営業運転されている。奇遇なことにすべてドイツの技術を基にしており(中国はトランスラピッド、ほかはクラウス=マッファイの流れを汲む技術である)、過去にはドイツおよびイギリスでも営業運転がなされていたが、当のドイツでは実用路線は断念された。


車輪式リニアモーターカーはカナダボンバルディア(1936年創業、スノーモービルの製造から業種買収などによりを広げ、現在では航空機鉄道車両などで有名な重工業メーカーとなっている)が製造しており、バンクーバートロントニューヨーク北京クアラルンプールなどで用いられている。高架軌道が多い。また、広州地下鉄でも用いられている(これは川崎重工の技術供与)。


日本の状況

現在日本国内では磁気浮上式車両を用いる路線が1路線(リニモ:愛知高速交通東部丘陵線)営業中。また、JR東海中央新幹線もこの形式を用いる予定である(ただし、日本で開発された超電導リニアを用いる予定)。


また、通常のレール車輪を用いてリニアモーターにより駆動する車両を用いる路線は7路線存在し、大阪市営地下鉄(現:OsakaMetro)長堀鶴見緑地線を嚆矢とし、ほかに同今里筋線都営地下鉄大江戸線神戸市営地下鉄海岸線福岡市営地下鉄七隈線横浜市営地下鉄グリーンライン仙台市地下鉄東西線が該当。すべて地下鉄路線での採用である。


ちなみに

磁気の代わりに地面効果で浮上するエアロトレインというのもある。

かつてのホバートレイン(空気浮上式鉄道)と異なり、浮上にエネルギーを割く必要がなく省力化できる

反面、停止・低速時は車輪で支える必要があり、翼がある分だけかなり幅を取り、従来の新幹線用の線路だと片側通行になってしまうのが難点とされる(騒音に関しては推進のみ磁力を採用する案もある)。


関連タグ

鉄道 磁気浮上式鉄道 リニア モーター リニアモーター

HSST マグレブ リニア地下鉄リニアメトロ


タカラトミー:リニアモーターカーの原理をおもちゃで忠実に再現した変態企業

まず初めに

一般的にリニアモーターカーというと磁気浮上式(電磁石の力で車両を浮遊させ推進させる形式)の車両が連想されがちであるが、実際には定義は「機械的な軸を持たずトルクを利用しない形式のモーターで駆動する車両」であるため、浮上するかしないかは関係なく、タイヤを用いて、あるいはレール上を走行するものも含まれる。


特徴

長所


  • 推進にレールの摩擦を必要としない。
    • 急勾配に強い。
    • 急加速急減速が可能。

  • 駆動部分が小型化できる。
    • 地下鉄では車両が小型化でき、トンネルの掘削費用が安くなる。

  • 保守が通常のモーターやエンジンを使用した車両よりも容易。

車輪式リニアモーター車特有の長所

  • カーブに強い。
    • 地下鉄では車両が小型化でき、トンネルの掘削費用が安くなる。

浮上式リニアモーター車特有の長所

  • 車両が接触しないため保線作業が楽。
  • 車両が接触しないため騒音が少ない。

短所

  • 電力消費が多い (特に浮上式)。
  • 駆動部と地上の固定部に障害物を巻き込んでしまうことがある。
  • 既存の鉄道との乗り入れが不可能。
    • 浮上式はその構造上当然だが、車輪式でも、線路が他の路線の線路に接続されていても地上設備がなければモーターが構成されないため自走不可能であり、その路線を走行可能な車両に牽引されなければ走行できない。都営大江戸線のE5000形電気機関車はそのための存在である。

駆動方式

車両から駆動する(電磁石を車両側に設置する)場合について記述する。地上から駆動する(電磁石を地上側に設置する)場合は敷設する設備と、車両の装備の立場が入れ替わる。


リニア誘導モーター

地上にリアクションプレートとよばれる金属の板を敷設し、その上を駆動部の電磁石を使って移動する磁界をかけると、誘導電流による磁界がリアクションプレートに生じ、その磁界との吸引・反発力によって走行する。形としては展開した誘導モーターである。他の方式よりも効率に劣る。


リニア同期モーター

地上に磁石(永久磁石か電磁石か問わない)を敷設し、その上を駆動部の電磁石を使って移動する方向に吸引・反発するように磁界を移動させる。これも同じく展開した同期モーターである。リニア誘導モーターより高効率だが、敷設や保線費用が高額になる。


リニア整流子モーター

形式としては整流子モーター(電流を回転位相に応じて切り替え、回転モーメントを一定方向に保つための機械的整流子とブラシを有するモーター)を展開したもので、効率は最もよいのだが、整流子モーター同様機械的に接触している部分があり、他の方式に比べ寿命が短い事と構造が複雑となるため使われていない。


磁気浮上方式

一般にリニアモーターカーとよばれるマグレブ(Maglev)の浮上方式について下記のものが挙げられている。また、鉄道である以上軌道の案内機能が必要になるが、浮上に使われている仕組みをそのまま使っていることが多い。


吸引式

磁石に引き寄せられる材質(など)でできたレールを吸いよせて車両を浮上させる。

利点軌道敷設費用が安い
難点車両に高度なレール~磁石間の計測・制御が要求される

反発式

地上側に閉ループのコイルを軌道に沿って設置し車両側の磁石が通過したときの電磁誘導作用で浮上する方式。

利点吸引式より任意にかつ大きく浮上できる
難点車両に非常に強力な電磁石が必要。また停止~低速時は車輪が必要

利用

磁気浮上式リニアモーターカーは現在三カ国(大韓民国中華人民共和国および日本)で営業運転されている。奇遇なことにすべてドイツの技術を基にしており(中国はトランスラピッド、ほかはクラウス=マッファイの流れを汲む技術である)、過去にはドイツおよびイギリスでも営業運転がなされていたが、当のドイツでは実用路線は断念された。


車輪式リニアモーターカーはカナダボンバルディア(1936年創業、スノーモービルの製造から業種買収などによりを広げ、現在では航空機鉄道車両などで有名な重工業メーカーとなっている)が製造しており、バンクーバートロントニューヨーク北京クアラルンプールなどで用いられている。高架軌道が多い。また、広州地下鉄でも用いられている(これは川崎重工の技術供与)。


日本の状況

現在日本国内では磁気浮上式車両を用いる路線が1路線(リニモ:愛知高速交通東部丘陵線)営業中。また、JR東海中央新幹線もこの形式を用いる予定である(ただし、日本で開発された超電導リニアを用いる予定)。


また、通常のレール車輪を用いてリニアモーターにより駆動する車両を用いる路線は7路線存在し、大阪市営地下鉄(現:OsakaMetro)長堀鶴見緑地線を嚆矢とし、ほかに同今里筋線都営地下鉄大江戸線神戸市営地下鉄海岸線福岡市営地下鉄七隈線横浜市営地下鉄グリーンライン仙台市地下鉄東西線が該当。すべて地下鉄路線での採用である。


ちなみに

磁気の代わりに地面効果で浮上するエアロトレインというのもある。

かつてのホバートレイン(空気浮上式鉄道)と異なり、浮上にエネルギーを割く必要がなく省力化できる

反面、停止・低速時は車輪で支える必要があり、翼がある分だけかなり幅を取り、従来の新幹線用の線路だと片側通行になってしまうのが難点とされる(騒音に関しては推進のみ磁力を採用する案もある)。


関連タグ

鉄道 磁気浮上式鉄道 リニア モーター リニアモーター

HSST マグレブ リニア地下鉄リニアメトロ


タカラトミー:リニアモーターカーの原理をおもちゃで忠実に再現した変態企業

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